GH5とVARICAMのあいだを埋める「AU-EVA1」
<Inter BEE>パナソニック、80万円台の本格デジタルシネマカメラ/JVCやBlack Magic Designも要注目カメラを展示
Inter BEE 2017(2017年国際放送機器展)が、幕張メッセで11月15日から17日まで開催されている。主催はJEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)で、入場は無料。いくつかの記事に分けてInter BEEの模様をお伝えしていく。
■パナソニックは小型シネマカメラ「AU-EVA1」を訴求
パナソニックはブース正面に2つのシネマカメラを展示。1つはVARICAM(バリカム)シリーズで、VARICAM 35やVARICAM LTなど、以前から展開している機種が置かれている。
もう1つはこの秋登場した新製品「AU-EVA1」で、同社はかなり力を割き、本機のアピールを行っていた。
本機はパナソニックのラインナップの中で、“LUMIX”DMC-GH5と、4Kシネマカメラ「VARICAM LT」のあいだを埋める位置づけの、新たな5.7Kシネマカメラ。80万円台とハイアマチュアでも手が届きそうな価格帯の製品だ。また質量1.2kgと小型であることも特徴で、ドローンに搭載して撮影することも想定している。レンズはEFマウント。
新開発の5.7Kスーパー35mm MOSセンサーを搭載しており、4K/60P撮影に対応。10bit 4:2:2映像の、SDXCメモリーカード(ダブルSDカードスロット)への収録にも対応する。またV-Logガンマ、広色域V-Gamut、デュアルネイティブISO、4K/60Pの高画質ハイフレームレートといった、VARICAMシリーズの技術を継承している。なおダイナミックレンジは14ストップ。
また同社は、業務用の8Kレコーダーや4Kレコーダーも展示していた。いずれも特注品となる。
8Kレコーダー「AJ-ZS0580」は、7,680×4,320/60pの8K映像を、AVC-Intra 4:2:2コーデックで約2時間の収録・再生が可能。入出力は12G-SDI×4本(QuadLink)を用いた8K-SDI IN/OUTとなる。記録メディアにはexpressP2カード(8K記録)とmicroP2カード(HD記録)が使える。
その他同社ブースでは、UHD/HD同時出力に対応した。2/3型レンズマウント搭載の多目的4Kカメラ「AK-UB300GJ」も出展。様々な用途に使用できる汎用性の高さを強調していた。
さらに、カメラ部とプロセッサー部を分離した4Kカメラも出展。たとえばドッキリ番組など、狭いところに4Kカメラを設置するといった用途など、様々な応用が考えられるという。
■Black Magic Design
オーストラリアのBlack Magic Designは、映像の入力から出力まで、広大なブースに様々なソリューションを展示。中でも、新たなシネマカメラ「URSA Mini Pro」と「Da Vinci Resolve 14」の紹介に力を注いでいた。
URSA Mini Proは、15ストップのダイナミックレンジを持つ、スーパー35mmセンサー搭載のデジタルシネマカメラ。フルDCI 4Kを越える4,608×2,592ピクセルの映像撮影が行える。通常価格は681,800円(税抜)でレンズはEFマウント仕様。PLやB4レンズマウントはオプションで別途購入できる。
映像記録はデュアルCFast 2.0とデュアルUHS-II SDカードに両対応。CFastはフル解像度のRAW撮影、SDカードはProRes Ultra HDファイルやRAW HDファイルの収録に適しているとしている。
Da Vinci Resolveは、編集やカラーコレクション、オーディオのポスプロダクションなどを統合したソフトで、バージョン14が現在の最新版。今年6月に登場した。顔認識によって自動的に肌のトーンを整え、目や唇の色を変えるなどといった機能や、オーディオについては最大1,000チャンネルのサウンドの収録・編集・ミックス・マスタリングをフル3Dオーディオ空間で行えるなど、非常に多機能なソフトとなっている。
■JVCはDCIシネマ制作環境を技術展示
