12月1日よりお台場と新宿でサービス開始
映画館のプレミアム化が加速。日本初「フレックサウンド」と新宿エリア初「ドルビーシネマ」を一足先に体験してきた
■"あえて映画館で映画を見る理由は?"。映画館がプレミアムな鑑賞環境をめざす理由
「あえて映画館で映画を見る理由は?」…こんな問いが必要になってしまった背景には、コロナ禍で“おウチエンタメ”需要をつかんだ「定額配信サービス」の普及がある。
Netflix、Amazon Prime Video、Disney+をはじめとした有料動画配信サービスの国内契約者数は5,000万人に迫っているといわれる。あくまでも単純合算の述べ人数であるものの、日本国民の半数近くが契約している計算になる。しかも各サービスには常時、数千〜20万本のコンテンツがあり、一生をかけてもすべてを視聴することは困難なほどだ。そんな中で映画館は生き残りをかけた差別化に舵を切りはじめている。
“おウチエンタメ”では得られない体験こそが、“映画館で映画を見る”理由のひとつになりうるからだ。新しくオープンするシネコンはもちろん、既存館も、IMAX(またはIMAXレーザー)、ドルビーアトモス、ドルビーシネマ、あるいは4DX、MX4D、SCREEN Xなど、映像や音響システムの入れ替えを急いでいる。
■ミニシアターもプレミアム化で生き残りをかける
近年はミニシアターさえも上映設備や客席の更新に励む。その昔は「ミニシアターでしか観られない作品」があり、後に名画と呼ばれたりするヒット作があったが、今や定額配信サービスには「映画館で観られない映画」があるという逆説的なトレンドもある。テアトル新宿やシネ・リーブル梅田などを持つ、人気ミニシアターのテアトルグループも「odessa(オデッサ)」という最新音響設備のアピールに余念がない。
ミニシアターにありがちの古びた設備にノスタルジーを感じる人は別として、個人的にはミニシアターも料金に見合った視聴環境を提供するべきだと思っている。そういう意味ではこの傾向はウェルカムなのだが、実際には地価の高いターミナル駅周辺での営業環境は厳しく、残念ながら全国的に老舗ミニシアターの閉館は相次いでいる。
そして新宿・歌舞伎町には来春2023年4月14日に、東急レクリエーションによる「109シネマズプレミアム新宿」のグランドオープンが控える。その名の通り、109シネマズのフラッグシップとなる新ブランドシアターで、上質なサロン級のシアターを目指している。映画館の生き残りをかけたプレミアム化はこれからが正念場である。