NTTぷららとパナソニックのトライアルに密着
次世代のスポーツ観戦/ライブ鑑賞はこうなる? 新感覚が味わえるライブビューイングを体験
スポーツや音楽ライブを始めとするイベントを離れた会場で生中継視聴するパブリックビューイング。それをさらに一歩推し進めたシステムの実証実験が過日に開催された。NTTぷららとパナソニックシステムソリューションズジャパンによる「高臨場多拠点同時ライブビューイング」(関連ニュース)のトライアルである。10月20日のJリーグ「ガンバ大阪 VS 横浜F・マリノス」で行われた実験を編集部記者も体験してきたのでレポートしたい。
「高臨場多拠点同時ライブビューイング」は、テレビ放送用の中継映像と現地の観客席からの映像、さらに試合中の各種データなどを組み合わせ、離れた複数の会場に配信して楽しめるというもの。通常のパブリックビューイングではテレビ中継映像のみを視聴することが一般的だが、今回のシステムでは観客席からの映像も組み合わせることで、現地にいるような感覚も味わえるようにした。
また、複数会場で異なる画面構成にすることが可能な点も一般的なパブリックビューイングとの違いだ。今回のトライアルでは、コアなサポーターが陣取るゴール裏からの全天周映像を背景に大きく使った画面構成と、中継映像や試合データ等を大きくした画面構成という2パターンを体験することができた。
ライブビューイング会場は、VR・ARカフェバー「VREX」(ヴィレックス)の渋谷宮益坂店と、カラオケ「ビッグエコー」の渋谷店の2箇所。VREXには正面に幅6m×高さ2mのスクリーン、両サイドに4m×2mのスクリーンを組み合わせた3面のスクリーンを設置し、その全面に現地スタジアム観客席の映像を投映。まるでゴール裏観客席にいるかのような映像を背景に、ピクチャー・イン・ピクチャーのような形で中継映像や試合データを上映する格好となった。
ビッグエコー会場では、前半はVREXと同様の映像を上映し、後半から画面構成を変更。正面の壁にはテレビ等での中継映像、側面の壁には各選手の走行距離やパス成功率など詳細なデータ、もう一方の壁には実況アナウンサーと解説者(今回は田中雄介アナと松木安太郎氏を起用)の様子を映し出す構成が体験できた。
スタジアム観客席からの映像は、パナソニック「DC-GH5S」に魚眼レンズを取り付けて4K/60p撮影。この映像をNTTぷららのメディアセンターへ4K/30pで送り、そこから渋谷のVREXとビッグエコーに配信するというシステム。信号伝送には光回線網を使い、オリハルコンテクノロジーズ社製PC用VRソフトを通して再生を行った。
実際に体験してみると、側面スクリーンにも多数のサポーターが映っている(しかも動いている)ことで、たしかに現地にいるかのような感覚を味わえる。一般的なパブリックビューイングとは一味違った体験だ。「今回は天井高が足らずに3面での上映となったが、天井面にもスクリーンを追加することが可能。そうすればさらに臨場感を高められる」(スタッフ)という。
ただ、元が4K撮影とは言え、全天周映像を切り出して(VREX会場では)横14mに引き伸ばしているため、解像度の低さは否めない。手前側のゴール前での攻防であっても選手の顔や背番号はハッキリ認識できず、おのずと試合内容はワイプで上映される中継用映像での視聴がメインとなる。現時点ではあくまで、現地観客席映像は臨場感の演出と割り切って楽しむことになるだろう。
なお、ビッグエコー会場では投射サイズがVREX会場よりも小さいため、解像度の低さはVREX会場よりは気にならなかった。今後の実用化に向けては、大画面にも耐えられる高解像度上映の実現を期待したい。
一方、ビッグエコー会場で試合後半に行われた「正面に大きな中継映像、側面に詳細データと実況解説映像」という構成のほうが現時点では“アリ”ではないかと感じた。壁面いっぱいに選手ごとのヒートマップや走行距離、パス数ランキングなどの詳細なデータを横目で見ながらの試合観戦はなかなか興味深かった。
そのほか、ライブビューイング会場にはウェブカメラが設置されており、その映像をもとに実況・解説ブースが“客いじり”を行えるという双方向性も面白い。一方、試合開始前に実況音声のない現地音声のみの状態でサポーターのチャントを聴いているのも臨場感があったので、実況・解説のオンオフを会場側で自由に設定できるようになるとなお良いかもしれない。
まだトライアル段階ということで、正直に言えば物足りない部分もあったのは事実。しかしサッカーファンの記者にとって、それを補って余りあるくらいに大きな可能性も感じた。スポーツだけでなく、音楽ライブでもいろいろと活用できるのではないかとも思う。
