独自のディスクリート型アンプモジュールを採用
オンキヨー、約6万円でMC対応フォノイコやハイレゾ対応DAC搭載のプリメイン「A-9150」
オンキヨーは、レコード再生用のMM/MCフォノ入力やデジタル入力を内蔵したプリメインアンプ「A-9150」を7月上旬より発売する。価格は62,000円(税抜)。
5月に独ミュンヘンで開催された「HIGH END 2017」にて初披露されたモデルで、今回、国内発売が発表されたかたちだ(関連ニュース)。
本日オンキヨーは、2015年より資本業務提携を行っている河合楽器製作所(KAWAI)と合同発表会を開催。オンキヨーはA-9150を、KAWAIはハイブリッド電子ピアノ「NOVUS NV10」を発表した。NV10の開発にはオンキヨーの開発陣が加わっており、ここで得た技術やノウハウが、A-9150にも投入されている(詳細は後述)。
A-9150はアナログレコード再生用に、MM/MCカートリッジ対応のフォノイコライザーを搭載。一方で192kHz/24bit対応の同軸/光デジタル入力を2系統ずつ搭載するなど、アナログ再生からデジタル再生までをカバーしたプリメインアンプ。定格出力は30W+30W(8Ω)、60W+60W(4Ω)となる。
動特性を追究した独自のアンプモジュール「Discrete SpectraModule」を、パワーアンプの増幅段に搭載。デジタル部に混変調ノイズを抑制する独自フィルター「DIDRCフィルター」を搭載するなど、オンキヨーの音質技術が投入されていることも特徴だ。この2つの技術は同時発表された電子ピアノ「NOVUS NV10」にも採用。NV10用にKAWAIの技術陣と協力してブラッシュアップを行い、その成果を活用するかたちでA-9150にも採用された。
■独自アンプモジュール「Discrete SpectraModule」を搭載
パワーアンプ増幅段の「Discrete SpectraModule」は、ディスクリート構成アンプモジュールで、500V/μsecを超えるスルーレートとメガヘルツ帯域までフラットなリニアリティを備えることが特徴。オンキヨーブランドが動特性を長年追求することで実現したアンプモジュールだという。同社は「澄みわたる音場感や瑞々しい音像感と共に、演奏のニュアンスや楽器の音色、響きや余韻までもリアルに再現できる」と紹介している。
電源強化によってパワーリニアリティを向上させたことも特徴。パワーアンプ部はトランス巻線の強化やバスバーなどを採用して電源を強化。常に変動するスピーカーインピーダンスに対し、パワーリニアリティを向上させることで高いドライブ力を実現したという。
電源部には大容量のEI型トランスや、カスタム設計となる容量10,000μFの電解コンデンサーを2基搭載。また、電源コンデンサーからパワートランジスタまでを銅バスプレートで接続することで、低インピーダンスかつ強力な電源回路を実現したとする。
放熱対策も徹底。熱容量が大きく、熱的変化にも強いアルミ押し出しタイプの大型ヒートシンクも採用した。これらの対策が安定した動作環境を生み出して、音楽情報の細部までを引き出すことを可能にするという。
■MM/MC対応の独立専用基板フォノイコを搭載。192kHz/24bit対応デジタル入力も
本機のポイントとなるのが、この価格帯でMM/MCカートリッジに対応した独立専用基板のフォノイコライザーを採用したことだ。MC部には厳格な試聴テストを経て選別されたディスクリート構成のヘッドアンプを採用。また、MM/MCの切り替えスイッチをプッシュ式ではなくリレー式として、基板上の経路を短縮化。グランドラインのループを閉じてそれぞれ別々にアースをとることで(閉ループ化)、繊細なアナログ信号をより純粋に増幅することを狙っている。
一方でデジタル入力部にも力を入れている。デジタル入力は光2系統、同軸2系統を装備し、いずれも192kHz/24bitまで対応。DACは768kHz/32bit対応デバイスを搭載した。
加えて、D/A変換後に発生する高周波ノイズを除去して、従来のローパスフィルターでは対応できなかった可聴帯域外からの混変調ノイズを根本的に抑制するオンキヨー独自のフィルター回路「DIDRCフィルター」を搭載。音の「硬さ、デジタル臭さ」につながるデジタル音源特有のノイズを回避することを可能にしたという。またアナログ信号入力時には、デジタル入力回路の電源をオフしてアナログ回路への干渉を遮断する。
筐体については、音質に悪影響を与える高調波振動を抑制するために凹凸のないフラットシャーシを採用。厚さ1.6mmの鋼板を使用することで高い剛性も確保する。フロントパネルやボリュームノブにも制振性に優れたアルミ素材を用いるなど、「電気回路の改良のみでは追い込めない」というカラーレーションの排除を押し進めた。
