オールインワンシステムとしての機能性を高めたモデル
デノン、HDMI/フォノ入力搭載ミニコンポ “CEOL”「RCD-N12」。CDメカベースや電源なども一新
デノンは、HDMI端子を搭載したネットワークCDレシーバー“CEOLシリーズ”「RCD-N12」を10月上旬より発売する。価格は110,000円(税込)。
2018年に発売されたオールインワンオーディオプレーヤー「RCD-N10」の後継モデル。CDやネットワーク、Bluetooth、USB、FM/AMラジオに加え、デノンのミニシステムでは初めてHDMI ARC端子を搭載。さらにMMカートリッジ対応フォノ入力も新たに搭載し、オールインワンとしての機能性に磨きをかけたという。
ネットワークオーディオシステム「HEOS」は新たにIEEE 802.11acに対応。UXも刷新が行われており、HEOSアプリのガイダンスに沿ってのネットワーク接続や、アプリ上でのアカウント移行、リモコンのHEOSボタンを押して最後に聴いていた曲やラジオ局を再生することが可能になった。
HDMIはCEC対応なため、テレビとの電源オン/オフ連動や、テレビリモコンから音量調整などを操作することが可能。テレビリモコンの赤外線信号を学習させることで、Quick Selectや入力ソースの切り替えなどをリモコンから行うこともできる。
本製品はミニコンポとしてのサイズを維持しつつ、性能をアップさせるだけではなく、HDMIやフォノといった新機能も搭載している。それを実現するためには「熱管理」「ノイズの抑制」「徹底した部品調達」が課題だったが、技術的な経験と知恵で解決したと説明。例えばHDMIは多くの知見を持つAVアンプのチームと意見交換を重ねて実装に至ったという。
また、スイッチング電源やHEOSモジュールをはじめ、ノイズ源の多い筐体内に繊細な信号を扱うフォノイコライザー回路を搭載するのは困難を極めたという。しかしHi-Fiチームと意見交換を行い、フォノ回路の配置の最適化、効果的なシールドの追加などによってAVアンプ“AVRシリーズ”に匹敵するS/N 74dBを達成した。
クラスDのパワーアンプは最新型モジュールの採用によって出力MOSFETの低インピーダンス化、IC内部設計の最適化による効率向上、それに伴う高い放熱安定性を実現し、定格出力65W+65W(4Ω)の出力を可能とした。さらにローパスフィルターに専用設計のOFCインダクターを用い、可聴帯域における歪率を改善し、透明感の高いサウンドを奏でるとしている。
CDドライブメカはN10と同じだが、今回メカベースを新規設計。N10のメカベースは2ピース構造で基板も構造体としていたのに対し、本機では1ピース構造として剛性と平面性を向上、基板も切り離してドライブメカからの振動影響を大幅に低減した。さらにインシュレーターの要領でドライブメカとメカベースの間にステンレスのワッシャーを噛ませ、より高精度な信号の読み取りを実現している。
キャビネットもN10では分割構造だったのに対し、一体成型することで洗練されたデザイン、より高い剛性を実現。なお、一般的な金型でこの一体成型デザインを製造するためには金型から取り出せるよう台形デザインにする必要があるが、それでは美観を損なうということで、前後左右と上の5方向から個別の金型を押し付ける製法を用いる。複雑な金型デザインや繊細な温度管理などが必要で、エンジニアリングチームにとっても大きな挑戦になったとのこと。
電源回路も一新されており、サウンドマスター・山内慎一氏が試聴を重ねて選んだHi-Fiオーディオグレードのパーツを投入し、妥協のないチューニングで大幅な音質向上を実現したとする。また、配線パターンを書き直し不要部品を取り除いた低インピーダンス設計、オーディオクラスの高音質部品の投入、フットパッドの変更なども実施。
音決めは山内氏が実施。今回は工場変更などの理由から回路図レベルの早い段階から関わっていたとのことで、「結果的にチューニングを始める段階ですでに音質的にも整っていて、スムーズに開発できた。ミニコンポではあるが、B&Wのフロアスタンディング型『801 D4』も鳴らせるポテンシャルがある」と語っていた。
