サウンドマスターが「あとは根本的に変えるしかない」と言うほどの造り込み
デノン、“ブランド史上最高音質の最強エントリーAVアンプ”「AVR-X1800H」。8K/Dolby Atmos対応
デノンは、8K/Dolby Atmos対応7.2ch AVアンプの最新モデル「AVR-X1800H」を10月3日より発売する。価格は110,000円(税込)。
デノンが2021年にリリースした「AVR-X1700H」の後継機で、デノンが擁する計8ラインのAVアンプ製品のうち、Dolby Atmos対応の最エントリーモデルが刷新される。9月頭のIFAで発表されていたが、その詳細が明らかとなったかたちだ。
同社の田中氏によると、AVR-X1700Hは国内の2023年AVアンプカテゴリーにおいて7ヶ月連続で売り上げ1位を記録(GEM Partners調べ)するほどの人気を誇る製品だという。それを超えるモデルとして、サウンドマスターの山内慎一氏が「これ以上音質を上げるためには根本的に変えなければならない」と言うほどのアップデートを施した「デノン史上最高音質の最強エントリーAVアンプ」だとアピールする。
■サウンドマスターが「このクラスではこれ以上ない」くらい音質を突き詰めた新エントリー機
7chのアンプは全て同一構成のディスクリートパワーアンプを搭載。パワートランジスタはX1700Hで開発したものを引き続き採用しつつ、パワーアンプ回路とパワートランジスタ、スピーカー端子を1枚の基板に集約することでシグナルパスの最短化を図り、山内氏の目指したシャープな音像、高い分解能、しなやかな表現力を実現したという。
パワーアンプも水平レイアウトとすることで、プリ部との最短距離での接続を実現。またパワートランジスタのアイドリング電流量を増やすことにより高長波歪を低減させ、小音量時の高音の素直な伸びを実現したと説明。
プリアンプ部の入力セレクターやボリューム、出力セレクターには、フラグシップAVアンプ「AVC-A1H」にも使われている高性能なカスタムデバイスを採用。これらも1枚の基板に集約、最適な配置としたことでシグナルパスの最短化、透明性の高いサウンドを実現したとのこと。
DAC部にはサウンドマスターが試聴して選んだ32bit対応の高音質DACチップを4基搭載するほか、温度変化による抵抗値のバラつきが少なく、電流起因のノイズと歪みが少ない薄膜抵抗の採用で性能を最大限に引き出すとする。また、チップ内部の構成やワイヤリングのリファイン、高品質シリコンウェハー採用によって音質対策が施された高音質オペアンプをDACのポストフィルターに採用している。
そしてパワーアンプ回路やプリアンプ回路、DAC回路は各ブロックごとにグラウンドパターンを最適化し、信号ラインの出力インピーダンスを可能な限り低減。ノイズを飛び込ませない回路設計に成功したという。
電源部には低リーケージフラックス、低振動を突き詰めたというカスタム仕様の大型EIコアトランス、新開発の大容量10,000μFカスタムコンデンサー2個を搭載。プリ/パワー部それぞれに専用巻線から電源を供給することで、相互干渉を抑えてサウンドの純度を高めるうえ、信号経路、電源供給ラインの最短化や、基板パターンを太くして余裕のある電源供給を行うことで、5ch同時出力時でも2ch定格出力の70%以上という大出力を可能にした。
HDMIは入力6系統と出力1系統を備え、入力端子は3系統が最大40Gbpsの8K/60Hz、および4K/120Hz映像信号のパススルーに対応する。また、出力端子も8K対応となる。HDMI入力ソースにジッター抑制技術を採用したことで、音質向上を図っている。さらに端子の横にパワーサプライ用のUSB端子を搭載し、Fire TV Stickなどのストリーミングデバイスをつないだ際に直接給電できるようにしている。
HDRはHDR10/Dolby Vision/HLG/HDR10+/Dynamic HDRに対応。さらにHDMI 2.1のALLMやVRR、QFT機能、8Kアップスケーリングなどもサポートする。
音声フォーマットはDolby AtmosやDTS:X、MPEG-4 AACなどをサポート。7chアンプということで5.1.2chの配置に対応しており、ハイトchはフロント/トップフロント/トップミドル/フロントDolby Atmosイネーブルド/サラウンドDolby Atmosイネーブルドから選択可能。ハイトを使わない場合はバイアンプ、2系統のフロントを切り替えられるA+Bなど柔軟なアンプアサインが可能となっている。
