「AQUOS 8K WORLD」展開へ
シャープ、8K/60型テレビを50万円程度目指し発売。「8Kワールドを広げる」
本日シャープ(株)は、報道向けのテレビ事業説明会を、グリーンフロント堺にある同社本社にて開催した。
同社テレビ事業をワールドワイドで管掌している、同社TVシステム事業本部 本部長 喜多村和洋氏は、今後同社が8Kに力を入れていくことを改めて強調した。
喜多村氏は「今年は『8K第2展開』の年。2018年内に、8Kテレビのラインナップを広げるだけでなく、チューナーやサウンドバーを含め、8K対応商品をトータルで広げていく。8Kオーディオビジュアルワールドを『AQUOS 8K WORLD』として展開する」と説明した。
さらに喜多村氏は、「60V型の8Kテレビを現在の70型の半額で販売することを目指す」とコメントした。現在シャープが販売している70型8Kテレビ「LC-70X500」の販売価格は100万円程度のため、50万円程度で販売することになる。さらに80型の8Kテレビも投入する。
またこれまで同社が説明していた通り、外付けチューナーについても、4K対応チューナーと8K対応チューナーを用意し、発売する。これらの発売時期については「2018年12月1日に新4K8K衛星放送が始まるので、それにはもちろん間に合わせる。おそらく1ヶ月くらい前までには発売できるのではないか」とした。
■「8Kは現実のものに」
喜多村氏は8Kについて「色々な方から、今は4Kだよ、8Kはまだまだ先だよ、と言われる」と切り出し、「そのような声もあるなか、8K市場をいかに創出し、エコシステムをいかに作っていくかが我々の役目」とした。
さらに同氏は、これまでの8Kの動きを改めて説明。今年12月1日に8K放送が迫っていることを紹介し、8K放送の有料コンテンツが順次拡大し、機材面では8K放送の中継車も用意されたとアピールした。
またハリウッド映画も、最近では8K撮影されているものがあり、こういった映像素材が将来的に販売される可能性もある、と指摘。さらにゲームについても、ファイナルファンタジーの最新バージョンが8Kに対応しており、「こういったものも普及の後押しになるのではないかと期待している」と述べた。
カメラについても、ニコンのハイエンドモデルが8Kタイムラプス撮影に対応。さらに撮影からネットへのアップロード対応も広がりつつあり、YouTubeも8K動画の投稿や再生に対応している、とした。
また喜多村氏は、ほかの液晶パネルベンダーの8K開発が進行していることを、ポジティブな要素として紹介した。シャープは70インチと85インチを商品化済みだが、ほかに韓国や中国メーカーもパネルを生産、あるいは開発中であると説明し、「もちろんシャープが8Kをリードしていくが、全世界的に8Kパネルが作られている」と喜多村氏は語った。これはもちろん、8Kを推しているのはシャープだけではない、というメッセージだ。
エンターテイメント以外にも8Kの可能性はあり、そのようなトータルソリューションを提供したい、と喜多村氏は展望を語る。例として医療用カメラを共同研究していることや、美術品の臨場感を見せていくなどのソリューションを挙げ、「色々な事例を作りながら可能性を広げていきたい」とした。
なお同社は、70型8Kテレビ「LC-70X500」を2017年度に国内で1,000台販売することを目標にしていたが、その目標は達成できなかったとのこと。喜多村氏は「全体的に有機ELに参入したメーカーが多く、競り負けている部分はある」と語りながらも、「ただし、有機ELと8Kは良さが違う。お客様のニーズに合ったところにはしっかり提案ができた」と続けた。なお8Kテレビについては、他地域での販売が予想外に伸び、その未達分を上回る実績を残せたという。
■「有機ELテレビは8Kでやりたい」
記者からは有機ELについての質問も相次いだ。喜多村氏は「8Kなのか、有機ELなのか、はたまたマイクロLEDなのか、いろいろ話があるが、我々が考えているのは『お客様にもっとも感動を提供できる映像はなにか?』ということ。それを実現できるのが8K」とし、「現時点で8Kをいち早く実現できる唯一の技術が液晶だ」と語った。
また喜多村氏は、「有機ELと液晶はそれぞれ違う特徴を持っている。有機ELには黒の締まりという良い部分があるし、液晶には液晶ならではの良さがある」と述べ、今後はそれらのデバイスの違いより、「4Kなのか8Kなのか」が商品選びのポイントになる、との見通しも示した。
