ソニー「F65RS」で撮影。8K版も準備中
QTEC、業務用の4Kリファレンス動画集「QT-4000series」
(株)キュー・テックは、テレビやBDプレーヤーなど各種4K映像機器の研究開発・設計時の評価・調整に使用する4K主観評価用動画集「Ultra HD-Definition Reference Software QT-4000series」を、本日4月21日に発売した。販売は業務向けのみで、価格はオープンプライス。HDDに収めて販売される。なお、8K用の「QT-8000series」も準備中とのこと。
「QT-4000series」に収録されているのは、主観評価用動画全40シーケンス(計73分)と、テスト信号全15パターン(計17分)。いずれも解像度は3,840×2,160/60p。アスペクト比は16:9、色域はITU-R BT.709。オプションとして、4K/8Kの色域規格であるBT.2020や、HDRに対応したバージョンも用意している。ラインナップは以下のとおり。
・QVF-4000-DPX(DPX/10bit/GBR 4:4:4)
・QVF-4000-XA(XAVC/10bit/YC bCr 4:2:2/ビットレート〜600Mbps)
・QVF-4000-HV(HEVC/8bit/YC bCr 4:2:0/ビットレート〜100Mbps)
・QVF-4000-XS(XAVC-S/8bit/YC bCr 4:2:0/ビットレート60〜150Mbps)
撮影には、カールツァイス製シネレンズ「Master Prime」を装着したソニー製4Kカメラ「F65RS」を採用。DPXフォーマット ビット深度10bitで収録し、編集はGBR 4:4:4プロセスで行っている。マスターのデータは14TB、1フレームあたりのビットレートは平均35Mbpsにものぼるという。
同社はHD放送やBD、映画作品などの編集を行うポストプロダクションだが、レーザーディスク時代からチェックディスク製作のノウハウを有している。昨今では2008年に発売した業務用フルHD主観評価用動画集「QT-1000series」が、国内外の約100社で採用。同年発売のコンシューマー向けの「Hi-Definition Reference Disc」も、画質にこだわる愛好家のリファレンスディスクとして高い人気を集めた。
4K版チェックディスク製作は前々から検討しており、昨年8月には編集設備をフル4K対応に。映画「くるみ割り人形」(2014年11月29日公開)の4K版製作なども行ったが、その作業時にリファレンス機材の選定やチェックについて基準となる映像がなく苦労する場面が多数あったという。QT-1000をアップコンバートして使用するなどしてみたが、細部の表現や階調が足りなかったことから、4K版チェックディスクの製作を決定。昨年春頃から製作を開始した。
今回発売される「QT-4000series」は、基本構成はQT-1000シリーズを踏襲。被写体は主観評価がしやすいよう、日常的に目にするものをセレクト。時計や花、人物、秋の京都・嵯峨野の風景などを収録している。また、4K CGアニメも収めている。
テストパターンは、QT-1000シリーズに収録していたAPDC方式ではなく、(株)計測技術研究所の顧問 川原 功氏が開発した新パターンを採用した。こちらは4Kディスプレイの動画解像度評価・測定のほか、各種コーデックの性能やシステム全体の映像表現力などを効果的に検証できるものだという。
本プロジェクトのリーダーであるキュー・テックの小池氏は「デモディスクとリファレンスディスクは違う」と語る。
「デモディスクは各機器の良いところを見せるためのものだが、リファレンスディスクは評価し技術改善につなげるためのもの。なのでメーカーにとってはシビアな映像も入っていると思う。いまテレビは、チップセットがあれば誰でもある程度の画質のモデルを製造できてしまう。でも日本の強みは『(映像の)品位』ではないか。4Kでは、キーワードがこれまでの“鮮やか” “ナチュラル”から“雅” “ほのか”に変わっていくのではと思う。味のある、品位の世界。そしてほのかな光をいかに表現するかが、大事なところだと思う」(小池氏)
また小池氏は、QT-4000seriesに収められた映像は「4Kカメラがあれば誰でも撮れるというものではない」と強調する。
「我々は評価用ディスクを作るので、ゼロセットアップ、ガンマはストレート、画づくりは殆どしない。ここをいじるとディスプレイ側でどう調整したらいいか分からなくなってしまうから。色温度が変わらないよう照明にも気を配り、自然光が使えるところでは基本的にそれを使っている。最高画質のカメラで、最高の編集工程で製作することで、4K映像のフラグシップリファレンスソフトを目指した」(小池氏)
本日の発表会には、QT-4000seriesを監修した評論家・麻倉怜士氏も登場。「フルHDと4Kとの違いは、画のなかから一瞬で感動的な要素が届くかどうか」と語る麻倉氏は、映像の注目ポイントを解説。「QT-4020で写っているのは僕の私物の時計。いつも使っているものなので、周辺には細かな傷が付いているのがよく分かる。また文字盤の立体感や、ポイントポイントで使われた赤色の美しさなども見て取れる。京都で撮影した映像は、モデルさんの肌の質感や立体感が見事。十二単や着物の生地は非常に良いものを使っているのだが、質感の良さが伝わってくる」と語っていた。
