「テレビ最大のアプリはテレビ」
<IFA>東芝インタビュー:4Kは来年が転換点、欧州ではプレミアム2Kが好調
IFA 2014の東芝ブースには、欧州向け4K/2K“REGZA”最新モデルをはじめ、業務用のコンセプトモデル、日本では販売していないタブレット“Encore”、そしてChromebookなど幅広い製品ラインナップが展示されている。同社は、テレビに比較的大きなスペースを割いているメーカーの一つだ。
東芝の欧州における薄型テレビ事業の現状を、東芝ライフスタイル株式会社で海外マーケティングを担当する西岡竜太氏、またタブレット関連については東芝パーソナル&クライアントソリューション社の寺内享氏に話を伺った。
■'16年には50インチ以上のほぼすべてが4Kテレビに
ーー今年展示しているREGZAは、日本におけるZ9Xの欧州版という位置づけになるのでしょうか。
西岡氏:欧州では日本のZ8をベースにしたモデルを導入しており、4Kモデルに関しては次期欧州モデルのプロトタイプです。欧州ベースのものをアジアでも展開しています。
ーー欧州における4Kテレビの比率は何割程度でしょうか。
西岡氏:今年の比率はまだ申し上げられないのですが、それほど大きくはありません。ただし50インチ以上では2015年に5割を超え、2016年にはほぼすべてが4Kになるというドラスティックな変化を予想しています。2016年には全インチサイズで5台に1台は4Kになるというのが東芝の予測です。
実は欧州のテレビ市場は国ごとに違いがありまして、日本と同様に高級機市場があるのはドイツ、フランス、イギリスなどで、その他の国ではそれほど大きくありません。現在、55インチのモデルのエントリー4Kと2K(フルHD)のモデルの価格差が400〜500ユーロと大きいのですが、欧州の皆様に使っていただく上で、高画質化と価格のミーティングポイントは来年に来るとみています。
ーー欧州の4Kの市場環境は、まだ放送を含めて整っていませんよね。
西岡氏:そうですね。ブロードキャストも含めて日本より遅れていまして、配信はAmazonさん、Netflixさんなどの米系サービスが、イギリスとドイツで今年から来年にかけてサービス提供を始めようとしている段階です。REGZAの新モデルにはHEVCデコーダーを内蔵しますので、技術的にはそういったものに対応できるようにしています。
ーー今年、REGZAは欧州市場でどういったモデルに力を入れているのでしょうか。
西岡氏:東芝の戦略としては、画質・音質、そして「クイック&イージー」でいきます。
欧州市場向けには、日本で昨年発売した「Z8」にあたるプレミアム2Kモデルを今年の春から導入し始めていて、各国で非常に好評なんです。
セールスポイントは、デモでも展示をさせていただいている「メディアガイドリプレイ」という視聴履歴に基づいてメタデータ分析をして自動録画を行うという、日本における「タイムシフトマシン」や「ざんまいプレイ」を欧州にローカルフィットさせたものです。
実際に2件のお宅に貸し出したのですが、いざ使い始めるとマニュアルで録画を使っていただけています。ですので「録画文化がない」と言われている欧州で、録画文化を広げるためにも有効ですね。
日本の機能を押し付けるのではなく、生活において必要な技術になるために、自動で好みを分析する機能など、使って喜んでいただける機能を提案していくことが大事だと思っています。
ーークラウドに関しては、配信についてはいかがでしょうか。
西岡氏:我々の思いとしては「テレビの最大のアプリケーションはテレビ」だと思っています。CSP(コンテンツサービスプロバイダ)では、YouTubeの他はせいぜい1種類程度しか使われていないので、そこよりも、テレビ番組の視聴体験を最大化して楽しみを増やすのが大事だと思っています。
ーープレミアム2Kの画質については、欧州市場の反応はいかがでしょうか。
西岡氏:プレミアム2Kの画質については、高色域化、高輝度化することで明部のコントラストと精細感を出すのは2Kでもできることで、この提案により、欧州における賞も色々といただきました。
ただし、画作りについては他社さんよりローカルフィットを重視していまして、欧州のリアリティ追求型の画質については、ドイツの第三者機関と一緒になって画質研究をしています。
欧州は日本に似て、比較的落ち着いた映像が好まれるのですが、プレミアム2Kについては、撮影時の明るさを復元するために輝度が必要という考え方がきちんと理解してもらえるので、うまく伝わっていますね。
