現行機からほぼフルモデルチェンジ
デノン、110周年機の技術を随所に取り入れたミドルクラスプリメイン「PMA-1700NE」
デノンは、Hi-Fiプリメインアンプのミドルクラス新モデル「PMA-1700NE」を5月下旬に発売する。価格は218,900円(税込)。
同社が2016年に発売したプリメインアンプ「PMA-1600NE」の後継となるモデル。外観の差異はほとんどないものの、110周年記念プリメイン「PMA-A110」の回路や技術を多く踏襲し、フルモデルチェンジと言えるほどの進化を遂げた“小さなPMA-A110”だとしている。
増幅回路にはUHC-MOS(Ultra High Current MOS)をシングルプッシュで用いる「新型UHC-MOSシングルプッシュプル回路」で、PMA-A110と同じ差動2段アンプ回路を採用。従来の差動3段アンプよりも発振に対する安定性に優れ、より素直な音質傾向を実現。UHC-MOSの大電流出力とあわせ、さまざまなスピーカーシステムを、正確かつ力強く駆動できるという。
アンプ部もPMA-A110同様の、可変ゲイン型プリアンプとパワーアンプによる2段構成を採用。1600NEに用いられていた固定利得アンプが、一般的な音量の範囲内でも入力抵抗の熱雑音をフルゲインで増幅してしまうのに対し、本機は一般的な音量ではプリアンプでの増幅を行わず、パワーアンプのみで増幅するため、ノイズレベルを改善。10時-11時くらいのボリューム位置では、S/Nの高いクリアな音楽再生ができるとしている。
ボリュームノブもPMA-A110で初採用された電子ボリュームと同じものを搭載。機械式ボリュームで起こりうるギャングエラーを回避できるほか、左右バランスやトーンコントロールにも同様の構成を採用したことで、信号ラインを短縮し、理想的なミニマムシグナルパスを実現している。
回路構成のみならず、オーディオ回路に使用されるコンデンサーや抵抗などパーツのほとんどもPMA-A110と共通化。飛躍的な音質向上を果たし、デノンの理想とする「Vivid & Spacious」なサウンドを実現するという。
電源部では、電圧変動が小さく、より安定した電源供給が可能だという新型EIコアトランスを採用。2つのトランスを対向配置し、ノイズの原因になる漏洩磁束の影響を打ち消す「LC(リーケージ・キャンセリング)マウント方式」で取り付けている。
また、整流回路には低損失、低ノイズなショットキーバリアダイオードを、ブロックコンデンサーは本機専用の大容量カスタムコンデンサーを採用。シンプルな回路構成を活かすため、ダイオードユニットとブロックコンデンサーの接続部を最短化し、パワーアンプへの電源供給ラインを極限まで短くしている。
DAC回路もブラッシュアップされており、超低位相雑音のクロックをDAC側に配置した「マスタークロックデザイン」を採用。クロックは44.1kHz系/48kHz系の2つを搭載し、サンプリング周波数に応じて切り替えることでジッターを抑制している。
フォーマットは最大でPCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHzをサポート。接続したPC側のクロックを使わず、本機のクロックで制御する「アシンクロナスモード」にも対応する。
USB-DAC回路はPCから流入するノイズを遮断するため、周辺の回路と電気的に絶縁する「高速デジタルアイソレーター回路」を搭載。さらにGNDや電源回路も独立させるなど、ノイズ対策を徹底。デジタル回路はシールドケースに封入され、アナログ回路への悪影響を排除している。
PCM信号はデノン独自のアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing Plus」によってアップサンプリング・ビット拡張処理を行い、理想的な補間処理を実施。歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域など原音に忠実な再生を実現するとのこと。
動作モードとして、2種類のアナログモードを搭載。アナログモード1ではデジタルオーディオ回路がオフになり、アナログ入力信号への干渉を防ぐことが可能。アナログモード2ではディスプレイも消灯され、純粋なアナログアンプとして動作する。
