アイキューブド研究所と共同で
シャープ、"ICC 4K 液晶テレビ"の開発を正式発表【情報追加】
しかしその一方、現状では4Kコンテンツが足りないという問題も指摘。テレビの歴史を振り返り、白黒からカラーになったことを「新規価値」、フルHDなど解像度が向上したことを「継続価値」と捉え、「テレビが4Kになった際に求められるのは、新たな価値をもたらす商品として作り上げること。それができて初めて新しいテレビを開発できたと言える」とした。
また、開発においては「単にシャープの4KパネルとI3研究所の4K技術を組み合わせるということだけでない」とコメント。「映像をいかに新しい次元に持っていくか。その処理された信号をどこまでキレイに映像表現しきるかというところでコラボレーションする。進化したパネルの表現を最大限引き出すのがI3研究所の技術だ」と語った。
■言葉にならない『〜感』を伝える
共同開発を行うI3研究所 代表取締役社長の近藤哲二郎氏は、「テレビというのは、テレ(遠く)とビジョン(視野)という言葉を組み合わせたもの」と説明。「ビジョンという概念においては、何かモノを見るときに脳が命令して目玉を動かす(Look)、ピントを合わせる(Watch)、脳内でそれぞれを合成する(See)という段階がある」とし、「この“ビジョン”という定義に向かって我々は次のテレビを作っていく」と説明。
また、「世の中には色々な超解像技術があるが、これは『もし4Kカメラで撮ったらこうなるだろう』という映像をゴールにアップコンバートしている。しかし、その映像が実物の風景と同じかというとそれは違う。実際の風景を見る場合には色々なところにピントを動かせるが、映像ではカメラがピントを決めてしまう」と語り、風景とテレビ映像が同じ環境ではないことを改めて解説した。
その上で「我々のテレビは完全に狙いが違う」と語り、ユーザーが映像を見たときにLook、Watch、Seeという段階を経験できることを目指すとして「実際の現地に行ったときに発生する脳への刺激を再現するような光を発せられるテレビを我々は『次のテレビ』と呼ぼうとしている」とコメントした。
そしてICC 4K 液晶テレビのメリットについては、大画面・高画質であることに加え、映像を視聴することでの脳への負担も軽減されると説明。「映像を見る際には圧縮された映像信号を脳のなかで置き換える作業が必要で、負荷が大きい」とし、そもそもの情報量が多くなることで脳も映像を楽に認知できるようになると語る。
また「少々極端な例えだが」と前置きした上で「オーケストラであれば、コンサートマスター(カメラ)が好きな楽器にフォーカス(ピント)を合わせているのが現在のテレビ。我々の4Kテレビではオーケストラ全体を捉え、総合的なシンフォニーを堪能できる」と表現。「例えば赤いバラがどれだけ瑞々しいかといった、言葉にならない『〜感』を伝えるものが“ビジョン”だ」とし、開発を進める4Kテレビでそれを実現すると述べた。