Netflixでのドルビービジョン/アトモス配信が開始
ドルビービジョン/アトモスは『BLAME!』をどう彩った? 吉平副監督が明かす3DCGアニメのこだわり
「頬にマルがついたり、落ち込んだときに顔に線が入ったり、急にシンプルな画になったりという“漫符”は世界ではまだ共感を得られるものではない。そのためBLAME!ではそういうものは極力入れず、演技で感情を表現するようにしている」と吉平氏は語る。
また、「ジャパニメーション自体は世界で評価されているし、それを求めている人もいる。一方で独自に進化しすぎて、ディズニーなどのCGアニメとも異なっている。我々は両方のターゲットを目指しており、お互いのいいところを最適に混ぜた形で提供できればと思っている」ともコメント。
「実写そのもののようなリアルな動きをつけたいとなった場合、それはアニメでやることでなく、実写でやればいい。アニメの魅力を僕らは捉え直さないといけない。CGの本質を僕らなりに見つけて表現していかないといけないだろう」と述べた。
■ドルビーアトモスで「仮想世界が目の前に広がっているかのような臨場感」
音声・音響面では過去のイベント等でも触れられているようにドルビーアトモスの採用が大きなポイント。「3D映像にあわせて、適切な音の定位から音を鳴らしいる。例えばエアコンの『ゴーッ』という音だったり、パイプのなかを水が流れている音だったりという、環境音が3D音響で聴こえてくることで、仮想の世界がまるで目の前に広がっているかのように臨場感をもってもらおうとしている」と吉平氏は語る。
なお、劇場公開時には特に音響にこだわった「東亜重音」上映も行った。これは音響監督が劇場で音響をすべて調整して、ベストな音響を鳴らすという試み。
「劇場ごとの設備を活かし、重低音が素晴らしい劇場であったり、音のクリアさや定位が特徴的な劇場であったり、劇場によって違う個性で見てもらえるよう調整し、非常に多くのお客様に受け入れてもらった」とのことで、「すべての劇場を回ったお客さんもいるようだ」という。
そして最後に吉平氏は「確実にこのスタイルのファンは増えている」とセルルック3DCGアニメに好感触を得ているとコメント。「手描きのアニメをCGで完璧にシミュレーションしたものがいいかというとそうでもないと思う。3Dの得意な部分を活用しつつ、アニメの本質を捉えて、観客に見てもらう喜びを届けることが我々の使命だと思っている」と締めくくった。