ほか進化点として、セットアップGUIが最新バージョンへと刷新。従来機では3W以上あったネットワークスタンバイ時の消費電力が2W以下になっていたり、基本的にはオート状態で使われるエコモードの切り替えボタンをリモコンから無くしたりと、省電力にも配慮がされている。
サウンドは同社サウンドマスターの山内氏が「Vivid & Spacious」のフィロソフィーに基づきチューニング。高品質パーツの採用やレイアウトなどの変更に加え、ワイヤリングやビス、電解コンデンサーの耐圧・容量など、60ヶ所の電子部品と15ヶ所の非電子部品が変更されており、冒頭でも述べた通り「このクラスでこれ以上音質を上げるためには根本的に変えなければならない」レベルの作り込みが行われたとのこと。
山内氏も「このクラスで(ひとつ上のランクの)『AVR-X2800H』に近づけたい想いがあった。AVアンプを色々と手がけてきたことでノウハウや対応力もつき、X2800Hに迫るレベルにできたのでは」と自信を見せていた。
外形寸法は434W×151H(アンテナを立てた場合は215H)×339Dmmで、質量は8.6kg。リモコンやAudysseyセッティング用マイク、リモコンなどが付属する。
■編集部インプレッション
今回、発売に先駆けて本機の試聴が行えたため、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
4.1.2chシステムで映画『アバター』を観ると、海のシーンの幻想的なサウンドは煌びやかでありつつ、“人間側”のシーンではヘリコプターの駆動音と大声での会話、足音などの情報量をしっかりと描き分けてくれる。低域のパワーもサウンドステージの広さもあり、AVアンプとしての能力の高さが伺える。
続いて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』リマスター版の冒頭シーンでは、時計やテレビ、ドクの様々な発明品などなど、多彩な音がカメラの動きに合わせて空間中を動き回る。今はサウンドバーなどでもDolby Atmosが再生できるとはいえ、より高品質で楽しむならスピーカーを物理的に配置するのがベター。そんな楽しさを手軽な価格、かつ高品質で実現する製品だと感じられた。
デノンが2021年にリリースした「AVR-X1700H」の後継機で、デノンが擁する計8ラインのAVアンプ製品のうち、Dolby Atmos対応の最エントリーモデルが刷新される。9月頭のIFAで発表されていたが、その詳細が明らかとなったかたちだ。
同社の田中氏によると、AVR-X1700Hは国内の2023年AVアンプカテゴリーにおいて7ヶ月連続で売り上げ1位を記録(GEM Partners調べ)するほどの人気を誇る製品だという。それを超えるモデルとして、サウンドマスターの山内慎一氏が「これ以上音質を上げるためには根本的に変えなければならない」と言うほどのアップデートを施した「デノン史上最高音質の最強エントリーAVアンプ」だとアピールする。
■サウンドマスターが「このクラスではこれ以上ない」くらい音質を突き詰めた新エントリー機
7chのアンプは全て同一構成のディスクリートパワーアンプを搭載。パワートランジスタはX1700Hで開発したものを引き続き採用しつつ、パワーアンプ回路とパワートランジスタ、スピーカー端子を1枚の基板に集約することでシグナルパスの最短化を図り、山内氏の目指したシャープな音像、高い分解能、しなやかな表現力を実現したという。
パワーアンプも水平レイアウトとすることで、プリ部との最短距離での接続を実現。またパワートランジスタのアイドリング電流量を増やすことにより高長波歪を低減させ、小音量時の高音の素直な伸びを実現したと説明。
プリアンプ部の入力セレクターやボリューム、出力セレクターには、フラグシップAVアンプ「AVC-A1H」にも使われている高性能なカスタムデバイスを採用。これらも1枚の基板に集約、最適な配置としたことでシグナルパスの最短化、透明性の高いサウンドを実現したとのこと。
DAC部にはサウンドマスターが試聴して選んだ32bit対応の高音質DACチップを4基搭載するほか、温度変化による抵抗値のバラつきが少なく、電流起因のノイズと歪みが少ない薄膜抵抗の採用で性能を最大限に引き出すとする。また、チップ内部の構成やワイヤリングのリファイン、高品質シリコンウェハー採用によって音質対策が施された高音質オペアンプをDACのポストフィルターに採用している。
