Neumannのアクティブスピーカーで7.1.4chシステムを構築
Dolby Atmosで制作できるエンジニアを育てたい 、古賀健一氏による解説セミナー開催
ドルビージャパンとNeumannの共同開催によるDolby Atmos(ドルビーアトモス)の制作セミナーが、2023年9月5日(火)と6日(水)の2日間、青山のブルーマウンテンスタジオで開催された。
昨今、Dolby Atmosを採用したコンテンツは、映画、ドラマ、音楽を問わず非常に増えてきている。元々は映画館でより没入感のある体験を提供するために生まれた“イマーシブオーディオ”のフォーマットのひとつであるが、昨今では対応するサウンドバーやヘッドホン/イヤホンも充実し、家庭内でもDolby Atmosを楽しむことができる環境が整ってきている。
しかし、音響制作を担当するエンジニアのみならずプロデューサーやディレクターなどの間でも、「どのようにDolby Atmosでコンテンツを制作したら良いのか」ということはまだまだ試行錯誤の段階でもある。
今回のセミナーは、Official髭男dismやAdoのDolby Atmos制作を手がけ、SNSを通じてDolby Atmosを制作する/楽しむための情報発信を積極的に行なっているエンジニアの古賀健一氏が、最新のソフトウェアを活用したDolby Atmosの制作フローについて解説する、というテーマで開催された。
各日12名限定で2日間開催となったが、SNSの告知だけですぐに満席になったということで、Dolby Atmosコンテンツ制作への関心の高さが伺える。参加者は音楽や映画、ゲームも手掛ける現役のエンジニアやスタジオマネージャー、専門学校講師など幅広く、質問も次々に飛び出す非常に活気のあるイベントとなった。
第1部は、ゼンハイザージャパンでNeumannの営業を担当する真野寛太氏によるNeumannモニタースピーカー「KHシリーズ」の解説パート。マイクブランドとしても知られるNeumannだが、モニタースピーカーは「正確なサウンド」を確認するための道具と考えており、フラットな特性と軸外特性の良さもNeumannのスピーカーの特徴だという。
今回のセミナー会場となったブルーマウンテンスタジオのNo.1ブースには、「KH 80 DSP」とサブウーファー「KH 750 DSP」を組み合わせた7.1.4chシステムが構築されている。主にMAスタジオとして映画等の音声コンテンツの制作を担当しているが、近年Dolby Atmosでの納品を求められることが増えてきたため、ステレオ専用からDolby Atmosも制作できるスタジオに改装したという。
真野氏も、「Neumannのアクティブスピーカーの組み合わせで、小型でも本格的なDolby Atmos環境を構築することができます。ヘッドホンだけではなく、ぜひスピーカーでも聴いてほしい、音楽制作をやってほしいです」と力強くアピールする。
第2部は、ドルビージャパンで技術サポートを担当する藤浪氏によるDolby Atmosの最新情報に関するセミナー。Dolby Atmosコンテンツの制作には、ProTools等のDAWとセットで利用する「Dolby Atmos Renderer」というソフトウェアが主に使われている。セミナーでは、2023年の3月にアップデートされたバージョン「5.0」の詳細が紹介された。
ドルビーは、制作環境におけるスピーカー設置のガイドラインを公開している他、「Dolby Institute」という無料でセルフトレーニングするプログラムや素材ファイルなども用意。ドルビージャパンとしても、「スタジオ構築やスピーカー配置の相談などいつでもお寄せください!」と、制作環境の拡充を今後もバックアップしていく計画だという。
第3部はお待ちかねの古賀健一氏のセミナー。古賀氏は今回のセミナーの目的として、“Dolby Atmosを制作できる「人」を育てる”、という点を強調。古賀氏自身も、どのようにDolby Atmos作品を作ったら良いのか、という情報(特に日本語情報)が非常に少ないなかから、ひとつひとつ学びながら試行錯誤を繰り返してきた。そこで得た知識やノウハウを多くの人々に公開することで、音楽業界全体の知識の底上げを図り、質の高いDolby Atmosコンテンツがもっと増えてほしい、という願いを込めている。
セミナーでは、古賀氏が録音・ミックスを担当した映画『20歳のソウル』の主題歌であるKenta Debachiの「Jasmine」をベースに、どのように制作が進められたのかを中心に進められた。
最近では映画館で封切られた作品は、その後Blu-rayでの販売、映像配信サービスでの配信、CDでのサウンドトラックの発売、音楽配信サービスでの配信とさまざまなスタイルでリスナーの手元に届けられる。最初からDolby Atmosを前提に録音しておくことで、後々のダウンミックスも容易になることから、制作サイドに対しても、「Dolby Atmosのような立体音響での録音」を積極的に提案していると言う。
だが、Dolby Atmos制作にあたっては「とにかくトラブルが起こりやすい、という前提で取り組んだ方が良い!」と自身の経験を振り返りながら力説。エンジニアには、ソフトウェアやオーディオ機器の知識だけではなく、メディアごとの納品形式の違いや、スマートフォンやサウンドバーといった一般リスナーの試聴環境など、全方位的な知識が必要となる。だが、音楽表現の新しい可能性が生まれると期待も寄せている。
古賀氏自身は9.1.4chを超えて、新たに11.2.6.4chのスタジオ環境を昨年12月から稼働させている。古賀氏自身もDolby Atmosコンテンツのクオリティアップにさらに注力するとともに、今後も“人”を育てるためのイベントは積極的に実践していきたい、と語ってくれた。
