HOME > ニュース > Astell&Kern、“第3のライン” の新DAP「KANN」国内発表。AK380AMP相当のアンプ内蔵

ライン出力専用端子やUSB type C端子も搭載

Astell&Kern、“第3のライン” の新DAP「KANN」国内発表。AK380AMP相当のアンプ内蔵

公開日 2017/04/13 14:00 編集部:小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
アユートは本日、同社が取り扱うAstell&Kernの新製品発表会を開催。新たなハイレゾポータブルプレーヤー「KANN」を発表した。

KANN「Eos Blue」

KANN「Astro Silver」

本機は先行して米国で発表されていたが(関連ニュース)、日本国内でも発売がアナウンスされたかたち。カラーはAstro SilverとEos Blueの2色を用意する。

現時点で日本国内での販売価格および発売時期は未定。ただし発表会場では、Astro Silverが5月中旬、Eos Blueが6月に発売の見通しとコメント。グローバルでの販売価格は999ドルだが、国内では市場想定売価12万円前後になる見込みとも語られた。価格と発売時期は正式決定後改めてアナウンスされる。

本体上部にはヘッドホン出力端子とライン出力端子をそれぞれ搭載。いずれも3.5mmアンバランスと2.5mmバランスを用意

本体底面には、2系統のSDカードスロット、USB type C端子、USB micro B端子を備える

Astell&Kernはこれまで、AK380やAK300などを含む「コア・ライン」、AK70を含む「カジュアル・ライン」の2ラインで製品を展開してきたが、このKANNは新しく立ち上げられた「パフォーマンス・ライン」に位置付けられる製品だ。

KANN「Eos Blue」の背面部

KANN「Astro Silver」の背面部

KANNのコンセプトは「1台で全てをまかなえる豊富な機能性」であり、「AK380AMP」相当という強力なヘッドホンアンプの内蔵、SDカードスロットやUSB端子の拡充、ライン出力専用端子の搭載などを実現。一方でこれまで旗艦機AK380のみが対応していたDSDのネイティブ再生に対応するなど、DAPとしての基本機能も向上させている。ボディにはアルミ押し出し材を用いた。以下に詳細を説明する。

DACは、旭化成エレクトロニクス(AKM)「AK4490」を1基搭載する。AK4490はAK380やAK300も採用しており、1基搭載という構成はAK300と同様。

DACはコア・ラインと同様にAK4490を採用。シングルで搭載している

一方、AK300がDSDはPCM変換再生、PCMもネイティブ再生が192kHz/24bitまでだったのに対して、KANNは最大11.2MHzのDSDおよび384kHz/32bitのPCMをネイティブ再生できる。

上位機と同様に、VCXOクロック(電圧制御水晶発振器)を搭載。200femto秒という超低ジッターも実現する。ソフトウェア、GUI(操作画面)は従来のAK380などと共通となる。

外付けアンプ「AK380AMP」相当のヘッドホンアンプを搭載

ヘッドホン出力端子は3.5mmアンバランスと2.5mmバランスの2端子を搭載。いずれも低インピーダンス設計となっており、3.5mm端子は0.65Ω、2.5mm端子は1.3Ω。

ヘッドホン出力とライン出力を別個に搭載した

強力なヘッドホンアンプを内蔵したことも特徴。KANNのヘッドホンアンプはAK380用の外付けヘッドホンアンプ「AK380AMP」に相当するものだという。具体的にはAK380アンプの最大出力が8.1V RMS(バランス)/4.1V RMS(アンバランス)に対して、KANNの最大出力は7.0V RMS(バランス)/4.0V RM2(アンバランス)となる。

