AWAの取締役も挨拶
デノン「HEOS」は “イエナカ回帰”に応えるリスニングスタイルを提供 − 発表会詳報
デノンは本日14日、ワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」のスピーカーおよびプリアンプ 3機種を発表。東京・原宿のクエストホールにて、プレス発表会および体験会を開催した。
発表された「HEOS 1」「HEOS 3」「HEOS Link」、およびHEOSの機能詳細については、こちらの記事で詳細を紹介している。
発表会冒頭では、デノンブランドを手がける株式会社ディーアンドエムホールディングスのジャパン・セールス&オペレーション プレジデントである中川圭史氏が登壇。HEOSへの意気込みについて語った。
中川氏は「デノンは100年にわたる歴史において、“ホームエンターテイメントをもっと心地良く、もっと楽しく”することを常に目指してきました」と、デノンの取り組みを紹介。録音/再生メディアが変遷していく中で、オーディオ業界をリードする製品を作り続けてきたことをアピールした。そして「デノンの真面目なモノづくりが、HEOSによって音楽ストリーミングにも及びます」と述べた。
HEOSのコンセプトおよび詳細については、ディーアンドエムホールディングスの上田貴志氏が説明を行った。
アメリカおよびヨーロッパでは、2014年からHEOSを展開。日本への導入については、欧米より遅れてスタートした音楽ストリーミングの普及状況や、消費者のライフスタイルの動向を伺いつつ、ベストな導入タイミングを見計らっていたという。
音楽ストリーミングの普及については、2015年にApple Music、AWA、LINE MUSICが相次いでローンチし、昨年2016年にはSpotifyも日本上陸。音楽ストリーミングが着実に普及している状況がHEOSの国内導入を後押ししたと言える。
ライフスタイルの面では、昨今の「イエナカ回帰」「リビ充」といった家のなかでゆったりと過ごすことへの関心の高まりについて上田氏は言及。「働き方改革」や「プレミアムフライデー」といった政府施策の下で自宅重視のライフスタイルへのシフトが起こり、音楽リスニングのスタイルも変化していくことが予想されるとした。HEOSはまさにこの点に、照準を絞っている。
そして日本におけるワイヤレススピーカーの市場動向がほぼ右肩上がりに、この4年間で10.8%の成長を遂げていることも紹介。一方でその大半を占めているのはBluetoothスピーカーで、HEOSのようなWi-Fi接続タイプがまだ少数であるという。こうした状況を受けて、Bluetoothスピーカーに対しての優位性を明かにしながら、実演を交えた詳細な製品紹介が行われた。
HEOSの詳細はこちらの記事で詳しく紹介しているが、発表会では「簡単なセットアップ」「直感的に操作できるアプリ」「1台から複数台までそれぞれ楽しめる拡張性」「デノンならではのこだわりのサウンド」の4つを軸に紹介が行われた。
また、Bluetoothスピーカーに対する優位性として、「HEOSが音楽ストリーミングを直接再生するので、あくまでスマートフォンはリモコンとなる。よって音楽の試聴がスマートフォンの状況によって邪魔されることがない」ことを強調。
壇上では、Bluetoothスピーカー再生中にスマートフォンに電話がかかってくると、音楽が止まって着信音が流れてしまう様子を実演。その後にHEOSで同じことを試して、着信があっても音楽再生にはなんら影響がないことを示した。
プレゼンテーションには、こうしたHEOSの優れた利便性が、音楽を聴く習慣自体を変え得るというメッセージが通底。「かつて日本ではマルチルームは成り立たないと言われていました」と上田氏は語りつつ、しかし、HEOSなら家の様々な場所で、そして日常的に音楽が聴けることの魅力を改めて提案できるとした。
■AWAがAPIを提供。業界初のAWA対応を実現
HEOSは、エイベックスとサイバーエージェントが手がける音楽ストリーミングサービス「AWA」に初対応したワイヤレススピーカーとなる。AWAのAPIがメーカーへ提供されたのも、今回のHEOSが初めてなのだという。
発表会には、AWA株式会社の取締役/プロデューサーである小野哲太郎氏が登場。AWAの取り組みとHEOSへの期待について語った。
2015年からサービス提供を開始したAWAは、日本市場のみで展開を行い、アプリはこれまで1,200万ダウンロードを記録。現在では約3,000万曲のラインナップを揃えている。この膨大なラインナップをバックボーンとしつつ「まだ知らない好きな音楽との出会い」をテーマに、ユーザーへのレコメンドを重視したサービスを展開しているとのこと。
具体的には、ユーザーの日常の動向やローカルライブラリの楽曲、好みの楽曲の波形解析などを通して、最適な音楽をレコメンドする。
HEOSについては「ホームエンターテイメントを重視している点で、デノンとAWAの考え方は重なる部分が大きいと考えます」とコメント。実際に2台のHEOSを自宅で使ってみて、訪れた友人家族が「異なる部屋で同じ音楽が流れている」ことに感動したというエピソードも披露した。そして「HEOSを使ってみてみて、家の中で“音楽をまとってついてくる”ような体験をできました。これは素晴らしいことであり、次の音楽の市場を後押しするものになるのでは」と感想を述べた。