そしてパワーアンプ回路やプリアンプ回路、DAC回路は各ブロックごとにグラウンドパターンを最適化し、信号ラインの出力インピーダンスを可能な限り低減。ノイズを飛び込ませない回路設計に成功したという。
電源部には低リーケージフラックス、低振動を突き詰めたというカスタム仕様の大型EIコアトランス、新開発の大容量10,000μFカスタムコンデンサー2個を搭載。プリ/パワー部それぞれに専用巻線から電源を供給することで、相互干渉を抑えてサウンドの純度を高めるうえ、信号経路、電源供給ラインの最短化や、基板パターンを太くして余裕のある電源供給を行うことで、5ch同時出力時でも2ch定格出力の70%以上という大出力を可能にした。
HDMIは入力6系統と出力1系統を備え、入力端子は3系統が最大40Gbpsの8K/60Hz、および4K/120Hz映像信号のパススルーに対応する。また、出力端子も8K対応となる。HDMI入力ソースにジッター抑制技術を採用したことで、音質向上を図っている。さらに端子の横にパワーサプライ用のUSB端子を搭載し、Fire TV Stickなどのストリーミングデバイスをつないだ際に直接給電できるようにしている。
HDRはHDR10/Dolby Vision/HLG/HDR10+/Dynamic HDRに対応。さらにHDMI 2.1のALLMやVRR、QFT機能、8Kアップスケーリングなどもサポートする。
音声フォーマットはDolby AtmosやDTS:X、MPEG-4 AACなどをサポート。7chアンプということで5.1.2chの配置に対応しており、ハイトchはフロント/トップフロント/トップミドル/フロントDolby Atmosイネーブルド/サラウンドDolby Atmosイネーブルドから選択可能。ハイトを使わない場合はバイアンプ、2系統のフロントを切り替えられるA+Bなど柔軟なアンプアサインが可能となっている。
ほか進化点として、セットアップGUIが最新バージョンへと刷新。従来機では3W以上あったネットワークスタンバイ時の消費電力が2W以下になっていたり、基本的にはオート状態で使われるエコモードの切り替えボタンをリモコンから無くしたりと、省電力にも配慮がされている。
サウンドは同社サウンドマスターの山内氏が「Vivid & Spacious」のフィロソフィーに基づきチューニング。高品質パーツの採用やレイアウトなどの変更に加え、ワイヤリングやビス、電解コンデンサーの耐圧・容量など、60ヶ所の電子部品と15ヶ所の非電子部品が変更されており、冒頭でも述べた通り「このクラスでこれ以上音質を上げるためには根本的に変えなければならない」レベルの作り込みが行われたとのこと。
山内氏も「このクラスで(ひとつ上のランクの)『AVR-X2800H』に近づけたい想いがあった。AVアンプを色々と手がけてきたことでノウハウや対応力もつき、X2800Hに迫るレベルにできたのでは」と自信を見せていた。
外形寸法は434W×151H(アンテナを立てた場合は215H)×339Dmmで、質量は8.6kg。リモコンやAudysseyセッティング用マイク、リモコンなどが付属する。
■編集部インプレッション
今回、発売に先駆けて本機の試聴が行えたため、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
4.1.2chシステムで映画『アバター』を観ると、海のシーンの幻想的なサウンドは煌びやかでありつつ、“人間側”のシーンではヘリコプターの駆動音と大声での会話、足音などの情報量をしっかりと描き分けてくれる。低域のパワーもサウンドステージの広さもあり、AVアンプとしての能力の高さが伺える。
続いて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』リマスター版の冒頭シーンでは、時計やテレビ、ドクの様々な発明品などなど、多彩な音がカメラの動きに合わせて空間中を動き回る。今はサウンドバーなどでもDolby Atmosが再生できるとはいえ、より高品質で楽しむならスピーカーを物理的に配置するのがベター。そんな楽しさを手軽な価格、かつ高品質で実現する製品だと感じられた。