2019年にラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピックと大きなスポーツイベントを控えている日本。記者の勝手な推測となるが、パナソニックはオリンピック・パラリンピックの公式パートナーを長く務めていることもあり、おそらく“2020”も視野に入れているのではないだろうか。トライアルでノウハウを蓄積し、完成度を高めて早期の実用化をぜひ期待したい。
「高臨場多拠点同時ライブビューイング」は、テレビ放送用の中継映像と現地の観客席からの映像、さらに試合中の各種データなどを組み合わせ、離れた複数の会場に配信して楽しめるというもの。通常のパブリックビューイングではテレビ中継映像のみを視聴することが一般的だが、今回のシステムでは観客席からの映像も組み合わせることで、現地にいるような感覚も味わえるようにした。
また、複数会場で異なる画面構成にすることが可能な点も一般的なパブリックビューイングとの違いだ。今回のトライアルでは、コアなサポーターが陣取るゴール裏からの全天周映像を背景に大きく使った画面構成と、中継映像や試合データ等を大きくした画面構成という2パターンを体験することができた。
ライブビューイング会場は、VR・ARカフェバー「VREX」(ヴィレックス)の渋谷宮益坂店と、カラオケ「ビッグエコー」の渋谷店の2箇所。VREXには正面に幅6m×高さ2mのスクリーン、両サイドに4m×2mのスクリーンを組み合わせた3面のスクリーンを設置し、その全面に現地スタジアム観客席の映像を投映。まるでゴール裏観客席にいるかのような映像を背景に、ピクチャー・イン・ピクチャーのような形で中継映像や試合データを上映する格好となった。
ビッグエコー会場では、前半はVREXと同様の映像を上映し、後半から画面構成を変更。正面の壁にはテレビ等での中継映像、側面の壁には各選手の走行距離やパス成功率など詳細なデータ、もう一方の壁には実況アナウンサーと解説者(今回は田中雄介アナと松木安太郎氏を起用)の様子を映し出す構成が体験できた。
スタジアム観客席からの映像は、パナソニック「DC-GH5S」に魚眼レンズを取り付けて4K/60p撮影。この映像をNTTぷららのメディアセンターへ4K/30pで送り、そこから渋谷のVREXとビッグエコーに配信するというシステム。信号伝送には光回線網を使い、オリハルコンテクノロジーズ社製PC用VRソフトを通して再生を行った。
実際に体験してみると、側面スクリーンにも多数のサポーターが映っている(しかも動いている)ことで、たしかに現地にいるかのような感覚を味わえる。一般的なパブリックビューイングとは一味違った体験だ。「今回は天井高が足らずに3面での上映となったが、天井面にもスクリーンを追加することが可能。そうすればさらに臨場感を高められる」(スタッフ)という。
ただ、元が4K撮影とは言え、全天周映像を切り出して(VREX会場では)横14mに引き伸ばしているため、解像度の低さは否めない。手前側のゴール前での攻防であっても選手の顔や背番号はハッキリ認識できず、おのずと試合内容はワイプで上映される中継用映像での視聴がメインとなる。現時点ではあくまで、現地観客席映像は臨場感の演出と割り切って楽しむことになるだろう。
なお、ビッグエコー会場では投射サイズがVREX会場よりも小さいため、解像度の低さはVREX会場よりは気にならなかった。今後の実用化に向けては、大画面にも耐えられる高解像度上映の実現を期待したい。
一方、ビッグエコー会場で試合後半に行われた「正面に大きな中継映像、側面に詳細データと実況解説映像」という構成のほうが現時点では“アリ”ではないかと感じた。壁面いっぱいに選手ごとのヒートマップや走行距離、パス数ランキングなどの詳細なデータを横目で見ながらの試合観戦はなかなか興味深かった。
そのほか、ライブビューイング会場にはウェブカメラが設置されており、その映像をもとに実況・解説ブースが“客いじり”を行えるという双方向性も面白い。一方、試合開始前に実況音声のない現地音声のみの状態でサポーターのチャントを聴いているのも臨場感があったので、実況・解説のオンオフを会場側で自由に設定できるようになるとなお良いかもしれない。
まだトライアル段階ということで、正直に言えば物足りない部分もあったのは事実。しかしサッカーファンの記者にとって、それを補って余りあるくらいに大きな可能性も感じた。スポーツだけでなく、音楽ライブでもいろいろと活用できるのではないかとも思う。
2019年にラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピックと大きなスポーツイベントを控えている日本。記者の勝手な推測となるが、パナソニックはオリンピック・パラリンピックの公式パートナーを長く務めていることもあり、おそらく“2020”も視野に入れているのではないだろうか。トライアルでノウハウを蓄積し、完成度を高めて早期の実用化をぜひ期待したい。