JVCは技術展示として、4Kカメラ「GY-LS300」を用い、DCIシネマ映像制作を行うというソリューションを紹介していた。DCI-P3の色域カバー率93.8%、面積比111.9%のJ-Log1モードを搭載。またJ-Log1映像をDC-X'Y'Z'とDCI-P3に変換するLUTファイルを開発し、DCPと同じカラースペースでグレーディングが可能となる。
また参考出品として、ステッチング不要で編集作業の低負荷化を実現する米RTi社製の360度カメラ「HAWK2」や、スタンドアローン型のヘッドマウントディスプレイ「IDEALENS」も出展していた。
■NECがヒアラブルデバイスのWeb API群を開発
NECでは、HEVCの低遅延対応コーデックが目を引いた。エンコーダーの「VC-9700」とデコーダーの「VD-9700」で構成されており、サイズはハーフラックサイズ。H.265 Main 10@L5.2 High Tierに対応している。独自の低遅延技術を使用することで、フルHDの場合20msec(約1フレーム程度)、4Kの場合は99msec(約6フレーム程度)の遅延に抑えられる。画質も10ビットエンコード、クロマフォーマット4:2:2に対応している。なお、上記は低遅延モードの数値で、通常遅延モードの場合、遅延は500ms - 1000ms程度となる。
もう一つ、NECが行っていた注目展示は、ヒアラブルデバイス向けのWeb APIを提供するという新たなサービスだ。試作機には様々なセンサーを組み込んでおり、他社製品でも実現している脈拍や呼吸パターンの測定、音声UIへの利用、活動量の計測、ナビゲーションなどは本試作機でも行える。
それに加えて本試作機では、一人ひとり異なる耳穴内の音響特性を測定することによって生体認証を行う技術を搭載。これは特許も出願したとのことで、同社のオンリーワン技術であるとのこと。1秒以内で認識ができ、他人を受け入れる確率は0.01%以下とのことだ。
さらに、地磁気とモーションセンサーをハイブリッドで使用することで、建物内での自分の位置を正確に測定することも可能という。具体的には2m精度の測定が行える。
また9軸モーションセンサーを使い、顔の向きを変えたり移動したりしても音源の位置を固定できる「音響AR」も世界初の技術だ。
同社では、自社でヒアラブルデバイスを作るのではなく、Web APIをメーカーに対して提供し、対価を得るというビジネスモデルを考えている。このあたりの発想も新しく、今後の展開が期待できるソリューションだ。
■フォトレポート
これ以外にも注目展示が多数行われていた。フォトレポート形式で紹介していこう。
■パナソニックは小型シネマカメラ「AU-EVA1」を訴求
パナソニックはブース正面に2つのシネマカメラを展示。1つはVARICAM(バリカム)シリーズで、VARICAM 35やVARICAM LTなど、以前から展開している機種が置かれている。
もう1つはこの秋登場した新製品「AU-EVA1」で、同社はかなり力を割き、本機のアピールを行っていた。
本機はパナソニックのラインナップの中で、“LUMIX”DMC-GH5と、4Kシネマカメラ「VARICAM LT」のあいだを埋める位置づけの、新たな5.7Kシネマカメラ。80万円台とハイアマチュアでも手が届きそうな価格帯の製品だ。また質量1.2kgと小型であることも特徴で、ドローンに搭載して撮影することも想定している。レンズはEFマウント。
新開発の5.7Kスーパー35mm MOSセンサーを搭載しており、4K/60P撮影に対応。10bit 4:2:2映像の、SDXCメモリーカード(ダブルSDカードスロット)への収録にも対応する。またV-Logガンマ、広色域V-Gamut、デュアルネイティブISO、4K/60Pの高画質ハイフレームレートといった、VARICAMシリーズの技術を継承している。なおダイナミックレンジは14ストップ。
また同社は、業務用の8Kレコーダーや4Kレコーダーも展示していた。いずれも特注品となる。
8Kレコーダー「AJ-ZS0580」は、7,680×4,320/60pの8K映像を、AVC-Intra 4:2:2コーデックで約2時間の収録・再生が可能。入出力は12G-SDI×4本(QuadLink)を用いた8K-SDI IN/OUTとなる。記録メディアにはexpressP2カード(8K記録)とmicroP2カード(HD記録)が使える。
その他同社ブースでは、UHD/HD同時出力に対応した。2/3型レンズマウント搭載の多目的4Kカメラ「AK-UB300GJ」も出展。様々な用途に使用できる汎用性の高さを強調していた。
