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高音質・高感度な無線伝送を実現

ゼンハイザー、新ワイヤレスサウンドシステム「2000」「evolution G3」シリーズを発表

公開日 2010/05/13 20:31 ファイル・ウェブ編集部
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ゼンハイザージャパン(株)は、ゼンハイザーのワイヤレスサウンドシステム新製品「2000」シリーズ、「evolution G3」シリーズの記者発表会を開催した。

今回同社が発表した製品は、イベントホールやスタジオ、プロミュージシャンの現場等、ワールドワイドに数々の実績を残してきたゼンハイザーの最新ワイヤレスマイク、ならびにワイヤレスモニタリングシステム。プロフェッショナルの現場を中心に展開する「2000」シリーズと、商業施設や音楽ステージ、或いは個人のミュージシャンに向けたソリューションも展開する「evolution G3」シリーズの各機種。両シリーズともに欧米地域ではすでに発売されているが、このたび日本国内向けのローカライズを完了して、いよいよ今年の6月から順次発売が開始される予定だ。


ゼンハイザージャパン 久保省三氏
記者発表会の冒頭では、ゼンハイザージャパン(株)代表取締役社長の久保省三氏が新製品の国内導入に向けた抱負を語った。同社は08年1月にドイツの音響機器メーカー「SENNHEISER」の日本法人として創業し、「以来世界的に経済環境が困難と言われる中、当社は順調に売上げを伸ばしてくることができた」と久保氏は語る。ブランド全体としては、「プロサウンド」「コンシューマー」「インストールサウンド」の3つを事業の柱とした事業体制を整えているという。久保氏はゼンハイザージャパンとして「それぞれの事業ごとに最適なサポートとソリューションを提供する体制を整えていきたい。本日発表する製品は、プロサウンドの領域と、一部商品はインストールサウンドのメインとして伸ばしていくこともできるはずと考えている。既にサービスとメンテナンスの体制も整えた。ぜひ商品の導入と販売を成功させたい」と語り、新製品にかける意気込みを述べた。

新商品の説明はゼンハイザージャパンのプロダクトマーケティング マネージャー 鈴木雅彦氏が行った。以下に今回の記者発表でお披露目された新製品の主な特徴を、シリーズごとに紹介する。

ゼンハイザージャパン 鈴木雅彦氏


ワイヤレスマイク&モニタリングシステム「2000」シリーズ


「2000」シリーズ
コンサートやイベントホールなど、比較的大きなキャパシティのスペースにワイヤレスシステムの導入を実現するシリーズ。同ブランドのワイヤレスシステムには5000シリーズと3000シリーズが存在するが、ゼンハイザーの最新ワイヤレス技術を採り入れながら、導入コストのパフォーマンスも高めたシリーズとして展開される。ワイヤレス伝送のノイズリダクションシステムはevolutionシリーズと同じ「HDX compander」を採用している。

ワイヤレスマイクシステムの中核となるのがレシーバーの「EM 2050」。AX/A/B帯の周波数レンジを1台でカバーでき、設置環境や条件により最大39chの同時利用を可能にしている。到達距離は最長約150m。PCを通じたネットワーク接続にも対応し、受信機の動作状況などをモニタリングできるWin/Mac対応のソフト「WSM(ワイヤレスシステムマネージャー)」をバンドルする。

EM 2050

「周波数スキャン機能」を搭載し、800MHz帯の中で先に使われている電波を見つけ、ぶつかる周波数を避けて他に使うことのできるプランを検索する機能を備える。他にも受信機から送信機側へ周波数のセッティングをワンタッチで行える「IR Sync機能」が搭載されたほか、アンテナ分配機能も内蔵しており、外部に分配器を別途つなぐことなく16チャンネルのシステムが構築できる。周波数特性は25Hz〜15kHz、SN比は120dB以上。ギターチューナーの機能も搭載している。アクティブ無指向性アンテナや円偏波広帯域アンテナなど、オプションも豊富に揃う。

同シリーズにはマイク(送信機)の「SKM 2000 BK-J」がラインナップする。マイクヘッドレスのモデルとなっており、工具なしで簡単に取り付けられる「SKM 2000用マイクヘッド」が選択できる。「SK 2000-J」はコンパクトなボディパック。先述の「IR Sync機能」による受信機からのセットアップや、RFおよびAFのミュート機能、バックライト付ディスプレイなどを搭載している。このほかに汎用性の高いプラグオン送信機「SKP 2000-JB」も揃う。


SR 2050 IEM
2000シリーズにはワイヤレスモニタリングシステムもラインナップする。デュアルチャンネルの送信機「SR 2050 IEM」には5バンドのグラフィックEQを内蔵、受信機「EK 2000IEM」はシングルアンテナ仕様ではデットポイントになっていた使用環境の中、イヤホンケーブルを第2アンテナとして利用する「アダプティブ・ダイバシティ方式」を採用することで使用感度をアップさせている。付属のカナル型イヤホン「IE 4」との組み合わせてハイクオリティなモニター環境を実現する。このほか1台で最大8chのワイヤレスモニタリングシステムのアンテナ出力を混合できるアクティブアンテナ混合器「AC 3200」もラインナップに加わる。


ワイヤレスマイクシステム「evolution G3」シリーズ

「G3(ジェネレーション3)」には、ゼンハイザーの最新ワイヤレス技術が投入されている。ラインナップの上位から“500”シリーズ、“300”シリーズ、ならびに“100”シリーズが揃う。全てのシリーズはワイヤレス伝送のノイズリダクションシステムに「HDX compander」を採用し、高品位なワイヤレス音声伝送とコストパフォーマンスを実現している。

