ケーブルテレビが始まり70年目の節目の年
ケーブルテレビ新年賀詞交歓会が開催。地域住民の安心・安全な暮らしを通信・放送から支える使命を胸に刻む
■未来を予見した技術、知見、想いを次の世代へ
一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟、一般社団法人日本CATV技術協会、一般社団法人日本ケーブルラボの三団体主催による「2025年 ケーブルテレビ新年賀詞交歓会」が開催された。全国各地のケーブルテレビ事業者、番組供給事業者、メーカー、施工会社など業界関係者、関係省庁、国会議員など700名を超える関係者が集った。
主催者を代表して挨拶した日本ケーブルテレビ連盟会長・塩冶憲司氏は「昨年は能登半島地震など災害の多い年となりました。改めて被災された皆様、地域に心よりお見舞い申し上げます。これからも引き続き関係諸団体と連携し、私たちにできることを模索しながら、被災者の皆様のお役に立てるように努めて参ります」と述べた。
また、「今年2025年はケーブルテレビの始まりである群馬県伊香保で共同受信が行われてから70年目の節目となります。先人たちによる進化と発展を受け継ぎ、業界が100年、150年とさらに継続して発展していけるよう、今をしっかりと歩んでいきたい。未来を予見して様々な技術、知見、想いを次の世代につないでいかなくてはなりません」と続けた。
通信・放送業界を取り巻く環境については、「この数年で新たなサービスや様々なイノベーションが生まれ、常に大きく変動しています。しかし、先の震災や豪雨災害の折に改めて痛感しましたが、通信・放送インフラを扱う我々の原点は地域に寄り添い、地域の信頼を得、地域住民の皆様の安心・安全な暮らしを通信・放送の局面から支えること」と変わらぬ使命感を訴えた。
「最新のデジタルテクノロジーを活用し、地域が抱える諸課題、新たな地域づくり、地域活性化にも積極的に取り組んでいかなければなりません」と語り、「2030ケーブルビジョン」を掲げて5年目を迎えるなか、「確実に成果が残せる一年になるよう、皆様のご知恵をいただきながら、業界全体力強く前進して参りたい」と力を込めた。
「今年は十干十二支で言うと『乙巳(きのと・み)』。再生や進化を繰り返しながら、柔軟に成長・発展し、さらに安定したものへと育てていく年と言えます。突然の災害や社会関係の変化など様々な困難もあると思いますが、どのような変化にも驚かず、毅然として立ち向かい、しなやかにかわしていく。乙巳に相応しい成長する一年にしていきましょう」と挨拶を締めくくった。
来賓からの祝辞として、総務大臣・村上誠一郎氏が登壇。「本年は世界各国において政治・経済面での大きな動きが見込まれ、我が国としてどう対応していくべきかを考えていかなければなりません。政府としては地方こそ成長の主役との考えのもと、『地方創生2.0』を開始し、令和の日本列島改造を進めて参りたい。情報通信、地方自治、行政相談など、国民生活に密着した幅広い行政を担う総務省の役割はますます重要になります」と述べた。
4月に開幕する大阪・関西万博に触れ、「我が国の地域の魅力を世界に発信できる絶好の機会。全国のケーブルテレビ各社もこうした機会を捉え、観光・文化・食などの魅力をこれまで以上に情報発信していただくことが期待されています」と地方創生への意義を強調した。
「ケーブルテレビは地上波の再送信に始まり、今年で70周年になります。放送に加えて通信分野などへの事業拡大にも積極的に取り組まれ、我が国の5割以上の世帯が加入する地域の情報通信基盤となりました。本年がケーブルテレビの業界にとってさらなる飛躍の年となることを期待しております」とその活躍に大きな期待を寄せた。
続いて日本放送協会会長・稲葉延雄氏が登壇。「今年2025年は日本でラジオ放送が始まって100年という大きな節目の年。始まるきっかけとなったのが関東大震災と言われています。未曽有の大災害を受け、根拠のない流言が広まった反省を深め、当時の人々が正確で信頼のできる情報を誰もが入手できる手段が必要だと切実に感じた結果、放送というメディアが生まれたと承知しています」。
それから100年が経過したが、「本当のことを知りたいという人々の気持ちはより一層強まっていると感じています。しかし、SNSなどで定かでない情報が氾濫した結果、かえって本当のこと、確かなことが入手しにくくなっているように思います」と課題を指摘した。
そのようななかで、「視聴者・国民が本当に知りたいと思っていることに真正面から向き合わなくてはならない。このところ既存メディアに対して厳しい視線が注がれていますが、100年という長い歴史のなかで積み重ねてきた豊富な経験や知見を活かし、視聴者・国民の期待に全力でお応えしていきたい」と訴えた。
また、今年10月からNHKではネット業務が任意業務から必須業務へと位置づけが大きく変わる。「正確で信頼できる情報やコンテンツを、ネットではその特性を生かして、質・量ともにこれまで以上にしっかりとお届けしていきたいと意気込んでいます。視聴者・国民に確かな拠り所となる情報を提供する役割を確実に果たし、健全な民主主義の発達に貢献して参りたい」と説明した。
インターネットを通じたサービス提供においては、「全世帯の半数以上に普及し、全国でネット事業を展開されているケーブルテレビ事業者の皆様との協力関係がより一層重要になることは言うまでもありません。放送とネットという社会に不可欠なインフラを同時に提供するケーブルテレビ事業はまだまだ大きな可能性を有していると確信しています。未来に向けて共に手を携え、しっかり前進していきたい」と意気込みを示した。
乾杯の発声を行った一般社団法人日本CATV技術協会理事長・中村俊一氏は、「今年は昭和100年になりますが、私は昭和生まれのヒーロー、昭和50年代に活躍したあるレスラーが大好きです」と語り、「元気ですか!元気があれば何でもできる!いきますよ!イチ・ニ・サン、乾杯!」と新しい年のスタートを勢いづけた。
中締めの挨拶を行った一般社団法人日本ケーブルラボ理事長・田崎健治氏は、「今、ラボが標榜しているワードが『ケーブルテレビの再発明』です。技術面はもちろん、ビジネス面でも再発明をして、これからケーブルテレビ業界がますます発展していけるように頑張って参ります」とケーブルテレビ業界のさらなる飛躍を誓った。