小野氏は国内の音楽市場の現状にも触れた。国内は1998年をピークに音楽市場が右肩下がりに縮小しているが、これは世界的に共通の傾向。しかし、定額制音楽配信サービスが根付いた地域では、V字回復を果たしている国も登場している。日本においては音楽ストリーミングの割合はまだ小さいが、大きな成長が続いていると状況を説明した。
また、音楽ストリーミングの普及によるリスニングスタイルの変化も見られるという。AWAの再生ログを検証すると、サービスイン当初は通勤・通学時のリスニングが多かったが、最近では土日の午前中/夜のリスニングも増えているとのこと。小野氏はこの状況を「新しい音楽に出会った結果、もっと聴きたいという欲求が強まり、家事中や就寝前などに音楽を聴く習慣が広がっていったのでは」と分析する。
■HEOSテクノロジーをデノンの様々な製品へ展開していく
発表会では上田氏と、同社の福塚聡氏が、ステージ上でHEOSの実演。会場に設置された12台のHEOSを「リビング」「寝室」「キッチン」のスピーカーに見立てて、同時に鳴らしたり、個別に鳴らしたりを実際にHEOSアプリから操作した。
複数のアカウントから1つのキュー・リストへ、複数のアカウントから楽曲を追加して再生するデモンストレーションも上田氏と福塚氏で実施。ホームパーティーなどのシーンで、各人が曲をリクエストして楽しめることをアピールした。
また、HEOS 1に専用バッテリー「Go Pack」を組み合わせて、完全ワイヤレスで持ち運べることも紹介。IPX4の防滴機能も備え、キッチンなど水回りでも使えるとした。
音楽ストリーミングだけでなく、インターネットラジオ、NASやUSBメモリーからの再生など、ハイレゾも含めた幅広いソースの再生に対応している点もHEOSの長所となる。
発表会の最後には、HEOSの今後の展開についても語られた。すでに同社AVアンプ「AVR-X6300H」などがHEOS対応を実現しているが、今後もデノンの製品において、HEOS機能を搭載したモデルが続々と展開される予定だという。
なお、今回国内導入されているHEOSは3機種だが、海外ではさらに多くのモデルを展開している。これらのモデルの導入については、「市場の声を聞きながら検討していきたい」とのこと。
そのほかAWAの小野氏に対しては「ハイレゾによるストリーミングは検討しているのか」という質問も出た。小野氏は「対応していきたい」としつつ、現状の日本の通信環境では実現が難しいと感じているとコメント。しかし、ハイレゾ・ストリーミングにおける通信量を小さくするための技術挑戦も含め、2019年までには何らかのかたちで実現したいと語っていた。
発表された「HEOS 1」「HEOS 3」「HEOS Link」、およびHEOSの機能詳細については、こちらの記事で詳細を紹介している。
発表会冒頭では、デノンブランドを手がける株式会社ディーアンドエムホールディングスのジャパン・セールス&オペレーション プレジデントである中川圭史氏が登壇。HEOSへの意気込みについて語った。
中川氏は「デノンは100年にわたる歴史において、“ホームエンターテイメントをもっと心地良く、もっと楽しく”することを常に目指してきました」と、デノンの取り組みを紹介。録音/再生メディアが変遷していく中で、オーディオ業界をリードする製品を作り続けてきたことをアピールした。そして「デノンの真面目なモノづくりが、HEOSによって音楽ストリーミングにも及びます」と述べた。
HEOSのコンセプトおよび詳細については、ディーアンドエムホールディングスの上田貴志氏が説明を行った。
アメリカおよびヨーロッパでは、2014年からHEOSを展開。日本への導入については、欧米より遅れてスタートした音楽ストリーミングの普及状況や、消費者のライフスタイルの動向を伺いつつ、ベストな導入タイミングを見計らっていたという。
音楽ストリーミングの普及については、2015年にApple Music、AWA、LINE MUSICが相次いでローンチし、昨年2016年にはSpotifyも日本上陸。音楽ストリーミングが着実に普及している状況がHEOSの国内導入を後押ししたと言える。
ライフスタイルの面では、昨今の「イエナカ回帰」「リビ充」といった家のなかでゆったりと過ごすことへの関心の高まりについて上田氏は言及。「働き方改革」や「プレミアムフライデー」といった政府施策の下で自宅重視のライフスタイルへのシフトが起こり、音楽リスニングのスタイルも変化していくことが予想されるとした。HEOSはまさにこの点に、照準を絞っている。
そして日本におけるワイヤレススピーカーの市場動向がほぼ右肩上がりに、この4年間で10.8%の成長を遂げていることも紹介。一方でその大半を占めているのはBluetoothスピーカーで、HEOSのようなWi-Fi接続タイプがまだ少数であるという。こうした状況を受けて、Bluetoothスピーカーに対しての優位性を明かにしながら、実演を交えた詳細な製品紹介が行われた。
