15年には裸眼3Dがメガネ方式を逆転 − 富士キメラが3D世界市場の今後を予測
(株)富士キメラ総研は、国内市場を含めた3D関連の世界市場を調査。「3Dディスプレイ/ビジネス市場の全貌 2011」において、結果と今後の予測を発表している。調査期間は本年4〜5月で、調査方法は同社専門調査員による調査対象先・関連企業各社への直接面接取材、および同社データベースの活用、公的データの収集・活用など。
本調査では、3Dディスプレイ9方式、専用メガネなどの関連製品やグラフィックボード・チップなどのデバイス計7品目、3Dディスプレイ搭載または3D表示対応の機器計18品目、映画やテレビ放送、パッケージソフトなどコンテンツ/サービス計11品目といった各市場についての現状を分析した。
■3Dメガネ方式について
3Dメガネは、テレビやPCモニター、ノートPC用途など中大型ディスプレイが使用機器の大半で「アクティブ方式」が主流となっていたが、テレビやPCモニター用途を中心に「パッシブ方式」の採用が増えているという。パッシブ方式は、アクティブ方式に比べ解像度が落ちるとされるものの、目の疲労を低減するほか低コストであるなどの優位性を理由に、今後採用が広がる見通しであるとしている。
なお、2010年はメガネ方式の98.1%をアクティブ方式が占めていたが、2011年にはパッシブ方式の構成比が33.2%に急伸するとも見込んでおり、今後も過半数を占めるのはアクティブ方式だが、パッシブ方式も30%前後の構成比を維持していくと予測。また、2012年以降にRealD社とサムスン電子が共同開発しているアクティブリターダー方式を採用したテレビやPCモニターが市場投入されることから、今後方式間の競合激化も予測している。
■裸眼3Dについて
裸眼方式は、デジタルサイネージ用途などのほかは大半がモバイル機器用途の20インチクラスまでの中小型ディスプレイがメイン。携帯電話や「ニンテンドー3DS」などに採用されている「パララックスバリア方式」が主流となっている。
本調査では、スマートフォンを中心に携帯電話への搭載が増加していることに加え、「ニンテンドー3DS」が発売されたことから、2011年の急激な市場拡大を予測。これに伴い、パララックスバリア方式の構成比が高まり、裸眼方式の98.3%(数量ベース)を占めると見込んでいる。
また、パララックスバリア方式は2Dと3Dの切り替えが容易であるなどの理由から、2Dをメインとするモバイル機器を中心に採用が進むと予測。2015年においてもパララックスバリア方式が裸眼方式の96.4%(数量ベース)を占めると見込んでいる。将来的にはテレビやノートPCなどの中大型ディスプレイでも採用が進み、2015年以降には3Dディスプレイ市場全体におけるメガネ方式と裸眼方式の構成比が逆転すると予測している。
■3D対応テレビについて
3D対応テレビについては、ユーザーがアーリーアダプターや富裕層などに限られ、2010年の市場は430万台(3D率:2.1%)、9,200億円に留まった。メーカー各社が当初見込んでいた販売規模には至らなかったとし、コンテンツおよびサービス不足や専用メガネの追加コストなどを要因に挙げている。
なお、30インチクラスの中型サイズの製品化、液晶2倍速パネル採用によるローエンド製品やオプション対応製品の増加などで、3D非対応製品との価格差が縮小してきていることから、2011年の市場は3,100万台(3D率:13.9%)、4兆5,000億円と大幅な拡大を見込んでいる。3Dメガネ方式の競合や、パッケージソフトを中心とするコンテンツ/サービスの拡充も期待できるとしている。
今後30〜40インチ以上では3Dが標準化されていくとし、2015年の市場は1億4,000万台(3D率: 50.0%)、8兆2,000億円を予測。裸眼方式の製品化も見られるが、価格面や画質面などの課題が多いため、当面はメガネ方式が続く見通しとしている。
■携帯電話端末について
モバイル機器という特性から裸眼方式が採用されており、中でもパララックスバリア方式が大半で、2010年の市場は32万台(3D率:0.03%)、152億円と発表。サムスン電子が3D対応製品を発売したほか、シャープがNTTドコモ、ソフトバンクモバイル向けスマートフォンで3D対応製品を発売した。
2011年は、スマートフォンを中心に3Dディスプレイの搭載が本格化するとみている。グローバル端末では、LGエレクトロニクス「Optimus 3D」やHTC「EVO 3D」が発表されており、日本国内でもグローバル端末の投入が考えられるほか、シャープがNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの各キャリアで「AQUOS PHONE」ブランドの3D対応スマートフォンを投入していくことから、市場は1,000万台(3D率:0.8%)、4,658億円の急拡大を見込んでいる。
さらに2015年の市場は、1億2,000万台(3D率:7.5%)、5兆1,617億円を予測。今後3Dディスプレイが低価格化していくと考えられるため、3Dが数ある機能の1つとしてミドルレンジ製品にも浸透していくと見込んでいる。
なお、コンテンツとして3D対応動画やゲームなどがプリインストールされている製品が多く、今後とも3D写真・動画撮影や「YouTube 3D」のようなサービス・コンテンツの広がりが市場拡大に寄与するとみている。
■3Dコンテンツ/サービス 国内注目動向
3D映画は、2010年の市場が410億円(3D率:18.6%)であったところから興行収入ベースで算出し、2015年に900億円(同:34.0%)を予測。今後、3D対応スクリーンと3D作品は増加していくものの2Dも併存していくと考え、興行収入における3D率は30〜40%に留まると予測している。
