<九州フェア>dCSのフラグシップDAC「Varese」本邦初披露/PILIUMのハイエンド・プリメインも注目
マックスオーディオが主催する「第22回九州ハイエンドオーディオフェア」が、4月4日(金)から6日(日)までの3日間、福岡国際展示場にて開催されている。なかなかお目にかかれない超ハイエンドシステムも登場、春の一大オーディオイベントとして活況を呈している。

dCSのフラグシップVareseが初お披露目
dCSからは、弩級のフラグシップDAコンバーターシステム「Varese」が国内初お披露目。昨年の香港オーディオショウで発表されて大きな話題を集めた“5筐体式”モデルの音が体験できる貴重なイベントとなっている。

左列、縦に5つあるこの筐体全体が「DAコンバーター」の役割を果たしている。一番下が大型の「CORE」で、各種モジュールを挿入してアップデートできる文字通り核となる部分。その上の2筐体はデジタル-アナログ変換部で左右モノラルで独立、さらにクロックジェネレーターと、ディスプレイが装備されたインターフェースから構成される。
デモではroon serverにはTAIKO AUDIOの「Extreme Server」を使用し、roon readyとして再生。デジタル部だけで総額5000万円オーバーという目も覚めるようなハイエンドシステムである。スピーカーにはソナス・ファベールの「AMATI G5」を使用。

香港ではお見えだけで、筆者もそのサウンドは初体験となるが、とくにパーカッションの立ち上がりの鋭さ、きめの細やかさに深い印象を受けた。またアンネ・ゾフィー・ムターの「ヴァイオリン・コンチェルト」の艶やかさは極上の一言で、まさにスピーカーが消え、音楽だけがそこにある夢幻の境地に誘われる。
ハイエンドプリメインの可能性を聴かせるPILIUM
もうひとつ印象深かったのはディバイン取り扱いのフランスのスピーカーAUDIONECと、ギリシャのアンプPILIUM。こちらもなかなか試聴機会の少ない超ハイエンドなシステムである。

AUDIONECは2本のダイポールを配した少々奇抜な見た目が特徴だが、肩肘張らない自然で柔らかなサウンドで、ハイエンドスピーカーの新しい風として以前から注目していたブランドのひとつ。ダイアー・ストレイツのMoFi盤の伸びやかなボーカルが部屋を満たしている。
今回は、PILIUMのプリメインアンプ「LEONIDAS」との組み合わせ。プリメインといっても価格は700万円超となるが、輸入担当のディバイン木村社長も、「プリメインならではの魅力があると自信を持っています」とアピール。結線を短くできる、またプリとパワーをトータルでコントロールし音質を追い込める点はプリメインならではの持ち味。「ハイエンド・プリメインの市場を盛り立てていきたいです」と意気込みを十分。
また、ディバインが新たに取り扱いを開始したラックブランドNEOも注目ブランド。インテリアにも馴染む良質なデザインと、特殊マテリアルによる優れた振動吸収技術も大きな魅力。デモルームではMoFiのアナログプレーヤーとフォノイコライザーが設置されており、オーディオルームに自然と馴染む質感の良さを感じさせる。

デモンストレーションの時間には、熊本市のレコードショップ、龍田レコードのスタッフも登場、「ソビエト時代のレコード」という珍しい中古レコードも再生してくれた。モスクワで開催されたジャズ・フェスのライヴ録音など、普段なかなかお目にかかれない貴重な盤に出会えるのも、オーディオイベントならではの楽しみと改めて感じさせてくれた。

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