AV8802Aで開発された技術を継承
マランツ、アトモス/DTS:X対応の9chアンプ搭載・最上位AVアンプ「SR7010」
ディーアンドエムホールディングスは、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)およびDTS:Xに対応し9chアンプ/11.2chプロセシングを搭載するマランツのAVアンプ「SR7010」を10月上旬より発売する。価格は230,000円(税抜)。
SR7010は、2014年発売の「SR7009」の後継となる一体型AVアンプの最上位モデルで、今年6月に発売された旗艦AVプリアンプ「AV8802A」で培われた技術も多数投入された。9chディスクリート・パワーアンプを搭載し、実用最大出力は235W。最大11.2chプロセッシングに対応しており、外部2chパワーアンプを加えての「7.1.4」「9.1.2」構成が可能となる。
従来機に引き続きドルビーアトモスに対応し、新たにDTS:Xにも後日のファームウェアアップデートで対応。HDMI端子は8入力/3出力を備え、いずれもHDCP2.2に対応する。4K/60p/4:4:4に加えて、HDRおよびBT.2020の映像信号のパススルーが可能だ。Wi-FiおよびBluetoothを内蔵。192kHz/24bit PCMや2.8MHz DSDなどハイレゾ再生機能も備える。以下にその詳細を説明していく。
■「ハイスピードアンプ」と「徹底したノイズコントロール」をAVアンプで両立させる
発表会ではMarantzサウンドマネージャーの澤田龍一氏、本機の設計をSR7010した豊間洋氏が登場。本機の詳細について説明してくれた。
SR7010においては、ネットワークプレーヤーやUSB-DACで培った「ノイズコントロール」と、上位グレードのHi-Fiアンプにおける「ハイスピードアンプ」の2つの技術を盛り込むことで、究極のマルチチャンネル再生を狙ったとのこと。また旗艦AVプリアンプ「AV8802A」で実現した様々な最新技術が、一体型AVアンプである本機に落とし込まれた。
9chフルディスクリート・パワーアンプは、全チャンネル同一の回路構成とする。マランツのHi-Fiコンポーネントで培われた独自のディスクリートアンプ回路設計技術を投入している。定格出力は125W/ch(8Ω)。
プリアンプ部には、マランツ独自のディスクリート高速アンプモジュール「HDAM SA2」を搭載した電流帰還型回路を採用。オペアンプを使用した場合に比べて約10倍となる60V/μsecというスルーレートを実現している。
電源回路には、大型EIコアトランスやカスタムメイドの大容量ブロックコンデンサー(容量15,000μF×2)を採用。高い瞬時電流強級能力を実現する。
上述のアンプ部などについては基本的にSR7009を踏襲しているとのこと。一方で「本機において最も進化したポイント」と澤田氏が語るのがノイズコントロールだ。アナログ段にハイスピードアンプを用いるとノイズの影響も受けやすくなってしまうため、SR7010でも十分な対策を施したという。
アナログ回路との相互干渉を排除するために、デジタル回路への電源供給には専用のスイッチング電源「ローノイズSMPS」を搭載。スイッチング周波数を最大で従来比の約3倍に引き上げることで、スイッチングノイズを可聴帯域のさらに外へシフトさせている。澤田氏は「以前ならばノイズは可聴帯域外にさえ出てこなければよいという考え方でしたが、現在ではハイレゾもありますので、100kHzまではノイズフロアを確保するようにしています」と説明していた。
DSPなどのICへの電源ラインには、ESR(等価直列抵抗)が低い導電性ポリマーコンデンサーを用いることで高周波ノイズを低減。基板には2層のグランド専用層を持つ6層基板を採用することで、グラウンドのインピーダンスを下げると共に、高周波ノイズへのシールド効果を高めている。
D/Aコンバーターは、最新世代の32bit DAC「AK4458」を2基搭載。AK4485は電圧出力型DACで、S/Nは115dBという性能を持つ。1つあたり8chのD/A変換に対応しており、2つ用いてマルチチャンネルのD/A変換を行っている。
「このDACを選んだ理由は、音が良いというだけでなく、音質を選べるからです」と澤田氏。AK4458はデジタルフィルターを「Slow Roll-off」「Sharp Roll-off」から、ディレイタイムを「Short Delay」「Normal Delay」から、サウンドアジャストメントを「1/2/3」の3つから選択可能で、合計12通りの音質選択ができる。
