欧州のハイレゾも普及促進の段階へ
<IFA>ソニー平井CEOが語る「4KとHDR」の戦略 − 次世代BD関連は発表なし
■新しいイノベーションを有むための種まきも順調
ソニーが今後もさらに前進を続けていくためには、リニアな進化だけでなく突然変異的な“新しいコンシューマー体験”をつくっていくことが重要だと平井氏は述べる。「ビジネスの種は色んな分野へ積極的に蒔いて、ビジネスとして成立しそうなものをイノベーションとして刈り取っていく」というスタンスは、平井氏が以前から色々な場所で折に触れながら示してきた成長戦略の一つだ。
こうしたイノベーションの事例として、ゲームの分野ではヘッドマウント型のVRシステム「Morpheus」の実機がIFA2015の会場にも展示される。またライフスタイル提案型の製品群である「Life Space UX」についても、今年のCESでも披露されたランプ型のシンフォニック・ライトスピーカーやポータブルサイズの短焦点プロジェクターをIFAに初出展。来春の商品化が予定されていることについても平井氏は言及した。
会場にはLife Space UXの特設ブースも設けられ、短焦点プロジェクターでは映し出された画面にタッチしてインタラクティブなコンテンツ再生が楽しめる用途のプロトタイプなどが紹介されている。商品化の予定時期が来春頃であること以外、具体的な商品の内容については明らかになっていない。
またソニーの新規事業創出プログラムである「SAP(Seeds Acceleration Program)」についても言及。社内のアイデアコンペを勝ち抜いてきたスマートDIYキット「MESH」、スタイリッシュな「FES Watch」、電子ペーパー搭載の学習型リモコン、アナログ時計とFeliCa搭載のバンドを一体化した「WENA Wrist」などの実機がIFAに展示される。
なお今年のIFA2015で各社が競い合う最新のテーマであるとされているIoTについて、記者にソニーの取り組みを訊ねられた平井氏は、「ソニーとして今後、差異化が十分にできる領域と判断できる段階まで辿り着いた時に具体を検討したい」と方針を示した。
エレクトロニクス事業全般の課題については、半導体のように全体の成長ドライバーになるものもあり、エレキ全般が成長ドライバーになっていないというわけではないことを強調する平井氏。今後は様々なチャレンジをして行く中で、「変わらないのは多様なイノベーションを盛り込みながらコンシューマーの領域で商品を出し続けること。これはもはやソニーのDNAに刻み込まれている、ある意味で使命のようなものだ。今後も皆の期待に応えられる商品を出していきたい」と語り、スピーチを結んだ。