インターフェイス(株)による「Taktina」を体験
Amazon Musicや他ハイレゾ配信が“サクサク”動く&一括プレイリスト化可能なアプリ開発中
ハイレゾストリーミングサービスを快適に再生するためのソリューションとして、インターフェイス(株)が新たなアプリケーション「Taktina」(タクティーナ)を開発している。早速その実機を触らせてもらった。
ハイレゾ対応のストリーミングサービスの隆盛とともに、対応するオーディオ機器も賑わいを増してきた。しかしその一方で、その操作系、UIやUXにまだまだ改善の余地がある場合も少なくない。その状況に一石を投じるべく、組み込み開発システムに大きな強みを持つインターフェイス(株)が新たなソリューション「Taktina」を開発しているという。
同社は、PCオーディオ/USBオーディオの黎明期からハイファイオーディオでも活用できるさまざまなソリューションを提供してきた会社としてオーディオ業界で知られている。DSD22.5MHzを安定再生するためのハードウェア実装やPC用の再生ソフトウェア、さらにはBulk Petという高音質USBオーディオのためのプロトコル開発なども行ってきた。
2019年からは、「ITF-NET AUDIO」というネットワーク再生のためのソリューションの発売を開始。これはオーディオ機器に組み込むためのネットワークモジュールとソフトウェアを合わせた総合的なソリューションで、UPnP/DLNA、OpenHome、roon readyなどにも対応する。さらに、将来的にはハイレゾストリーミングサービスにも対応予定…と予告されていた。これをアプリの形に落とし込んだのが「Taktina」だ。
営業担当の森さんは、「2019年の時点から、ハイレゾストリーミングサービスをもっと使いやすく、というテーマはずっと追求してきたんです。特に2021年にAmazon Music HDが国内で正式スタートしてからは、お客さんからこれを“サクサク”動くようにしてほしい、という要望をたくさんいただいてきました。しかし、なかなかAmazon側の門戸が固く、何年もアプローチを重ねて、やっと今年になって実際に動かせるものが用意できた、というところです」と開発の苦労を語る。
「Taktina」という名前の由来は、指揮棒を意味する「タクト」と、ITF-NET AUDIOの頭文字を組み合わせたものだという。
まだ開発途中の段階だというが、早速実機を触らせてもらった。左側はプレイリスト、右側に「Amazon Music」「TIDAL」「Qobuz」のアイコンが表示されており、それぞれのアイコンをタップすることで各社が提供する楽曲にアクセスが可能になる(※それぞれのサービスへの加入が別途必要)。
このアプリの特徴は「ストリーミングサービスを横断してプレイリストが作成可能」なことにあり、プレイリストは「どのサービスの音源か」を意識せずに使うことができる。
さらに気になる“サクサク度”だが、たとえばAmazon Musicのアイコンから中に入り、「米津」と検索すると、ほとんど瞬時に「米津玄師」「ハチ」が表示される。さらにタップしていくと楽曲が表示される。楽曲名のタップでプレイリストへの登録が可能で、この軽快さはまさにストリーミングにおいて求めていたものだ。
今度はTIDALで「billie」と検索。「Billie Eillish」「Billie Holiday」などがさっと表示され、目当てのアーティストや楽曲にも簡単に辿り着くことができる。ただし、サービスを横断した楽曲の検索はできないということで、それぞれのアプリの中に入ってから楽曲選択を行う必要がある。
プレイリストから楽曲の再生をスタートすると、アーティスト名の横のアイコンで、どのサービスからの楽曲かが表示される。またジャケット画像をタップするとジャケットが大画面で表示され、下部には再生フォーマットも表示される。やはりオーディオの市場からは「どのフォーマットで再生されているか知りたい」という要望が多く、この表示も実装したのだという。
プレイリストにはシャッフル、リピート機能なども搭載。すでにKazooやfidata music app、LUMIN app等のネットワークオーディオアプリケーションを使用している人ならば、ほぼ迷うことなく操作できるシンプルさもポイントだ。
他に面白い機能としては、「Playlist」の隣に「Mix」ボタンが実装されている。これは(現在のところは)Amazon musicのステーション機能に対応しているもの。ステーションとは、ジャンルごとに音源をレコメンドしてくれるシステムで、自分で選択しなくてもラジオのように聴きたいスタイルの音楽をずっと再生し続けてくれるものだ。たとえばボタンを「Mix」の位置にしてAmazon Musicからジャズを選ぶと、マイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」が再生されるといった具合だ。このMix機能についても今後さらにアップデートを考えているという。