音決めは山内氏が行っており、N10の時よりも早い段階から携わっていたため、こういった山内氏のこだわりが随所に取り入れられている。
セットアップ向けスピーカーとしては、N10と同時リリースの「SC-N10」が引き続き販売される。SC-N10専用フィルターもブラッシュアップされたものを搭載。さらにオーディオアウトを装備したことで、アクティブスピーカーと接続することも可能となった。
デジタル音源は最大PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHzまでをサポート。HEOSでSpotifyやAmazon Music HDなどのストリーミングサービスを再生可能なほか、AirPlay2、Bluetooth送受信などにも対応する。外形寸法は280W×108H×305Dmmで、質量は3.4kg。
■編集部インプレッション
製品発表にあたり、一足先に本製品の音を聴くことができたので、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
まずはスピーカーにSC-N10を用意し、前モデルのN10との聴き比べを行った。単体で聴けばN10も十分に高いレベルなのだが、比べるとN12は余分な贅肉が取れ、より粒立ちの良い引き締まった音になっている。音場も一段と大きくなっている印象だ。
女性ボーカルものでは、ボーカルの柔らかさとフィンガースナッピングの鋭さを巧みに描き分ける。ここでスピーカーをSC-N10からB&Wの「707」に変更すると、一気にボーカルの澄み渡り方、音の分離がレベルアップした。707ペア1組の代金でSC-N10が10組以上買えるだけの価格差があるにもかかわらず、スピーカーの地力を引き出すことができるポテンシャルの高さが伺える。
さらにHDMIでテレビと接続し、YouTubeから安田レイのTHE FIRST TAKE動画を再生。YouTubeという時点で音質が若干荒いことは否めないものの、リッピングやブレスといった、本来ボーカルマイクが拾っているであろう細かな音までリアルに再現してくれる。今回は試していないものの、サブウーファーも接続すれば映画などのコンテンツも高音質かつ大迫力で楽しめるだろう。
2018年に発売されたオールインワンオーディオプレーヤー「RCD-N10」の後継モデル。CDやネットワーク、Bluetooth、USB、FM/AMラジオに加え、デノンのミニシステムでは初めてHDMI ARC端子を搭載。さらにMMカートリッジ対応フォノ入力も新たに搭載し、オールインワンとしての機能性に磨きをかけたという。
ネットワークオーディオシステム「HEOS」は新たにIEEE 802.11acに対応。UXも刷新が行われており、HEOSアプリのガイダンスに沿ってのネットワーク接続や、アプリ上でのアカウント移行、リモコンのHEOSボタンを押して最後に聴いていた曲やラジオ局を再生することが可能になった。
HDMIはCEC対応なため、テレビとの電源オン/オフ連動や、テレビリモコンから音量調整などを操作することが可能。テレビリモコンの赤外線信号を学習させることで、Quick Selectや入力ソースの切り替えなどをリモコンから行うこともできる。
本製品はミニコンポとしてのサイズを維持しつつ、性能をアップさせるだけではなく、HDMIやフォノといった新機能も搭載している。それを実現するためには「熱管理」「ノイズの抑制」「徹底した部品調達」が課題だったが、技術的な経験と知恵で解決したと説明。例えばHDMIは多くの知見を持つAVアンプのチームと意見交換を重ねて実装に至ったという。
また、スイッチング電源やHEOSモジュールをはじめ、ノイズ源の多い筐体内に繊細な信号を扱うフォノイコライザー回路を搭載するのは困難を極めたという。しかしHi-Fiチームと意見交換を行い、フォノ回路の配置の最適化、効果的なシールドの追加などによってAVアンプ“AVRシリーズ”に匹敵するS/N 74dBを達成した。
クラスDのパワーアンプは最新型モジュールの採用によって出力MOSFETの低インピーダンス化、IC内部設計の最適化による効率向上、それに伴う高い放熱安定性を実現し、定格出力65W+65W(4Ω)の出力を可能とした。さらにローパスフィルターに専用設計のOFCインダクターを用い、可聴帯域における歪率を改善し、透明感の高いサウンドを奏でるとしている。
