「日立だからできた自信作」− Wooo新製品発表会レポート<Q&A全掲載>
別項でお伝えしたように、(株)日立製作所は本日、“Wooo”薄型テレビとレコーダーの新モデルを発表した。発表会の模様、質疑応答の全問全答をお伝えする。
(株)日立製作所の代表執行役 執行役社長の古川一夫氏は、「デジタル家電事業が日立の中核」とし、「これまでもユビキタス時代にふさわしい事業ポートフォリオの構築を目指してきたが、折しもワンセグがスタートして通信と放送の融合が加速するように、今後、市場は劇的に変化していく。このような状況の中、我々の持つ技術のシナジー効果を図る『uVALUE』こそ、他社との差別化のポイントになる」と、事業戦略を説明した。
さらに、「我々はテレビとレコーダーが家庭内ネットワークの中心になっていくと考えている。今年は日立のテレビ事業開始から50周年の記念すべき年で、さらにIBMから引き継いだHDD事業も50周年を迎える。この2つの技術のコラボレーションを具現化した商品が今回の新製品だ」と説明。また古川社長によれば、日立のレコーダー事業も30周年の歴史を持つという。「キーワードは『WoooでREC』。日立ならではの、日立だからできる製品を実現した自信作だ。日立の総合力はデジタル家電でこそ発揮できる」と述べた。
同社執行役常務 ユビキタスプラットフォームグループ長&CEOの江幡誠氏は、事業戦略をより詳細に説明。「1956年に14型の白黒テレビ『F-100』を発売して以来、今年で日立のテレビ作りは50周年を迎える」と、2006年が記念すべき年であることを強調。ちなみに、「F-100」の希望小売価格は89,000円で、同年の日立の初任給は12,000円だったという。
江幡氏はまた、プラズマテレビの市場動向について、「2005年には590万台だったものが、2008年には1,300万台に伸びる。このうちHDタイプは現在の47%から70%まで増えると見ており、このうち30%のシェアを獲得するのが我々のターゲット」と説明。国内シェアでは、2005年1〜2月の30%から、今年の1〜2月は40%弱に伸張したことも強調し、「今後も継続して40%のシェアを維持するのが目標」とした。
レコーダー分野は国内需要について説明。台数は2005年の430万台から2008年には550万台に伸びると予想。さらに、地上デジタル内蔵タイプが、05年の20%から08年には90%へと急速に伸びるという予測も示した。Woooブランドのシェアは、昨年冬に現行シリーズを投入する前後で、17%から29%へ拡大したと説明した。
また、薄型テレビ事業への投資については、これまで富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)に1,550億円、IPSアルファテクノロジに1,100億円の設備投資を行ってきたと説明。FHPについては、「三番館を今年10月に立ち上げて年産240万台体制を構築し、さらに当初2008年を見込んでいた三番館のフル稼働を2007年夏に前倒しする」とした。これにより、2007年夏には年間360万台の生産能力が実現することになり、同時に85インチまでの大型パネル生産が可能になる。
ほかにも、日立が中心になって進めている液晶パネル生産会社、IPSアルファテクノロジについては、今年春に千葉県茂原市の新工場が稼働し、250万台の生産体制が整う。HDD事業を担う日立グローバルストレージテクノロジーズも、HDD組み立ての新生産拠点を中国の深センに作り、08年までに総額5億ドルを投資。「この地域だけで日立GSTの総生産台数の約5割を計画している」とした。
さらに、欧州地域にデジタル家電の生産拠点を新たに設ける計画も発表。「これまでEMSで対応してきたが、2007年度に自前の拠点を持つ計画だ。場所は検討中だが東欧が有力だ」。
また江幡氏は、日立のグループ力を結集し、デジタル家電の内製化率を高めていることもアピール。「プラズマテレビは61%、液晶テレビは70%、DVDレコーダーは46%が日立グループ内で作られている」とした。
最後に江幡氏は、今回の薄型テレビ“Wooo”9000シリーズを、同社として初めて全世界同時立ち上げすると発表。デジタル家電の開発人員増強についても、「これまで500人だったものを、研究所の人員を総動員して2,000人規模に増強する」と説明した。
製品の詳細については、同社ユビキタスプラットフォームグループ マーケティング事業部の吉野正則氏が説明。今回の新製品のキーワードである「WoooでREC」「いいとこ観」や、プラズマテレビに搭載されている垂直解像度1080本のALISパネル、IPSα液晶パネルに搭載した「倍速スーパーインパルス」、2倍の録画時間を実現する新技術「XcodeHD」などの概要が述べられた。
発表会の最後には、WoooのCMキャラクターである黒木瞳さんと、CM中で黒木さんが身につけている装束を作った、京都西陣「俵屋」18代 喜多川俵二氏が登場。喜多川氏は重要無形文化財保持者で、いわゆる人間国宝。
