開催を待ち焦がれてきたアナログファンが集結

アナログオーディオフェア開催。名門トーレンス再始動、「光フォノEQ」聴き比べなど注目ブース紹介

公開日 2024/06/01 18:33 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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6月1日・2日の2日間、秋葉原の損保会館にて、5年ぶりとなる「アナログオーディオフェア2024」が開催されている。久しぶりの開催を待ち焦がれていたアナログファンが多く来場し、賑わいを見せていた。イベントの模様をレポートしよう。

5年ぶりのアナログオーディオフェア、損保会館にて開催

今回特に注目を集めていたのは、(株)PDNが取り扱いを開始したスイス・THORENS(トーレンス)。トーレンスは創業100年を超える名門アナログブランドとして知られるが、しばし国内輸入が途絶えていた。先日再始動が発表されて以来、各地のオーディオショップやユーザーからも多くの引き合いが来ているとのことで、今回登場したダイレクトドライブ機「TD124DD」は特に関心が高い。

トーレンスの「TD124DD」も披露。カートリッジはAnalog Relaxの「EX2000」

パワーアンプにはAurorasoundの300B搭載機「PADA-300B」に、カートリッジはAnalog Relaxの“屋久杉”モデル「EX2000」を組み合わせた。スピーカーはParadigm(パラダイム)の「Persona 7F」を試用し、ナイル・ロジャーズのライヴ盤から引き出されるスピード感と鮮度の高いアナログサウンドはまさに絶品。Personaの人気も年々高まっており、常時ブースは満員状態が続いていた。

Aurorasoundのアンプ類とパラダイムのスピーカーでデモ

DS AUDIOは、“光カートリッジ対応フォノイコライザー聴き比べ”という貴重なイベントを実施。DS AUDIO社のフォノEQ「DS-W3」のほか、Meitnerの「DS-EQ1」、SOULNOTE、UESUGIなど7機種が登場し、カートリッジやプレーヤー等を共通にしたまま、入れ替えて試聴していく。光カートリッジの世界的な広がりに驚くと共に、フォノEQにもこれほどブランドの考え方の違いが表れるのかと興味深かった。

DS AUDIO以外にも光カートリッジ用フォノEQを展開する各種ブランドの聴き比べも実施

DS AUDIOのデモンストレーションシステム。ミュンヘンで発表された「真空管フォノEQ」も日本初披露

完実電気の時間には、Regaのフラグシッププレーヤー「NAIA」に込められた技術を詳しく解説。軽量のプリンス(キャビネット)はRegaの得意とするところだが、ハイテク素材の採用と精度の高い切削技術により、アナログの音溝の情報量を余すことなく引き出すことができると説明。アンネ=ゾフィー・ムターのヴァイオリンの鮮烈さには、時間を忘れて聴き惚れてしまう。

Regaのフラグシッププレーヤー「NAIA」の技術をデモ。スピーカーはELACの「VELA FS409.2」を組み合わせ

そのほかPERFECTION電源タップ3モデルの聴き比べや、仮想アース「PFT-ES1」のあり・なしのデモなどを実施。担当スタッフも「電源が一番大切」と語り、足元強化によるオーディオの音質改善の大切さを改めてアピール。スピーカーはYG ACOUSTICで、アクセサリーによる音のディテールの違いをしっかり描き出してくれる。仮想アースの使いこなしなども紹介し、来場者の多くがその音質効果に納得の表情を見せていた。

PERFECTIONブランドの電源タップ3機種聴き比べも

サエクコマース&カジハラ・ラボは共同ブースを展開。新たに取り扱いを開始したイギリス・HARBETHの「Super HL-5」をメインに、AIR TIGHTのフォノEQ&アンプで駆動する。サエクの時間では、先日発売されて好評を博している電源タップ「TAP-Cute6 Mk2」を使って、電源ケーブルの聴き比べなどを実施。PC-Triple C導体を採用することで、いかにピュアな伝送を実現できるかなど、こだわりの技術について解説していた。

PC-Triple C導体の音質的利点を解説

サエクコマース&カジハラ・ラボ共同ブース

AIR TIGHTは、トーンアームメーカーのGLANZ(グランツ)とカートリッジブランドのマイ・ソニック・ラボと共同出展。EL34搭載の新モデル「ATM-1 2024Edition」を中心に、スタッフおすすめのレコードをかけまくるイベントを実施した。社長の三浦 裕氏がドイツ・ミュンヘンで購入してきたというアラン・パーソンズ「EYE IN THE SKY」の壮大な世界観は、まさにオーディオ的愉悦と言えるものだった。

AIR TIGHTの初号機の名を継いだ「ATM-1 2024Edition」で再生

今回はトランスローターの「ZET-3」に、グランツのフラグシップトーンアーム「刀(Katana)」を装備。社長の濱田氏によると、これまで(株)ハマダという会社名で展開していたのを、今年から(株)GLANZLABに社名変更。「刀」は、今後のグランツの方向性を見定めるモデルとして新たに開発した製品とのことで、今後この技術をさらに廉価な製品にも展開していくことも検討しているという。

トーンアーム「刀」で新たな方向性を提示するグランツラボの濱田さん

トーンアーム「刀」(右)を装備したトランスローター「ZET-3 TMD」

テクニクスのブースでは「SL-1200GR2」を中心に、技術者による解説とレコード再生を交互に実施する。モータードライブ「ΔΣ-Drive」に新たに投入した技術など、テクニクスならではの確かな基礎研究に裏打ちされた音質のポイントを解説。テクニクスとランボルギーニとのコラボプレーヤーにも来場者の熱い視線が注がれていた。

テクニクスの基礎研究から得られた成果をアナログプレーヤーに投入

ランボルギーニコラボのターンテーブルも人気

2Fはサイレントブースとなっており、レコード物販から各種アクセサリーまで幅広いアイテムを展開。ブライトーンは尖った先端から静電気を逃すスタビライザー「NAZO STAT2」、ネットワークジャパンは自社開発のトランス「MIZAI」を使った300B真空管アンプの試作機などを披露した。

ブライトーンのスタビライザー「NAZO STAT2」

ネットワークジャパンのトランスMIZAIを使用した真空管アンプ(右)と、MCトランスの試作モデル(左)

キングインターナショナルやUAレコードなどの高音質盤の販売も好調とのこと。だるまやの物販コーナーでは歌謡曲の「カセットテープ」販売もなされており、カセットに注目が集まっていることも感じられた。

オーディオみじんこは“銀線”を使った電源ケーブル「大蛇」も披露

ベルドリームサウンドはトーンアームの修理業務も行なっている


フォステクスのユニットを活用したスピーカーを展開する山越木工房などのブース

パワーアンプや電源などを披露するオーディオデザインのブース


小原由夫氏による「MMカートリッジ13モデル聴き比べ」も大盛況

カセットテープにも再注目?

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