2022年の事業振り返りも
DAZN、値上げは「コンテンツに則した価格を模索した結果」と説明
DAZN(ダゾーン)は既報の通り新たな料金プラン2種を発表した。本稿では、本日1月12日にメディア向けに開催された同社事業戦略に関する説明会の模様をレポートする。
説明会にはDAZN Japan エグゼクティブバイスプレジデントに就任した山田学氏が登壇し、2022年の総括および2023年以降の事業戦略に関してプレゼンテーションを行った。
2016年からの5年間はサービス拡充に向けた投資期間と位置付けた第1フェーズ。昨年2022年からは収益化に向けて舵を切る第2フェーズへと突入し、「昨年だけみても多くのことを達成することができた」と振り返った。
昨年の実績として、世界200以上の国と地域でサービス展開を行い、27,000以上の試合を全世界にライブ配信。ストリーミング時間は述べ10億時間を超え、利用デバイス数は1億以上と、「世界中のスポーツファンに利用していただくことができた」とアピールした。
グローバル施策の一番のトピックとして、英国のサッカーライブ配信プラットフォーム「イレブングループ」のグローバルスポーツメディア事業を買収したことを挙げ、「2023年は台湾や香港など東南アジアへのマーケット展開やソーシャルに特化したコンテンツやサービスなど、イレブングループのアセットをどんどん活用していきたい」と訴えた。
ドイツとオーストリアでローンチし、今年は日本向けにも検討している無料広告付きのストリーミングチャンネル「Fast Chanel」、昨年日本でもボクシングの元世界5階級王者フロイド・メイウェザー・ジュニアと人気YouTuberデジのエキシビションマッチで初導入されたペイ・パー・ビュー(PPV)方式での追加コンテンツ販売についても説明が行われた。
日本市場については、DAZN JAPANのサービス認知度は約72%、加入意欲率は20%と業界トップを記録。2022年の配信コンテンツ数は11,500以上、合計ストリーミング時間は2億2,000万時間を記録した。
山田氏は「認知度も加入意欲もこれ以上に高めていきたいが、ある一定の評価ができる数字は出せた」と手応えを掴む。コンテンツ数については「サッカーだけでなく野球、F1、ゴルフもあり、24時間に近いかたちで制作陣が動いて様々なコンテンツを配信しており、結果として配信時間や規模はこれぐらいになる」と説明した。
昨年の日本のコンテンツ視聴数ランキングも公開された。DAZNが独占配信したサッカーW杯アジア予選の日本vsオーストラリア戦がダントツ1位となり、過去最高の視聴数を記録。Jリーグの開幕カードやプロ野球では佐々木朗希の先発登板試合などが上位にランクインしている。
昨年3月にサービスを開始した、MIXI社と開発・運用を行うスポーツ特化型NFTマーケットプレイス「DAZN MOMENTS」では、様々なスポーツをフィーチャーした商品の発売を展開。特にJリーグ2022年シーズンの名シーンをピックアップしたアイテムを展開する「DAZN J.LEAGUE MOMENTS」にユーザーから高い評価を得たという。
近年のDEIサポート活動の一環として、女性スポーツの地位向上および認知向上にも注力しており、「UEFA女子チャンピオンズリーグ」「WEリーグ」「JLPGA」など幅広いジャンルの試合やオリジナルコンテンツを提供している。
従来プランが昨年に続いて再度値上げされたことついては、「プレミアムなスポーツコンテンツを維持、および今後も増やしていくためにはそれなりの投資が必要」「テクノロジーに関しても大きな投資を行っているので、収益化に向けて提供コンテンツに則した価格を模索していく」として、「価格の変動の幅は抑えたつもりだったが、現実的な範囲でどこまでなら受け入れてもらえるかを検討した結果」と、その背景を説明した。
昨年の値上げによるユーザー数への影響について問われると「ある程度のユーザーの解約はあったが、当初我々が想定していた解約数よりは少なかった。だからもう一度ということではなく、2016年からの最初の5年間は投資の期間だったが、昨年からは収益化のフェーズにある」との考え方を示した。
