「人生の中で一番大切なスピーチ」
「情報革命で人々を幸せにしたい」 - ソフトバンク孫社長が「新30年ビジョン」を発表
ソフトバンクは本日株主総会を開催。その後、続けて今後の経営ビジョンなどを発表する「新30年ビジョン発表会」を開催し、今後30年および300年における同社の在り方などについて孫正義社長が自らの考え方を示した。
■「新30年ビジョンは人生の中で一番大切なスピーチ」
孫社長は、この新30年ビジョンについて「今までの人生の中でおそらく今日が一番大切なスピーチ。30年に1回の大ボラは毎回言えるものではない」と、非常に重要なものであると説明。そして、「理念」「ビジョン」「戦略」という3点をポイントとして挙げる。
理念については、「何をどうしていきたいのかを一言で言うならば、それは『情報革命で人々を幸せにしたい』ということだ」とコメント。そして「もちろん営利企業なので利益を出さなければいけないというのも現実。しかし、その現実のためだけに過ごしたのではなんのための人生なのだろうか」と言葉を続け、理念のために活動していく重要性を強調した。
そして、人々にとって幸せや悲しみとはどんなものであるのかをTwitterで問いかけたという結果を発表。わずか1日で2,500も寄せられた回答から、悲しみとは「身近な人の死」「孤独」「絶望」だという声が多かったことを紹介した。
この結果を受けて孫氏は、現在の死亡要因などを調べたとコメント。心臓病やガンなどの件数が多いことを説明しながら、「100年前や200年前にはもっと違った原因での死が多かった」と語り、「私たちは情報革命の力で、身近な人の死についての悲しみを少しでも和らげられないかと思っている」とした。
また、孤独死が東京都内だけで年間5,000人、全国で5万人に上るという現在の状況も紹介。自殺者件数などのデータも紹介し「死も絶望も言い換えれば孤独と言えるのではないか。つまり、人生最大の悲しみは孤独ということ。この悲しみを少しでも減らしたい。そしてその逆である喜びを増やしたい」と語った。
そして孫氏は幸せについてもTwitterで訊ねたと発表。その結果を紹介しながら「幸せとはつまり『感動』ということなのではないか」とコメント。「ひとりでも多くの人に感動を味わって欲しい。情報革命で人々を幸せにしたい」「優れた製品を作る、料金競争で顧客を増やすなどといったことが最大の目標ではない。それらを提供することによって感動の環、幸せの環を広げていきたい」と言葉を続けた。
その後には、同社が歩んできた30年を振り返るVTRを会場で上映。上映後は孫氏が「ほんの数年前までは赤字だったが、営業利益で日本3位というところまで這い上がった。こういう時期にこそ原点に立ち返り、我々が何を成したかったのか、そして次の30年間で何を成せるかという点について明確なビジョン、戦略をもう一度確認しようとした」と、新30年ビジョン策定の背景を説明する。
■300年後のソフトバンクは「テレパシー会社」に?
そして、そうした想いを実現するために、今後のライフスタイルやテクノロジーの進化がどうなるのかを考えたいと説明。「30年ビジョンということでお集まり頂いたが、30年では足りない。どうせこれが最後の大ボラなので、300年のビジョンを考えてみたい」とし、そのために今後300年で人類がどうなっていくかという予想を発表した。
300年という長いスパンで物事を考えた理由について、孫氏は「企業は私がいなくなった後も続いていかなければならない。ソフトバンクグループのDNAを設計することが私の使命だ」と説明。方向性を定めて進んでいくことが大切だとし、「30年はその一里塚。これまでの30年は300年の中の第1ステップ。今後30年が次の第2ステップだ」とコメントする。
孫氏は300年という時間を考えるにあたって、まず約300年前に様々な工業的革命が起こって人々のライフスタイルが大きく変わった点に注目。「当時、機械が人間の職を奪う怖いモノだということで大変な反対運動が起こった。しかし現在の我々の生活では人間と機械が共存し、重労働や危険から解放されている」と歴史の歩みを解説。
そして「300年前に機械によるビックバンが起こった。これから300年間で本当の意味での『情報のビックバン』が起こると思っている。今はその入口に過ぎない」と語った。
情報革命について孫氏は、コンピュータの進化の歴史を振り返りながら説明。「シナプスが繋がったり離れたりという人間の脳も、コンピュータと基本的にはまったく同じ構造の二進法だ」とし、「コンピューターのチップのトランジスタの数が、約300億という人間の脳細胞の数をいつか越える日が来る」とコメントする。
また孫氏は、その時期が2018年前後であるとの予測を発表。さらに、その先ではチップに搭載されるコンピュータの素子数が2100年に1垓(がい:1兆×1億)など加速度的に進化すると言葉を続ける。
