八尾事業所に最新AIoT家電のショールーム開設
シャープ、AIoT事業のグローバル展開を強化。白物家電を軸にヘルスケアなど製品/サービス拡充も推進
シャープは、同社の最新家電が体感できる「AIoTショールーム」を新たに八尾事業所へ開設。本日同スペースよりスマートライフ事業説明会をメディア向けに開催し、AIoTを活用したスマート家電事業の取り組み状況や今後の重点戦略について紹介した。
AIoTショールームでは、同社の展開するAIoT家電やCOCORO+サービスを核とした「Smart Kitchen」「SmartLiving Room」「SmartWashroom」や、新規事業やグローバル商品群などが並ぶ各ゾーンを設置。それぞれの場所でクラウド連携による次世代のスマートホームを体験できるとしている。
同社では「人に寄り添うIoT=AIoT」をコンセプトに、AIとIoTを活用して家電を一道具から、“愛着を感じられるパートナー” “もう1人の家族” として価値を高め、ユーザーの生活を豊かにする存在になることを目指して、さまざまなスマート家電の開発、販売を推進している。
そうして生まれたAIoT家電は、「買ってから進化が始まる」点が特長だと説明。利用時間や環境を学習、また暮らしの変化などを察知して、ユーザーの生活・使い方に合わせて最適化を図ることができ、また対応機器同士は連携も可能なため、情報通知や一括操作なども容易に行うことができる。
また、より長く便利に愛用できる製品として対応サービスも充実。オープンプラットフォームとしていることで、他社のさまざまなサービスとも繋がることができる。今後もさらなる拡充を図っていくとのことだ。
さらに次期モデルでは、上述したように個人の使い方や生活に合わせて最適化し家電に蓄積したユーザー自身の使用データをそのまま引き継ぎ、買い替えた場合でも最適化された状態で、便利な使い勝手を継続できるような製品開発も検討しているという。
シャープでは、こういったAIoT対応製品をはじめとする白物家電などを軸とした「スマートライフ」事業を、同社のコアであるブランド事業の一つとして位置付けて力を注いでいる。
ブランド事業は「スマートライフ」と「8Kエコシステム」「ICT」という3つの分野があり、ディスプレイやセンサーモジュールなどを展開するデバイス事業の2つの事業を柱としている。
本日の説明会には、同分野を統括するシャープ(株)専務執行役員・スマートライフグループ長兼Smart Appliances & Solutions(スマートアプライアンス&ソリューション)事業本部長の沖津雅浩氏が登壇。同事業の現状と、今後の展開・目標について具体的に紹介した。
スマートアプライアンス&ソリューション事業本部は、電子レンジや調理家電、掃除機、美容家電から電子辞書などパーソナル機器を扱う「スモールアプライアンス」に、エアコンや空気清浄機などを展開する「空調・PCI」、冷蔵庫や洗濯機などの大物家電を中心とした「メジャーアプライアンス」と、大きく3つのカテゴリに分類。それぞれ国内外に広く製品展開している。
白物家電で培ってきた技術を活用し、業務用プラズマクラスターの施設導入やホテルやコンビニなど商業施設向け機器などを中心としたBtoB事業も展開。ここでもAIoT技術を組み合わせることで新たなビジネス創出を推進し、国内のみならず、海外でも事業の拡大を図ってきたと説明。特にプラズマクラスターは建屋以外にも、タクシーや電車などの移動空間でも広く活用されているという。
さらに同事業本部ではエネルギー事業も有しており、太陽光発電システムおよび蓄電池の開発・販売や、HEMSによるエネルギーマネジメント事業などをおこなっている。大規模な太陽光施設の設計から運用などもグローバルに展開する。
沖津氏はこれらの事業を抱えるスマートアプライアンス&ソリューション事業本部の目標を「白物家電とエネルギー事業を連携させることで、人にやさしいスマートライフの実現を目指す」とし、今後取り組む3つの重点戦略を説明した。
まず一つに、AIoT技術とプラズマクラスターなどの独自技術を組みあわせた新商品の創出。AIoT対応家電は毎年その数を増やしており、現在12のカテゴリーにおいて685機種もの製品を展開し、商品価値向上に努めている。
今後はこの豊富なハードウェア(家電)を利用してサービス拡充を目指すともに、ユーザーに合わせて進化するクラウドサービス事業への参入も発表。具体的には、見守りサービスや家電に蓄積するユーザーデータを活用したコンテンツビジネス、広告ビジネスなどに積極的に取り組んでいくという。