円安などの外部要因も「物価が上がっているのは世界中どこも同じ。コストの部分でもリアルビジネスほどではないが物価高の影響はゼロではない」と少なからず影響を及ぼした。
今回新たに発表された新プラン「DAZN Global」の導入については、「具体的な会員目標数などを定めているわけではないが、NBAやラ・リーガなどをメジャースポーツとするなら、それらと比較して認知度の低いマイナースポーツでも少なからず世界中にファンの方はいる。そういった様々なスポーツの成長に貢献できるのは、ほぼ全世界・地域をカバーしているDAZNならではだと思う」。
「現状ファンの数が多くないスポーツでも、一度でも視聴すれば一定の割合の人はその魅力に取り憑かれる可能性があるのもスポーツの魅力の1つ。グローバル規模を活かせるチャンスと考え、日本に向けてもGlobalプランの提供を決めた」と熱い想いを訴えた。
今後Globalプランでも、Standardプランのコンテンツが一部でも視聴できるようになる可能性については「現時点で検討はしていない」と回答。「PPVなど新たな機能拡張は行っているので、今後ある試合がなんらかの違うかたちでライブ視聴できるといった可能性はある」としている。
ローンチ時に対象となる視聴コンテンツがボクシング・格闘技を中心としている点については「本プランの注力領域がボクシング・格闘技と定めているわけではなく、あくまでローンチ時の状況。現時点では正式契約に至っていないものもあって詳細を明かすことはできないが、2月14日までには一般的にも認知度のあるコンテンツもいくつか発表できれば」と語り、さらなる充実が期待できそうだ。
昨年Abema TVがW杯を無料配信して話題を集めたことについては「我々はまだまだ業界としての発展や拡張が必要なフェーズにいる。競争はウェルカムであるし、こういう事例がどんどん積み上がっていくのは本当に大事なこと」と語る。「そもそもAbemaさんとはモデルが違い、競合とも思っていない。W杯の盛り上げに関して言えば、我々からもご提案させていただいた」とのこと。「業界全体を通してAbemaさんのみならず色々な会社と協業していきたいし、健全なかたちでの競争はあるべき」とさらなる成長へ力を込めた。
説明会にはDAZN Japan エグゼクティブバイスプレジデントに就任した山田学氏が登壇し、2022年の総括および2023年以降の事業戦略に関してプレゼンテーションを行った。
■収益化に向けて舵を切った2022年
2016年からの5年間はサービス拡充に向けた投資期間と位置付けた第1フェーズ。昨年2022年からは収益化に向けて舵を切る第2フェーズへと突入し、「昨年だけみても多くのことを達成することができた」と振り返った。
昨年の実績として、世界200以上の国と地域でサービス展開を行い、27,000以上の試合を全世界にライブ配信。ストリーミング時間は述べ10億時間を超え、利用デバイス数は1億以上と、「世界中のスポーツファンに利用していただくことができた」とアピールした。
グローバル施策の一番のトピックとして、英国のサッカーライブ配信プラットフォーム「イレブングループ」のグローバルスポーツメディア事業を買収したことを挙げ、「2023年は台湾や香港など東南アジアへのマーケット展開やソーシャルに特化したコンテンツやサービスなど、イレブングループのアセットをどんどん活用していきたい」と訴えた。
ドイツとオーストリアでローンチし、今年は日本向けにも検討している無料広告付きのストリーミングチャンネル「Fast Chanel」、昨年日本でもボクシングの元世界5階級王者フロイド・メイウェザー・ジュニアと人気YouTuberデジのエキシビションマッチで初導入されたペイ・パー・ビュー(PPV)方式での追加コンテンツ販売についても説明が行われた。
日本市場については、DAZN JAPANのサービス認知度は約72%、加入意欲率は20%と業界トップを記録。2022年の配信コンテンツ数は11,500以上、合計ストリーミング時間は2億2,000万時間を記録した。
山田氏は「認知度も加入意欲もこれ以上に高めていきたいが、ある一定の評価ができる数字は出せた」と手応えを掴む。コンテンツ数については「サッカーだけでなく野球、F1、ゴルフもあり、24時間に近いかたちで制作陣が動いて様々なコンテンツを配信しており、結果として配信時間や規模はこれぐらいになる」と説明した。