そして「本当にそうなるかというと一概には言えないが(笑)」とジョークも挟みながら、「現在の我々が考えつかないようなまったく新しいコンピュータが登場するだろう。これからの300年で人類は最大のパラダイムシフトを経験する」とコメント。「そうした未来にソフトバンクが実現したいことは何なのか。未来の人々への責任とは、未来の人々を幸せにすることだ。そのために我々は情報革命を行う」と語った。
こうしたコンピュータの進化について孫氏は、「脳型コンピュータ」というキーワードを挙げる。人間の脳のようにデータという知識の自動集積と、知恵の自動生成というアルゴリズムを持つ学習型コンピュータが登場すると予測し、人間のように知能を持ったコンピュータと人間との共生が今後の最大のテーマになるとした。
また、脳型コンピュータについては「データの自動集積はヤフーやグーグルがロボットプログラムで既に行っている」と発言。人工知能の研究が進んでいることなどを紹介しながら、「知恵の部分も時間の問題だ」と語った。
さらに、「脳型コンピュータにとってもっとも重要なのが『感情』だ」とコメント。人間の感情の中では「愛」がもっとも高い次元に位置づけられていると紹介し、「今後300年以内に『コンピュータに知能を持たせても良いのか』という議論が起きるだろうが、豊かさや優しさ、愛情といった感情を持たせることが、コンピュータの脳を制御することにつながるのではないか」と語り、情報革命によって誕生するコンピュータとの共存していくことになるだろうと予想する。
続けて孫氏は、自分のDNAから複製した人口臓器などが一般化するなどで、今後300年で平均寿命が200歳に伸びるという予測も紹介。「さすがに脳を入れ替えるわけにもいかないだろうが、コンピュータによって脳を補強することは可能だろう」とコメントする。
この件については、脳をアシストするICチップを人体に取り付けるか、もしくは時計のようなデバイスで身に付けるなどの方法になると予想。「チップをどうやってつけるか、それはチップエレキバンだ(笑)」と、ここでも冗談をはさみながら、人間とチップが通信し、さらに別の人間と通信することでテレパシーのようなものが実現すると発言。「ソフトバンクは、300年後には携帯電話会社ではなくテレパシー会社になっているかもしれない」と語った。
さらに、そうしたチップがモーターともつながって知恵を持ったロボットが一般化するとも発言。そうした際に一番難しいのが「筋肉にどう考えさせるかという部分」だとし、「ソフトバンクはそういう優しさなどの感情をロボットに提供していきたい」と言葉を続けた。
■「新30年ビジョンは人生の中で一番大切なスピーチ」
孫社長は、この新30年ビジョンについて「今までの人生の中でおそらく今日が一番大切なスピーチ。30年に1回の大ボラは毎回言えるものではない」と、非常に重要なものであると説明。そして、「理念」「ビジョン」「戦略」という3点をポイントとして挙げる。
理念については、「何をどうしていきたいのかを一言で言うならば、それは『情報革命で人々を幸せにしたい』ということだ」とコメント。そして「もちろん営利企業なので利益を出さなければいけないというのも現実。しかし、その現実のためだけに過ごしたのではなんのための人生なのだろうか」と言葉を続け、理念のために活動していく重要性を強調した。
そして、人々にとって幸せや悲しみとはどんなものであるのかをTwitterで問いかけたという結果を発表。わずか1日で2,500も寄せられた回答から、悲しみとは「身近な人の死」「孤独」「絶望」だという声が多かったことを紹介した。
この結果を受けて孫氏は、現在の死亡要因などを調べたとコメント。心臓病やガンなどの件数が多いことを説明しながら、「100年前や200年前にはもっと違った原因での死が多かった」と語り、「私たちは情報革命の力で、身近な人の死についての悲しみを少しでも和らげられないかと思っている」とした。
また、孤独死が東京都内だけで年間5,000人、全国で5万人に上るという現在の状況も紹介。自殺者件数などのデータも紹介し「死も絶望も言い換えれば孤独と言えるのではないか。つまり、人生最大の悲しみは孤独ということ。この悲しみを少しでも減らしたい。そしてその逆である喜びを増やしたい」と語った。
そして孫氏は幸せについてもTwitterで訊ねたと発表。その結果を紹介しながら「幸せとはつまり『感動』ということなのではないか」とコメント。「ひとりでも多くの人に感動を味わって欲しい。情報革命で人々を幸せにしたい」「優れた製品を作る、料金競争で顧客を増やすなどといったことが最大の目標ではない。それらを提供することによって感動の環、幸せの環を広げていきたい」と言葉を続けた。
その後には、同社が歩んできた30年を振り返るVTRを会場で上映。上映後は孫氏が「ほんの数年前までは赤字だったが、営業利益で日本3位というところまで這い上がった。こういう時期にこそ原点に立ち返り、我々が何を成したかったのか、そして次の30年間で何を成せるかという点について明確なビジョン、戦略をもう一度確認しようとした」と、新30年ビジョン策定の背景を説明する。
■300年後のソフトバンクは「テレパシー会社」に?