加えて製品のデザイン面も強化。「商品同士がつながることはもちろん、それだけではなく、見た目にもインテリアとの親和性や統一感を高め、トータルコーディネートできるような商品提供を目指す」とした。
二つ目に挙げられたのは、BtoBソリューション事業の強化。耳にかける咀嚼計「bitescan(バイトスキャン)」や、月経など女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック事業、また商品在庫や使用量管理などを行うストック管理ソリューション事業をさらに拡大し、2022年度からは順次、業務用施設空間で活用できる集中管理ソリューションの展開や、上述したクラウドサービスの強化についてもCOCORO HOMEアプリを核に拡充予定とする。
最後に海外事業について。日本で培ってきたオープンプラットフォーム/サービス基盤を活用して、地域ニーズに寄り添った事業展開を推進し、グローバルでのAIoT展開・拡大を目指すと語る。
まずは2022年度に、秋からヘルシオを展開する台湾において、日本と同様のAIoT家電およびサービス展開を導入することを皮切りに、欧米ではビルトイン家電を中心としたスマートキッチンの展開も予定。説明会では各地域の担当者から今後の意気込みが語られた。
こうした取り組みを経て、2024年度までに、まず国内ではテレビを含むAIoT家電のネット接続率を現状の5割から8割以上とすることを目指す。そして販売構成比も国内は7割以上、欧米・中国・台湾地域では5割以上とすることを目標に掲げた。
シャープでは台湾・鴻海グループ傘下となった際、代表の戴正呉氏が「8KとAIoTで世界を変える」という事業方針を掲げて、AIoTを柱の一つに据えてきた。同分野においては他社よりリードしている状況にあり、また業界全体でもIoT化を推し進める流れがあるが、接続率はまだ低い印象がある中で、今回の目標(接続率)に対して、達成が見込めているのか質問が上がった。
沖津氏は、「AIoTを軸にこれまで推進してきて、エアコンなどは接続率がまだ低いものの、テレビはほぼ100%、調理器具のホットクックは60%以上の接続率がある」と説明。
ユーザーメリットが高い製品は接続率も高いと分析し、今後は他社連携の強化も推進することで、「メリットのあるソリューションやサービスの提供を広げ、アピールすることが接続率向上に繋がると考えている」と語った。
なお実際にAIoT機能の使用率としては、たとえば調理家電は1週間に2回から3回程度使う人が多く、毎日使用するヘビーユーザーもいるとのこと。エアコンのような季節商品は波があるとしつつも、たとえば見守りサービスとの連携強化で、さまざまな家庭の家電利用状況の活用が見込まれるとし、「ユーザーニーズがある分野であり、注力すべき事業と捉えている。今後もお客様が使いたくなる商品、サービスを目指して展開していく」とした。
さらに、「いかに便利で、簡単に使えるものであるか。さらにそれをお客様にどうアピールしていくかが大きなテーマとなる」とし、接続方法の簡易化も検討しているという。一方で接続の簡易化は、プライバシーを守るの重要性も鑑みて慎重に進めるとのこと。簡単な操作性とセキュリティー管理の両方を兼ね備えた仕様を検討していると明かした。
また、同社ではIoT化の推進にあたり、多くの機器を展開することを最初の目標としており、その点については「順調にきている」と振り返る。その結果、データ収集量も多く、先行したメリットがしっかり得られているとし、そのメリットを活かした戦略をとっていきたいとコメントした。
さらに3つ挙げた重点戦略の中では、海外展開が最も成長を見込んでいるとのこと。日本と異なり、AIoT製品はもとより、既存の白物家電自体の普及率が低い国もまだ多くあるとその背景を説明。特にアジア地域は事業伸長の余地があるとし、重点的に展開を予定する。また欧州への展開もいずれ進めていきたいとした。
日本では買い替え需要がほとんどで、シャープとしては付加価値のあるブランド商品の割合を高めることで競争に立ち向かっていくとした。さらにAIoT家電の拡大はもちろん、BtoB事業においても10%に満たない現状から20%程度までの伸長を目指して注力し、AIoTを軸にBtoBやヘルスケア事業も今後の柱にしていきたいとした。
AIoTの拡大については、スマートフォンの普及を例にあげ、「最初は多くのサービスはないかもしれないが、AIoT家電もオープンプラットフォームを通じてさまざまな企業とつながることで一気に広がると考えている」とし、「ようやく基盤が整ったところ。ここから拡大を図っていく時期」であると意気込みをみせた。