RCA端子は金メッキ仕様。スピーカー端子は2系統を用意しており、A/B切り替え、A+B同時出力に対応。スピーカーターミナルには、バナナプラグ対応のネジ式を採用している。電源ケーブルは、IEC規格のACインレットによる着脱式となる。ヘッドホン出力も備えている。
そのほか、独自開発の低音増強技術「Phase Matching Bass Boost」を搭載。小音量でも豊かなサウンドを実現するという「オプティマム・ゲイン・ボリューム」や、BASS/TREBLEのトーンコーントロール、バランスコントロールも備える。また、トーン回路をバイパスしてよりピュアなサウンドを再生できるダイレクトモードも用意している。
定格出力は、4Ω時で60W+60W(20Hz〜20kHz、0.08%以下THD、2ch駆動時)、8Ω時で30W+30W (20Hz〜20kHz、0.08%以下THD、2ch駆動時)、実用最大出力は90W+90W(4Ω、1kHz、2ch駆動時)。
全高調波歪率は0.08%(20Hz〜20kHz、定格出力時)。周波数特性は10Hz〜100kHz(+1dB、-3dB、LINE1、DIRECT)、S/Nは107dB(LINE、IHF-A)となる。
消費電力は130W(待機時0.1W)、外形寸法は435W×139H×331Dmm、質量は9.2kg。
■電子ピアノで培われた技術はいかにしてA-9150へ応用されたのか
2015年11月、オンキヨーと河合楽器製作所は資本業務提携を結び、新規カテゴリー製品やサービスなどの同時開発を進めてきた。電子ピアノ「NOVUS NV10」は、共同開発製品として初めて発売されるモデルとなる。
このNV10を開発するにあたっては、KAWAIのフラグシップ・グランドピアノ「SK-EX」の全ての鍵盤の音をモデリングして再現することがテーマになったという。だが1,000万超のグランドピアノのサウンドをモデリングするにあたっては様々なハードルがあった。そこで白羽の矢が立ったのがオンキヨーのオーディオ技術であり、特に動的なノイズを低減する回路技術「DIDRC(Dynamic Intermodulation Distortion Reduction Circuitry)」については、KAWAIの技術陣からも電子ピアノにおける効果が高く認められたとのこと。
このDIDRC技術をベースとし、NV10のアンプには「Discrete SpectraModule」、デジタル部には「DIDRCフィルター」が採用されることになり、オンキヨーとKAWAIの技術陣によって、電子ピアノに最適化するための技術検討・開発が行われた。両社の開発陣にとって、いずれの技術についてもその効果に強い手応えがあった。
オンキヨーのオーディオ技術が電子ピアノに用いられる際にブラッシュアップされ、その成果をふまえて、改めてオーディオ用アンプに投入する。今回A-9150に「Discrete SpectraModule」と「DIDRCフィルター」が投入された背景には、このような流れがあった(ちなみに開発時期的には、NV10とA-9150はほぼ同時期に並行して行われていたという)。
オーディオで忠実に再現するのが最も難しい楽器のひとつと言われるグランドピアノ。その音を再現することを目指した電子ピアノ「NV10」で培った技術やノウハウは、プリメインアンプ開発にも大いにに活きた。特に電子ピアノでグランドピアノの音色や音の広がりを再現しようとする試みは、オーディオ再生にも直接関係するノウハウになったという。
もちろん、電子ピアノとプリメインアンプでは音作りが異なるため、A-9150では改めてチューニングも行われた。このチューニングにあたっては、グランドピアノ「SK-EX」の実際の音との比較検討も行われた。
具体的にはKAWAIがピアノ開発のサウンドチューニングを行う専用試聴室で、発表会にもゲストとして招かれたピアニストの圓谷綾乃さんが、KAWAIのトップ・コンサート調律氏である村上達哉氏のサポートのもと、SK-EXを演奏。DSDで録音した。これをA-9150で再生したものを両氏が試聴してチェックを行い、チューニングを追い込んだとのことだった。
発表会では、オンキヨー&パイオニア マーケティングジャパン(株)の代表取締役社長である荒木健氏が挨拶。「オンキヨーと河合楽器は2015年の資本業務提携以降、様々な領域で協業を行いながら、新しい何かを生み出すために努力を続けてきた。その成果が今日発表するA-9150であり、NV10。協業においてはオンキヨーの技術を提供する一方で、河合楽器の開発陣の音へのアプローチやテクニックに非常にインスパイアされ、それが結果としてオンキヨーのアンプにもフィードバックされた」と協業の成果に自信を見せていた。