2022年11月現在のTaktinaの機能としては、Amazon/TIDAL/Qobuz3社のストリーミングサービスを一元的に管理することができるのみだが、今後はUPnP/OpenHomeとの連携を計画。ローカルファイルとストリーミングの音源を1アプリで操作できるようにすることを考えているという。
さらに気になるのはその他のストリーミングサービスとの連携だ。この点について、森さんは次のように教えてくれた。「Apple Musicの要望もいただくのですが、これはサービスが外部にAPIを公開していないので、現段階ではできません。またSpotifyも同様で、Spotify Connectの機能を使ってほしい、という意図があるのでしょう、Taktinaからコントロールすることは難しそうです。まずは優先順位の高いAmazon、TIDAL、Qobuzからスタートしましたが、その他のサービスについては、お客様からの要望があれば実装していきたいと思っています」。
ほかに検討事案としては、AirPlay、Chromecast audioといったワイヤレスでのオーディオ伝送にも関心を持っているそうだ。現在のBluetoothの帯域では、まだまだハイファイオーディオには厳しい、とみているところもあるものの、今後 “ワイヤレスとハイファイオーディオ” の融合は次の大きなトピックになりうると注目しているという。
なお、このソリューションを利用するためには、オーディオ機器の中に「ITF-NET AUDIO」というネットワーク再生のためのソリューションを組み込む必要がある。現在このソリューションを組み込んでいるのは、スフォルツァートのネットワークプレーヤー/トランスポート(SFPポートが搭載されている機器)とSOULNOTEの対応機器のみ。これらのブランドについては、年内をめどに正式に「Taktina」が利用可能になるという。
なお、「Taktina」アプリはまずはiOS(iPad/iPhone双方で利用可能)からスタートし、来年2月をめどにAndroid版のリリースも進めているという。
今回はあくまでアプリのデモンストレーションのみとなったが、ネットワークオーディオ機器との連携でどこまでの音質が実現できるか、またAmazon/TIDAL/Qobuzの音質差もワンタップで確認できるなど、さまざまな使いこなしが期待できる。インターフェイス(株)としても、ユーザーやメーカーからの要望に合わせて今後もさらに機能をアップデートしていきたいと考えているという。こちらについても引き続き注目していきたい。
なお、このTaktinaについては、11月16日からパシフィコ横浜で開催する「EdgeTech+2022」で、動作デモンストレーションを行うとのことで、現物を確認することができるという。
ハイレゾストリーミングを“サクサク”動かしたい!
ハイレゾ対応のストリーミングサービスの隆盛とともに、対応するオーディオ機器も賑わいを増してきた。しかしその一方で、その操作系、UIやUXにまだまだ改善の余地がある場合も少なくない。その状況に一石を投じるべく、組み込み開発システムに大きな強みを持つインターフェイス(株)が新たなソリューション「Taktina」を開発しているという。
同社は、PCオーディオ/USBオーディオの黎明期からハイファイオーディオでも活用できるさまざまなソリューションを提供してきた会社としてオーディオ業界で知られている。DSD22.5MHzを安定再生するためのハードウェア実装やPC用の再生ソフトウェア、さらにはBulk Petという高音質USBオーディオのためのプロトコル開発なども行ってきた。
2019年からは、「ITF-NET AUDIO」というネットワーク再生のためのソリューションの発売を開始。これはオーディオ機器に組み込むためのネットワークモジュールとソフトウェアを合わせた総合的なソリューションで、UPnP/DLNA、OpenHome、roon readyなどにも対応する。さらに、将来的にはハイレゾストリーミングサービスにも対応予定…と予告されていた。これをアプリの形に落とし込んだのが「Taktina」だ。
営業担当の森さんは、「2019年の時点から、ハイレゾストリーミングサービスをもっと使いやすく、というテーマはずっと追求してきたんです。特に2021年にAmazon Music HDが国内で正式スタートしてからは、お客さんからこれを“サクサク”動くようにしてほしい、という要望をたくさんいただいてきました。しかし、なかなかAmazon側の門戸が固く、何年もアプローチを重ねて、やっと今年になって実際に動かせるものが用意できた、というところです」と開発の苦労を語る。
専用アプリ「Taktina」を早速チェック!
