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2016年度業績見通しを発表

ソニー、熊本地震の損失は約1,150億円。‘16年度営業利益は前年度比2%増を予想

公開日 2016/05/24 19:20 編集部:小澤貴信
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ソニーは2016年度連結業績見通しを発表。2016年度の売上高の見通しを、前年度比から3.8%減の7兆8,000億円(前年度比-3,057億円)とした。営業利益は前年度から2%増の3,000億円(前年度比+58億円)を見込む。

本日開催された業績見通し発表会には、代表執行役 副社長 兼 CFOの吉田 憲一郎氏が登壇。業績見通しの詳細について説明した。

ソニー(株) 代表執行役 副社長 兼 CFOの吉田 憲一郎氏

2016年度の業績見通しは当初、4月28日の2015年決算発表時に公表予定だったが、4月14日以降に発生した熊本地震の影響により、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(株)熊本テクノロジーセンター(熊本県菊池郡)が生産活動を停止。このため、通常の日程で見通しを策定することが困難となったとして、発表を延期していた。

なお、同センターの低層階に位置するウェーハ工程は、5月21日より順次可動を再開し、徐々に稼働率を上昇。8月を目処にフル稼働を目指す。また高層階に位置する、後工程の一部である測定工程および組み立て工程については、5月中旬より段階的に可動を再開。工場全体の生産ベースが地震前の水準に戻るのは、2016年度下期を見込んでいる。

2016年度の連結売上高は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野、映画分野ならびに金融分野での増収を見込むものの、モバイルコミュニケーション(MC)分野、イメージ・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野、ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野、音楽分野で減収を見込むことから、前年度比で減少を見込んでいる。また、熊本地震の影響により、IP&S分野およびデバイス分野の売上高は、地震発生前の想定を下回ると予想されている。

2016年度連結業績見通し

2016年度 セグメント別 業績見通し

営業利益については、IP&S分野および音楽分野で減益が見込まれているが、MC分野の損益改善やG&NS分野の増益が見込まれていることなどから、若干の増益を見込んでいる。

熊本地震の営業利益への悪影響は、IP&S分野において約450億円、デバイス分野において約600億円が見込まれる。ここに、両分野の売上高が地震前の想定を下回ることにより、売上高に応じて配賦されるべき固定費約100億円が両分野に配賦されないことによる損失が加わり、熊本地震の連結営業利益の損失は合計約1,150億円になると予想される。なお、この損失の一部は、デバイス分野で本年度に受け取るであろう保険金約100億円によって一部相殺される。

熊本地震の営業利益への影響額

2016年度の構造改革費用は、グループ全体で120億円を見込んでいる(前年度は383億円)。

セグメント別の2016年度業績見通しも発表された。なお、映画分野、音楽分野、金融分野の業績見通しについては、4月28日に発表したものから変更はない。

MC分野については、売上高9,400億円(前年度比-16.6%)、営業利益50億円(前年度比+664億円)を見込む。減収の要因としては、高付加価値モデルへの集中による普及価格帯スマートフォンの販売台数の減少や、2015年度に事業縮小を図った不採算地域における販売台数の減少が挙げられた。

モバイル・コミュニケーション分野の売上高および営業利益

G&NS分野においては、PlayStation 4およびそのソフトの販売好調を受け、売上高1兆6,800億円(前年度比+8.3%)、営業利益1,350億円(前年度比+463億円)と大幅な増収を見込んでいる。

ゲーム&ネットワークサービス分野の売上高および営業利益

なお、MC分野およびG&NS分野への熊本地震の影響は軽微であるとのことだ。

IP&S分野については、デジタルカメラや放送用機器などの大幅な減収により、売上高5,300億円(前年度比-22.5%)、営業利益160億円(前年度比-533億円)を見込む。この減収・減益には、熊本地震の影響で部品調達が遅れることによる売上の減少が含まれている。

イメージング・プロダクツ&ソリューション分野売上高および営業利益

HE&S分野については、為替の影響および市場縮小にともなう家庭用オーディオ・ビデオの販売台数の減少などにより、売上高1兆400億円(前年度比-10.3%)、営業利益360億円(前年度比-146億円)と大幅な減収・減益を見込む。こちらについても、熊本地震の影響は軽微だという。

なお、テレビの販売については引き続きハイエンドの4Kモデルに注力していく。2016年度のテレビ出荷台数の半分が4Kモデルとなる見込みで、特に欧州において4Kテレビの割合が増えているとも紹介していた。

ホームエンターテインメント&サウンド分野の売上高および営業利益

デバイス分野については、売上高9,600億円(前年度比-0.3%)、営業損失400億円(前年度比-108億円)を見込む。売上高についてはモバイル機器向けイメージセンサーの増収があるものの、主に為替の影響により全体ではほぼ前年並みに。営業損失については熊本地震による影響や、一部のカメラモジュールの開発・製造中止に伴う費用発生、為替の悪影響により、損失拡大を予想している。

デバイス分野の売上高および営業利益

質疑応答では、「ソニー全体の収益力はどう変化してきたのか」という質問があがった。これに対して吉田氏は「デバイス事業については、価格環境の変化に伴う減損があったものの、全体としては商品力がかなり上がってきている。また、PlayStation Networkをはじめリカーリング事業も立ち上がってきており、これがG&NSの大幅な増益予想にも影響を与えている」と答えた。

中国をはじめとする新興国の景気減速の影響については、「BRICSなどの通過および経済が減速した地域については、比較的早く比重を落としてきたので、今年に入っての影響は小さい。今後も注意深くオペレーションしていく」と回答していた。

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