ーー4Kについてはいかがでしょうか。
西岡氏:4Kについては、2011年にグラスレス4KをIFAで出すなど、戦略商品として位置づけグローバルで展開していますが、今年の欧州市場ではプレミアム2Kが非常に好調なため、それで仕掛けていこうとしています。
ーー東芝として、欧州の薄型テレビのシェアはどの程度なのでしょうか。
西岡氏:地域ごとに違いますが、好調なイギリスでは2位、3位のポジジョンを取れています。
■タブレットは「真面目にプロダクティビディで勝負」
ーータブレット“Encore”シリーズのWindows 8.1版を出されていますよね。市場環境をどう見ていますか。
寺内氏:タブレットの成長が落ち始めている中で、Androidは低価格で勝負し、ローエンドのボリュームが増えている段階です。Windowsタブレットのシェアはまだ小さいですよね。
ただし、だからこそ東芝としてやる価値やチャンスがあるとみて、Windowsに軸足をシフトして仕切り直そうとしているのが我々のスタンスです。売り上げはまだまだですが、これからしっかりやっていきたいと考えています。
ーーWindowsタブレットではどういった販売戦略をお考えでしょうか。
寺内氏:真面目にプロダクティビディで勝負し、ちゃんと使えるようにすることだと思っています。Windowsタブレットなら高くても売れるというわけではないので、WindowsなのにAndroidと値段が変わらない、そしてさらに使いやすいモデルにすることを考えています。その取り組みの一つが、一部モデルに搭載した手書き対応ですね。
またタブレットの“Encore mini”については、マイクロソフトさんと一緒にディスカッションをして作ったモデルで、結果としてWindowsボタンがないモデルになりました。
これは、従来はWindowsタブレットのレギュレーション上許されないことだったのですが、ボタンのためのガラス加工を省けるなどメーカーにもメリットがありますし、マイクロソフトさんもそういった判断を短いサイクルで柔軟に変えているのが面白いところですね。
ーーIFA 2014で展示されているモデルを日本で販売する予定はありますか?
寺内氏:未定です。日本でもdynabookのラインナップもありますし、全体の整合性を考えた上で考えていきたいですね。
ーー本日はありがとうございました。
東芝の欧州における薄型テレビ事業の現状を、東芝ライフスタイル株式会社で海外マーケティングを担当する西岡竜太氏、またタブレット関連については東芝パーソナル&クライアントソリューション社の寺内享氏に話を伺った。
■'16年には50インチ以上のほぼすべてが4Kテレビに
ーー今年展示しているREGZAは、日本におけるZ9Xの欧州版という位置づけになるのでしょうか。
西岡氏:欧州では日本のZ8をベースにしたモデルを導入しており、4Kモデルに関しては次期欧州モデルのプロトタイプです。欧州ベースのものをアジアでも展開しています。
ーー欧州における4Kテレビの比率は何割程度でしょうか。
西岡氏:今年の比率はまだ申し上げられないのですが、それほど大きくはありません。ただし50インチ以上では2015年に5割を超え、2016年にはほぼすべてが4Kになるというドラスティックな変化を予想しています。2016年には全インチサイズで5台に1台は4Kになるというのが東芝の予測です。
実は欧州のテレビ市場は国ごとに違いがありまして、日本と同様に高級機市場があるのはドイツ、フランス、イギリスなどで、その他の国ではそれほど大きくありません。現在、55インチのモデルのエントリー4Kと2K(フルHD)のモデルの価格差が400〜500ユーロと大きいのですが、欧州の皆様に使っていただく上で、高画質化と価格のミーティングポイントは来年に来るとみています。
ーー欧州の4Kの市場環境は、まだ放送を含めて整っていませんよね。
西岡氏:そうですね。ブロードキャストも含めて日本より遅れていまして、配信はAmazonさん、Netflixさんなどの米系サービスが、イギリスとドイツで今年から来年にかけてサービス提供を始めようとしている段階です。REGZAの新モデルにはHEVCデコーダーを内蔵しますので、技術的にはそういったものに対応できるようにしています。
ーー今年、REGZAは欧州市場でどういったモデルに力を入れているのでしょうか。