「Taktina」という名前の由来は、指揮棒を意味する「タクト」と、ITF-NET AUDIOの頭文字を組み合わせたものだという。
まだ開発途中の段階だというが、早速実機を触らせてもらった。左側はプレイリスト、右側に「Amazon Music」「TIDAL」「Qobuz」のアイコンが表示されており、それぞれのアイコンをタップすることで各社が提供する楽曲にアクセスが可能になる(※それぞれのサービスへの加入が別途必要)。
このアプリの特徴は「ストリーミングサービスを横断してプレイリストが作成可能」なことにあり、プレイリストは「どのサービスの音源か」を意識せずに使うことができる。
さらに気になる“サクサク度”だが、たとえばAmazon Musicのアイコンから中に入り、「米津」と検索すると、ほとんど瞬時に「米津玄師」「ハチ」が表示される。さらにタップしていくと楽曲が表示される。楽曲名のタップでプレイリストへの登録が可能で、この軽快さはまさにストリーミングにおいて求めていたものだ。
今度はTIDALで「billie」と検索。「Billie Eillish」「Billie Holiday」などがさっと表示され、目当てのアーティストや楽曲にも簡単に辿り着くことができる。ただし、サービスを横断した楽曲の検索はできないということで、それぞれのアプリの中に入ってから楽曲選択を行う必要がある。
プレイリストから楽曲の再生をスタートすると、アーティスト名の横のアイコンで、どのサービスからの楽曲かが表示される。またジャケット画像をタップするとジャケットが大画面で表示され、下部には再生フォーマットも表示される。やはりオーディオの市場からは「どのフォーマットで再生されているか知りたい」という要望が多く、この表示も実装したのだという。
プレイリストにはシャッフル、リピート機能なども搭載。すでにKazooやfidata music app、LUMIN app等のネットワークオーディオアプリケーションを使用している人ならば、ほぼ迷うことなく操作できるシンプルさもポイントだ。
他に面白い機能としては、「Playlist」の隣に「Mix」ボタンが実装されている。これは(現在のところは)Amazon musicのステーション機能に対応しているもの。ステーションとは、ジャンルごとに音源をレコメンドしてくれるシステムで、自分で選択しなくてもラジオのように聴きたいスタイルの音楽をずっと再生し続けてくれるものだ。たとえばボタンを「Mix」の位置にしてAmazon Musicからジャズを選ぶと、マイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」が再生されるといった具合だ。このMix機能についても今後さらにアップデートを考えているという。
2022年11月現在のTaktinaの機能としては、Amazon/TIDAL/Qobuz3社のストリーミングサービスを一元的に管理することができるのみだが、今後はUPnP/OpenHomeとの連携を計画。ローカルファイルとストリーミングの音源を1アプリで操作できるようにすることを考えているという。
その他のストリーミングサービスへの対応など、今後の課題は?
さらに気になるのはその他のストリーミングサービスとの連携だ。この点について、森さんは次のように教えてくれた。「Apple Musicの要望もいただくのですが、これはサービスが外部にAPIを公開していないので、現段階ではできません。またSpotifyも同様で、Spotify Connectの機能を使ってほしい、という意図があるのでしょう、Taktinaからコントロールすることは難しそうです。まずは優先順位の高いAmazon、TIDAL、Qobuzからスタートしましたが、その他のサービスについては、お客様からの要望があれば実装していきたいと思っています」。
ほかに検討事案としては、AirPlay、Chromecast audioといったワイヤレスでのオーディオ伝送にも関心を持っているそうだ。現在のBluetoothの帯域では、まだまだハイファイオーディオには厳しい、とみているところもあるものの、今後 “ワイヤレスとハイファイオーディオ” の融合は次の大きなトピックになりうると注目しているという。
なお、このソリューションを利用するためには、オーディオ機器の中に「ITF-NET AUDIO」というネットワーク再生のためのソリューションを組み込む必要がある。現在このソリューションを組み込んでいるのは、スフォルツァートのネットワークプレーヤー/トランスポート(SFPポートが搭載されている機器)とSOULNOTEの対応機器のみ。これらのブランドについては、年内をめどに正式に「Taktina」が利用可能になるという。
なお、「Taktina」アプリはまずはiOS(iPad/iPhone双方で利用可能)からスタートし、来年2月をめどにAndroid版のリリースも進めているという。
今回はあくまでアプリのデモンストレーションのみとなったが、ネットワークオーディオ機器との連携でどこまでの音質が実現できるか、またAmazon/TIDAL/Qobuzの音質差もワンタップで確認できるなど、さまざまな使いこなしが期待できる。インターフェイス(株)としても、ユーザーやメーカーからの要望に合わせて今後もさらに機能をアップデートしていきたいと考えているという。こちらについても引き続き注目していきたい。
なお、このTaktinaについては、11月16日からパシフィコ横浜で開催する「EdgeTech+2022」で、動作デモンストレーションを行うとのことで、現物を確認することができるという。
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