澤田氏は「他社のAVアンプが同じDACを使っていても、パラメーターの選択によって全く音が異なるのです」と説明。ちなみにSR7010ではSlow Roll-off/Short Delay/1という設定になっているという。「マランツは伝統的にデジタルフィルターはSlow Roll-offです。ディレイタイムについては、AVアンプということでより積極性のある音になるShort Delayを選んでいます。こういう設定を公開しているメーカーは少ないですが、私たちは音に自信があるので公開しています」(澤田氏)。
脚部にはAV8802Aでも採用された高密度インシュレーターを装備。リブを設けることで内部剛性を高め、かつ共振を防止し、音質への悪影響を抑えている。
■ドルビーアトモス再生時のピュアダイレクトモードにも対応
ドルビーアトモス/DTS:Xなどサラウンド音声のデコードやレンダリング、音場補正を担うDSPは、AV8802Aと同様にアナログ・デバイセズ製32bitフローティングポイントDSPである第4世代「SHARC」プロセッサーを4基搭載する。
音場補正については、Audyssey最上位となる「Audyssey MultEQ XT32」を搭載。2台のサブウーファーを個別に測定して補正する「Sub EQ HT」も用意する。
ドルビーアトモスについては、従来機に引き続き柔軟なスピーカーアサインを特徴とする。本機単体では「5.1.2」「5.1.4」「7.1.2」の構成に対応。加えて本機は11.2chプロセッシングに対応しているため、2chパワーアンプの追加により「7.1.4」「9.1.2」までのシステム拡張も可能となる。プリアウトは13.2ch分を搭載している。
ドルビーアトモスにおけるイネーブルドスピーカー関連機能も強化。イネーブルドスピーカーが2組まで選択可能となり、設置箇所もフロント/サラウンド/サラウンドバックから選べるようになった。さらにイネーブルドスピーカーから天井までの距離を手動入力できるようになり、天井反射のより正確なディレイタイム補正が可能となった。
また、従来ではドルビーアトモス再生時に「ピュアダイレクトモード」が選択できなかったが(選択すると自動的に「ドルビーTrue HD」再生になった)、SR7010ではアトモス再生時のピュアダイレクトモードが可能になった。ピュアダイレクトモードではAudysseyによる音場補正がバイパスされるわけだが、「厳格にスピーカー設置距離を追い込んで、DSPによる音場補正はなるべく行いたくない」というマニアには嬉しい機能であろう。
ドルビーアトモス対応に加えて、DTS:Xにもアップデートで対応予定だが、その時期については「決まり次第アナウンスさせていただきますが、年内には実施できる時期をお伝えできるのでは」(豊間氏)とのことだった。
■HDCP2.2に対応し、4K60p、HDRやBT.2020のパススルーに対応
HDMI端子は8入力/3出力を備え、全ての端子がHDCP2.2に対応。4K/60p/4:4:4/24bitや4K/60p/4:2:2/36bitなどの映像フォーマットに加えて、HDR(ハイ・ダイナミックレンジ)や広色域表現を可能にする「BT.2020」のパススルーにも対応する。
SD/HD信号を4K/60pへアップスケーリングすることも可能だ。またビデオコンバージョン機能を備え、コンポジット/コンポーネント/HDMIなどの各映像信号を入力した場合、HDMI映像信号へ変換して出力することができる。
SR7009に引き続き、Wi-FiとBluetoothを内蔵。Wi-Fiは2本のロッドアンテナを採用したダイバーシティーアンテナにより、安定した通信が可能となる。
ネットワークオーディオ機能は192kHz/24bitまでのWAV・AIFF・FLAC、96kHz/24bitまでのALAC、2.8MHz DSDの再生に対応。FLAC、WAV、AIFF、ALAC、DSDのギャップレス再生にも対応。同様の音源をフロントのUSB-A端子から、USBメモリー経由で再生することも可能となる。
AirPlay、iPhone/iPodとのデジタル接続、インターネットラジオなどの機能も備えている。iOS/Android用の操作アプリ「Marantz Remote App」も用意。スマートフォンやタブレットから本機を直感的に操作することができる。また、本機からAM/FMチューナーがFM補完放送「ワイドFM」に対応した。
音声入力はアナログRCA×6(フロント×1)、フォノ×1、アナログ7.1ch×1、同軸デジタル×2、光デジタル×2を搭載する。