ただ同社は、有機ELテレビの発売も検討している、とこれまで何度か明らかにしている。そのことについて聞かれた喜多村氏は「できれば8Kの有機ELをやりたい」と答えた。この回答から判断する限り、今同社が4K有機ELテレビを投入する可能性は低そうだ。
■業界初にこだわってきたテレビ事業。足下は順調、'18年度も伸ばす
喜多村氏は、同社がテレビの歴史において、1953年の白黒国産第一号テレビ「TV3-14T」にはじまり、1978年には2画面テレビを発売したり、BSデジタル放送チューナー内蔵テレビ、地上デジタル放送チューナー内蔵テレビなどでも業界初を実現するなど、「放送インフラの節目節目で新たな提案をしてきた」と説明した。
足下の販売も好調だ。2017年度にシャープは、テレビ販売1,000万台を達成し、V字回復に成功した。
この理由について喜多村氏は「地域別に最適化した施策を打った」と説明。特に中国での、鴻海との協業による販売拡大は大きかったという。そのほか欧州はUMCの拡大を行ったほか、IFAにおいても「Sharp is back!」を宣言し、再スタートを切った。
中国を除くアジア圏では、台湾でテレビ販売の再開を行い、テレビCMを打つなど積極的なプロモーションを行った。そのほか、マレーシア、フィリピン、タイなどでも、地域ごとにあわせたマーケティングを実施。タイ国政府官公庁とMOUを締結し、タイの名所旧跡を8Kで撮影し、アピールする試みも行っているのだという。
こうした販売戦略を行った結果、同社テレビ事業の海外比率は大きく上がり、2016年度に6割だったものが、2017年度には8割になった。グローバルのシェアも上昇した。
これらの状況を受け、2018年度はさらに積極的にテレビ事業を推進する。「すでに1,000万台を超えているが、これをさらに伸ばしていく」と喜多村氏は意気込む。
なお2018年度の販売台数目標については、「事業環境が大きく変わる可能性があり、頭の中にはあるが、今日は答えられない」(同)とのこと。なお喜多村氏によると、国内での販売台数は現状、横ばい程度を想定しているとのことで、つまり海外での販売をさらに強化する計画だ。
海外市場では、地域ごとに合ったローカルフィットモデルの投入を強化するほか、モンゴルやラオス、バングラデシュなど、「空白市場」へも進出する。また中国市場では、鴻海との協業をさらに拡大していくという。
同社テレビ事業をワールドワイドで管掌している、同社TVシステム事業本部 本部長 喜多村和洋氏は、今後同社が8Kに力を入れていくことを改めて強調した。
喜多村氏は「今年は『8K第2展開』の年。2018年内に、8Kテレビのラインナップを広げるだけでなく、チューナーやサウンドバーを含め、8K対応商品をトータルで広げていく。8Kオーディオビジュアルワールドを『AQUOS 8K WORLD』として展開する」と説明した。
さらに喜多村氏は、「60V型の8Kテレビを現在の70型の半額で販売することを目指す」とコメントした。現在シャープが販売している70型8Kテレビ「LC-70X500」の販売価格は100万円程度のため、50万円程度で販売することになる。さらに80型の8Kテレビも投入する。
またこれまで同社が説明していた通り、外付けチューナーについても、4K対応チューナーと8K対応チューナーを用意し、発売する。これらの発売時期については「2018年12月1日に新4K8K衛星放送が始まるので、それにはもちろん間に合わせる。おそらく1ヶ月くらい前までには発売できるのではないか」とした。
■「8Kは現実のものに」
喜多村氏は8Kについて「色々な方から、今は4Kだよ、8Kはまだまだ先だよ、と言われる」と切り出し、「そのような声もあるなか、8K市場をいかに創出し、エコシステムをいかに作っていくかが我々の役目」とした。
さらに同氏は、これまでの8Kの動きを改めて説明。今年12月1日に8K放送が迫っていることを紹介し、8K放送の有料コンテンツが順次拡大し、機材面では8K放送の中継車も用意されたとアピールした。
またハリウッド映画も、最近では8K撮影されているものがあり、こういった映像素材が将来的に販売される可能性もある、と指摘。さらにゲームについても、ファイナルファンタジーの最新バージョンが8Kに対応しており、「こういったものも普及の後押しになるのではないかと期待している」と述べた。
カメラについても、ニコンのハイエンドモデルが8Kタイムラプス撮影に対応。さらに撮影からネットへのアップロード対応も広がりつつあり、YouTubeも8K動画の投稿や再生に対応している、とした。
