『2020年のスーパーハイビジョン』
<NHK技研公開>多数の8K展示 − スカラ座8K上映/有機ELの活用/フルHD→8Kアプコンなど
■22.2chをより簡単に再生できる各種研究も
スーパーハイビジョンは、音声に22.2chのマルチチャンネル音響を採用。だが、22.2ch分のスピーカーを実際にユーザーが部屋に配置するのは困難なことも想定されるため、より簡易的な環境でスーパーハイビジョンのサラウンドを体感できるような研究が行われている。
そのひとつが、ディスプレイ一体がスピーカーによる8Kスーパーハイビジョン音響再生。ディスプレイの周囲に内蔵した12基のスピーカーだけであらゆる方向からの音を表現するようなバイノーラル信号処理を行うことで、22.2ch分のバーチャルサラウンドを実現した。
本技術では、複数のスピーカーを分散配置し音の伝搬路の独立性を高めることで、聴取者の位置のズレによる影響を低減されない音の定位感を向上させたという。今後は、音の定位感のさらなる向上や、良好な定位感とスイートスポットの拡大、最適なスピーカー数の検討などを進めていくとしている。
また、「8Kスーパーハイビジョン音響プレミアムシート」と称した椅子も展示している。6基のスピーカーで22.2chをバーチャル再生するというもので、耳元の2基をメインに、頭上の2基と前方の2基の計4基を補助スピーカーとして利用。頭部伝達関数に基づく信号処理とパンニング処理を行うことで広がりのある3次元音響を実現するとしている。
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