CDドライブメカはN10と同じだが、今回メカベースを新規設計。N10のメカベースは2ピース構造で基板も構造体としていたのに対し、本機では1ピース構造として剛性と平面性を向上、基板も切り離してドライブメカからの振動影響を大幅に低減した。さらにインシュレーターの要領でドライブメカとメカベースの間にステンレスのワッシャーを噛ませ、より高精度な信号の読み取りを実現している。
キャビネットもN10では分割構造だったのに対し、一体成型することで洗練されたデザイン、より高い剛性を実現。なお、一般的な金型でこの一体成型デザインを製造するためには金型から取り出せるよう台形デザインにする必要があるが、それでは美観を損なうということで、前後左右と上の5方向から個別の金型を押し付ける製法を用いる。複雑な金型デザインや繊細な温度管理などが必要で、エンジニアリングチームにとっても大きな挑戦になったとのこと。
電源回路も一新されており、サウンドマスター・山内慎一氏が試聴を重ねて選んだHi-Fiオーディオグレードのパーツを投入し、妥協のないチューニングで大幅な音質向上を実現したとする。また、配線パターンを書き直し不要部品を取り除いた低インピーダンス設計、オーディオクラスの高音質部品の投入、フットパッドの変更なども実施。
音決めは山内氏が実施。今回は工場変更などの理由から回路図レベルの早い段階から関わっていたとのことで、「結果的にチューニングを始める段階ですでに音質的にも整っていて、スムーズに開発できた。ミニコンポではあるが、B&Wのフロアスタンディング型『801 D4』も鳴らせるポテンシャルがある」と語っていた。
音決めは山内氏が行っており、N10の時よりも早い段階から携わっていたため、こういった山内氏のこだわりが随所に取り入れられている。
セットアップ向けスピーカーとしては、N10と同時リリースの「SC-N10」が引き続き販売される。SC-N10専用フィルターもブラッシュアップされたものを搭載。さらにオーディオアウトを装備したことで、アクティブスピーカーと接続することも可能となった。
デジタル音源は最大PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHzまでをサポート。HEOSでSpotifyやAmazon Music HDなどのストリーミングサービスを再生可能なほか、AirPlay2、Bluetooth送受信などにも対応する。外形寸法は280W×108H×305Dmmで、質量は3.4kg。
■編集部インプレッション
製品発表にあたり、一足先に本製品の音を聴くことができたので、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
まずはスピーカーにSC-N10を用意し、前モデルのN10との聴き比べを行った。単体で聴けばN10も十分に高いレベルなのだが、比べるとN12は余分な贅肉が取れ、より粒立ちの良い引き締まった音になっている。音場も一段と大きくなっている印象だ。
女性ボーカルものでは、ボーカルの柔らかさとフィンガースナッピングの鋭さを巧みに描き分ける。ここでスピーカーをSC-N10からB&Wの「707」に変更すると、一気にボーカルの澄み渡り方、音の分離がレベルアップした。707ペア1組の代金でSC-N10が10組以上買えるだけの価格差があるにもかかわらず、スピーカーの地力を引き出すことができるポテンシャルの高さが伺える。
さらにHDMIでテレビと接続し、YouTubeから安田レイのTHE FIRST TAKE動画を再生。YouTubeという時点で音質が若干荒いことは否めないものの、リッピングやブレスといった、本来ボーカルマイクが拾っているであろう細かな音までリアルに再現してくれる。今回は試していないものの、サブウーファーも接続すれば映画などのコンテンツも高音質かつ大迫力で楽しめるだろう。
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