昨年の日本のコンテンツ視聴数ランキングも公開された。DAZNが独占配信したサッカーW杯アジア予選の日本vsオーストラリア戦がダントツ1位となり、過去最高の視聴数を記録。Jリーグの開幕カードやプロ野球では佐々木朗希の先発登板試合などが上位にランクインしている。
昨年3月にサービスを開始した、MIXI社と開発・運用を行うスポーツ特化型NFTマーケットプレイス「DAZN MOMENTS」では、様々なスポーツをフィーチャーした商品の発売を展開。特にJリーグ2022年シーズンの名シーンをピックアップしたアイテムを展開する「DAZN J.LEAGUE MOMENTS」にユーザーから高い評価を得たという。
近年のDEIサポート活動の一環として、女性スポーツの地位向上および認知向上にも注力しており、「UEFA女子チャンピオンズリーグ」「WEリーグ」「JLPGA」など幅広いジャンルの試合やオリジナルコンテンツを提供している。
■値上げは「コンテンツに則した価格を模索した結果」。新プラン「DAZN Global」にも言及
従来プランが昨年に続いて再度値上げされたことついては、「プレミアムなスポーツコンテンツを維持、および今後も増やしていくためにはそれなりの投資が必要」「テクノロジーに関しても大きな投資を行っているので、収益化に向けて提供コンテンツに則した価格を模索していく」として、「価格の変動の幅は抑えたつもりだったが、現実的な範囲でどこまでなら受け入れてもらえるかを検討した結果」と、その背景を説明した。
昨年の値上げによるユーザー数への影響について問われると「ある程度のユーザーの解約はあったが、当初我々が想定していた解約数よりは少なかった。だからもう一度ということではなく、2016年からの最初の5年間は投資の期間だったが、昨年からは収益化のフェーズにある」との考え方を示した。
円安などの外部要因も「物価が上がっているのは世界中どこも同じ。コストの部分でもリアルビジネスほどではないが物価高の影響はゼロではない」と少なからず影響を及ぼした。
今回新たに発表された新プラン「DAZN Global」の導入については、「具体的な会員目標数などを定めているわけではないが、NBAやラ・リーガなどをメジャースポーツとするなら、それらと比較して認知度の低いマイナースポーツでも少なからず世界中にファンの方はいる。そういった様々なスポーツの成長に貢献できるのは、ほぼ全世界・地域をカバーしているDAZNならではだと思う」。
「現状ファンの数が多くないスポーツでも、一度でも視聴すれば一定の割合の人はその魅力に取り憑かれる可能性があるのもスポーツの魅力の1つ。グローバル規模を活かせるチャンスと考え、日本に向けてもGlobalプランの提供を決めた」と熱い想いを訴えた。
今後Globalプランでも、Standardプランのコンテンツが一部でも視聴できるようになる可能性については「現時点で検討はしていない」と回答。「PPVなど新たな機能拡張は行っているので、今後ある試合がなんらかの違うかたちでライブ視聴できるといった可能性はある」としている。
ローンチ時に対象となる視聴コンテンツがボクシング・格闘技を中心としている点については「本プランの注力領域がボクシング・格闘技と定めているわけではなく、あくまでローンチ時の状況。現時点では正式契約に至っていないものもあって詳細を明かすことはできないが、2月14日までには一般的にも認知度のあるコンテンツもいくつか発表できれば」と語り、さらなる充実が期待できそうだ。
昨年Abema TVがW杯を無料配信して話題を集めたことについては「我々はまだまだ業界としての発展や拡張が必要なフェーズにいる。競争はウェルカムであるし、こういう事例がどんどん積み上がっていくのは本当に大事なこと」と語る。「そもそもAbemaさんとはモデルが違い、競合とも思っていない。W杯の盛り上げに関して言えば、我々からもご提案させていただいた」とのこと。「業界全体を通してAbemaさんのみならず色々な会社と協業していきたいし、健全なかたちでの競争はあるべき」とさらなる成長へ力を込めた。