アップルTIPS
米アップル、App Store売上手数料の引き下げを決定。条件付きで30%から15%に
米アップルは、自社が運営するアプリ・ゲームのダウンロードサービスであるApp Storeの外部デベロッパが、有料アプリの販売、およびアプリ内課金やサブスクリプション課金により得た売上高から一部徴収する手数料を条件付きで引き下げることを決めた。
■個人・小規模組織のデベロッパがApp Storeに参加しやすい環境をつくる
「App Store Small Business Program」(以下:スモールビジネスプログラム)という名称で2021年1月1日から新しくスタートする施策は、現在も続く新型コロナウイルス感染症の影響等により経済的なダメージを被るデベロッパ、およびこれからデベロッパとして起業を目指す個人や小規模な企業・組織などサードパーティの開発者たちの活動を支えることを目的としている。
アップルは2008年にApp Storeのサービスを立ち上げ、以来外部のデベロッパに対して有料アプリの販売とサブスクリプションを含むアプリ内購入から、発生した売り上げに対して均等に30%の手数料を徴収している。
App Storeのスモールビジネスプログラムでは、米ドル換算で年間100万ドル(約1億円)の売り上げをしきい値に設けて、デベロッパがアップルに支払う手数料を差し引いた年間収益が100万ドル以内だった場合、新規にあるいは年間単位で契約を継続するデベロッパ登録の種類に関わらず、翌年の始めから支払手数料が15%に下がる。
デベロッパの年間収益が100万ドルを超えた場合、その年の残りの期間については標準の手数料率である30%に戻る。また再びデベロッパの収益が下がった場合については基準に従って翌年から手数料率15%の対象になるという仕組みだ。
同プログラムは特定期間に限定して実施されるものではなく、今後App Storeでビジネスを展開するデベロッパに向けた手数料課金システムとして恒久的に組み込まれる。また手数料変更の対象になるデベロッパに対しても、アップルは従来通り必要な開発ツールや技術のパッケージ提供を行う。
App Storeのデベロッパ登録は全世界に向けて開かれた「Apple Developer Program」のフォーマットから行える。手数料等の支払いも現地通貨による決済に対応している。新しいスモールビジネスプログラムへの参加資格に対するデベロッパに向けた詳しい情報は12月上旬の発表を予定している。
なお、今回発表されたスモールビジネスプログラムはApp Storeのアプリやサービスの開発を手がけるデベロッパが対象になり、Apple Musicなどアップルが提供する他のビジネスプラットフォームについては対象外となる。
■App Store経済圏に与える影響にも注目が集まる
デベロッパにとっては手数料の負担が下がることによって生まれるリソースの余力を、例えばアプリの無料トライアルの提供による顧客拡大のためのプロモーションに当てたり、あるいはコロナ禍の影響により仕様変更を求められるアプリ・サービスの開発費用にも割けることになる。現在世界で約2,800万以上が登録していると言われるApp Storeのデベロッパが、今後もリスクに立ち向かいながら良質なアプリをユーザーに届けるための一助になるはずだ。
過日アップルが独自に設計・開発したApple M1チップを搭載するMacの新機種が発売され、macOS Big SurのApp StoreからはiPhone/iPadアプリをMacにダウンロードして使えるようにもなった。今後は小規模のデベロッパが手がけるものも含めて、多くのアプリがM1システムに対応することをデバイスのユーザーも期待している。アップルのエコシステムが拡大する中で、多くのデベロッパがチャンスをつかめる環境を整えることはアップルにとっても急務だ。
アップルは今年6月15日に公開した「App Store経済圏」に関連するプレス発表の中で、App Storeでの2019年の総売上高が5,190億ドルに到達したことを伝えている。当プレス発表の中でアップルは「Appleはデジタルグッズ・サービスに関連する売上の手数料だけを受け取っており、総額5,190億ドルの85%以上は、Apple以外の大中小あらゆる規模の開発者と事業者に生じたもの」であることを強調している。今回のアップルの決定が来年以降に「App Store経済圏」の拡大にどのような影響を及ぼすのか注目する必要がありそうだ。
