液晶に比べて光利用効率を大幅に向上
日立ディスプレイズ、光利用効率が液晶の10倍「MEMSシャッター方式ディスプレイ」を開発
(株)日立ディスプレイズは、プラズマや液晶と異なる新方式のMEMS(Micro Electro Mechanical System:微小電子機械システム)シャッター方式ディスプレイの量産試作機を、米Pixtronix社と共同製作した。
同ディスプレイは、ひとつひとつの画素ごとに設けたMEMSシャッターを高速で開閉し、光の量を制御して画像の明暗の調整を行う。画像は、赤・緑・青色の各LEDバックライトからの光を順次切り替えることにより表示する。液晶ディスプレイに用いられる偏光フィルムやカラーフィルタなどが必要ないため、液晶ディスプレイ比でバックライトの光の利用効率は約10倍、消費電力は2分の1以下になるうえ、色の再現性などにも優れているという。
同社では、今回開発したディスプレイを低消費電力のニーズの高いスマートフォン、タブレット型携帯端末、デジタルスチルカメラ向けの次世代ディスプレイとして、早期の量産開始を目指すとしている。
今回の試作品では、微細かつ大量のシャッターが機械的動作を正常に行うための量産技術を開発。試作品の画面サイズは2.5V型で、解像度はQVGA(320×240ピクセル)。バックライトの光を利用してカラー表示する透過型に加えて、外光をディスプレイの内部で反射させて白黒表示する半透過型にも対応する。
前述のように、MEMSシャッター式ではバックライトにRGBのLEDを使用。画素ごとにMEMSシャッターを設けてその開閉によって光制御を行い、フィールドシーケンシャルカラー方式により画像を表示する。
同方式では、これまでの液晶ディスプレイでは開口率40パーセントに対して光利用効率が6パーセントだったのに比べ、開口率12パーセントに対して光利用効率60パーセントという高い数値を実現。また、偏光フィルムやカラーフィルターが不要なため、低消費電力および高色再現性が実現できるという。
さらに、シャッターの高速動作を実現。低温下では分子の動きが鈍ってしまう液晶ディスプレイに比べて、低温環境下での性能維持能力にも優れているとしている。
そのほか、今回開発した量産技術は既存の液晶ディスプレイ製造工程との互換性が高く、既存のラインでの製造が可能な点も特徴。なお、同ディスプレイは明日より開幕するCEATEC 2010にて参考展示される。
同社では本日、製品発表会を実施。製品の解説を行った同社開発本部 本部長の大倉理氏は「液晶の弱点を補うようなディスプレイ」だとコメントし、2011年後半から2012年始めでの製品化を目指していることなどを明らかにした。
また、タッチパネルや3D表示への対応について質問されると、通常の液晶ディスプレイなどのように、MEMS方式のディスプレイ上にタッチパネルや3Dパネルを乗せることで対応可能と説明。さらに、大型化についても「原理的には限界はない」と語り、今後は大型化も検討していることを明かした。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.試作モデルの開発は御社のどこのラインで行ったのか。
A.4.5世代のV3と呼ばれる、730〜920V型の大型基板を使って開発がスタートした。開発は茂原で行った。
Q.量産に向けた具体的な課題が見えていれば教えて欲しい。
A.新規の構造ということで、信頼性をキッチリと評価していくことが大切かと思っている。
Q.コスト面や耐久性などで液晶と比べて課題などはあるのか。
A.ドライバーがカスタム品であったりするため、コスト面では液晶より若干高めになるかと思う。また、我々の液晶パネルでは駆動基板がアモルファスシリコンのTFTがほとんどだが、こちらではLTPSで駆動しているので、その分のコストは上がらざるを得ない。耐久性については、今のところは液晶と比べて遜色ない。しかし今後もっと調べていかないといけないと思っている。
Q.コストが若干高めという点について、もう少し具体的に教えて欲しい。
A.液晶に比べて数倍とか、そういうレベルではない。
Q.既存の生産ラインとの互換性が高いとのことだが、具体的にはどのように組み込むのか。
A.使う装置として新たなものが必要ないということだ。行程自体は通常のTFTとは変わるので、そういった点でのやりとりは必要だが、新たな設備投資などは必要ない。
Q.量産開始時にタッチパネルや3D対応を考えているということなのか。
A.アプリケーションとして考えている。
Q.大型化の予定について教えて欲しい。どのくらいまで大きくしようと考えているのか。
A.我々は中小型の会社なので、タブレットぐらいのところまではやっていこうと思っている。
Q.MEMS式シャッターについては、Pixtronix社が特許を持っていて、日立ディスプレイズが独占的にそれを利用できるという認識でよいか。
A.契約上のことがあるのでその点については差し控えたい。
Q.技術的に最も苦労した点を教えて欲しい。
A.今までのTFTは電気的に動けば良かった。しかし今回はシャッターなど機械的な構造体をきっちり動かす必要があり、着眼点が異なるものだった。そういった部分をきっちり作るというのが一番苦労した。
Q.次世代ディスプレイには有機ELなど様々なものがある中で、今回の製品をどのような考えの下で大型化や量産化を進めていこうとしているのか。