ほか、MM/MC対応フォノイコライザーも、基板上のレイアウト刷新で信号ループを小さくしたことにより、漏洩磁束の影響が軽減され、S/Nが向上。MM/MCの切り替えはリレーによって行うため、余分な信号ラインの引き回しを必要とせず、アナログ信号をより純粋に増幅できるという。
アナログ入力にはRCA×3、フォノ×1、外部プリアンプ入力(固定ゲイン入力)×1を、デジタル入力にはUSB-B×1、同軸×1、光×2を搭載。同軸・光デジタル入力は、テレビなど外部ソースからの入力信号を検知すると自動で電源が入る「自動再生機能」を搭載。スピーカー端子は経年劣化を防ぐ金メッキが施されており、2系統のスピーカーの接続やバイワイヤリング接続が可能となっている。
フットには振動を抑制するというリブ入り高密度フットを採用。外形寸法は434W×135H×410Dmmで、質量は17.6kg。
■編集部インプレッション
事前に本機を試聴する機会を得たので、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
今回はクラシックと女性ボーカルの2つのソースで試聴したが、何よりも「マクロ/ミクロの両面で情報量が多い」ということを述べておきたい。マクロな情報、すなわち音場感や多くの楽器を描き分ける描写力なども素晴らしいのだが、とりわけミクロな情報の表現力が非常に高い。
例えば女性ボーカルにかかったエコーは、減衰して消えていくその瞬間まで輪郭を保っているし、クラシックであれば、例えば擦弦楽器の弓が弦にタッチした瞬間の、実音に至る直前の“予備動作”まで生々しく描き出す。S/Nの高い澄んだ音場も相まって、オーケストラ一人ひとりの緊張感まで伝わってくるような感覚があった。
本機で多くの要素を踏襲したPMA-A110は、デノンが「次の10年につながる技術」をテーマに作ったモデルだ。そんな技術たちがいよいよレギュラーモデルにも降りてきたということで、PMA-900NEを皮切りに、ここからデノンがどのようなHi-Fi製品を打ち出してくるか、今から期待したいところだ。
同社が2016年に発売したプリメインアンプ「PMA-1600NE」の後継となるモデル。外観の差異はほとんどないものの、110周年記念プリメイン「PMA-A110」の回路や技術を多く踏襲し、フルモデルチェンジと言えるほどの進化を遂げた“小さなPMA-A110”だとしている。
増幅回路にはUHC-MOS(Ultra High Current MOS)をシングルプッシュで用いる「新型UHC-MOSシングルプッシュプル回路」で、PMA-A110と同じ差動2段アンプ回路を採用。従来の差動3段アンプよりも発振に対する安定性に優れ、より素直な音質傾向を実現。UHC-MOSの大電流出力とあわせ、さまざまなスピーカーシステムを、正確かつ力強く駆動できるという。
アンプ部もPMA-A110同様の、可変ゲイン型プリアンプとパワーアンプによる2段構成を採用。1600NEに用いられていた固定利得アンプが、一般的な音量の範囲内でも入力抵抗の熱雑音をフルゲインで増幅してしまうのに対し、本機は一般的な音量ではプリアンプでの増幅を行わず、パワーアンプのみで増幅するため、ノイズレベルを改善。10時-11時くらいのボリューム位置では、S/Nの高いクリアな音楽再生ができるとしている。
ボリュームノブもPMA-A110で初採用された電子ボリュームと同じものを搭載。機械式ボリュームで起こりうるギャングエラーを回避できるほか、左右バランスやトーンコントロールにも同様の構成を採用したことで、信号ラインを短縮し、理想的なミニマムシグナルパスを実現している。
回路構成のみならず、オーディオ回路に使用されるコンデンサーや抵抗などパーツのほとんどもPMA-A110と共通化。飛躍的な音質向上を果たし、デノンの理想とする「Vivid & Spacious」なサウンドを実現するという。
電源部では、電圧変動が小さく、より安定した電源供給が可能だという新型EIコアトランスを採用。2つのトランスを対向配置し、ノイズの原因になる漏洩磁束の影響を打ち消す「LC(リーケージ・キャンセリング)マウント方式」で取り付けている。
