オーディオに迫る新たな潮流の予感
ヨドバシAkiba、多彩なシーンで脚光を浴びる“システムコンポ”に着目。潜在需要に力強く訴えかける
■随所で高まるニーズ、“システムコンポ”に存在感
ハイファイオーディオ・ユーザーの高齢化が進んでいる。ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでオーディオコーナーを担当する黒川剛氏は「年配のオーディオファンのお客様から、これまで愛用してきた単品コンポーネントでは大きくて重たい。もっとコンパクトなものに買い替えられないか。そんな要望をよくお聞きするようになりました」と語る。一方、ネットワークオーディオに対応したコンポが拡充してきたことで、「インターネットラジオを楽しまれている人たちの中にも、ハイレゾ音源を楽しんでみたいと興味を持つ人が増えています」と指摘する。
かつては、イヤホンやヘッドホンを愛用する若い人たちのオーディオ文化と、据置型の“ごつい”オーディオ機器によるハイファイオーディオの文化とは相容れないとの見方もされてきた。しかし、ここにも変化の兆しが見える。「ヘッドホンやイヤホンで聴いて音楽を楽しむ若い人の間に、自宅で音楽を楽しむときには、ヘッドホンやイヤホン、また、Bluetooth(ブルートゥース)スピーカーではなく、システムコンポで楽しんでみたい、そうしたニーズが顕在化してきています」と訴える。
システムコンポの売り場には若い人の姿も目立ちはじめ、購入に結びつくケースが増えてきている。「将来的には、単品コンポーネントによるハイファイオーディオへとステップアップしていく手応えも感じ取れるようになってきました」と大きな期待を寄せる。
■ネットワークオーディオが勢いを加速
システムコンポで楽しむ音楽の世界をさらに一段広げていくために、黒川氏が鍵を握ると睨むのは“ネットワークオーディオ”。「まだ難しそう、面倒くさそうだと躊躇される人が少なくありませんが、皆さんが想像されているほどハードルは高くありません。それを、どれだけ啓発できるかですね」。
間口が拡がれば、単品コンポーネントのハイファイの世界へとステップアップしていく若人や旧いオーディオファンの回帰がもっと増えてくると予想する。もちろん、一筋縄ではいかないが、それぞれが音楽を楽しみスタイルが多様化していく中で、最適な答えをどう導けるか、販売店の腕の見せ所だ。
店頭で目につくのは、「ヨドバシ販売員厳選!レシーバーとスピーカー、組み合わせコンポベスト3」と銘打たれた、メイン通路に面して大きく展開するコーナー。ハードルが低い“一体型レシーバー”に、DALI(ダリ)やJBLなどハイエンドのスピーカーシステムを組み合わせたお薦めシステムコンポを前面に打ち出して提案する。
取材時の1位は、ネットワーク機能の充実したデノンのCDレシーバー「RCD-N10」とダリのスピーカー「OBERON1」を組み合わせた10万円余のシステム。2位にはシンプル機能の使いやすさを重視したデノンのCDレシーバー「RCD-M41」とダリのスピーカー「SPECTOR1」の組み合わせ。価格も5万円強とさらに手頃。3位は、1位と同じダリのスピーカー「OBERON1」に、マランツのCDレシーバー「M-CR612」を組み合わせた11万円強のシステム。このコーナーに足を運ばれるお客様が抱かれる価格帯の上限は、約10万円だそうだ。
■ますます多様化する音の楽しみ方
一体型コンポの他にも、より本格的なセパレートタイプという選択肢もある。レコードが人気を集めているが、フォノイコライザーアンプを内蔵した商品は圧倒的にセパレートタイプに多い。レコードを数多く所有しているご年配のお客様からは、レコードをCD化するニーズが依然高い。
システムコンポのコーナーに隣接して、ハイファイオーディオの単品コンポのコーナーとは別に、3万円台以下のレコードプレーヤーのコーナーが設けられている。「最近は、Bluetoothスピーカーを所有している若い人が、Bluetooth対応のレコードプレーヤーをお求めになる例が増えています。一方、ご年配の方を中心に盛り上がりを見せているのが機種数も揃ってきた一体型。こちらはカセットも搭載されているのがポイントです」。
