Qobuz、1ストリーミングあたりの平均ロイヤリティを公表。第3者機関によって検証された“業界初の取り組み”
音楽ストリーミング/ダウンロード・プラットフォーム Qobuz(コバズ)は、アーティストへの公正な報酬を実現するための取り組みの一環として、第3者機関によって検証された1ストリーミングあたりの平均ロイヤリティを公表した。同社によると、音楽業界では初の取り組みだと説明している。

本検証は、2023年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)のデータに基づいて実施されたもの。日本国内では2024年10月よりサービスを開始したため、日本のデータは含まれていない。ロイヤリティ率は市場慣行に従い、収益の約50%とのこと。
公表されたデータによれば、2023年度にレーベルや音楽出版社に対して分配したロイヤリティは、1ストリーミングあたり平均0.018002ユーロ。日本円にして約2.90円となる(1ユー=160.80円換算、2025年1月31日の為替レートに基づく)。
具体的には、1つの楽曲がQobuzで1,000回再生された場合、18.02ユーロ(約2,898円)がレーベル/音楽出版社などの権利保有者に分配され、その後アーティスト/作曲家/作詞家に契約条件に従って支払われることになる。
またユーザーあたりの平均収益(ARPU)についても、年間平均約117.60ユーロ、日本円にして約18,910円であると明らかにした。これは市場平均の年間21.73ユーロ(約3,494円)に比べて約5倍にあたり、アーティストに手厚い報酬を提供する源泉になっているという。
本件に関してQobuzでは、同社が “作品の完全性を保ち、音楽制作を促進したいという音楽愛好家たちによって設立された” こと、アーティストに利益をもたらす4つの主要な特長を備えていることをアピール。
4つの特長は「広告サポート無料プランを設けず、有料サービスのみを提供する」「すべてのストリーミングプランでCDロスレスまたはハイレゾ音質、さらにQobuzでしか読めない編集コンテンツを提供する」「ストリーミングサービスの契約にかかわらず、すべてのユーザーがハイレゾまたはCD音質のアルバムをダウンロード購入可能にする」「編集者のセレクション、プレイリスト、アワードなどを通じて、多様なアーティストと音楽ジャンルにスポットライトを当てる」で、特にダウンロード販売はストリーミング収益を補完し、とりわけトップ40ヒットに入らない多様な音楽をサポートする上で重要だと強調している。実際に、Qobuzのダウンロードの51%以上はロック、クラシック、ジャズなどのジャンルから構成されているとのこと。
今回の発表にあたり、Qobuzの副CEO、Georges Fornay氏は次のようなコメントを寄せている。
「当社のロイヤルティ率について多くの高評価をいただいておりましたが、これまではロイヤルティ率の公表はしておりませんでした。私たちは透明性向上のため、第1歩を踏み出します。今回の検証結果は、公正で持続可能なストリーミングモデルを推進するための重要な取り組みです。Qobuzをご活用いただくことは、ユーザーの方々にとって、全てのアーティストに公正な報酬を与え、音楽の多様性をサポートするための具体的な行動であり、これはユーザーの方々が大切にしている価値観に他ならないと考えています」
関連リンク
トピック