また河合楽器製作所の専務取締役の日下昌和氏は、「NOVUS NV10」が同社90周年記念モデルであることをアピール。「100周年に向けて、さらなる研究開発やサービス向上を行っていく」と述べた。
5月に独ミュンヘンで開催された「HIGH END 2017」にて初披露されたモデルで、今回、国内発売が発表されたかたちだ(関連ニュース)。
本日オンキヨーは、2015年より資本業務提携を行っている河合楽器製作所(KAWAI)と合同発表会を開催。オンキヨーはA-9150を、KAWAIはハイブリッド電子ピアノ「NOVUS NV10」を発表した。NV10の開発にはオンキヨーの開発陣が加わっており、ここで得た技術やノウハウが、A-9150にも投入されている(詳細は後述)。
A-9150はアナログレコード再生用に、MM/MCカートリッジ対応のフォノイコライザーを搭載。一方で192kHz/24bit対応の同軸/光デジタル入力を2系統ずつ搭載するなど、アナログ再生からデジタル再生までをカバーしたプリメインアンプ。定格出力は30W+30W(8Ω)、60W+60W(4Ω)となる。
動特性を追究した独自のアンプモジュール「Discrete SpectraModule」を、パワーアンプの増幅段に搭載。デジタル部に混変調ノイズを抑制する独自フィルター「DIDRCフィルター」を搭載するなど、オンキヨーの音質技術が投入されていることも特徴だ。この2つの技術は同時発表された電子ピアノ「NOVUS NV10」にも採用。NV10用にKAWAIの技術陣と協力してブラッシュアップを行い、その成果を活用するかたちでA-9150にも採用された。
■独自アンプモジュール「Discrete SpectraModule」を搭載
パワーアンプ増幅段の「Discrete SpectraModule」は、ディスクリート構成アンプモジュールで、500V/μsecを超えるスルーレートとメガヘルツ帯域までフラットなリニアリティを備えることが特徴。オンキヨーブランドが動特性を長年追求することで実現したアンプモジュールだという。同社は「澄みわたる音場感や瑞々しい音像感と共に、演奏のニュアンスや楽器の音色、響きや余韻までもリアルに再現できる」と紹介している。
電源強化によってパワーリニアリティを向上させたことも特徴。パワーアンプ部はトランス巻線の強化やバスバーなどを採用して電源を強化。常に変動するスピーカーインピーダンスに対し、パワーリニアリティを向上させることで高いドライブ力を実現したという。
電源部には大容量のEI型トランスや、カスタム設計となる容量10,000μFの電解コンデンサーを2基搭載。また、電源コンデンサーからパワートランジスタまでを銅バスプレートで接続することで、低インピーダンスかつ強力な電源回路を実現したとする。
放熱対策も徹底。熱容量が大きく、熱的変化にも強いアルミ押し出しタイプの大型ヒートシンクも採用した。これらの対策が安定した動作環境を生み出して、音楽情報の細部までを引き出すことを可能にするという。
■MM/MC対応の独立専用基板フォノイコを搭載。192kHz/24bit対応デジタル入力も
本機のポイントとなるのが、この価格帯でMM/MCカートリッジに対応した独立専用基板のフォノイコライザーを採用したことだ。MC部には厳格な試聴テストを経て選別されたディスクリート構成のヘッドアンプを採用。また、MM/MCの切り替えスイッチをプッシュ式ではなくリレー式として、基板上の経路を短縮化。グランドラインのループを閉じてそれぞれ別々にアースをとることで(閉ループ化)、繊細なアナログ信号をより純粋に増幅することを狙っている。
一方でデジタル入力部にも力を入れている。デジタル入力は光2系統、同軸2系統を装備し、いずれも192kHz/24bitまで対応。DACは768kHz/32bit対応デバイスを搭載した。
加えて、D/A変換後に発生する高周波ノイズを除去して、従来のローパスフィルターでは対応できなかった可聴帯域外からの混変調ノイズを根本的に抑制するオンキヨー独自のフィルター回路「DIDRCフィルター」を搭載。音の「硬さ、デジタル臭さ」につながるデジタル音源特有のノイズを回避することを可能にしたという。またアナログ信号入力時には、デジタル入力回路の電源をオフしてアナログ回路への干渉を遮断する。
筐体については、音質に悪影響を与える高調波振動を抑制するために凹凸のないフラットシャーシを採用。厚さ1.6mmの鋼板を使用することで高い剛性も確保する。フロントパネルやボリュームノブにも制振性に優れたアルミ素材を用いるなど、「電気回路の改良のみでは追い込めない」というカラーレーションの排除を押し進めた。
RCA端子は金メッキ仕様。スピーカー端子は2系統を用意しており、A/B切り替え、A+B同時出力に対応。スピーカーターミナルには、バナナプラグ対応のネジ式を採用している。電源ケーブルは、IEC規格のACインレットによる着脱式となる。ヘッドホン出力も備えている。