「QT-4000series」に収録されているのは、主観評価用動画全40シーケンス(計73分)と、テスト信号全15パターン(計17分)。いずれも解像度は3,840×2,160/60p。アスペクト比は16:9、色域はITU-R BT.709。オプションとして、4K/8Kの色域規格であるBT.2020や、HDRに対応したバージョンも用意している。ラインナップは以下のとおり。
・QVF-4000-DPX(DPX/10bit/GBR 4:4:4)
・QVF-4000-XA(XAVC/10bit/YC bCr 4:2:2/ビットレート〜600Mbps)
・QVF-4000-HV(HEVC/8bit/YC bCr 4:2:0/ビットレート〜100Mbps)
・QVF-4000-XS(XAVC-S/8bit/YC bCr 4:2:0/ビットレート60〜150Mbps)
撮影には、カールツァイス製シネレンズ「Master Prime」を装着したソニー製4Kカメラ「F65RS」を採用。DPXフォーマット ビット深度10bitで収録し、編集はGBR 4:4:4プロセスで行っている。マスターのデータは14TB、1フレームあたりのビットレートは平均35Mbpsにものぼるという。
同社はHD放送やBD、映画作品などの編集を行うポストプロダクションだが、レーザーディスク時代からチェックディスク製作のノウハウを有している。昨今では2008年に発売した業務用フルHD主観評価用動画集「QT-1000series」が、国内外の約100社で採用。同年発売のコンシューマー向けの「Hi-Definition Reference Disc」も、画質にこだわる愛好家のリファレンスディスクとして高い人気を集めた。
4K版チェックディスク製作は前々から検討しており、昨年8月には編集設備をフル4K対応に。映画「くるみ割り人形」(2014年11月29日公開)の4K版製作なども行ったが、その作業時にリファレンス機材の選定やチェックについて基準となる映像がなく苦労する場面が多数あったという。QT-1000をアップコンバートして使用するなどしてみたが、細部の表現や階調が足りなかったことから、4K版チェックディスクの製作を決定。昨年春頃から製作を開始した。
今回発売される「QT-4000series」は、基本構成はQT-1000シリーズを踏襲。被写体は主観評価がしやすいよう、日常的に目にするものをセレクト。時計や花、人物、秋の京都・嵯峨野の風景などを収録している。また、4K CGアニメも収めている。
テストパターンは、QT-1000シリーズに収録していたAPDC方式ではなく、(株)計測技術研究所の顧問 川原 功氏が開発した新パターンを採用した。こちらは4Kディスプレイの動画解像度評価・測定のほか、各種コーデックの性能やシステム全体の映像表現力などを効果的に検証できるものだという。
本プロジェクトのリーダーであるキュー・テックの小池氏は「デモディスクとリファレンスディスクは違う」と語る。
「デモディスクは各機器の良いところを見せるためのものだが、リファレンスディスクは評価し技術改善につなげるためのもの。なのでメーカーにとってはシビアな映像も入っていると思う。いまテレビは、チップセットがあれば誰でもある程度の画質のモデルを製造できてしまう。でも日本の強みは『(映像の)品位』ではないか。4Kでは、キーワードがこれまでの“鮮やか” “ナチュラル”から“雅” “ほのか”に変わっていくのではと思う。味のある、品位の世界。そしてほのかな光をいかに表現するかが、大事なところだと思う」(小池氏)
また小池氏は、QT-4000seriesに収められた映像は「4Kカメラがあれば誰でも撮れるというものではない」と強調する。
「我々は評価用ディスクを作るので、ゼロセットアップ、ガンマはストレート、画づくりは殆どしない。ここをいじるとディスプレイ側でどう調整したらいいか分からなくなってしまうから。色温度が変わらないよう照明にも気を配り、自然光が使えるところでは基本的にそれを使っている。最高画質のカメラで、最高の編集工程で製作することで、4K映像のフラグシップリファレンスソフトを目指した」(小池氏)
本日の発表会には、QT-4000seriesを監修した評論家・麻倉怜士氏も登場。「フルHDと4Kとの違いは、画のなかから一瞬で感動的な要素が届くかどうか」と語る麻倉氏は、映像の注目ポイントを解説。「QT-4020で写っているのは僕の私物の時計。いつも使っているものなので、周辺には細かな傷が付いているのがよく分かる。また文字盤の立体感や、ポイントポイントで使われた赤色の美しさなども見て取れる。京都で撮影した映像は、モデルさんの肌の質感や立体感が見事。十二単や着物の生地は非常に良いものを使っているのだが、質感の良さが伝わってくる」と語っていた。