今年12月1日開始を控えA-PABがメディアツアー実施
新4K8K衛星放送スタートに向け準備着々。NHK/スカパー/QVCが番組内容や対応状況を公開
NHKは本日、この8Kチャンネルで宝塚歌劇団5組全部の新作を、新たに8K収録して放送することを発表。12月から来年8月にかけて、雪組・月組・宙組・星組・花組の公演を順次8K放送する。番組担当者は「我々は『あなただけの特等席』というキャッチコピーで8Kをアピールしているが、まさにそれを感じてもらえる番組だ」とアピールした。
また、ルーブル美術館と国際共同制作した「8Kルーブル美術館 〜美の殿堂の600年〜」(仮)も放送。「モナ・リザ」を始めとするルーブル美術館収蔵作品数十点を8Kで撮影し、60分番組4本として制作・放送する。こちらは2019年の完成を目指しているという。
加えて、8Kスーパーハイビジョン試験放送で現在放送中の「8Kタイムラプス紀行」も新作を制作しBS 8Kチャンネルで順次放送予定。こちらは全国各地の名所をタイムラプス撮影した5分のミニ番組で、8Kの3,300万画素を超える5,000万画素の一眼レフカメラを使い、「名所の美しさや風景の広がりを奥行き感のある8K映像にした」という。今年度は20本ほどの新作を制作予定だとしている。
そのほか、放送日は未定だがメキシコ・ユカタン半島にある水中鍾乳洞の内部を8K撮影した「神秘の水中鍾乳洞 セノーテ」(仮)も放送。同番組は22.2ch対応音声スタジオで制作を進めているという。
なお、NHKでは「インタラクティブ8Kビューワー」など放送以外での8Kコンテンツ活用も模索。NASAの協力の下、アポロ計画で撮影された写真を8Kスキャンし、ユーザーが自由に拡大縮小して閲覧できる「アポロが撮影した月面」などを、今後の様々なイベントで展示していく。
■QVCはテレビ通販を24時間365日“ピュア4K”で生放送
テレビショピングのQVCは、「4K QVC」をチャンネル名称として4K放送を展開予定。現在の2K放送で行っているものと同様に、4Kでも24時間365日すべて生放送を行う。QVCジャパン、およびその傘下で4K QVCの放送業務を担うQVCサテライト両方の代表取締役社長である内田康幸氏は「24時間365日、“ピュア4K”で放送を行う」とコメントした。
内田氏は、4K HDR化によって商品の質感や細部が伝わりやすくなることが同社にとってのメリットだと説明。「(放送の段階で商品をしっかり確認できるため)手元に届いてから『なんだか思っていたものと違うな』という返品が少なくなるのではないか」とした。
同社では幕張の本社社屋に2つのスタジオを構えて番組をすべて自主制作。1つのスタジオに8台のカメラを設置し、そのカメラを副調整室から一人のスタッフが遠隔操作するというユニークな手法を採るなどしている。
現在は12月の新4K衛星放送開始に向けて、こうしたカメラを始めとする各種機材の4K化を進めている段階。副調整室や編集ルームなども含めて撮影・放送関係機材はすべて4K対応させ、新4K衛星放送開始後の現行の2K放送には4K制作した番組をダウンコンバートして放送するという。
なお、QVCは本国アメリカを始め世界7ヶ国で現在サービスを展開中だが、4K HDR対応は日本が初めて。日本で蓄積したノウハウをもとに海外にも4Kを広げていくのも中長期的な目的のひとつだとした。
一方で内田氏は「4K放送になったから商品をご購入いただけるようになると単純には考えていない。あくまでも主役は商品だ」とコメント。「4K HDRの優位性を活かし、商品をリアルに映すことで、新しい次元のショッピング体験をお客様に提供していきたい。ショッピング体験の質を向上させたいというのが我々の想いだ」と語った。
本日のツアーでは3社がそれぞれ4K制作設備などを披露。スカパー!では新たに110度CS左旋用送信アンテナ2基(1基は予備)を屋上に建設中であるほか、マスターコントロールルームを始めとする各設備も新たに構築中であるという。
記者が特に印象的だったのが、各社とも現行の2Kとほぼ変わらないオペレーションで4K制作を行えるように設備構築を心がけている点。現在使用しているものと同じメーカーの4Kカメラを導入するなど、スタッフがスムーズに4K制作に移行できるようにしていた。
なお、A-PABでは来る6月1日にメディアへ向けて新4K8K衛星放送の開始半年前記念イベントを開催する予定。もちろん当ファイルウェブでもレポートする予定だ。