HEOSの詳細はこちらの記事で詳しく紹介しているが、発表会では「簡単なセットアップ」「直感的に操作できるアプリ」「1台から複数台までそれぞれ楽しめる拡張性」「デノンならではのこだわりのサウンド」の4つを軸に紹介が行われた。
また、Bluetoothスピーカーに対する優位性として、「HEOSが音楽ストリーミングを直接再生するので、あくまでスマートフォンはリモコンとなる。よって音楽の試聴がスマートフォンの状況によって邪魔されることがない」ことを強調。
壇上では、Bluetoothスピーカー再生中にスマートフォンに電話がかかってくると、音楽が止まって着信音が流れてしまう様子を実演。その後にHEOSで同じことを試して、着信があっても音楽再生にはなんら影響がないことを示した。
プレゼンテーションには、こうしたHEOSの優れた利便性が、音楽を聴く習慣自体を変え得るというメッセージが通底。「かつて日本ではマルチルームは成り立たないと言われていました」と上田氏は語りつつ、しかし、HEOSなら家の様々な場所で、そして日常的に音楽が聴けることの魅力を改めて提案できるとした。
■AWAがAPIを提供。業界初のAWA対応を実現
HEOSは、エイベックスとサイバーエージェントが手がける音楽ストリーミングサービス「AWA」に初対応したワイヤレススピーカーとなる。AWAのAPIがメーカーへ提供されたのも、今回のHEOSが初めてなのだという。
発表会には、AWA株式会社の取締役/プロデューサーである小野哲太郎氏が登場。AWAの取り組みとHEOSへの期待について語った。
2015年からサービス提供を開始したAWAは、日本市場のみで展開を行い、アプリはこれまで1,200万ダウンロードを記録。現在では約3,000万曲のラインナップを揃えている。この膨大なラインナップをバックボーンとしつつ「まだ知らない好きな音楽との出会い」をテーマに、ユーザーへのレコメンドを重視したサービスを展開しているとのこと。
具体的には、ユーザーの日常の動向やローカルライブラリの楽曲、好みの楽曲の波形解析などを通して、最適な音楽をレコメンドする。
HEOSについては「ホームエンターテイメントを重視している点で、デノンとAWAの考え方は重なる部分が大きいと考えます」とコメント。実際に2台のHEOSを自宅で使ってみて、訪れた友人家族が「異なる部屋で同じ音楽が流れている」ことに感動したというエピソードも披露した。そして「HEOSを使ってみてみて、家の中で“音楽をまとってついてくる”ような体験をできました。これは素晴らしいことであり、次の音楽の市場を後押しするものになるのでは」と感想を述べた。
小野氏は国内の音楽市場の現状にも触れた。国内は1998年をピークに音楽市場が右肩下がりに縮小しているが、これは世界的に共通の傾向。しかし、定額制音楽配信サービスが根付いた地域では、V字回復を果たしている国も登場している。日本においては音楽ストリーミングの割合はまだ小さいが、大きな成長が続いていると状況を説明した。
また、音楽ストリーミングの普及によるリスニングスタイルの変化も見られるという。AWAの再生ログを検証すると、サービスイン当初は通勤・通学時のリスニングが多かったが、最近では土日の午前中/夜のリスニングも増えているとのこと。小野氏はこの状況を「新しい音楽に出会った結果、もっと聴きたいという欲求が強まり、家事中や就寝前などに音楽を聴く習慣が広がっていったのでは」と分析する。
■HEOSテクノロジーをデノンの様々な製品へ展開していく
発表会では上田氏と、同社の福塚聡氏が、ステージ上でHEOSの実演。会場に設置された12台のHEOSを「リビング」「寝室」「キッチン」のスピーカーに見立てて、同時に鳴らしたり、個別に鳴らしたりを実際にHEOSアプリから操作した。
複数のアカウントから1つのキュー・リストへ、複数のアカウントから楽曲を追加して再生するデモンストレーションも上田氏と福塚氏で実施。ホームパーティーなどのシーンで、各人が曲をリクエストして楽しめることをアピールした。
また、HEOS 1に専用バッテリー「Go Pack」を組み合わせて、完全ワイヤレスで持ち運べることも紹介。IPX4の防滴機能も備え、キッチンなど水回りでも使えるとした。
音楽ストリーミングだけでなく、インターネットラジオ、NASやUSBメモリーからの再生など、ハイレゾも含めた幅広いソースの再生に対応している点もHEOSの長所となる。
発表会の最後には、HEOSの今後の展開についても語られた。すでに同社AVアンプ「AVR-X6300H」などがHEOS対応を実現しているが、今後もデノンの製品において、HEOS機能を搭載したモデルが続々と展開される予定だという。
なお、今回国内導入されているHEOSは3機種だが、海外ではさらに多くのモデルを展開している。これらのモデルの導入については、「市場の声を聞きながら検討していきたい」とのこと。
そのほかAWAの小野氏に対しては「ハイレゾによるストリーミングは検討しているのか」という質問も出た。小野氏は「対応していきたい」としつつ、現状の日本の通信環境では実現が難しいと感じているとコメント。しかし、ハイレゾ・ストリーミングにおける通信量を小さくするための技術挑戦も含め、2019年までには何らかのかたちで実現したいと語っていた。