3D映像ソフトは「Blu-ray 3D」に対応しているパッケージソフトを対象に調査し、2010年の市場は19億円(3D率:0.7%)と発表。2015年には311億((同:12.9%)と見込んでいる。なお、テレビ放送では2010年の3D対応テレビ発売以後にBS/CSで3D対応番組が放送されており、将来の本格化に向けてノウハウの蓄積を図っている。
本調査では、3Dディスプレイ9方式、専用メガネなどの関連製品やグラフィックボード・チップなどのデバイス計7品目、3Dディスプレイ搭載または3D表示対応の機器計18品目、映画やテレビ放送、パッケージソフトなどコンテンツ/サービス計11品目といった各市場についての現状を分析した。
■3Dメガネ方式について
3Dメガネは、テレビやPCモニター、ノートPC用途など中大型ディスプレイが使用機器の大半で「アクティブ方式」が主流となっていたが、テレビやPCモニター用途を中心に「パッシブ方式」の採用が増えているという。パッシブ方式は、アクティブ方式に比べ解像度が落ちるとされるものの、目の疲労を低減するほか低コストであるなどの優位性を理由に、今後採用が広がる見通しであるとしている。
なお、2010年はメガネ方式の98.1%をアクティブ方式が占めていたが、2011年にはパッシブ方式の構成比が33.2%に急伸するとも見込んでおり、今後も過半数を占めるのはアクティブ方式だが、パッシブ方式も30%前後の構成比を維持していくと予測。また、2012年以降にRealD社とサムスン電子が共同開発しているアクティブリターダー方式を採用したテレビやPCモニターが市場投入されることから、今後方式間の競合激化も予測している。
■裸眼3Dについて
裸眼方式は、デジタルサイネージ用途などのほかは大半がモバイル機器用途の20インチクラスまでの中小型ディスプレイがメイン。携帯電話や「ニンテンドー3DS」などに採用されている「パララックスバリア方式」が主流となっている。
本調査では、スマートフォンを中心に携帯電話への搭載が増加していることに加え、「ニンテンドー3DS」が発売されたことから、2011年の急激な市場拡大を予測。これに伴い、パララックスバリア方式の構成比が高まり、裸眼方式の98.3%(数量ベース)を占めると見込んでいる。
また、パララックスバリア方式は2Dと3Dの切り替えが容易であるなどの理由から、2Dをメインとするモバイル機器を中心に採用が進むと予測。2015年においてもパララックスバリア方式が裸眼方式の96.4%(数量ベース)を占めると見込んでいる。将来的にはテレビやノートPCなどの中大型ディスプレイでも採用が進み、2015年以降には3Dディスプレイ市場全体におけるメガネ方式と裸眼方式の構成比が逆転すると予測している。
■3D対応テレビについて
3D対応テレビについては、ユーザーがアーリーアダプターや富裕層などに限られ、2010年の市場は430万台(3D率:2.1%)、9,200億円に留まった。メーカー各社が当初見込んでいた販売規模には至らなかったとし、コンテンツおよびサービス不足や専用メガネの追加コストなどを要因に挙げている。
なお、30インチクラスの中型サイズの製品化、液晶2倍速パネル採用によるローエンド製品やオプション対応製品の増加などで、3D非対応製品との価格差が縮小してきていることから、2011年の市場は3,100万台(3D率:13.9%)、4兆5,000億円と大幅な拡大を見込んでいる。3Dメガネ方式の競合や、パッケージソフトを中心とするコンテンツ/サービスの拡充も期待できるとしている。
今後30〜40インチ以上では3Dが標準化されていくとし、2015年の市場は1億4,000万台(3D率: 50.0%)、8兆2,000億円を予測。裸眼方式の製品化も見られるが、価格面や画質面などの課題が多いため、当面はメガネ方式が続く見通しとしている。
■携帯電話端末について
モバイル機器という特性から裸眼方式が採用されており、中でもパララックスバリア方式が大半で、2010年の市場は32万台(3D率:0.03%)、152億円と発表。サムスン電子が3D対応製品を発売したほか、シャープがNTTドコモ、ソフトバンクモバイル向けスマートフォンで3D対応製品を発売した。
2011年は、スマートフォンを中心に3Dディスプレイの搭載が本格化するとみている。グローバル端末では、LGエレクトロニクス「Optimus 3D」やHTC「EVO 3D」が発表されており、日本国内でもグローバル端末の投入が考えられるほか、シャープがNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの各キャリアで「AQUOS PHONE」ブランドの3D対応スマートフォンを投入していくことから、市場は1,000万台(3D率:0.8%)、4,658億円の急拡大を見込んでいる。
さらに2015年の市場は、1億2,000万台(3D率:7.5%)、5兆1,617億円を予測。今後3Dディスプレイが低価格化していくと考えられるため、3Dが数ある機能の1つとしてミドルレンジ製品にも浸透していくと見込んでいる。
なお、コンテンツとして3D対応動画やゲームなどがプリインストールされている製品が多く、今後とも3D写真・動画撮影や「YouTube 3D」のようなサービス・コンテンツの広がりが市場拡大に寄与するとみている。
■3Dコンテンツ/サービス 国内注目動向
3D映画は、2010年の市場が410億円(3D率:18.6%)であったところから興行収入ベースで算出し、2015年に900億円(同:34.0%)を予測。今後、3D対応スクリーンと3D作品は増加していくものの2Dも併存していくと考え、興行収入における3D率は30〜40%に留まると予測している。
3D映像ソフトは「Blu-ray 3D」に対応しているパッケージソフトを対象に調査し、2010年の市場は19億円(3D率:0.7%)と発表。2015年には311億((同:12.9%)と見込んでいる。なお、テレビ放送では2010年の3D対応テレビ発売以後にBS/CSで3D対応番組が放送されており、将来の本格化に向けてノウハウの蓄積を図っている。