A.低消費電力であったり、色鮮やかであったりといった、液晶にない特徴を活かして次世代ディスプレイとして展開していきたい。
同ディスプレイは、ひとつひとつの画素ごとに設けたMEMSシャッターを高速で開閉し、光の量を制御して画像の明暗の調整を行う。画像は、赤・緑・青色の各LEDバックライトからの光を順次切り替えることにより表示する。液晶ディスプレイに用いられる偏光フィルムやカラーフィルタなどが必要ないため、液晶ディスプレイ比でバックライトの光の利用効率は約10倍、消費電力は2分の1以下になるうえ、色の再現性などにも優れているという。
同社では、今回開発したディスプレイを低消費電力のニーズの高いスマートフォン、タブレット型携帯端末、デジタルスチルカメラ向けの次世代ディスプレイとして、早期の量産開始を目指すとしている。
今回の試作品では、微細かつ大量のシャッターが機械的動作を正常に行うための量産技術を開発。試作品の画面サイズは2.5V型で、解像度はQVGA(320×240ピクセル)。バックライトの光を利用してカラー表示する透過型に加えて、外光をディスプレイの内部で反射させて白黒表示する半透過型にも対応する。
前述のように、MEMSシャッター式ではバックライトにRGBのLEDを使用。画素ごとにMEMSシャッターを設けてその開閉によって光制御を行い、フィールドシーケンシャルカラー方式により画像を表示する。
同方式では、これまでの液晶ディスプレイでは開口率40パーセントに対して光利用効率が6パーセントだったのに比べ、開口率12パーセントに対して光利用効率60パーセントという高い数値を実現。また、偏光フィルムやカラーフィルターが不要なため、低消費電力および高色再現性が実現できるという。
さらに、シャッターの高速動作を実現。低温下では分子の動きが鈍ってしまう液晶ディスプレイに比べて、低温環境下での性能維持能力にも優れているとしている。
そのほか、今回開発した量産技術は既存の液晶ディスプレイ製造工程との互換性が高く、既存のラインでの製造が可能な点も特徴。なお、同ディスプレイは明日より開幕するCEATEC 2010にて参考展示される。
同社では本日、製品発表会を実施。製品の解説を行った同社開発本部 本部長の大倉理氏は「液晶の弱点を補うようなディスプレイ」だとコメントし、2011年後半から2012年始めでの製品化を目指していることなどを明らかにした。
また、タッチパネルや3D表示への対応について質問されると、通常の液晶ディスプレイなどのように、MEMS方式のディスプレイ上にタッチパネルや3Dパネルを乗せることで対応可能と説明。さらに、大型化についても「原理的には限界はない」と語り、今後は大型化も検討していることを明かした。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.試作モデルの開発は御社のどこのラインで行ったのか。
A.4.5世代のV3と呼ばれる、730〜920V型の大型基板を使って開発がスタートした。開発は茂原で行った。
Q.量産に向けた具体的な課題が見えていれば教えて欲しい。
A.新規の構造ということで、信頼性をキッチリと評価していくことが大切かと思っている。
Q.コスト面や耐久性などで液晶と比べて課題などはあるのか。
A.ドライバーがカスタム品であったりするため、コスト面では液晶より若干高めになるかと思う。また、我々の液晶パネルでは駆動基板がアモルファスシリコンのTFTがほとんどだが、こちらではLTPSで駆動しているので、その分のコストは上がらざるを得ない。耐久性については、今のところは液晶と比べて遜色ない。しかし今後もっと調べていかないといけないと思っている。
Q.コストが若干高めという点について、もう少し具体的に教えて欲しい。
A.液晶に比べて数倍とか、そういうレベルではない。
Q.既存の生産ラインとの互換性が高いとのことだが、具体的にはどのように組み込むのか。
A.使う装置として新たなものが必要ないということだ。行程自体は通常のTFTとは変わるので、そういった点でのやりとりは必要だが、新たな設備投資などは必要ない。
Q.量産開始時にタッチパネルや3D対応を考えているということなのか。
A.アプリケーションとして考えている。
Q.大型化の予定について教えて欲しい。どのくらいまで大きくしようと考えているのか。
A.我々は中小型の会社なので、タブレットぐらいのところまではやっていこうと思っている。
Q.MEMS式シャッターについては、Pixtronix社が特許を持っていて、日立ディスプレイズが独占的にそれを利用できるという認識でよいか。
A.契約上のことがあるのでその点については差し控えたい。
Q.技術的に最も苦労した点を教えて欲しい。
A.今までのTFTは電気的に動けば良かった。しかし今回はシャッターなど機械的な構造体をきっちり動かす必要があり、着眼点が異なるものだった。そういった部分をきっちり作るというのが一番苦労した。
Q.次世代ディスプレイには有機ELなど様々なものがある中で、今回の製品をどのような考えの下で大型化や量産化を進めていこうとしているのか。
A.低消費電力であったり、色鮮やかであったりといった、液晶にない特徴を活かして次世代ディスプレイとして展開していきたい。