スマートコミュニティ実現のための先端技術もアピール
「時間」「場所」を超えて楽しむ高画質映像 − 東芝“REGZA WORLD”新展開を大角社長が語る
(株)東芝は3日、同社の4K2K/裸眼3D対応“REGZA”「55X3」やBDレコーダー“レグザサーバー”など新製品記者発表会を開催。新製品のコンセプトについて説明を行った。
■東芝の先端デジタル技術による「スマートコミュニティ構想」
はじめに(株)東芝 スマートコミュニティ事業統括部長の加藤孝夫氏が登壇し、同社の様々な分野におけるデジタル技術により「スマートコミュニティ」を実現させるための事業構想について説明を行った。
東芝ではこれまでにもエネルギーや交通、医療など様々な分野において先端のデジタル技術を開拓し、ノウハウを蓄積してきた。加藤氏は「これらの技術に、先端の情報通信技術やクラウド型サービスを統合していくことで、安心して暮らすことのできる社会を創出し、従来にない新しい価値やサービスを東芝が提案していく」という、同社のスマートコミュニティ事業のビジョンを掲げた。
交通網に関連した技術では、クラウドベースの制御システムによって管理していく「ECOトランスポーテーション・システム」を提案。鉄道と車のインフラ網を情報通信技術によりスケジュール管理していく技術や、電気自動車の充電について、電力の需給バランスを考慮しながら専用ステーションを基地にした充電サービスを提供していく構想などを紹介した。
「これらの技術について、東芝は個人の利便性を損なうことなく、地球環境に配慮したサービスを実現していく」と加藤氏は語る。
また医療分野では、病院が患者の健康データをクラウド上で管理し、健康状態に異状が発生した際にはネットワーク経由で即座に病院へ情報を伝え、対処のアドバイスを提供するといった「リモート医療」サービスが構築可能だとした。またこうした医療分野においても、3Dテレビやタブレットでリアルな映像や画像データをシェアしていくことで、精度の高い医療提供が実現できるという。加藤氏は「医者どうしがさながら“オーダーメイド医療チーム”であるかのような、きめ細かいケアを提供できるシステムを、東芝が構築できるだろう」と説明を続ける。
同社のデジタル技術を駆使した「スマートホーム」の構想については、ホームエネルギー・マネジメントシステム(HEMS)やヘルスケア、物流、交通、セキュリティ、エンターテインメントなど様々な家庭の情報を融合させた、新しいサービスやソリューションがデジタル社会で生まれてくると説明。加藤氏は「こうしたサービスやコンテンツを、いつでも、どこでも共有するために、東芝のテレビやタブレットを中心とした共有プラットフォームが必要になる」とし、独自のスマートホームを実現するためのクラウドサービスを実現していくとした。
具体的なイメージとしては、電気・水などエネルギーの消費量や、テレビ番組などの視聴履歴、家電・空調の利用履歴、食品の賞味期限などをすべてクラウド上のデータベースで管理して分析を行うことで、利用者の日々の生活をガイドしてくれる“コンシェルジェ”のようなシステムを開発していくという。
「デジタル技術で、いつでもどこでもコミュニティとつながり、生活の安全とクオリティ向上を実現していくことが東芝の次世代スマートホームのビジョン」であると加藤氏は述べ、この構想を実現するために「スマートメーター」が必用不可欠な機器であるとコメント。当分野のリーディングカンパニーであるスイスの大手メーカー、ランティス・ギアを買収したことについても触れ、同社とともに“スマート・コミュニティ”の提案をグローバルに拡大させるとした。また国内においても、東北復興プロジェクトや三井不動産レジデンシャル(株)のパークホームズ大倉山などにおいて、スマートシティ実現のための取り組みを進めていることを紹介した。
加藤氏は「人と社会に新しい価値をもたらす様々なソリューションを、東芝が提供していく。デジタル技術と人がスムーズにつながっていくために、テレビをはじめとしたAV機器についても、重要なデジタルプロダクトとして進化を推し進めていきたい」と意気込みを語った。
■55X3で4K2K時代の入り口を開く/今後はタブレットを柱のひとつに
− 東芝デジタルプロダクツ&サービス社 大角正明社長が“REGZA WORLD”を語る
また、続いて同社執行役上席常務 デジタルプロダクツ&サービス社 社長の大角正明氏が登壇。4K2K/裸眼3Dディスプレイやタブレット、レグザサーバーなど今回の新製品について説明を行った。