今回の新製品のCMは何通りか用意されているが、中でも話題を集めそうなのが「月下のささやき」篇。黒木瞳さんが、喜多川氏が作った赤い装束を身に纏い、Wooo製品をアピールする。装束の赤は、RECボタンの赤丸をイメージしたもので、これは「9000シリーズの目の覚めるような“純赤”の映像表現を受けたものでもある」という。
黒木さんは、喜多川氏の作った装束を初めて見たときに「うわぁ素晴らしい! 」と一目で気に入ったという。また、装束が軽いことに驚いたというエピソードも披露した。
喜多川氏は、「装束は皇室の行事で用いられるもので、風格とか品の良さが求められる。そのため、ふだんから感性を養う努力をしている」と述べ、「織物は横糸と縦糸でできており、非常に複雑な表情を持っている。赤は一つ間違うと色合いが全く変わってしまうが、Woooは私の好きな色を再現してくれている」と語った。「もともと『この木何の木』のCMが好きで、日立さんは品がいいというか、そういうイメージを持っていた。今回、日本のトップブランドである日立と、トップスターである黒木さん、そして織物のトップが一つのCMで競演し、それをWoooで再生することができたというのは非常にうれしい」。
なお、新テレビCM「月下のささやき」篇は4月8日からオンエアを開始する。
以下、発表会の最後に行われた質疑応答の全問全答を掲載する。
Q ワールドワイドで08年に30%のシェアを目指すとのことだが、現状のシェアを教えて欲しい。
A 全てのプラズマテレビの中でのシェアは11〜12%。HD対応モデルの中でのシェアは20%程度で、これを30%程度に引き上げたい。
Q パネル生産の増強を前倒しするとのことだが、新工場の計画についてはどうか。
A 2008年から2009年の需要を見ると、宮崎工場の4番館も必要になると考えている。既に検討に入っており、近いうちに発表できるだろう。
Q 海外の生産を4.5倍にするということだが、欧州の新拠点の動向や、海外での展開について詳しく教えて欲しい。
A 欧州の新生産拠点は来年に稼働させる。欧州と言っても広いが、今のところ東欧が有力だ。また、アメリカと中国のプロジェクションテレビの生産工場も、薄型テレビの生産に切り替える。
Q 東芝など、他社にもHDD内蔵テレビは存在する。また、松下などはHDMIのリンクで録画機能を実現しているが、これについてはどう考えているか。
A 松下さんとの違いは、HDDを本体に内蔵しているということ。リモコンの録画ボタンを押すだけですぐに録画を開始する。VIERA Linkでは、メニューボタンを押して、操作を行っているうちに、すぐ10秒くらい経過してしまう。
Q 録画容量を倍にする「TSEモード」の詳細を教えて欲しい。
A カナダのViXS Systems社が開発した技術だ。詳細は説明員に聞いて欲しい。また、同技術の発表が別途行われると聞いている。
(Phile-web編集部)
(株)日立製作所の代表執行役 執行役社長の古川一夫氏は、「デジタル家電事業が日立の中核」とし、「これまでもユビキタス時代にふさわしい事業ポートフォリオの構築を目指してきたが、折しもワンセグがスタートして通信と放送の融合が加速するように、今後、市場は劇的に変化していく。このような状況の中、我々の持つ技術のシナジー効果を図る『uVALUE』こそ、他社との差別化のポイントになる」と、事業戦略を説明した。
さらに、「我々はテレビとレコーダーが家庭内ネットワークの中心になっていくと考えている。今年は日立のテレビ事業開始から50周年の記念すべき年で、さらにIBMから引き継いだHDD事業も50周年を迎える。この2つの技術のコラボレーションを具現化した商品が今回の新製品だ」と説明。また古川社長によれば、日立のレコーダー事業も30周年の歴史を持つという。「キーワードは『WoooでREC』。日立ならではの、日立だからできる製品を実現した自信作だ。日立の総合力はデジタル家電でこそ発揮できる」と述べた。
同社執行役常務 ユビキタスプラットフォームグループ長&CEOの江幡誠氏は、事業戦略をより詳細に説明。「1956年に14型の白黒テレビ『F-100』を発売して以来、今年で日立のテレビ作りは50周年を迎える」と、2006年が記念すべき年であることを強調。ちなみに、「F-100」の希望小売価格は89,000円で、同年の日立の初任給は12,000円だったという。
江幡氏はまた、プラズマテレビの市場動向について、「2005年には590万台だったものが、2008年には1,300万台に伸びる。このうちHDタイプは現在の47%から70%まで増えると見ており、このうち30%のシェアを獲得するのが我々のターゲット」と説明。国内シェアでは、2005年1〜2月の30%から、今年の1〜2月は40%弱に伸張したことも強調し、「今後も継続して40%のシェアを維持するのが目標」とした。
レコーダー分野は国内需要について説明。台数は2005年の430万台から2008年には550万台に伸びると予想。さらに、地上デジタル内蔵タイプが、05年の20%から08年には90%へと急速に伸びるという予測も示した。Woooブランドのシェアは、昨年冬に現行シリーズを投入する前後で、17%から29%へ拡大したと説明した。