また、AIoT製品や技術の活用によって、家庭内での電力消費の削減、太陽光および蓄電池の効率運転によるCO2削減への貢献といった気候変動対策や、機能アップデートやメンテナンス通知などによるAIoT家電の長期利用などを中心とした資源循環対策が可能だとし、シャープ全体で掲げる環境ビジョンの実現も目指していくとしている。
AIoTショールームでは、同社の展開するAIoT家電やCOCORO+サービスを核とした「Smart Kitchen」「SmartLiving Room」「SmartWashroom」や、新規事業やグローバル商品群などが並ぶ各ゾーンを設置。それぞれの場所でクラウド連携による次世代のスマートホームを体験できるとしている。
同社では「人に寄り添うIoT=AIoT」をコンセプトに、AIとIoTを活用して家電を一道具から、“愛着を感じられるパートナー” “もう1人の家族” として価値を高め、ユーザーの生活を豊かにする存在になることを目指して、さまざまなスマート家電の開発、販売を推進している。
そうして生まれたAIoT家電は、「買ってから進化が始まる」点が特長だと説明。利用時間や環境を学習、また暮らしの変化などを察知して、ユーザーの生活・使い方に合わせて最適化を図ることができ、また対応機器同士は連携も可能なため、情報通知や一括操作なども容易に行うことができる。
また、より長く便利に愛用できる製品として対応サービスも充実。オープンプラットフォームとしていることで、他社のさまざまなサービスとも繋がることができる。今後もさらなる拡充を図っていくとのことだ。
さらに次期モデルでは、上述したように個人の使い方や生活に合わせて最適化し家電に蓄積したユーザー自身の使用データをそのまま引き継ぎ、買い替えた場合でも最適化された状態で、便利な使い勝手を継続できるような製品開発も検討しているという。
シャープでは、こういったAIoT対応製品をはじめとする白物家電などを軸とした「スマートライフ」事業を、同社のコアであるブランド事業の一つとして位置付けて力を注いでいる。
ブランド事業は「スマートライフ」と「8Kエコシステム」「ICT」という3つの分野があり、ディスプレイやセンサーモジュールなどを展開するデバイス事業の2つの事業を柱としている。
本日の説明会には、同分野を統括するシャープ(株)専務執行役員・スマートライフグループ長兼Smart Appliances & Solutions(スマートアプライアンス&ソリューション)事業本部長の沖津雅浩氏が登壇。同事業の現状と、今後の展開・目標について具体的に紹介した。
スマートアプライアンス&ソリューション事業本部は、電子レンジや調理家電、掃除機、美容家電から電子辞書などパーソナル機器を扱う「スモールアプライアンス」に、エアコンや空気清浄機などを展開する「空調・PCI」、冷蔵庫や洗濯機などの大物家電を中心とした「メジャーアプライアンス」と、大きく3つのカテゴリに分類。それぞれ国内外に広く製品展開している。
白物家電で培ってきた技術を活用し、業務用プラズマクラスターの施設導入やホテルやコンビニなど商業施設向け機器などを中心としたBtoB事業も展開。ここでもAIoT技術を組み合わせることで新たなビジネス創出を推進し、国内のみならず、海外でも事業の拡大を図ってきたと説明。特にプラズマクラスターは建屋以外にも、タクシーや電車などの移動空間でも広く活用されているという。
さらに同事業本部ではエネルギー事業も有しており、太陽光発電システムおよび蓄電池の開発・販売や、HEMSによるエネルギーマネジメント事業などをおこなっている。大規模な太陽光施設の設計から運用などもグローバルに展開する。
沖津氏はこれらの事業を抱えるスマートアプライアンス&ソリューション事業本部の目標を「白物家電とエネルギー事業を連携させることで、人にやさしいスマートライフの実現を目指す」とし、今後取り組む3つの重点戦略を説明した。
まず一つに、AIoT技術とプラズマクラスターなどの独自技術を組みあわせた新商品の創出。AIoT対応家電は毎年その数を増やしており、現在12のカテゴリーにおいて685機種もの製品を展開し、商品価値向上に努めている。
今後はこの豊富なハードウェア(家電)を利用してサービス拡充を目指すともに、ユーザーに合わせて進化するクラウドサービス事業への参入も発表。具体的には、見守りサービスや家電に蓄積するユーザーデータを活用したコンテンツビジネス、広告ビジネスなどに積極的に取り組んでいくという。
加えて製品のデザイン面も強化。「商品同士がつながることはもちろん、それだけではなく、見た目にもインテリアとの親和性や統一感を高め、トータルコーディネートできるような商品提供を目指す」とした。
二つ目に挙げられたのは、BtoBソリューション事業の強化。耳にかける咀嚼計「bitescan(バイトスキャン)」や、月経など女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック事業、また商品在庫や使用量管理などを行うストック管理ソリューション事業をさらに拡大し、2022年度からは順次、業務用施設空間で活用できる集中管理ソリューションの展開や、上述したクラウドサービスの強化についてもCOCORO HOMEアプリを核に拡充予定とする。
最後に海外事業について。日本で培ってきたオープンプラットフォーム/サービス基盤を活用して、地域ニーズに寄り添った事業展開を推進し、グローバルでのAIoT展開・拡大を目指すと語る。
まずは2022年度に、秋からヘルシオを展開する台湾において、日本と同様のAIoT家電およびサービス展開を導入することを皮切りに、欧米ではビルトイン家電を中心としたスマートキッチンの展開も予定。説明会では各地域の担当者から今後の意気込みが語られた。
こうした取り組みを経て、2024年度までに、まず国内ではテレビを含むAIoT家電のネット接続率を現状の5割から8割以上とすることを目指す。そして販売構成比も国内は7割以上、欧米・中国・台湾地域では5割以上とすることを目標に掲げた。
シャープでは台湾・鴻海グループ傘下となった際、代表の戴正呉氏が「8KとAIoTで世界を変える」という事業方針を掲げて、AIoTを柱の一つに据えてきた。同分野においては他社よりリードしている状況にあり、また業界全体でもIoT化を推し進める流れがあるが、接続率はまだ低い印象がある中で、今回の目標(接続率)に対して、達成が見込めているのか質問が上がった。
沖津氏は、「AIoTを軸にこれまで推進してきて、エアコンなどは接続率がまだ低いものの、テレビはほぼ100%、調理器具のホットクックは60%以上の接続率がある」と説明。
ユーザーメリットが高い製品は接続率も高いと分析し、今後は他社連携の強化も推進することで、「メリットのあるソリューションやサービスの提供を広げ、アピールすることが接続率向上に繋がると考えている」と語った。
なお実際にAIoT機能の使用率としては、たとえば調理家電は1週間に2回から3回程度使う人が多く、毎日使用するヘビーユーザーもいるとのこと。エアコンのような季節商品は波があるとしつつも、たとえば見守りサービスとの連携強化で、さまざまな家庭の家電利用状況の活用が見込まれるとし、「ユーザーニーズがある分野であり、注力すべき事業と捉えている。今後もお客様が使いたくなる商品、サービスを目指して展開していく」とした。
さらに、「いかに便利で、簡単に使えるものであるか。さらにそれをお客様にどうアピールしていくかが大きなテーマとなる」とし、接続方法の簡易化も検討しているという。一方で接続の簡易化は、プライバシーを守るの重要性も鑑みて慎重に進めるとのこと。簡単な操作性とセキュリティー管理の両方を兼ね備えた仕様を検討していると明かした。
また、同社ではIoT化の推進にあたり、多くの機器を展開することを最初の目標としており、その点については「順調にきている」と振り返る。その結果、データ収集量も多く、先行したメリットがしっかり得られているとし、そのメリットを活かした戦略をとっていきたいとコメントした。
さらに3つ挙げた重点戦略の中では、海外展開が最も成長を見込んでいるとのこと。日本と異なり、AIoT製品はもとより、既存の白物家電自体の普及率が低い国もまだ多くあるとその背景を説明。特にアジア地域は事業伸長の余地があるとし、重点的に展開を予定する。また欧州への展開もいずれ進めていきたいとした。
日本では買い替え需要がほとんどで、シャープとしては付加価値のあるブランド商品の割合を高めることで競争に立ち向かっていくとした。さらにAIoT家電の拡大はもちろん、BtoB事業においても10%に満たない現状から20%程度までの伸長を目指して注力し、AIoTを軸にBtoBやヘルスケア事業も今後の柱にしていきたいとした。
AIoTの拡大については、スマートフォンの普及を例にあげ、「最初は多くのサービスはないかもしれないが、AIoT家電もオープンプラットフォームを通じてさまざまな企業とつながることで一気に広がると考えている」とし、「ようやく基盤が整ったところ。ここから拡大を図っていく時期」であると意気込みをみせた。
また、AIoT製品や技術の活用によって、家庭内での電力消費の削減、太陽光および蓄電池の効率運転によるCO2削減への貢献といった気候変動対策や、機能アップデートやメンテナンス通知などによるAIoT家電の長期利用などを中心とした資源循環対策が可能だとし、シャープ全体で掲げる環境ビジョンの実現も目指していくとしている。