「いま日本は大変な時期にある。CEATEC JAPANの会場から日本の技術やサービス、製品をもう一度大きく掲げ、世界にアピールしていきたい」と切り出した大角氏。同社は今年4月からテレビ事業とPC事業を統合したデジタルプロダクツ&サービス社を立ち上げ。レグザとダイナブックを融合させ、ユーザーに新しい映像コンテンツの楽しみを提供する製品づくりを推進してきたという。同社が今回大きく掲げるのは、デバイス垣根を越え、高画質な映像を「時間」や「場所」を越えて楽しめるもの − “REGZA WORLD”だ。大角氏によれば、今回発表された新製品群は、このREGZA WORLDの思想を具現化する製品であるという。
大角氏は「“REGZA Tablet”AT700は世界最薄・最軽量で、ハイクオリティな映像を楽しめるタブレット。“レグザサーバー”はデバイスの垣根を越え、放送や録画の概念を変える新しい視聴スタイルを提供するものだ。“REGZA”55X3はリアリティを追求するための技術を惜しみなく投入した、レグザ史上最も美しいテレビ。4K2K時代の入り口を本格的に開く製品だ。またPC新製品の“dynabook”R631は、高密度実装技術や薄型筐体堅牢技術などこれまで長年培ってきた技術を最大限に活かした製品となる。東芝は今後も新たな映像体験を提供していく。テレビ、PCに加え、タブレットを今後東芝の新事業を牽引する柱にしていく考えだ。デバイスの垣根を越えた製品・サービスづくりを推し進め、デジタルプロダクツの新領域を開拓していきたい。今後の東芝にぜひ期待してほしい」と締めくくった。
以下、会場で行われた質疑応答の内容を掲載する。
■質疑応答
Q.3Dテレビの需要は喚起できているのか。また、4K2Kに対する市場の需要喚起はどのように行うつもりか。
A. 製品提供側の思いとユーザーの受け止め方にはギャップがあるとは感じている。しかし40インチ以上の大型モデルについてはメガネ付き3Dが普通のフィーチャーになってきている。今後コンテンツも増加してくると予想されるし、“大型テレビなら3D機能がついているのが当たり前”という感じになるのではないだろうか。
このタイミングで4K2K/裸眼3Dテレビをリリースしたのは、家庭でメガネなしのストレスフリーな状態で3Dを楽しんでもらいたかったからだ。リラックスした場である家庭で“メガネ有り3D”はどこか無理があると感じている。昨年20型の「20GL1」を発売し、1年で55V型まで大型化できた。サイズも含め、“リアリティの体験”を家庭のなかに提供したい。
また、今年7月にデジタル放送に移行し、ハイビジョン時代になってきた。4K2Kは放送が難しい部分も確かにあるが、ひかりTV様のサービスのように、ネット放送で近いうちに実現できるものもあると思っている。「4K2Kまで必要か?」という議論もあるかも知れないが、技術は常に先を求めていくものだと思っているし、何よりまずは見て、違いを感じて欲しい。本当に通常のフルHDと4K2Kは、大きな違いがある。今回我々は、裸眼3Dと、新しい領域の映像体験である4K2K、そして次の新しい放送のあり方まで含めてトータルで提案したいと考えている。
Q. 主要各製品の売り上げ台数目標を教えて欲しい。
A. 今年度タブレットは、AT700/AT3S0併せてグローバルで100万台以上の売り上げを目標にしている。55X3は月産1,000台が目標。欧州、日本、中国、アジア、北米など順次グローバル展開を予定しており、月産台数も増やしていく考えだ。
Q. 4K2Kパネルはどこのディスプレイメーカーのものか。単純に買っているだけか、技術協力などを行っているのか。
A. 東芝はパネルを自ら使っているわけではないので、ある会社とアライアンスをして作ってもらっている。しかし4K2Kパネルの貼り合わせ技術などは両社の技術提携に基づいて開発を行っているものだ。
Q. タブレットとPCについてだが、この分野はアップルやサムスンがだいぶ先行している。この2社に打ち勝つ戦略はどのようなものなのか。
A. ハードウェアと、サービスやソリューションの両方で生き残ることが大切だ。ハードメーカーとしてPCは今後もきっちりとやっていく考えだが、ハードだけではなく、クラウドなど新しいビジネスモデル構築もやっていきたいと思っている。
Q. レグザサーバーは日本のみの発売モデルだと思うが、グローバル展開する際に“REGZA WORLD”を構築する製品としてどんなものがレグザサーバーの代わりに据えられるのか。
A. たしかにレグザサーバーは日本の録画文化のなかで生まれたものなので、そのまま海外展開するということは考えにくい。海外展開でカギになるのはクラウドサービスとタブレット/テレビとの親和性。欧州や中国など地域によってはサーバー機能をテレビ側に搭載して展開するということも考えている。
Q. 昨年裸眼3Dテレビの20V型モデルを発表した際「戦略的な価格」と語っていたが、55V型についてはコスト的な問題はどうなのか。
A. 55V型のコストと売価の関係で見れば、私自身としてはもう少し安い価格で投入したいと考えているのだが、今回は90万円前後という値付けになった。55X3はグローバルにリリースする製品なので、それに見合った価格で各地域に投入していきたい。今後このジャンルの製品ユーザーの数を増やしていくなかで、次の世代のなかで価格についてはしっかり考えて行きたい。