映像入出力は、コンポーネント入力×3、コンポジット入力×4、コンポーネント出力×1、コンポジット出力×2を搭載する。
消費電力は710W(待機時:0.2W、通常スタンバイ)。外形寸法は440W×185H×401Dmm、質量は13.8kg。
SR7010は、2014年発売の「SR7009」の後継となる一体型AVアンプの最上位モデルで、今年6月に発売された旗艦AVプリアンプ「AV8802A」で培われた技術も多数投入された。9chディスクリート・パワーアンプを搭載し、実用最大出力は235W。最大11.2chプロセッシングに対応しており、外部2chパワーアンプを加えての「7.1.4」「9.1.2」構成が可能となる。
従来機に引き続きドルビーアトモスに対応し、新たにDTS:Xにも後日のファームウェアアップデートで対応。HDMI端子は8入力/3出力を備え、いずれもHDCP2.2に対応する。4K/60p/4:4:4に加えて、HDRおよびBT.2020の映像信号のパススルーが可能だ。Wi-FiおよびBluetoothを内蔵。192kHz/24bit PCMや2.8MHz DSDなどハイレゾ再生機能も備える。以下にその詳細を説明していく。
■「ハイスピードアンプ」と「徹底したノイズコントロール」をAVアンプで両立させる
発表会ではMarantzサウンドマネージャーの澤田龍一氏、本機の設計をSR7010した豊間洋氏が登場。本機の詳細について説明してくれた。
SR7010においては、ネットワークプレーヤーやUSB-DACで培った「ノイズコントロール」と、上位グレードのHi-Fiアンプにおける「ハイスピードアンプ」の2つの技術を盛り込むことで、究極のマルチチャンネル再生を狙ったとのこと。また旗艦AVプリアンプ「AV8802A」で実現した様々な最新技術が、一体型AVアンプである本機に落とし込まれた。
9chフルディスクリート・パワーアンプは、全チャンネル同一の回路構成とする。マランツのHi-Fiコンポーネントで培われた独自のディスクリートアンプ回路設計技術を投入している。定格出力は125W/ch(8Ω)。
プリアンプ部には、マランツ独自のディスクリート高速アンプモジュール「HDAM SA2」を搭載した電流帰還型回路を採用。オペアンプを使用した場合に比べて約10倍となる60V/μsecというスルーレートを実現している。
電源回路には、大型EIコアトランスやカスタムメイドの大容量ブロックコンデンサー(容量15,000μF×2)を採用。高い瞬時電流強級能力を実現する。
上述のアンプ部などについては基本的にSR7009を踏襲しているとのこと。一方で「本機において最も進化したポイント」と澤田氏が語るのがノイズコントロールだ。アナログ段にハイスピードアンプを用いるとノイズの影響も受けやすくなってしまうため、SR7010でも十分な対策を施したという。
アナログ回路との相互干渉を排除するために、デジタル回路への電源供給には専用のスイッチング電源「ローノイズSMPS」を搭載。スイッチング周波数を最大で従来比の約3倍に引き上げることで、スイッチングノイズを可聴帯域のさらに外へシフトさせている。澤田氏は「以前ならばノイズは可聴帯域外にさえ出てこなければよいという考え方でしたが、現在ではハイレゾもありますので、100kHzまではノイズフロアを確保するようにしています」と説明していた。
DSPなどのICへの電源ラインには、ESR(等価直列抵抗)が低い導電性ポリマーコンデンサーを用いることで高周波ノイズを低減。基板には2層のグランド専用層を持つ6層基板を採用することで、グラウンドのインピーダンスを下げると共に、高周波ノイズへのシールド効果を高めている。
D/Aコンバーターは、最新世代の32bit DAC「AK4458」を2基搭載。AK4485は電圧出力型DACで、S/Nは115dBという性能を持つ。1つあたり8chのD/A変換に対応しており、2つ用いてマルチチャンネルのD/A変換を行っている。
「このDACを選んだ理由は、音が良いというだけでなく、音質を選べるからです」と澤田氏。AK4458はデジタルフィルターを「Slow Roll-off」「Sharp Roll-off」から、ディレイタイムを「Short Delay」「Normal Delay」から、サウンドアジャストメントを「1/2/3」の3つから選択可能で、合計12通りの音質選択ができる。