また、整流回路には低損失、低ノイズなショットキーバリアダイオードを、ブロックコンデンサーは本機専用の大容量カスタムコンデンサーを採用。シンプルな回路構成を活かすため、ダイオードユニットとブロックコンデンサーの接続部を最短化し、パワーアンプへの電源供給ラインを極限まで短くしている。
DAC回路もブラッシュアップされており、超低位相雑音のクロックをDAC側に配置した「マスタークロックデザイン」を採用。クロックは44.1kHz系/48kHz系の2つを搭載し、サンプリング周波数に応じて切り替えることでジッターを抑制している。
フォーマットは最大でPCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHzをサポート。接続したPC側のクロックを使わず、本機のクロックで制御する「アシンクロナスモード」にも対応する。
USB-DAC回路はPCから流入するノイズを遮断するため、周辺の回路と電気的に絶縁する「高速デジタルアイソレーター回路」を搭載。さらにGNDや電源回路も独立させるなど、ノイズ対策を徹底。デジタル回路はシールドケースに封入され、アナログ回路への悪影響を排除している。
PCM信号はデノン独自のアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing Plus」によってアップサンプリング・ビット拡張処理を行い、理想的な補間処理を実施。歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域など原音に忠実な再生を実現するとのこと。
動作モードとして、2種類のアナログモードを搭載。アナログモード1ではデジタルオーディオ回路がオフになり、アナログ入力信号への干渉を防ぐことが可能。アナログモード2ではディスプレイも消灯され、純粋なアナログアンプとして動作する。
ほか、MM/MC対応フォノイコライザーも、基板上のレイアウト刷新で信号ループを小さくしたことにより、漏洩磁束の影響が軽減され、S/Nが向上。MM/MCの切り替えはリレーによって行うため、余分な信号ラインの引き回しを必要とせず、アナログ信号をより純粋に増幅できるという。
アナログ入力にはRCA×3、フォノ×1、外部プリアンプ入力(固定ゲイン入力)×1を、デジタル入力にはUSB-B×1、同軸×1、光×2を搭載。同軸・光デジタル入力は、テレビなど外部ソースからの入力信号を検知すると自動で電源が入る「自動再生機能」を搭載。スピーカー端子は経年劣化を防ぐ金メッキが施されており、2系統のスピーカーの接続やバイワイヤリング接続が可能となっている。
フットには振動を抑制するというリブ入り高密度フットを採用。外形寸法は434W×135H×410Dmmで、質量は17.6kg。
■編集部インプレッション
事前に本機を試聴する機会を得たので、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
今回はクラシックと女性ボーカルの2つのソースで試聴したが、何よりも「マクロ/ミクロの両面で情報量が多い」ということを述べておきたい。マクロな情報、すなわち音場感や多くの楽器を描き分ける描写力なども素晴らしいのだが、とりわけミクロな情報の表現力が非常に高い。
例えば女性ボーカルにかかったエコーは、減衰して消えていくその瞬間まで輪郭を保っているし、クラシックであれば、例えば擦弦楽器の弓が弦にタッチした瞬間の、実音に至る直前の“予備動作”まで生々しく描き出す。S/Nの高い澄んだ音場も相まって、オーケストラ一人ひとりの緊張感まで伝わってくるような感覚があった。
本機で多くの要素を踏襲したPMA-A110は、デノンが「次の10年につながる技術」をテーマに作ったモデルだ。そんな技術たちがいよいよレギュラーモデルにも降りてきたということで、PMA-900NEを皮切りに、ここからデノンがどのようなHi-Fi製品を打ち出してくるか、今から期待したいところだ。
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