■東芝の先端デジタル技術による「スマートコミュニティ構想」
はじめに(株)東芝 スマートコミュニティ事業統括部長の加藤孝夫氏が登壇し、同社の様々な分野におけるデジタル技術により「スマートコミュニティ」を実現させるための事業構想について説明を行った。
東芝ではこれまでにもエネルギーや交通、医療など様々な分野において先端のデジタル技術を開拓し、ノウハウを蓄積してきた。加藤氏は「これらの技術に、先端の情報通信技術やクラウド型サービスを統合していくことで、安心して暮らすことのできる社会を創出し、従来にない新しい価値やサービスを東芝が提案していく」という、同社のスマートコミュニティ事業のビジョンを掲げた。
交通網に関連した技術では、クラウドベースの制御システムによって管理していく「ECOトランスポーテーション・システム」を提案。鉄道と車のインフラ網を情報通信技術によりスケジュール管理していく技術や、電気自動車の充電について、電力の需給バランスを考慮しながら専用ステーションを基地にした充電サービスを提供していく構想などを紹介した。
「これらの技術について、東芝は個人の利便性を損なうことなく、地球環境に配慮したサービスを実現していく」と加藤氏は語る。
また医療分野では、病院が患者の健康データをクラウド上で管理し、健康状態に異状が発生した際にはネットワーク経由で即座に病院へ情報を伝え、対処のアドバイスを提供するといった「リモート医療」サービスが構築可能だとした。またこうした医療分野においても、3Dテレビやタブレットでリアルな映像や画像データをシェアしていくことで、精度の高い医療提供が実現できるという。加藤氏は「医者どうしがさながら“オーダーメイド医療チーム”であるかのような、きめ細かいケアを提供できるシステムを、東芝が構築できるだろう」と説明を続ける。
同社のデジタル技術を駆使した「スマートホーム」の構想については、ホームエネルギー・マネジメントシステム(HEMS)やヘルスケア、物流、交通、セキュリティ、エンターテインメントなど様々な家庭の情報を融合させた、新しいサービスやソリューションがデジタル社会で生まれてくると説明。加藤氏は「こうしたサービスやコンテンツを、いつでも、どこでも共有するために、東芝のテレビやタブレットを中心とした共有プラットフォームが必要になる」とし、独自のスマートホームを実現するためのクラウドサービスを実現していくとした。
具体的なイメージとしては、電気・水などエネルギーの消費量や、テレビ番組などの視聴履歴、家電・空調の利用履歴、食品の賞味期限などをすべてクラウド上のデータベースで管理して分析を行うことで、利用者の日々の生活をガイドしてくれる“コンシェルジェ”のようなシステムを開発していくという。
「デジタル技術で、いつでもどこでもコミュニティとつながり、生活の安全とクオリティ向上を実現していくことが東芝の次世代スマートホームのビジョン」であると加藤氏は述べ、この構想を実現するために「スマートメーター」が必用不可欠な機器であるとコメント。当分野のリーディングカンパニーであるスイスの大手メーカー、ランティス・ギアを買収したことについても触れ、同社とともに“スマート・コミュニティ”の提案をグローバルに拡大させるとした。また国内においても、東北復興プロジェクトや三井不動産レジデンシャル(株)のパークホームズ大倉山などにおいて、スマートシティ実現のための取り組みを進めていることを紹介した。
加藤氏は「人と社会に新しい価値をもたらす様々なソリューションを、東芝が提供していく。デジタル技術と人がスムーズにつながっていくために、テレビをはじめとしたAV機器についても、重要なデジタルプロダクトとして進化を推し進めていきたい」と意気込みを語った。
■55X3で4K2K時代の入り口を開く/今後はタブレットを柱のひとつに
− 東芝デジタルプロダクツ&サービス社 大角正明社長が“REGZA WORLD”を語る
また、続いて同社執行役上席常務 デジタルプロダクツ&サービス社 社長の大角正明氏が登壇。4K2K/裸眼3Dディスプレイやタブレット、レグザサーバーなど今回の新製品について説明を行った。
「いま日本は大変な時期にある。CEATEC JAPANの会場から日本の技術やサービス、製品をもう一度大きく掲げ、世界にアピールしていきたい」と切り出した大角氏。同社は今年4月からテレビ事業とPC事業を統合したデジタルプロダクツ&サービス社を立ち上げ。レグザとダイナブックを融合させ、ユーザーに新しい映像コンテンツの楽しみを提供する製品づくりを推進してきたという。同社が今回大きく掲げるのは、デバイス垣根を越え、高画質な映像を「時間」や「場所」を越えて楽しめるもの − “REGZA WORLD”だ。大角氏によれば、今回発表された新製品群は、このREGZA WORLDの思想を具現化する製品であるという。