また、薄型テレビ事業への投資については、これまで富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)に1,550億円、IPSアルファテクノロジに1,100億円の設備投資を行ってきたと説明。FHPについては、「三番館を今年10月に立ち上げて年産240万台体制を構築し、さらに当初2008年を見込んでいた三番館のフル稼働を2007年夏に前倒しする」とした。これにより、2007年夏には年間360万台の生産能力が実現することになり、同時に85インチまでの大型パネル生産が可能になる。
ほかにも、日立が中心になって進めている液晶パネル生産会社、IPSアルファテクノロジについては、今年春に千葉県茂原市の新工場が稼働し、250万台の生産体制が整う。HDD事業を担う日立グローバルストレージテクノロジーズも、HDD組み立ての新生産拠点を中国の深センに作り、08年までに総額5億ドルを投資。「この地域だけで日立GSTの総生産台数の約5割を計画している」とした。
さらに、欧州地域にデジタル家電の生産拠点を新たに設ける計画も発表。「これまでEMSで対応してきたが、2007年度に自前の拠点を持つ計画だ。場所は検討中だが東欧が有力だ」。
また江幡氏は、日立のグループ力を結集し、デジタル家電の内製化率を高めていることもアピール。「プラズマテレビは61%、液晶テレビは70%、DVDレコーダーは46%が日立グループ内で作られている」とした。
最後に江幡氏は、今回の薄型テレビ“Wooo”9000シリーズを、同社として初めて全世界同時立ち上げすると発表。デジタル家電の開発人員増強についても、「これまで500人だったものを、研究所の人員を総動員して2,000人規模に増強する」と説明した。
製品の詳細については、同社ユビキタスプラットフォームグループ マーケティング事業部の吉野正則氏が説明。今回の新製品のキーワードである「WoooでREC」「いいとこ観」や、プラズマテレビに搭載されている垂直解像度1080本のALISパネル、IPSα液晶パネルに搭載した「倍速スーパーインパルス」、2倍の録画時間を実現する新技術「XcodeHD」などの概要が述べられた。
発表会の最後には、WoooのCMキャラクターである黒木瞳さんと、CM中で黒木さんが身につけている装束を作った、京都西陣「俵屋」18代 喜多川俵二氏が登場。喜多川氏は重要無形文化財保持者で、いわゆる人間国宝。
今回の新製品のCMは何通りか用意されているが、中でも話題を集めそうなのが「月下のささやき」篇。黒木瞳さんが、喜多川氏が作った赤い装束を身に纏い、Wooo製品をアピールする。装束の赤は、RECボタンの赤丸をイメージしたもので、これは「9000シリーズの目の覚めるような“純赤”の映像表現を受けたものでもある」という。
喜多川氏は、「装束は皇室の行事で用いられるもので、風格とか品の良さが求められる。そのため、ふだんから感性を養う努力をしている」と述べ、「織物は横糸と縦糸でできており、非常に複雑な表情を持っている。赤は一つ間違うと色合いが全く変わってしまうが、Woooは私の好きな色を再現してくれている」と語った。「もともと『この木何の木』のCMが好きで、日立さんは品がいいというか、そういうイメージを持っていた。今回、日本のトップブランドである日立と、トップスターである黒木さん、そして織物のトップが一つのCMで競演し、それをWoooで再生することができたというのは非常にうれしい」。
なお、新テレビCM「月下のささやき」篇は4月8日からオンエアを開始する。
以下、発表会の最後に行われた質疑応答の全問全答を掲載する。
Q ワールドワイドで08年に30%のシェアを目指すとのことだが、現状のシェアを教えて欲しい。
A 全てのプラズマテレビの中でのシェアは11〜12%。HD対応モデルの中でのシェアは20%程度で、これを30%程度に引き上げたい。
Q パネル生産の増強を前倒しするとのことだが、新工場の計画についてはどうか。
A 2008年から2009年の需要を見ると、宮崎工場の4番館も必要になると考えている。既に検討に入っており、近いうちに発表できるだろう。
Q 海外の生産を4.5倍にするということだが、欧州の新拠点の動向や、海外での展開について詳しく教えて欲しい。
A 欧州の新生産拠点は来年に稼働させる。欧州と言っても広いが、今のところ東欧が有力だ。また、アメリカと中国のプロジェクションテレビの生産工場も、薄型テレビの生産に切り替える。
Q 東芝など、他社にもHDD内蔵テレビは存在する。また、松下などはHDMIのリンクで録画機能を実現しているが、これについてはどう考えているか。
A 松下さんとの違いは、HDDを本体に内蔵しているということ。リモコンの録画ボタンを押すだけですぐに録画を開始する。VIERA Linkでは、メニューボタンを押して、操作を行っているうちに、すぐ10秒くらい経過してしまう。
Q 録画容量を倍にする「TSEモード」の詳細を教えて欲しい。
A カナダのViXS Systems社が開発した技術だ。詳細は説明員に聞いて欲しい。また、同技術の発表が別途行われると聞いている。
(Phile-web編集部)