“500”シリーズ

EM 500 G3

500シリーズはコンサートホールやイベントスペースなど、比較的大型の施設への導入も可能なシリーズ。AX/A/B帯の周波数レンジを1台でカバーでき、設置環境や条件により最大32chの同時利用を可能にしている。到達距離は最長約150m。IR Sync機能や、モニタリングソフト「WSM(ワイヤレスシステムマネージャー)」への対応は2000シリーズに同じ。ゼンハイザーのフラグシップマイクロフォン「e965」を搭載したワイヤレスシステム「ew 500-965-JB」は税込21万円。ギターチューニング機能も搭載する。

“300”シリーズ


EM 300

300シリーズのマイクとベルトパック送信機、リモートミュートスイッチ
300シリーズは文教施設や中型ホールなどでの使用も想定したワイヤレスシステム。AX/A/B帯の周波数レンジを1台でカバーでき、設置環境や条件により最大24chの同時利用を可能にしている。到達距離は最長約150m。ギターチューニング機能は省略されているが、その他の機能は2000シリーズや500シリーズ譲りの充実した内容となる。ワイヤレスマイク「SKM 300-835-JB」は音声のON/OFF、電波の送信を含むON/OFFやPTT/MUTEの機能をボタン一つで選べる多機能ON/OFFスイッチを搭載する。コンパクトなベルトパック「SK 300-JB」もラインアップに揃う。


“100”シリーズ

ボディパックトランスミッター「SK 100」とギターの接続が可能
100シリーズは個人のミュージシャンによるワイヤレス環境でのパフォーマンスや、ジャーナリストの取材現場での活用なども視野に入れたスタンダードモデル。B型の周波数帯域に対応し、最大で8chの同時利用が可能。ただしG1/G2シリーズとの組み合わせ時には8ch同時環境は構築できない使用となっている。PLLシンセサイザ技術とマイクロプロセッサにより、直感的な操作で手軽にセットアップが行える。マイクの電池残量は受信機で確認でき、ヘッドの交換も可能。ギターチューニング機能や、ギターケーブルのシュミレーション機能などが採り入れられている。ENG取材セット「ew 112P」もラインナップする。

本日の新製品記者発表会では、ゼンハイザー本社から、同社のワイヤレスシステムのプロジェクトマネージャーを務めるSenior Project Manager Professional Systems クラウス・ウィルムッセン氏による記念講演が開催された。ゼンハイザーが製品化を実現してきたワイヤレスシステムのほとんどに関わってきたというスペシャリストであるウィルムッセン氏は、1957年にブランド初のワイヤレスマイクが誕生して以来の歴史を紹介した。


Sennheiser Electronics GmbH&Co, KG クラウス・ウィルムッセン氏
「日本では電波法による制限から、欧州や北米で導入した製品をそのまま市場に導入できない難しさがあるが、マルチチャンネルオペレーションにおいては、日本の通信条件の方がより安全で、かつインターモジュレーションによる干渉の少ないワイヤレス環境を実現できるメリットも存在する」と語るウィルムッセン氏。ゼンハイザーはかつてブロードウェイのミュージカル「Cats」のステージに初めてマルチチャンネルのワイヤレスシステムを導入した実績を持っているが、日本国内にも「レ・ミゼラブル」の劇場で実績を築いてきた。近年ではバンクーバー五輪やユーロビジョンなど、世界的なイベントにゼンハイザーのワイヤレスシステムが、ウィルムッセン氏の指揮により導入されている。ウィルムッセン氏は、各現場におけるシステム導入の苦労話しや、最新のノウハウなどを紹介し、同社のワイヤレスシステム製品の優位性を強くアピールした。

発表会ではまた、ミュージシャンのSkoop On Somebodyがゼンハイザーのワイヤレスマイク製品によるライブパフォーマンスを披露し、会場を沸かせた。

Skoop On Somebodyがライブを披露

ユニットを組むヴォーカルのTAKEさんと、キーボードのKO-ICHIROさんは、この日ピーボ・ブライソンのカバー「Can You Stop The Rain」、オリジナル曲の「sha la la」、「ama-oto」の合計3曲を演奏。TAKEさんは途中、ゼンハイザー2000シリーズの新製品と現行製品のマイクを持ち替えて歌声を披露した。


ヴォーカルのTAKEさん

キーボードのKO-ICHIROさん
ゼンハイザーのワイヤレスマイクを使ってみた印象について訊ねられたTAKEさんは「僕はこれまでワイヤード(有線)のマイクを好んで使ってたけれど、ゼンハイザーの2000シリーズは今日のリハーサルで使ってみて、とても手応えが良かった。1曲目を新製品で歌ってみたけれど、今までのワイヤレスマイクで気になっていた“線のつながってない感じ”が全くなく、レスポンスも速くて心地がよかった。手に握った感じもがっしりとしていて、信頼感がある。僕みたいにガッツリと歌いこむ、ちょっとオールドファッションなタイプのボーカリストにも、とっても使い心地のよいワイヤレスマイクだと感じた」とコメントした。

キーボードのKO-ICHIROさんは、バンドSkoop On Somebodyの曲作りへのこだわりについて訊ねられ「いつも“無”から曲をつくっていくけれど、リスナーの方たちにどれだけ響く音楽を創ることができるか、いつも考えている。一番大事なのは音の鮮度だと思うし、そこにはずっとこだわっていきたい」と語った。

【問い合わせ先】
ゼンハイザージャパン
info@sennheiser.co.jp

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