ヘッドホン出力はHIGH/NORMALで切り替え可能

AK380AMP相当のヘッドホンアンプを搭載する

ゲイン切替機能も備えており、ノーマル/ハイを切り替えることも可能。ハイインピーダンスなヘッドホンも駆動できるとしている。

ライン出力専用端子を搭載。SDスロット&USB端子も拡充

ヘッドホン出力とは別に、3.5mmと2.5mmのライン出力(ボリューム固定)も搭載。こちらはボリュームおよびヘッドホンアンプをバイパスしてのライン出力となり、3.5mmはアンバランス、2.5mmはバランスとなる。3.5mm端子と2.5mm端子の両方を用いて接続する、XLRバランス出力用の専用ケーブルも使用することができる。

発表会では、KANNをプレーヤーに、マークレビンソンのプリ&パワーアンプ、JBLの“K2”「S9900」を組み合わせたデモも行われた

ライン出力は、ボリュームとヘッドホンアンプをパス。より純度の高い信号が取り出せるという

SDカードスロットは、フルサイズSDカード用とmicroSD用を独立して搭載。SDカードはそれぞれ256GBまで対応(512GBは検証中とのこと)。内蔵メモリーは64GBを搭載。最大で576GBまでの容量拡張が可能となる。

インターフェースの拡充もKANNの特徴だ

USB端子も、USB type C(充電/データ転送用)とUSB microB(USBオーディオ出力/USB-DAC入力/CDリッパー接続用)の2系統を備えている。USBオーディオ出力はクラス2.0仕様で、最大384kHz/32bit PCMおよび5.6MHz DSD(DoP出力)に対応。USB-DAC機能は、最大で384kHz/32bit PCMおよび5.6MHz DSDに対応する。

なお、充電/伝送用USB端子とオーディオ用USB端子が別系統になっているので、充電を行いながらUSBオーディオ出力を行うといった使い方も可能だ。

6,200mAhの大容量バッテリーを内蔵。急速充電にも対応

6,200mAhの大容量バッテリーを内蔵したことも特徴(AK380のバッテリー容量は3,400mAh)。最大14時間の再生が行える。通常充電(5V 2A)に加えて、急速充電(9V 1.67A)にも対応し、1時間の充電で焼く6.5時間の再生が可能となる。

ディスプレイは4インチ・タッチスクリーンで、解像度は800×400。物理ボタンはディスプレイ下に配置し、再生・曲送り・曲戻しに加えて、ホームボタン(〇ボタン)も物理ボタンとして搭載している。本体右側面に備えたジョグダイヤルが、ボリュームノブとなる。

BluetoothはaptX HDに対応。Wi-Fiを内蔵しており、本機をDLNAのプレーヤー/サーバーとしてネットワーク再生ができるAKコネクトにも対応している。

ボディにはアルミ押し出し材を採用。特徴的なボディの形状を備えるが、特に背面の凹凸については「そびえ立つ氷壁」をイメージしてデザインされたという。ボリュームノブも新たな形状を採用。横方向に回転させて音量を調整できる。

筐体のデザインは「そびえ立つ氷壁」をイメージしてデザインされた

新しい意匠のボリュームを採用。横方向に回転する

外形寸法は71.23W×115.8H×25.6Dmm、質量は278.7g。ちなみにAK380の質量は230g、AK380+AK380AMPの質量は395gとなっている。

発表会には、Astell&KernのCEOに就任したジェームス・リー氏が登場。KANNという名前は、英語の「Can」から採ったもので、「何でもできる」ことを目指した本機の特徴をひとことで表すものだと述べた。

Astell&KernのCEOに就任したジェームス・リー氏

また、ジェームス・リー氏は、Astell&Kernのプレーヤーが近い将来、MQAに対応する用意があることも明言。LDACや4.4mm5極端子についても質問を向けたが、現時点で採用する予定はないという。

さらにリー氏は、今年5月にミュンヘンで開催されるオーディオショウ“High END”にて、「アルティメットなモデルを発表する」ことも明かしてくれた。

なお、発表会で開催された曽我部恵一さんと小野島大さんのトークセッション、ジェームス・リー氏のコメントの詳細については別記事でお伝えする。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク