知っていても意味はわからない?
あなたは「Sマーク」をご存じですか。電気製品の安全性を示す目印の認知率は25.3%
■Sマークの意味をきちんと理解して家電を選ぶ
モバイルバッテリーの発火事故など、生活に身近な電気製品の事故から身を守るためには、正しい使い方はもちろん、製品選びも重要なポイントのひとつ。その重要な目印のひとつともなる「Sマーク」をあなたはご存じだろうか。また、その意味をきちんと理解しているだろうか。
「Sマーク」とは、家電製品の安全性を示す目印となるもので、国内外から信頼を得た公正・中立な第三者認証機関において、多項目からなる安全試験や工場での品質検査など、厳しい安全基準をクリアした製品にのみ付与される。テレビ、冷蔵庫、洗濯機など、電気製品の約7割にSマークが付いており、製品のモデル名や製造年月、使用電圧などが記されたシール内等に記載されている。
同マークの普及と運用を担う電気製品認証協議会(SCEA)ではこのほど、サンケイリビング新聞社の協力のもと、この「Sマーク」に関するアンケートを実施。その結果、Sマークの認知度は25.3%となった。
アンケートは、サンケイリビング新聞社がモニタリンググループとして組織化した198,000名に対して、主にスマートフォンを対象としたWEB形式で実施され、全47都道府県の10代から60代以上まで、計4,339件の回答を得た。回答者の属性は、性別は「女性」3,282件(75.6%)、「男性」1,057件(24.4%)、年代構成は「10代」0.2%、「20代」4.6%、「30代」18.3%、「40代」25.0%、「50代」27.0%、「60代以上」24.9%、職業は「会社員」41.1%、「専業主婦」32.0%、「自営業」5.6%、「学生」0.7%、「その他」20.6%となり、30代から50代の女性をメインターゲットに設定して構成されている。
「Sマークを知っていましたか」との設問では、「知っていた、見たことがある」との回答は25.3%、「知らない、見たことがない」が74.7%という結果となった。男女別では「女性」23.1%、「男性」32.0%と男性の方が認知率は高く、年代別では「10代」14.3%、「20代」17.1%、「30代」21.5%、「40代」22.7%、「50代」24.0%、「60代以上」33.5%と年齢が増すほど認知度は高くなる。
同協議会ではSマークの広報活動の一環として毎年、イトーヨーカドー、および、ユニーアピタ店で店頭キャンペーンを実施してきた。その際に行うアンケートで、Sマークの認知度についても併せて調査を行っているが、2019年10月に行ったイトーヨーカドーでのアンケート(回答数491件/2020年はコロナで中止)での認知度は13.2%となっており、今回の調査とは12ポイント以上の開きとなった。
スーパーマーケットを会場にしたイトーヨーカドーで実施するキャンペーンは、メインターゲットは同じく女性に設定する。ブースに立ち寄るお客様も、ファミリーやご夫婦、お子さんを連れたお母さんなどが多く、男性単独でのケースはあまり目立たないことからも、2つのアンケートの回答者の属性にはあまり大きな隔たりはないと思われる。
それでは、12ポイント余りもの差はどこからくるのか。イトーヨーカドーのキャンペーン会場では、Sマークの説明の前にアンケートに回答してもらっているのに対し、今回のWEBアンケートでは、Sマークの説明を簡単ではあるが漫画で紹介した上で設問している。その内容の差が数字に表れたのかもしれない。
次に、「Sマークを知っていた、見たことがある」と回答した人を対象とした、「Sマークを何で知りましたか」(複数回答)との設問では、「電気製品の表示」が79.2%と圧倒的に高く、「メーカーの製品カタログ」27.6%、「インターネット」13.2%、「新聞・雑誌・電車等の広告」7.0%、「販売店のチラシ・ポスター」6.8%、「消費者センター等のリーフレット」6.7%、「その他」3.2%と続く。
「電気製品の表示」が群を抜いて多いわけだが、一般消費者が電気製品を購入する際に、果たして製品の背面などに貼られている注意書きやメーカー名・製品名などが記された銘板を注意深く見るのかとの疑問がわく。そこにたまたまSマークが付いていることを知ったのか、あるいは、事前に何かしらの情報からSマークというものが存在することを漠然と知っていて、改めて家や店頭の家電製品にSマークがついていることを “実際に” 確認したということなのか、このアンケートだけでは判然としない。
電気製品のSマーク表示を単に見たというだけでは、その意味までを知ることはもちろんできない。複数回答ながらも他の選択肢の数字は押しなべて低くとどまっていることからも、今回の調査結果では25.3%という認知度となったが、それが皆、Sマークの意味まで深く理解していると考えるには疑問の余地がある。Sマークを見たことがあるだけではその役割を十二分に果たすことはできず、改めて、その意味や内容まで理解していただくことができる認知向上への取り組みの重要性が浮き彫りになったと言えそうだ。
■各チャネルの特徴を捉えた情報発信が大切
今後、広報活動を進めていく上で注目しなければならない電気製品の購入チャネルについて尋ねた「電気製品はどちらで買いますか」(複数回答)との設問では、「電気製品量販店」が90.3%と9割以上を占め、伸長著しい「インターネット等の通信販売」は38.5%、次いで「地元の小規模電気販売店」5.2%となった。
この数字からは、電気製品量販店を中心に広報活動を強化することが当面の最善策とも思われる。しかし、百貨店でオーダーメイドのスーツを設える人が、スーパーや100円ショップでも買い物をするように、電気製品も用途や価格で購入先を使い分けるのはもはや当たり前。冷蔵庫、洗濯機、テレビなど一家に1台の比較的高額な電気製品は現品確認できる電気製品量販店で購入するが、比較的手頃な価格で設置工事も不要な調理家電(電気ポット、フードプロセッサー、コーヒーメーカー等)はインターネットで購入するような使い分けがされ、電気製品の購入形態も多様化してきている。
「インターネット等の通信販売」を年代別にみると、「60代以上」30.6%、「50代」38.7%、「40代」39.4%、「30代」45.8%、「20代」46.2%と年代が低くなるほど利用率が高くなるが、コロナ禍のステイホームを追い風に利用率はさらに加速。あらゆる年代において構成比がさらに高まるだろう。
また、「地元の小規模電気販売店」は5.2%だが、60代以上では7.9%にまで拡大する。65歳以上の高齢者人口は、2020年は前年比30万人増となる3,617万人、高齢化率は28.7%と過去最高を更新。今後、高齢化はさらに進み、1971−74年に生まれた第2次ベビーブーマーが65歳以上となる2040年(令和22年)には3,921万人にまで増大し、高齢化率は35.3%になると予測されている(国立社会保障・人口問題研究所)。電気製品にまつわる事故など危険にもっともさらされるのは高齢者であり、 “街の電気屋さん” は地域の電気サービス業として、社会的な存在意義を確立し、なくてはならない存在として生き残るだろう。
電気製品認証協議会(SCEA)の平井雄二事務局長は「今年度はコロナ禍の影響で、例年実施してきた広報イベントは中止せざるを得なくなったが、会場で行ってきた “Sマークの市場認知度調査” は何とか継続したいとの思いで、今回は新たにWEBアンケートにチャレンジした。サンケイリビング新聞社の協力を得て、想定を超える有効回答を得ることができた。これにより、従来は得られなかった消費者動向も明らかにできた。また、設問の仕方での反省点も明確になり、WEBアンケートは次年度も継続していく。今回の調査ではSマークの市場認知度が25.3%との結果であったが、他の安全マークに比べるとまだまだ低い数字と言わざるを得ない。消費者の皆さんにSマークの意味まで深く理解していただき、電気製品購入の際に価格や機能・デザインだけでなく “安全性” を商品選定の基準に加えてもらえるよう、引き続きSマークの広報活動を続けていきたい」と訴える。
電気製品が複雑化していくばかりでなく、消費者の購入形態もますます多様化している。そのような環境下、日々の生活に寄り添う電気製品の安全性を担保するために、Sマークの果たす役割は小さくない。認知をより深めていくためには、問題意識を共有した流通とメーカーが一丸となり、啓発活動を実践していくことも求められている。
<Sマークとは>
電気製品の安全性を示す目印。国内外から信頼を得た公正・中立な第三者認証機関において、多項目の安全試験や工場での品質検査など、厳しい安全基準をクリアした製品にのみ付与される。テレビ、冷蔵庫、洗濯機など、電気製品の約7割にSマークが付いている。製品のモデル名や製造年月、使用電圧などが記されたシール内等に記載されている。
モバイルバッテリーの発火事故など、生活に身近な電気製品の事故から身を守るためには、正しい使い方はもちろん、製品選びも重要なポイントのひとつ。その重要な目印のひとつともなる「Sマーク」をあなたはご存じだろうか。また、その意味をきちんと理解しているだろうか。
「Sマーク」とは、家電製品の安全性を示す目印となるもので、国内外から信頼を得た公正・中立な第三者認証機関において、多項目からなる安全試験や工場での品質検査など、厳しい安全基準をクリアした製品にのみ付与される。テレビ、冷蔵庫、洗濯機など、電気製品の約7割にSマークが付いており、製品のモデル名や製造年月、使用電圧などが記されたシール内等に記載されている。
同マークの普及と運用を担う電気製品認証協議会(SCEA)ではこのほど、サンケイリビング新聞社の協力のもと、この「Sマーク」に関するアンケートを実施。その結果、Sマークの認知度は25.3%となった。
アンケートは、サンケイリビング新聞社がモニタリンググループとして組織化した198,000名に対して、主にスマートフォンを対象としたWEB形式で実施され、全47都道府県の10代から60代以上まで、計4,339件の回答を得た。回答者の属性は、性別は「女性」3,282件(75.6%)、「男性」1,057件(24.4%)、年代構成は「10代」0.2%、「20代」4.6%、「30代」18.3%、「40代」25.0%、「50代」27.0%、「60代以上」24.9%、職業は「会社員」41.1%、「専業主婦」32.0%、「自営業」5.6%、「学生」0.7%、「その他」20.6%となり、30代から50代の女性をメインターゲットに設定して構成されている。
「Sマークを知っていましたか」との設問では、「知っていた、見たことがある」との回答は25.3%、「知らない、見たことがない」が74.7%という結果となった。男女別では「女性」23.1%、「男性」32.0%と男性の方が認知率は高く、年代別では「10代」14.3%、「20代」17.1%、「30代」21.5%、「40代」22.7%、「50代」24.0%、「60代以上」33.5%と年齢が増すほど認知度は高くなる。
同協議会ではSマークの広報活動の一環として毎年、イトーヨーカドー、および、ユニーアピタ店で店頭キャンペーンを実施してきた。その際に行うアンケートで、Sマークの認知度についても併せて調査を行っているが、2019年10月に行ったイトーヨーカドーでのアンケート(回答数491件/2020年はコロナで中止)での認知度は13.2%となっており、今回の調査とは12ポイント以上の開きとなった。
スーパーマーケットを会場にしたイトーヨーカドーで実施するキャンペーンは、メインターゲットは同じく女性に設定する。ブースに立ち寄るお客様も、ファミリーやご夫婦、お子さんを連れたお母さんなどが多く、男性単独でのケースはあまり目立たないことからも、2つのアンケートの回答者の属性にはあまり大きな隔たりはないと思われる。
それでは、12ポイント余りもの差はどこからくるのか。イトーヨーカドーのキャンペーン会場では、Sマークの説明の前にアンケートに回答してもらっているのに対し、今回のWEBアンケートでは、Sマークの説明を簡単ではあるが漫画で紹介した上で設問している。その内容の差が数字に表れたのかもしれない。
次に、「Sマークを知っていた、見たことがある」と回答した人を対象とした、「Sマークを何で知りましたか」(複数回答)との設問では、「電気製品の表示」が79.2%と圧倒的に高く、「メーカーの製品カタログ」27.6%、「インターネット」13.2%、「新聞・雑誌・電車等の広告」7.0%、「販売店のチラシ・ポスター」6.8%、「消費者センター等のリーフレット」6.7%、「その他」3.2%と続く。
「電気製品の表示」が群を抜いて多いわけだが、一般消費者が電気製品を購入する際に、果たして製品の背面などに貼られている注意書きやメーカー名・製品名などが記された銘板を注意深く見るのかとの疑問がわく。そこにたまたまSマークが付いていることを知ったのか、あるいは、事前に何かしらの情報からSマークというものが存在することを漠然と知っていて、改めて家や店頭の家電製品にSマークがついていることを “実際に” 確認したということなのか、このアンケートだけでは判然としない。
電気製品のSマーク表示を単に見たというだけでは、その意味までを知ることはもちろんできない。複数回答ながらも他の選択肢の数字は押しなべて低くとどまっていることからも、今回の調査結果では25.3%という認知度となったが、それが皆、Sマークの意味まで深く理解していると考えるには疑問の余地がある。Sマークを見たことがあるだけではその役割を十二分に果たすことはできず、改めて、その意味や内容まで理解していただくことができる認知向上への取り組みの重要性が浮き彫りになったと言えそうだ。
■各チャネルの特徴を捉えた情報発信が大切
今後、広報活動を進めていく上で注目しなければならない電気製品の購入チャネルについて尋ねた「電気製品はどちらで買いますか」(複数回答)との設問では、「電気製品量販店」が90.3%と9割以上を占め、伸長著しい「インターネット等の通信販売」は38.5%、次いで「地元の小規模電気販売店」5.2%となった。
この数字からは、電気製品量販店を中心に広報活動を強化することが当面の最善策とも思われる。しかし、百貨店でオーダーメイドのスーツを設える人が、スーパーや100円ショップでも買い物をするように、電気製品も用途や価格で購入先を使い分けるのはもはや当たり前。冷蔵庫、洗濯機、テレビなど一家に1台の比較的高額な電気製品は現品確認できる電気製品量販店で購入するが、比較的手頃な価格で設置工事も不要な調理家電(電気ポット、フードプロセッサー、コーヒーメーカー等)はインターネットで購入するような使い分けがされ、電気製品の購入形態も多様化してきている。
「インターネット等の通信販売」を年代別にみると、「60代以上」30.6%、「50代」38.7%、「40代」39.4%、「30代」45.8%、「20代」46.2%と年代が低くなるほど利用率が高くなるが、コロナ禍のステイホームを追い風に利用率はさらに加速。あらゆる年代において構成比がさらに高まるだろう。
また、「地元の小規模電気販売店」は5.2%だが、60代以上では7.9%にまで拡大する。65歳以上の高齢者人口は、2020年は前年比30万人増となる3,617万人、高齢化率は28.7%と過去最高を更新。今後、高齢化はさらに進み、1971−74年に生まれた第2次ベビーブーマーが65歳以上となる2040年(令和22年)には3,921万人にまで増大し、高齢化率は35.3%になると予測されている(国立社会保障・人口問題研究所)。電気製品にまつわる事故など危険にもっともさらされるのは高齢者であり、 “街の電気屋さん” は地域の電気サービス業として、社会的な存在意義を確立し、なくてはならない存在として生き残るだろう。
電気製品認証協議会(SCEA)の平井雄二事務局長は「今年度はコロナ禍の影響で、例年実施してきた広報イベントは中止せざるを得なくなったが、会場で行ってきた “Sマークの市場認知度調査” は何とか継続したいとの思いで、今回は新たにWEBアンケートにチャレンジした。サンケイリビング新聞社の協力を得て、想定を超える有効回答を得ることができた。これにより、従来は得られなかった消費者動向も明らかにできた。また、設問の仕方での反省点も明確になり、WEBアンケートは次年度も継続していく。今回の調査ではSマークの市場認知度が25.3%との結果であったが、他の安全マークに比べるとまだまだ低い数字と言わざるを得ない。消費者の皆さんにSマークの意味まで深く理解していただき、電気製品購入の際に価格や機能・デザインだけでなく “安全性” を商品選定の基準に加えてもらえるよう、引き続きSマークの広報活動を続けていきたい」と訴える。
電気製品が複雑化していくばかりでなく、消費者の購入形態もますます多様化している。そのような環境下、日々の生活に寄り添う電気製品の安全性を担保するために、Sマークの果たす役割は小さくない。認知をより深めていくためには、問題意識を共有した流通とメーカーが一丸となり、啓発活動を実践していくことも求められている。
<Sマークとは>
電気製品の安全性を示す目印。国内外から信頼を得た公正・中立な第三者認証機関において、多項目の安全試験や工場での品質検査など、厳しい安全基準をクリアした製品にのみ付与される。テレビ、冷蔵庫、洗濯機など、電気製品の約7割にSマークが付いている。製品のモデル名や製造年月、使用電圧などが記されたシール内等に記載されている。