澤田氏は「他社のAVアンプが同じDACを使っていても、パラメーターの選択によって全く音が異なるのです」と説明。ちなみにSR7010ではSlow Roll-off/Short Delay/1という設定になっているという。「マランツは伝統的にデジタルフィルターはSlow Roll-offです。ディレイタイムについては、AVアンプということでより積極性のある音になるShort Delayを選んでいます。こういう設定を公開しているメーカーは少ないですが、私たちは音に自信があるので公開しています」(澤田氏)。
脚部にはAV8802Aでも採用された高密度インシュレーターを装備。リブを設けることで内部剛性を高め、かつ共振を防止し、音質への悪影響を抑えている。
■ドルビーアトモス再生時のピュアダイレクトモードにも対応
ドルビーアトモス/DTS:Xなどサラウンド音声のデコードやレンダリング、音場補正を担うDSPは、AV8802Aと同様にアナログ・デバイセズ製32bitフローティングポイントDSPである第4世代「SHARC」プロセッサーを4基搭載する。
音場補正については、Audyssey最上位となる「Audyssey MultEQ XT32」を搭載。2台のサブウーファーを個別に測定して補正する「Sub EQ HT」も用意する。
ドルビーアトモスについては、従来機に引き続き柔軟なスピーカーアサインを特徴とする。本機単体では「5.1.2」「5.1.4」「7.1.2」の構成に対応。加えて本機は11.2chプロセッシングに対応しているため、2chパワーアンプの追加により「7.1.4」「9.1.2」までのシステム拡張も可能となる。プリアウトは13.2ch分を搭載している。
ドルビーアトモスにおけるイネーブルドスピーカー関連機能も強化。イネーブルドスピーカーが2組まで選択可能となり、設置箇所もフロント/サラウンド/サラウンドバックから選べるようになった。さらにイネーブルドスピーカーから天井までの距離を手動入力できるようになり、天井反射のより正確なディレイタイム補正が可能となった。
また、従来ではドルビーアトモス再生時に「ピュアダイレクトモード」が選択できなかったが(選択すると自動的に「ドルビーTrue HD」再生になった)、SR7010ではアトモス再生時のピュアダイレクトモードが可能になった。ピュアダイレクトモードではAudysseyによる音場補正がバイパスされるわけだが、「厳格にスピーカー設置距離を追い込んで、DSPによる音場補正はなるべく行いたくない」というマニアには嬉しい機能であろう。
ドルビーアトモス対応に加えて、DTS:Xにもアップデートで対応予定だが、その時期については「決まり次第アナウンスさせていただきますが、年内には実施できる時期をお伝えできるのでは」(豊間氏)とのことだった。
■HDCP2.2に対応し、4K60p、HDRやBT.2020のパススルーに対応
HDMI端子は8入力/3出力を備え、全ての端子がHDCP2.2に対応。4K/60p/4:4:4/24bitや4K/60p/4:2:2/36bitなどの映像フォーマットに加えて、HDR(ハイ・ダイナミックレンジ)や広色域表現を可能にする「BT.2020」のパススルーにも対応する。
SD/HD信号を4K/60pへアップスケーリングすることも可能だ。またビデオコンバージョン機能を備え、コンポジット/コンポーネント/HDMIなどの各映像信号を入力した場合、HDMI映像信号へ変換して出力することができる。
SR7009に引き続き、Wi-FiとBluetoothを内蔵。Wi-Fiは2本のロッドアンテナを採用したダイバーシティーアンテナにより、安定した通信が可能となる。
ネットワークオーディオ機能は192kHz/24bitまでのWAV・AIFF・FLAC、96kHz/24bitまでのALAC、2.8MHz DSDの再生に対応。FLAC、WAV、AIFF、ALAC、DSDのギャップレス再生にも対応。同様の音源をフロントのUSB-A端子から、USBメモリー経由で再生することも可能となる。
AirPlay、iPhone/iPodとのデジタル接続、インターネットラジオなどの機能も備えている。iOS/Android用の操作アプリ「Marantz Remote App」も用意。スマートフォンやタブレットから本機を直感的に操作することができる。また、本機からAM/FMチューナーがFM補完放送「ワイドFM」に対応した。
音声入力はアナログRCA×6(フロント×1)、フォノ×1、アナログ7.1ch×1、同軸デジタル×2、光デジタル×2を搭載する。
映像入出力は、コンポーネント入力×3、コンポジット入力×4、コンポーネント出力×1、コンポジット出力×2を搭載する。
消費電力は710W(待機時:0.2W、通常スタンバイ)。外形寸法は440W×185H×401Dmm、質量は13.8kg。