CDラジカセも“録画”用途から根強い人気を見せる。ハイレゾ対応の商品を投入するのがAurex。ハイレゾ音源を低価格で楽しむ場合には貴重な選択肢の一つとなる。また、インテリアを重視してデザインにポイントを置くお客様も少なくない。人気を集めるのがボーズ「Wave SoundTouch music systemW」。ビクターのウッドコーンの各種システムもデザイン性の高さやコンパクトなスピーカーが支持を集めているという。
■音にこだわる潜在ニーズはもっと掘り起こせる
今後の注目ポイントとして挙げるのは、前述のレコードプレーヤーのひとつのトレンドにもなっていた「Bluetooth」への対応だ。「AVアンプでは先行して対応商品が拡大しています。ネットワークオーディオやインターネットラジオの再生、スマホなどからワイヤレスで音楽再生ができるなど、これからは必須の機能」とシステムコンポにおける進展を期待する。
「潜在ニーズはまだまだ掘り起こせます」と腕を鳴らす黒川氏。同店では、週末を中心に開催するイベントが大好評だが、「これまでのイベントは、ハードを発売するメーカー側からの情報発信がほとんどでしたが、例えば、音楽を配信するソフト側の視点で、どんなハードを用いるかもよりフレキシブルに、こういう聴き方もありますよといった提案も行えるのではないかと思います。若い方から興味を持ってもらえるような仕掛けに力を入れていきたい」と力を込める。
さまざまな新しい技術や消費者のニーズが掛け合わされることで、「これからどこでどんな化学反応が起きてくるか想像もできません」と期待を膨らませる。広大な売り場スペースに試聴室も備えた環境を存分に活かし、オーディオの世界に新たな潮流を創造するヨドバシカメラマルチメディアAkibaの取り組みに注目だ。
ハイファイオーディオ・ユーザーの高齢化が進んでいる。ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでオーディオコーナーを担当する黒川剛氏は「年配のオーディオファンのお客様から、これまで愛用してきた単品コンポーネントでは大きくて重たい。もっとコンパクトなものに買い替えられないか。そんな要望をよくお聞きするようになりました」と語る。一方、ネットワークオーディオに対応したコンポが拡充してきたことで、「インターネットラジオを楽しまれている人たちの中にも、ハイレゾ音源を楽しんでみたいと興味を持つ人が増えています」と指摘する。
かつては、イヤホンやヘッドホンを愛用する若い人たちのオーディオ文化と、据置型の“ごつい”オーディオ機器によるハイファイオーディオの文化とは相容れないとの見方もされてきた。しかし、ここにも変化の兆しが見える。「ヘッドホンやイヤホンで聴いて音楽を楽しむ若い人の間に、自宅で音楽を楽しむときには、ヘッドホンやイヤホン、また、Bluetooth(ブルートゥース)スピーカーではなく、システムコンポで楽しんでみたい、そうしたニーズが顕在化してきています」と訴える。
システムコンポの売り場には若い人の姿も目立ちはじめ、購入に結びつくケースが増えてきている。「将来的には、単品コンポーネントによるハイファイオーディオへとステップアップしていく手応えも感じ取れるようになってきました」と大きな期待を寄せる。
■ネットワークオーディオが勢いを加速
システムコンポで楽しむ音楽の世界をさらに一段広げていくために、黒川氏が鍵を握ると睨むのは“ネットワークオーディオ”。「まだ難しそう、面倒くさそうだと躊躇される人が少なくありませんが、皆さんが想像されているほどハードルは高くありません。それを、どれだけ啓発できるかですね」。