大角氏は「“REGZA Tablet”AT700は世界最薄・最軽量で、ハイクオリティな映像を楽しめるタブレット。“レグザサーバー”はデバイスの垣根を越え、放送や録画の概念を変える新しい視聴スタイルを提供するものだ。“REGZA”55X3はリアリティを追求するための技術を惜しみなく投入した、レグザ史上最も美しいテレビ。4K2K時代の入り口を本格的に開く製品だ。またPC新製品の“dynabook”R631は、高密度実装技術や薄型筐体堅牢技術などこれまで長年培ってきた技術を最大限に活かした製品となる。東芝は今後も新たな映像体験を提供していく。テレビ、PCに加え、タブレットを今後東芝の新事業を牽引する柱にしていく考えだ。デバイスの垣根を越えた製品・サービスづくりを推し進め、デジタルプロダクツの新領域を開拓していきたい。今後の東芝にぜひ期待してほしい」と締めくくった。
以下、会場で行われた質疑応答の内容を掲載する。
■質疑応答
Q.3Dテレビの需要は喚起できているのか。また、4K2Kに対する市場の需要喚起はどのように行うつもりか。
A. 製品提供側の思いとユーザーの受け止め方にはギャップがあるとは感じている。しかし40インチ以上の大型モデルについてはメガネ付き3Dが普通のフィーチャーになってきている。今後コンテンツも増加してくると予想されるし、“大型テレビなら3D機能がついているのが当たり前”という感じになるのではないだろうか。
このタイミングで4K2K/裸眼3Dテレビをリリースしたのは、家庭でメガネなしのストレスフリーな状態で3Dを楽しんでもらいたかったからだ。リラックスした場である家庭で“メガネ有り3D”はどこか無理があると感じている。昨年20型の「20GL1」を発売し、1年で55V型まで大型化できた。サイズも含め、“リアリティの体験”を家庭のなかに提供したい。
また、今年7月にデジタル放送に移行し、ハイビジョン時代になってきた。4K2Kは放送が難しい部分も確かにあるが、ひかりTV様のサービスのように、ネット放送で近いうちに実現できるものもあると思っている。「4K2Kまで必要か?」という議論もあるかも知れないが、技術は常に先を求めていくものだと思っているし、何よりまずは見て、違いを感じて欲しい。本当に通常のフルHDと4K2Kは、大きな違いがある。今回我々は、裸眼3Dと、新しい領域の映像体験である4K2K、そして次の新しい放送のあり方まで含めてトータルで提案したいと考えている。
Q. 主要各製品の売り上げ台数目標を教えて欲しい。
A. 今年度タブレットは、AT700/AT3S0併せてグローバルで100万台以上の売り上げを目標にしている。55X3は月産1,000台が目標。欧州、日本、中国、アジア、北米など順次グローバル展開を予定しており、月産台数も増やしていく考えだ。
Q. 4K2Kパネルはどこのディスプレイメーカーのものか。単純に買っているだけか、技術協力などを行っているのか。
A. 東芝はパネルを自ら使っているわけではないので、ある会社とアライアンスをして作ってもらっている。しかし4K2Kパネルの貼り合わせ技術などは両社の技術提携に基づいて開発を行っているものだ。
Q. タブレットとPCについてだが、この分野はアップルやサムスンがだいぶ先行している。この2社に打ち勝つ戦略はどのようなものなのか。
A. ハードウェアと、サービスやソリューションの両方で生き残ることが大切だ。ハードメーカーとしてPCは今後もきっちりとやっていく考えだが、ハードだけではなく、クラウドなど新しいビジネスモデル構築もやっていきたいと思っている。
Q. レグザサーバーは日本のみの発売モデルだと思うが、グローバル展開する際に“REGZA WORLD”を構築する製品としてどんなものがレグザサーバーの代わりに据えられるのか。
A. たしかにレグザサーバーは日本の録画文化のなかで生まれたものなので、そのまま海外展開するということは考えにくい。海外展開でカギになるのはクラウドサービスとタブレット/テレビとの親和性。欧州や中国など地域によってはサーバー機能をテレビ側に搭載して展開するということも考えている。
Q. 昨年裸眼3Dテレビの20V型モデルを発表した際「戦略的な価格」と語っていたが、55V型についてはコスト的な問題はどうなのか。
A. 55V型のコストと売価の関係で見れば、私自身としてはもう少し安い価格で投入したいと考えているのだが、今回は90万円前後という値付けになった。55X3はグローバルにリリースする製品なので、それに見合った価格で各地域に投入していきたい。今後このジャンルの製品ユーザーの数を増やしていくなかで、次の世代のなかで価格についてはしっかり考えて行きたい。