■個人・小規模組織のデベロッパがApp Storeに参加しやすい環境をつくる
「App Store Small Business Program」(以下:スモールビジネスプログラム)という名称で2021年1月1日から新しくスタートする施策は、現在も続く新型コロナウイルス感染症の影響等により経済的なダメージを被るデベロッパ、およびこれからデベロッパとして起業を目指す個人や小規模な企業・組織などサードパーティの開発者たちの活動を支えることを目的としている。
アップルは2008年にApp Storeのサービスを立ち上げ、以来外部のデベロッパに対して有料アプリの販売とサブスクリプションを含むアプリ内購入から、発生した売り上げに対して均等に30%の手数料を徴収している。
App Storeのスモールビジネスプログラムでは、米ドル換算で年間100万ドル(約1億円)の売り上げをしきい値に設けて、デベロッパがアップルに支払う手数料を差し引いた年間収益が100万ドル以内だった場合、新規にあるいは年間単位で契約を継続するデベロッパ登録の種類に関わらず、翌年の始めから支払手数料が15%に下がる。
デベロッパの年間収益が100万ドルを超えた場合、その年の残りの期間については標準の手数料率である30%に戻る。また再びデベロッパの収益が下がった場合については基準に従って翌年から手数料率15%の対象になるという仕組みだ。
同プログラムは特定期間に限定して実施されるものではなく、今後App Storeでビジネスを展開するデベロッパに向けた手数料課金システムとして恒久的に組み込まれる。また手数料変更の対象になるデベロッパに対しても、アップルは従来通り必要な開発ツールや技術のパッケージ提供を行う。
App Storeのデベロッパ登録は全世界に向けて開かれた「Apple Developer Program」のフォーマットから行える。手数料等の支払いも現地通貨による決済に対応している。新しいスモールビジネスプログラムへの参加資格に対するデベロッパに向けた詳しい情報は12月上旬の発表を予定している。
なお、今回発表されたスモールビジネスプログラムはApp Storeのアプリやサービスの開発を手がけるデベロッパが対象になり、Apple Musicなどアップルが提供する他のビジネスプラットフォームについては対象外となる。
■App Store経済圏に与える影響にも注目が集まる
デベロッパにとっては手数料の負担が下がることによって生まれるリソースの余力を、例えばアプリの無料トライアルの提供による顧客拡大のためのプロモーションに当てたり、あるいはコロナ禍の影響により仕様変更を求められるアプリ・サービスの開発費用にも割けることになる。現在世界で約2,800万以上が登録していると言われるApp Storeのデベロッパが、今後もリスクに立ち向かいながら良質なアプリをユーザーに届けるための一助になるはずだ。
過日アップルが独自に設計・開発したApple M1チップを搭載するMacの新機種が発売され、macOS Big SurのApp StoreからはiPhone/iPadアプリをMacにダウンロードして使えるようにもなった。今後は小規模のデベロッパが手がけるものも含めて、多くのアプリがM1システムに対応することをデバイスのユーザーも期待している。アップルのエコシステムが拡大する中で、多くのデベロッパがチャンスをつかめる環境を整えることはアップルにとっても急務だ。
アップルは今年6月15日に公開した「App Store経済圏」に関連するプレス発表の中で、App Storeでの2019年の総売上高が5,190億ドルに到達したことを伝えている。当プレス発表の中でアップルは「Appleはデジタルグッズ・サービスに関連する売上の手数料だけを受け取っており、総額5,190億ドルの85%以上は、Apple以外の大中小あらゆる規模の開発者と事業者に生じたもの」であることを強調している。今回のアップルの決定が来年以降に「App Store経済圏」の拡大にどのような影響を及ぼすのか注目する必要がありそうだ。