また喜多村氏は、ほかの液晶パネルベンダーの8K開発が進行していることを、ポジティブな要素として紹介した。シャープは70インチと85インチを商品化済みだが、ほかに韓国や中国メーカーもパネルを生産、あるいは開発中であると説明し、「もちろんシャープが8Kをリードしていくが、全世界的に8Kパネルが作られている」と喜多村氏は語った。これはもちろん、8Kを推しているのはシャープだけではない、というメッセージだ。
エンターテイメント以外にも8Kの可能性はあり、そのようなトータルソリューションを提供したい、と喜多村氏は展望を語る。例として医療用カメラを共同研究していることや、美術品の臨場感を見せていくなどのソリューションを挙げ、「色々な事例を作りながら可能性を広げていきたい」とした。
なお同社は、70型8Kテレビ「LC-70X500」を2017年度に国内で1,000台販売することを目標にしていたが、その目標は達成できなかったとのこと。喜多村氏は「全体的に有機ELに参入したメーカーが多く、競り負けている部分はある」と語りながらも、「ただし、有機ELと8Kは良さが違う。お客様のニーズに合ったところにはしっかり提案ができた」と続けた。なお8Kテレビについては、他地域での販売が予想外に伸び、その未達分を上回る実績を残せたという。
■「有機ELテレビは8Kでやりたい」
記者からは有機ELについての質問も相次いだ。喜多村氏は「8Kなのか、有機ELなのか、はたまたマイクロLEDなのか、いろいろ話があるが、我々が考えているのは『お客様にもっとも感動を提供できる映像はなにか?』ということ。それを実現できるのが8K」とし、「現時点で8Kをいち早く実現できる唯一の技術が液晶だ」と語った。
また喜多村氏は、「有機ELと液晶はそれぞれ違う特徴を持っている。有機ELには黒の締まりという良い部分があるし、液晶には液晶ならではの良さがある」と述べ、今後はそれらのデバイスの違いより、「4Kなのか8Kなのか」が商品選びのポイントになる、との見通しも示した。
ただ同社は、有機ELテレビの発売も検討している、とこれまで何度か明らかにしている。そのことについて聞かれた喜多村氏は「できれば8Kの有機ELをやりたい」と答えた。この回答から判断する限り、今同社が4K有機ELテレビを投入する可能性は低そうだ。
■業界初にこだわってきたテレビ事業。足下は順調、'18年度も伸ばす
喜多村氏は、同社がテレビの歴史において、1953年の白黒国産第一号テレビ「TV3-14T」にはじまり、1978年には2画面テレビを発売したり、BSデジタル放送チューナー内蔵テレビ、地上デジタル放送チューナー内蔵テレビなどでも業界初を実現するなど、「放送インフラの節目節目で新たな提案をしてきた」と説明した。
足下の販売も好調だ。2017年度にシャープは、テレビ販売1,000万台を達成し、V字回復に成功した。
この理由について喜多村氏は「地域別に最適化した施策を打った」と説明。特に中国での、鴻海との協業による販売拡大は大きかったという。そのほか欧州はUMCの拡大を行ったほか、IFAにおいても「Sharp is back!」を宣言し、再スタートを切った。
中国を除くアジア圏では、台湾でテレビ販売の再開を行い、テレビCMを打つなど積極的なプロモーションを行った。そのほか、マレーシア、フィリピン、タイなどでも、地域ごとにあわせたマーケティングを実施。タイ国政府官公庁とMOUを締結し、タイの名所旧跡を8Kで撮影し、アピールする試みも行っているのだという。
こうした販売戦略を行った結果、同社テレビ事業の海外比率は大きく上がり、2016年度に6割だったものが、2017年度には8割になった。グローバルのシェアも上昇した。
これらの状況を受け、2018年度はさらに積極的にテレビ事業を推進する。「すでに1,000万台を超えているが、これをさらに伸ばしていく」と喜多村氏は意気込む。
なお2018年度の販売台数目標については、「事業環境が大きく変わる可能性があり、頭の中にはあるが、今日は答えられない」(同)とのこと。なお喜多村氏によると、国内での販売台数は現状、横ばい程度を想定しているとのことで、つまり海外での販売をさらに強化する計画だ。
海外市場では、地域ごとに合ったローカルフィットモデルの投入を強化するほか、モンゴルやラオス、バングラデシュなど、「空白市場」へも進出する。また中国市場では、鴻海との協業をさらに拡大していくという。