そのほか、独自開発の低音増強技術「Phase Matching Bass Boost」を搭載。小音量でも豊かなサウンドを実現するという「オプティマム・ゲイン・ボリューム」や、BASS/TREBLEのトーンコーントロール、バランスコントロールも備える。また、トーン回路をバイパスしてよりピュアなサウンドを再生できるダイレクトモードも用意している。
定格出力は、4Ω時で60W+60W(20Hz〜20kHz、0.08%以下THD、2ch駆動時)、8Ω時で30W+30W (20Hz〜20kHz、0.08%以下THD、2ch駆動時)、実用最大出力は90W+90W(4Ω、1kHz、2ch駆動時)。
全高調波歪率は0.08%(20Hz〜20kHz、定格出力時)。周波数特性は10Hz〜100kHz(+1dB、-3dB、LINE1、DIRECT)、S/Nは107dB(LINE、IHF-A)となる。
消費電力は130W(待機時0.1W)、外形寸法は435W×139H×331Dmm、質量は9.2kg。
■電子ピアノで培われた技術はいかにしてA-9150へ応用されたのか
2015年11月、オンキヨーと河合楽器製作所は資本業務提携を結び、新規カテゴリー製品やサービスなどの同時開発を進めてきた。電子ピアノ「NOVUS NV10」は、共同開発製品として初めて発売されるモデルとなる。
このNV10を開発するにあたっては、KAWAIのフラグシップ・グランドピアノ「SK-EX」の全ての鍵盤の音をモデリングして再現することがテーマになったという。だが1,000万超のグランドピアノのサウンドをモデリングするにあたっては様々なハードルがあった。そこで白羽の矢が立ったのがオンキヨーのオーディオ技術であり、特に動的なノイズを低減する回路技術「DIDRC(Dynamic Intermodulation Distortion Reduction Circuitry)」については、KAWAIの技術陣からも電子ピアノにおける効果が高く認められたとのこと。
このDIDRC技術をベースとし、NV10のアンプには「Discrete SpectraModule」、デジタル部には「DIDRCフィルター」が採用されることになり、オンキヨーとKAWAIの技術陣によって、電子ピアノに最適化するための技術検討・開発が行われた。両社の開発陣にとって、いずれの技術についてもその効果に強い手応えがあった。
オンキヨーのオーディオ技術が電子ピアノに用いられる際にブラッシュアップされ、その成果をふまえて、改めてオーディオ用アンプに投入する。今回A-9150に「Discrete SpectraModule」と「DIDRCフィルター」が投入された背景には、このような流れがあった(ちなみに開発時期的には、NV10とA-9150はほぼ同時期に並行して行われていたという)。
オーディオで忠実に再現するのが最も難しい楽器のひとつと言われるグランドピアノ。その音を再現することを目指した電子ピアノ「NV10」で培った技術やノウハウは、プリメインアンプ開発にも大いにに活きた。特に電子ピアノでグランドピアノの音色や音の広がりを再現しようとする試みは、オーディオ再生にも直接関係するノウハウになったという。
もちろん、電子ピアノとプリメインアンプでは音作りが異なるため、A-9150では改めてチューニングも行われた。このチューニングにあたっては、グランドピアノ「SK-EX」の実際の音との比較検討も行われた。
具体的にはKAWAIがピアノ開発のサウンドチューニングを行う専用試聴室で、発表会にもゲストとして招かれたピアニストの圓谷綾乃さんが、KAWAIのトップ・コンサート調律氏である村上達哉氏のサポートのもと、SK-EXを演奏。DSDで録音した。これをA-9150で再生したものを両氏が試聴してチェックを行い、チューニングを追い込んだとのことだった。
発表会では、オンキヨー&パイオニア マーケティングジャパン(株)の代表取締役社長である荒木健氏が挨拶。「オンキヨーと河合楽器は2015年の資本業務提携以降、様々な領域で協業を行いながら、新しい何かを生み出すために努力を続けてきた。その成果が今日発表するA-9150であり、NV10。協業においてはオンキヨーの技術を提供する一方で、河合楽器の開発陣の音へのアプローチやテクニックに非常にインスパイアされ、それが結果としてオンキヨーのアンプにもフィードバックされた」と協業の成果に自信を見せていた。
また河合楽器製作所の専務取締役の日下昌和氏は、「NOVUS NV10」が同社90周年記念モデルであることをアピール。「100周年に向けて、さらなる研究開発やサービス向上を行っていく」と述べた。
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