2025年4月1日の徴収開始を目指す
文化庁、BDレコーダーに掛かる私的録音録画補償金額を認可。1台当たり税抜182円が上乗せへ
文化庁は、一般社団法人私的録音録画補償金管理協会(sarah)より申請のあったブルーレイディスクの機器・媒体に掛かる補償金額を認可したと発表。あわせて2025年4月1日より本補償金の徴収開始を目指すと明らかにした。
2022年10月に閣議決定された「著作権法施行令の一部を改正する政令」によって、新たに私的録音録画補償金制度の対象となったブルーレイレコーダー、および録画に用いられるブルーレイディスクに掛かる補償金額が決定した格好。ブルーレイディスクレコーダーは1台当たり税抜182円(税込200円)、録画用ディスク(特定記録媒体)は、「当該特定記録媒体の基準価格に1%を乗じて得た額」が補償金として徴収されることとなる。
上記の通りsarahは、2025年4月1日より本補償金の徴収開始を目指すと説明。今後、具体的な徴収方法等の調整を行うとともに、「本制度の趣旨や意義等について国民の理解促進に向けた活動を進める予定」としている。
この度、ブルーレイレコーダー、および録画用ブルーレイディスクが対象となった私的録音録画補償金制度とは「著作権利者の許諾なく行われる私的使用目的のデジタル方式の録音・録画について、権利者の経済的利益を保護するもの」として1992年の著作権法改正によって導入された制度である。録音・録画機器の販売代金に補償金を上乗せし、個人の機器購入時に徴収する形で、1999年7月1日から施行された。
制度施行から10年が経った2009年。私的録画補償金管理協会(SARVH)が東芝相手に起こした「東芝補償金裁判」により、AV的な観点で本制度にフォーカスが当たることとなる。
訴訟のトリガーとなる、東芝製のデジタル放送専用録画機は「コピーガード」機能でデジタル複製回数が制限されたこと、そもそも制度内でデジタル放送専用機が徴収対象として明確化されていないとして補償金の上乗せを行わずに販売を実施。これを争点とし、補償金支払いを命じる訴訟が起こるも、「メーカーが著作権料を集めて協会に支払う行為に法的強制力は伴わない」との判決が下った。
2011年の地上デジタルテレビ放送完全移行後は、市場に出回る録画機が総てデジタル放送専用機となったため、他のメーカーも補償金の支払いを拒否。また、デジタル専用録画機対応の記録媒体についても、上記確定判決により私的録画補償金の徴収の対象外となっていた。
今回のブルーレイレコーダー、録画用ディスクへの補償金額徴収で懸念されるのは “その適用範囲” だ。文化庁が公示した「私的録画補償金規程」では、今回の補償金徴収対象を特定機器(デジタル方式の録画機能を有する機器)、特定記録媒体(特定機器によるデジタル方式の録画の用に供される記録媒体)と表している。
本件でいえば、ブルーレイレコーダーを指す「デジタル方式の録画機能を有する機器」という表現は、ディスク再生機能を有さないHDDレコーダーや、外付けHDDへの録画機能を備えるテレビも十分にその要件を満たす。録画用ディスクを指す「特定機器によるデジタル方式の録画の用に供される記録媒体」についてもHDDやSDカードもこのように解釈できるだろう。
そして、もう一点気にしておきたいのが実施のタイミングである。サブスクリプションサービスの隆盛や、上記した外付けHDDへの録画機能を備えたテレビの登場によりブルーレイレコーダー市場は縮小傾向。録画用ブルーレイディスクについても、今夏ソニーが生産終了をアナウンスしたというのも記憶に新しい。今回新たに補償金対象となった機器を取り巻く現状はあまり芳しいとはいえないのが正直なところだ。
こうした背景を踏まえた上で “今” ブルーレイレコーダーと録画用ディスクを新たに補償金対象としたことを今一度考えておきたい。
2022年10月に閣議決定された「著作権法施行令の一部を改正する政令」によって、新たに私的録音録画補償金制度の対象となったブルーレイレコーダー、および録画に用いられるブルーレイディスクに掛かる補償金額が決定した格好。ブルーレイディスクレコーダーは1台当たり税抜182円(税込200円)、録画用ディスク(特定記録媒体)は、「当該特定記録媒体の基準価格に1%を乗じて得た額」が補償金として徴収されることとなる。
上記の通りsarahは、2025年4月1日より本補償金の徴収開始を目指すと説明。今後、具体的な徴収方法等の調整を行うとともに、「本制度の趣旨や意義等について国民の理解促進に向けた活動を進める予定」としている。
■私的録音録画補償金制度を巡る経緯。そして解釈幅のある「規定」に見るこれから
この度、ブルーレイレコーダー、および録画用ブルーレイディスクが対象となった私的録音録画補償金制度とは「著作権利者の許諾なく行われる私的使用目的のデジタル方式の録音・録画について、権利者の経済的利益を保護するもの」として1992年の著作権法改正によって導入された制度である。録音・録画機器の販売代金に補償金を上乗せし、個人の機器購入時に徴収する形で、1999年7月1日から施行された。
制度施行から10年が経った2009年。私的録画補償金管理協会(SARVH)が東芝相手に起こした「東芝補償金裁判」により、AV的な観点で本制度にフォーカスが当たることとなる。
訴訟のトリガーとなる、東芝製のデジタル放送専用録画機は「コピーガード」機能でデジタル複製回数が制限されたこと、そもそも制度内でデジタル放送専用機が徴収対象として明確化されていないとして補償金の上乗せを行わずに販売を実施。これを争点とし、補償金支払いを命じる訴訟が起こるも、「メーカーが著作権料を集めて協会に支払う行為に法的強制力は伴わない」との判決が下った。
2011年の地上デジタルテレビ放送完全移行後は、市場に出回る録画機が総てデジタル放送専用機となったため、他のメーカーも補償金の支払いを拒否。また、デジタル専用録画機対応の記録媒体についても、上記確定判決により私的録画補償金の徴収の対象外となっていた。
今回のブルーレイレコーダー、録画用ディスクへの補償金額徴収で懸念されるのは “その適用範囲” だ。文化庁が公示した「私的録画補償金規程」では、今回の補償金徴収対象を特定機器(デジタル方式の録画機能を有する機器)、特定記録媒体(特定機器によるデジタル方式の録画の用に供される記録媒体)と表している。
本件でいえば、ブルーレイレコーダーを指す「デジタル方式の録画機能を有する機器」という表現は、ディスク再生機能を有さないHDDレコーダーや、外付けHDDへの録画機能を備えるテレビも十分にその要件を満たす。録画用ディスクを指す「特定機器によるデジタル方式の録画の用に供される記録媒体」についてもHDDやSDカードもこのように解釈できるだろう。
そして、もう一点気にしておきたいのが実施のタイミングである。サブスクリプションサービスの隆盛や、上記した外付けHDDへの録画機能を備えたテレビの登場によりブルーレイレコーダー市場は縮小傾向。録画用ブルーレイディスクについても、今夏ソニーが生産終了をアナウンスしたというのも記憶に新しい。今回新たに補償金対象となった機器を取り巻く現状はあまり芳しいとはいえないのが正直なところだ。
こうした背景を踏まえた上で “今” ブルーレイレコーダーと録画用ディスクを新たに補償金対象としたことを今一度考えておきたい。