そして、そうした想いを実現するために、今後のライフスタイルやテクノロジーの進化がどうなるのかを考えたいと説明。「30年ビジョンということでお集まり頂いたが、30年では足りない。どうせこれが最後の大ボラなので、300年のビジョンを考えてみたい」とし、そのために今後300年で人類がどうなっていくかという予想を発表した。
300年という長いスパンで物事を考えた理由について、孫氏は「企業は私がいなくなった後も続いていかなければならない。ソフトバンクグループのDNAを設計することが私の使命だ」と説明。方向性を定めて進んでいくことが大切だとし、「30年はその一里塚。これまでの30年は300年の中の第1ステップ。今後30年が次の第2ステップだ」とコメントする。
孫氏は300年という時間を考えるにあたって、まず約300年前に様々な工業的革命が起こって人々のライフスタイルが大きく変わった点に注目。「当時、機械が人間の職を奪う怖いモノだということで大変な反対運動が起こった。しかし現在の我々の生活では人間と機械が共存し、重労働や危険から解放されている」と歴史の歩みを解説。
そして「300年前に機械によるビックバンが起こった。これから300年間で本当の意味での『情報のビックバン』が起こると思っている。今はその入口に過ぎない」と語った。
情報革命について孫氏は、コンピュータの進化の歴史を振り返りながら説明。「シナプスが繋がったり離れたりという人間の脳も、コンピュータと基本的にはまったく同じ構造の二進法だ」とし、「コンピューターのチップのトランジスタの数が、約300億という人間の脳細胞の数をいつか越える日が来る」とコメントする。
また孫氏は、その時期が2018年前後であるとの予測を発表。さらに、その先ではチップに搭載されるコンピュータの素子数が2100年に1垓(がい:1兆×1億)など加速度的に進化すると言葉を続ける。
そして「本当にそうなるかというと一概には言えないが(笑)」とジョークも挟みながら、「現在の我々が考えつかないようなまったく新しいコンピュータが登場するだろう。これからの300年で人類は最大のパラダイムシフトを経験する」とコメント。「そうした未来にソフトバンクが実現したいことは何なのか。未来の人々への責任とは、未来の人々を幸せにすることだ。そのために我々は情報革命を行う」と語った。
こうしたコンピュータの進化について孫氏は、「脳型コンピュータ」というキーワードを挙げる。人間の脳のようにデータという知識の自動集積と、知恵の自動生成というアルゴリズムを持つ学習型コンピュータが登場すると予測し、人間のように知能を持ったコンピュータと人間との共生が今後の最大のテーマになるとした。
また、脳型コンピュータについては「データの自動集積はヤフーやグーグルがロボットプログラムで既に行っている」と発言。人工知能の研究が進んでいることなどを紹介しながら、「知恵の部分も時間の問題だ」と語った。
さらに、「脳型コンピュータにとってもっとも重要なのが『感情』だ」とコメント。人間の感情の中では「愛」がもっとも高い次元に位置づけられていると紹介し、「今後300年以内に『コンピュータに知能を持たせても良いのか』という議論が起きるだろうが、豊かさや優しさ、愛情といった感情を持たせることが、コンピュータの脳を制御することにつながるのではないか」と語り、情報革命によって誕生するコンピュータとの共存していくことになるだろうと予想する。
続けて孫氏は、自分のDNAから複製した人口臓器などが一般化するなどで、今後300年で平均寿命が200歳に伸びるという予測も紹介。「さすがに脳を入れ替えるわけにもいかないだろうが、コンピュータによって脳を補強することは可能だろう」とコメントする。
この件については、脳をアシストするICチップを人体に取り付けるか、もしくは時計のようなデバイスで身に付けるなどの方法になると予想。「チップをどうやってつけるか、それはチップエレキバンだ(笑)」と、ここでも冗談をはさみながら、人間とチップが通信し、さらに別の人間と通信することでテレパシーのようなものが実現すると発言。「ソフトバンクは、300年後には携帯電話会社ではなくテレパシー会社になっているかもしれない」と語った。
さらに、そうしたチップがモーターともつながって知恵を持ったロボットが一般化するとも発言。そうした際に一番難しいのが「筋肉にどう考えさせるかという部分」だとし、「ソフトバンクはそういう優しさなどの感情をロボットに提供していきたい」と言葉を続けた。