西岡氏:東芝の戦略としては、画質・音質、そして「クイック&イージー」でいきます。
欧州市場向けには、日本で昨年発売した「Z8」にあたるプレミアム2Kモデルを今年の春から導入し始めていて、各国で非常に好評なんです。
セールスポイントは、デモでも展示をさせていただいている「メディアガイドリプレイ」という視聴履歴に基づいてメタデータ分析をして自動録画を行うという、日本における「タイムシフトマシン」や「ざんまいプレイ」を欧州にローカルフィットさせたものです。
実際に2件のお宅に貸し出したのですが、いざ使い始めるとマニュアルで録画を使っていただけています。ですので「録画文化がない」と言われている欧州で、録画文化を広げるためにも有効ですね。
日本の機能を押し付けるのではなく、生活において必要な技術になるために、自動で好みを分析する機能など、使って喜んでいただける機能を提案していくことが大事だと思っています。
ーークラウドに関しては、配信についてはいかがでしょうか。
西岡氏:我々の思いとしては「テレビの最大のアプリケーションはテレビ」だと思っています。CSP(コンテンツサービスプロバイダ)では、YouTubeの他はせいぜい1種類程度しか使われていないので、そこよりも、テレビ番組の視聴体験を最大化して楽しみを増やすのが大事だと思っています。
ーープレミアム2Kの画質については、欧州市場の反応はいかがでしょうか。
西岡氏:プレミアム2Kの画質については、高色域化、高輝度化することで明部のコントラストと精細感を出すのは2Kでもできることで、この提案により、欧州における賞も色々といただきました。
ただし、画作りについては他社さんよりローカルフィットを重視していまして、欧州のリアリティ追求型の画質については、ドイツの第三者機関と一緒になって画質研究をしています。
欧州は日本に似て、比較的落ち着いた映像が好まれるのですが、プレミアム2Kについては、撮影時の明るさを復元するために輝度が必要という考え方がきちんと理解してもらえるので、うまく伝わっていますね。
ーー4Kについてはいかがでしょうか。
西岡氏:4Kについては、2011年にグラスレス4KをIFAで出すなど、戦略商品として位置づけグローバルで展開していますが、今年の欧州市場ではプレミアム2Kが非常に好調なため、それで仕掛けていこうとしています。
ーー東芝として、欧州の薄型テレビのシェアはどの程度なのでしょうか。
西岡氏:地域ごとに違いますが、好調なイギリスでは2位、3位のポジジョンを取れています。
■タブレットは「真面目にプロダクティビディで勝負」
ーータブレット“Encore”シリーズのWindows 8.1版を出されていますよね。市場環境をどう見ていますか。
寺内氏:タブレットの成長が落ち始めている中で、Androidは低価格で勝負し、ローエンドのボリュームが増えている段階です。Windowsタブレットのシェアはまだ小さいですよね。
ただし、だからこそ東芝としてやる価値やチャンスがあるとみて、Windowsに軸足をシフトして仕切り直そうとしているのが我々のスタンスです。売り上げはまだまだですが、これからしっかりやっていきたいと考えています。
ーーWindowsタブレットではどういった販売戦略をお考えでしょうか。
寺内氏:真面目にプロダクティビディで勝負し、ちゃんと使えるようにすることだと思っています。Windowsタブレットなら高くても売れるというわけではないので、WindowsなのにAndroidと値段が変わらない、そしてさらに使いやすいモデルにすることを考えています。その取り組みの一つが、一部モデルに搭載した手書き対応ですね。
またタブレットの“Encore mini”については、マイクロソフトさんと一緒にディスカッションをして作ったモデルで、結果としてWindowsボタンがないモデルになりました。
これは、従来はWindowsタブレットのレギュレーション上許されないことだったのですが、ボタンのためのガラス加工を省けるなどメーカーにもメリットがありますし、マイクロソフトさんもそういった判断を短いサイクルで柔軟に変えているのが面白いところですね。
ーーIFA 2014で展示されているモデルを日本で販売する予定はありますか?
寺内氏:未定です。日本でもdynabookのラインナップもありますし、全体の整合性を考えた上で考えていきたいですね。
ーー本日はありがとうございました。