さらに、カメラ部とプロセッサー部を分離した4Kカメラも出展。たとえばドッキリ番組など、狭いところに4Kカメラを設置するといった用途など、様々な応用が考えられるという。
■Black Magic Design
オーストラリアのBlack Magic Designは、映像の入力から出力まで、広大なブースに様々なソリューションを展示。中でも、新たなシネマカメラ「URSA Mini Pro」と「Da Vinci Resolve 14」の紹介に力を注いでいた。
URSA Mini Proは、15ストップのダイナミックレンジを持つ、スーパー35mmセンサー搭載のデジタルシネマカメラ。フルDCI 4Kを越える4,608×2,592ピクセルの映像撮影が行える。通常価格は681,800円(税抜)でレンズはEFマウント仕様。PLやB4レンズマウントはオプションで別途購入できる。
映像記録はデュアルCFast 2.0とデュアルUHS-II SDカードに両対応。CFastはフル解像度のRAW撮影、SDカードはProRes Ultra HDファイルやRAW HDファイルの収録に適しているとしている。
Da Vinci Resolveは、編集やカラーコレクション、オーディオのポスプロダクションなどを統合したソフトで、バージョン14が現在の最新版。今年6月に登場した。顔認識によって自動的に肌のトーンを整え、目や唇の色を変えるなどといった機能や、オーディオについては最大1,000チャンネルのサウンドの収録・編集・ミックス・マスタリングをフル3Dオーディオ空間で行えるなど、非常に多機能なソフトとなっている。
■JVCはDCIシネマ制作環境を技術展示
JVCは技術展示として、4Kカメラ「GY-LS300」を用い、DCIシネマ映像制作を行うというソリューションを紹介していた。DCI-P3の色域カバー率93.8%、面積比111.9%のJ-Log1モードを搭載。またJ-Log1映像をDC-X'Y'Z'とDCI-P3に変換するLUTファイルを開発し、DCPと同じカラースペースでグレーディングが可能となる。
また参考出品として、ステッチング不要で編集作業の低負荷化を実現する米RTi社製の360度カメラ「HAWK2」や、スタンドアローン型のヘッドマウントディスプレイ「IDEALENS」も出展していた。
■NECがヒアラブルデバイスのWeb API群を開発
NECでは、HEVCの低遅延対応コーデックが目を引いた。エンコーダーの「VC-9700」とデコーダーの「VD-9700」で構成されており、サイズはハーフラックサイズ。H.265 Main 10@L5.2 High Tierに対応している。独自の低遅延技術を使用することで、フルHDの場合20msec(約1フレーム程度)、4Kの場合は99msec(約6フレーム程度)の遅延に抑えられる。画質も10ビットエンコード、クロマフォーマット4:2:2に対応している。なお、上記は低遅延モードの数値で、通常遅延モードの場合、遅延は500ms - 1000ms程度となる。
もう一つ、NECが行っていた注目展示は、ヒアラブルデバイス向けのWeb APIを提供するという新たなサービスだ。試作機には様々なセンサーを組み込んでおり、他社製品でも実現している脈拍や呼吸パターンの測定、音声UIへの利用、活動量の計測、ナビゲーションなどは本試作機でも行える。
それに加えて本試作機では、一人ひとり異なる耳穴内の音響特性を測定することによって生体認証を行う技術を搭載。これは特許も出願したとのことで、同社のオンリーワン技術であるとのこと。1秒以内で認識ができ、他人を受け入れる確率は0.01%以下とのことだ。
さらに、地磁気とモーションセンサーをハイブリッドで使用することで、建物内での自分の位置を正確に測定することも可能という。具体的には2m精度の測定が行える。
また9軸モーションセンサーを使い、顔の向きを変えたり移動したりしても音源の位置を固定できる「音響AR」も世界初の技術だ。
同社では、自社でヒアラブルデバイスを作るのではなく、Web APIをメーカーに対して提供し、対価を得るというビジネスモデルを考えている。このあたりの発想も新しく、今後の展開が期待できるソリューションだ。
■フォトレポート
これ以外にも注目展示が多数行われていた。フォトレポート形式で紹介していこう。