間口が拡がれば、単品コンポーネントのハイファイの世界へとステップアップしていく若人や旧いオーディオファンの回帰がもっと増えてくると予想する。もちろん、一筋縄ではいかないが、それぞれが音楽を楽しみスタイルが多様化していく中で、最適な答えをどう導けるか、販売店の腕の見せ所だ。
店頭で目につくのは、「ヨドバシ販売員厳選!レシーバーとスピーカー、組み合わせコンポベスト3」と銘打たれた、メイン通路に面して大きく展開するコーナー。ハードルが低い“一体型レシーバー”に、DALI(ダリ)やJBLなどハイエンドのスピーカーシステムを組み合わせたお薦めシステムコンポを前面に打ち出して提案する。
取材時の1位は、ネットワーク機能の充実したデノンのCDレシーバー「RCD-N10」とダリのスピーカー「OBERON1」を組み合わせた10万円余のシステム。2位にはシンプル機能の使いやすさを重視したデノンのCDレシーバー「RCD-M41」とダリのスピーカー「SPECTOR1」の組み合わせ。価格も5万円強とさらに手頃。3位は、1位と同じダリのスピーカー「OBERON1」に、マランツのCDレシーバー「M-CR612」を組み合わせた11万円強のシステム。このコーナーに足を運ばれるお客様が抱かれる価格帯の上限は、約10万円だそうだ。
■ますます多様化する音の楽しみ方
一体型コンポの他にも、より本格的なセパレートタイプという選択肢もある。レコードが人気を集めているが、フォノイコライザーアンプを内蔵した商品は圧倒的にセパレートタイプに多い。レコードを数多く所有しているご年配のお客様からは、レコードをCD化するニーズが依然高い。
システムコンポのコーナーに隣接して、ハイファイオーディオの単品コンポのコーナーとは別に、3万円台以下のレコードプレーヤーのコーナーが設けられている。「最近は、Bluetoothスピーカーを所有している若い人が、Bluetooth対応のレコードプレーヤーをお求めになる例が増えています。一方、ご年配の方を中心に盛り上がりを見せているのが機種数も揃ってきた一体型。こちらはカセットも搭載されているのがポイントです」。
CDラジカセも“録画”用途から根強い人気を見せる。ハイレゾ対応の商品を投入するのがAurex。ハイレゾ音源を低価格で楽しむ場合には貴重な選択肢の一つとなる。また、インテリアを重視してデザインにポイントを置くお客様も少なくない。人気を集めるのがボーズ「Wave SoundTouch music systemW」。ビクターのウッドコーンの各種システムもデザイン性の高さやコンパクトなスピーカーが支持を集めているという。
■音にこだわる潜在ニーズはもっと掘り起こせる
今後の注目ポイントとして挙げるのは、前述のレコードプレーヤーのひとつのトレンドにもなっていた「Bluetooth」への対応だ。「AVアンプでは先行して対応商品が拡大しています。ネットワークオーディオやインターネットラジオの再生、スマホなどからワイヤレスで音楽再生ができるなど、これからは必須の機能」とシステムコンポにおける進展を期待する。
「潜在ニーズはまだまだ掘り起こせます」と腕を鳴らす黒川氏。同店では、週末を中心に開催するイベントが大好評だが、「これまでのイベントは、ハードを発売するメーカー側からの情報発信がほとんどでしたが、例えば、音楽を配信するソフト側の視点で、どんなハードを用いるかもよりフレキシブルに、こういう聴き方もありますよといった提案も行えるのではないかと思います。若い方から興味を持ってもらえるような仕掛けに力を入れていきたい」と力を込める。
さまざまな新しい技術や消費者のニーズが掛け合わされることで、「これからどこでどんな化学反応が起きてくるか想像もできません」と期待を膨らませる。広大な売り場スペースに試聴室も備えた環境を存分に活かし、オーディオの世界に新たな潮流を創造するヨドバシカメラマルチメディアAkibaの取り組みに注目だ。
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