昨今、Dolby Atmosを採用したコンテンツは、映画、ドラマ、音楽を問わず非常に増えてきている。元々は映画館でより没入感のある体験を提供するために生まれた“イマーシブオーディオ”のフォーマットのひとつであるが、昨今では対応するサウンドバーやヘッドホン/イヤホンも充実し、家庭内でもDolby Atmosを楽しむことができる環境が整ってきている。
しかし、音響制作を担当するエンジニアのみならずプロデューサーやディレクターなどの間でも、「どのようにDolby Atmosでコンテンツを制作したら良いのか」ということはまだまだ試行錯誤の段階でもある。
今回のセミナーは、Official髭男dismやAdoのDolby Atmos制作を手がけ、SNSを通じてDolby Atmosを制作する/楽しむための情報発信を積極的に行なっているエンジニアの古賀健一氏が、最新のソフトウェアを活用したDolby Atmosの制作フローについて解説する、というテーマで開催された。
各日12名限定で2日間開催となったが、SNSの告知だけですぐに満席になったということで、Dolby Atmosコンテンツ制作への関心の高さが伺える。参加者は音楽や映画、ゲームも手掛ける現役のエンジニアやスタジオマネージャー、専門学校講師など幅広く、質問も次々に飛び出す非常に活気のあるイベントとなった。
第1部は、ゼンハイザージャパンでNeumannの営業を担当する真野寛太氏によるNeumannモニタースピーカー「KHシリーズ」の解説パート。マイクブランドとしても知られるNeumannだが、モニタースピーカーは「正確なサウンド」を確認するための道具と考えており、フラットな特性と軸外特性の良さもNeumannのスピーカーの特徴だという。
今回のセミナー会場となったブルーマウンテンスタジオのNo.1ブースには、「KH 80 DSP」とサブウーファー「KH 750 DSP」を組み合わせた7.1.4chシステムが構築されている。主にMAスタジオとして映画等の音声コンテンツの制作を担当しているが、近年Dolby Atmosでの納品を求められることが増えてきたため、ステレオ専用からDolby Atmosも制作できるスタジオに改装したという。
真野氏も、「Neumannのアクティブスピーカーの組み合わせで、小型でも本格的なDolby Atmos環境を構築することができます。ヘッドホンだけではなく、ぜひスピーカーでも聴いてほしい、音楽制作をやってほしいです」と力強くアピールする。
第2部は、ドルビージャパンで技術サポートを担当する藤浪氏によるDolby Atmosの最新情報に関するセミナー。Dolby Atmosコンテンツの制作には、ProTools等のDAWとセットで利用する「Dolby Atmos Renderer」というソフトウェアが主に使われている。セミナーでは、2023年の3月にアップデートされたバージョン「5.0」の詳細が紹介された。
ドルビーは、制作環境におけるスピーカー設置のガイドラインを公開している他、「Dolby Institute」という無料でセルフトレーニングするプログラムや素材ファイルなども用意。ドルビージャパンとしても、「スタジオ構築やスピーカー配置の相談などいつでもお寄せください!」と、制作環境の拡充を今後もバックアップしていく計画だという。
第3部はお待ちかねの古賀健一氏のセミナー。古賀氏は今回のセミナーの目的として、“Dolby Atmosを制作できる「人」を育てる”、という点を強調。古賀氏自身も、どのようにDolby Atmos作品を作ったら良いのか、という情報(特に日本語情報)が非常に少ないなかから、ひとつひとつ学びながら試行錯誤を繰り返してきた。そこで得た知識やノウハウを多くの人々に公開することで、音楽業界全体の知識の底上げを図り、質の高いDolby Atmosコンテンツがもっと増えてほしい、という願いを込めている。
セミナーでは、古賀氏が録音・ミックスを担当した映画『20歳のソウル』の主題歌であるKenta Debachiの「Jasmine」をベースに、どのように制作が進められたのかを中心に進められた。
最近では映画館で封切られた作品は、その後Blu-rayでの販売、映像配信サービスでの配信、CDでのサウンドトラックの発売、音楽配信サービスでの配信とさまざまなスタイルでリスナーの手元に届けられる。最初からDolby Atmosを前提に録音しておくことで、後々のダウンミックスも容易になることから、制作サイドに対しても、「Dolby Atmosのような立体音響での録音」を積極的に提案していると言う。
だが、Dolby Atmos制作にあたっては「とにかくトラブルが起こりやすい、という前提で取り組んだ方が良い!」と自身の経験を振り返りながら力説。エンジニアには、ソフトウェアやオーディオ機器の知識だけではなく、メディアごとの納品形式の違いや、スマートフォンやサウンドバーといった一般リスナーの試聴環境など、全方位的な知識が必要となる。だが、音楽表現の新しい可能性が生まれると期待も寄せている。
古賀氏自身は9.1.4chを超えて、新たに11.2.6.4chのスタジオ環境を昨年12月から稼働させている。古賀氏自身もDolby Atmosコンテンツのクオリティアップにさらに注力するとともに、今後も“人”を育てるためのイベントは積極的に実践していきたい、と語ってくれた。
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