ボディ単体は24万円前後
パナソニックの4K/60p動画対応ミラーレス「GH5」、3月23日発売。レンズキットは27万円前後
■高水準のニーズに応えるプロフェッショナル動画性能
GH5は、動画撮影においてプロが活用できる性能を確保している点が大きなトピックとなる。進化したLive MOSセンサーとヴィーナスエンジンにより、4K60p/50pおよび4K/30p、4:2:2/10bitの動画撮影が可能。さらに従来機のGH4がセンサー中央の4K領域を切り出して4K動画記録していたのに対して、本機はセンサー全域の読み出しでの4K動画撮影が可能。交換レンズの焦点距離を活かした動画記録が行える。
これだけの性能を搭載した理由について、前田氏は「静止画と動画のハイブリットフォトグラファーや、映像制作を行うプロのニーズに応えるため」として、GH4で好評だった動画機能をさらに強化した経緯を述べた。
4K/30p 4:2:2 10bit動画の記録については、これまでは外部レコーダーを必要としていたところを、本機では本体内部のSDカードに記録することが可能になった。また、SDカード記録をしない場合は、4K/60p 4:2:2 10bitでのHDMI出力も行える。なお、4K/30p 4:2:2 10bit記録は4月のアップグレードでの対応となる。
全ての記録モードで動画記録時間を無制限とするために、「パナソニック独自の放熱・低電力設計による温度上昇の抑制が大きなポイントとなっている」と山根氏はコメント。内部設計にノウハウを投入したことと共に、「触って、持って、素晴らしいと思っていただけるような感性に訴えかける形状としつつも、効果的に放熱できるような設計としている」とデザインへのこだわりを語った。
■決定的瞬間を捉える「6K PHOTO」による優れた機動力
高画質連写機能として、新たに「6K PHOTO」を搭載した。現行の「4K PHOTO」機能が8メガ(800万画素)で秒間30コマの撮影が行えるのに対し、6K PHOTOはフルHDの9倍の高解像度である18メガ(1,800万画素)で秒間30コマの連写撮影が行える。またGH5では、従来の4K PHOTOもアップグレード。秒間60コマ連写の高速撮影で8メガの解像度を実現する。
連写モードで撮影されたなかから1枚を選んで保存する際に「ポストリファイン機能」も搭載。これは前後のフレームを使用した画像合成処理を行うもので、「ローリングシャッター歪み補正」や高感度撮影時のノイズを低減する「時空間ノイズリダクション」の補正処理により、撮影後に自然な描写への補正を行えるとしている。
また搭載するファインダーとモニターも、それぞれ新開発。ファインダーは368万ドットの有機EL、高速応答のLVFを採用。ファインダー倍率は0.76倍、コンストラスト比は10000対1。モニターには162万ドットの3.2インチRGBW液晶モニターを採用。タッチパネル式で、最高輝度は従来比200%以上、色再現性100%でフリーアングル、屋外での視認性を高めたもので、「心地良い視認性を体感していただける」としている。
進化したオートフォーカス性能や優れたファインダー/モニターと相まって実現できる連写機能について、「アスリートの表情、瞬間の迫力などを捉えることができる、新しい写真文化の誕生と言っても過言ではない」と山根氏は語る。
■堅牢な揺るぎない信頼性
GH5ではハードな使用にも対応できるよう、フル・マグネシウム合金外装を採用。防塵・防滴シーリング設計で耐低温-10度での動作保証と、プロのアウトドアユースにも耐えうる堅牢なボディを持つ。シャッター耐久回数は20万回。
また、UHS-U対応のダブルSDカードスロットを装備。動画の振り分け記録やリレー記録、同時記録に対応するため、「データ管理、重要な撮影データのバックアップが行えるので、快適な撮影に集中できる」としている。
■アクセサリーやアップグレードによる充実の拡張性
発表会では、ファームウェアアップグレード計画についても発表。先述のFHD 4:2:2 10bit記録が4月のアップグレードで対応、今夏にはHLG(Hybrid Log Gamma)での4K HDR動画撮影や、4K/フルHD両方でのALL-Intra記録(VグレードSDカードサポート)、高解像アナモフィックモード、USBテザー撮影に対応することにも注目が集まる。
GH5の機能拡張アクセサリーとして、バッテリーグリップ「DMW-BGGH」(予想実売価格35,000円前後)、XLRマイクロホンアダプター「DMW-XLR1」(予想実売価格40,000円前後)がラインナップ。DMW-XLR1ではMOV記録時に96kHz/24bitのハイレゾフォーマットでの音声収録が行えるため、より高品位な動画撮影が可能となる。
またレンズシリーズのラインナップを拡充。新たにプレミアムレンズ「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0」を加えると共に、4本のリニューアルを発表した。
「LEICA DG VARIO-ELMARIT/F2.8-4.0」ズームレンズシリーズはPhotokina2016で開発発表されていたもので、この度12-60mmの標準ズームレンズ「H-ES12060」が2月23日発売として正式発表された形。
LUMIX Gシリーズでは45-200m/F4.0-5.6「H-FSA45200」(2月23日発売)、100-300mm/F4.0-5.6「H-FSA100300」(2月23日発売)、12-35mm/F2.8「H-HSA12-35」(3月10日発売)、45-200mm/F4.0-5.6「H-FSA45200」(3月10日発売)の4本がリニューアル。その内容は「Dual I.S.2」対応、動画性能の強化、防塵・防滴仕様、耐低温(-10度)設計、外装品位の向上といった、GH5との組み合わせを大いに想定したものとなる。
またGH5では、Bluetooth 4.2および5GHz Wi-Fi(IEEE802.11ac)対応による自動転送やリモートコントロール、カメラ設定コピーなど、ワイヤレス機能の進化も使用感を向上させるポイントとなる。
■LUMIXシリーズの今後の展開
GH5はプロ用途での活用も想定した製品となるため、プロフォトグラファー・プロビデオグラファーとの連携をアピール。充実したサポート体制の一環として、会員制プロフェッショナルサービス「LUMIXプロフェッショナルサービル」の実施を発表。
また、8K(33メガ)時代に向けた技術推進についても触れられた。2020年の東京オリンピックを視野に入れ、「マイクロフォーサーズで8Kを実現するために、どんなデバイスを開発し、どういう設計を行う必要があるかなど、現段階では語れることが少ないが、まったく新しい8Kの世界を切り開いていきたい」と山根氏はコメント。エンジン、レンズ、センサーの開発を進めると共に、HDRのさらなる進化にも取り組んでいくとしている。
山根氏は、「GH5は海外のショーなどで発表したところ、LUMIXの歴史のなかでも最も多くの賞を獲得した。今後も新しい写真文化の創造を行っていくので、LUMIXに期待して欲しい」と語った。
関連リンク
- ジャンルデジタルスチルカメラ/静止画編集
- ブランドPANASONIC
- 型番DC-GH5
- 発売日2017年3月23日
- 価格標準ズームレンズキット:¥OPEN(予想実売価格27万円前後)
SPEC】●有効画素数:2,033万画素 ●撮像素子:4/3型 Live MOS センサー ●モニター:アスペクト比3:2/3.2型 /約162万ドットモニター/静電容量方式タッチパネル/視野率約100% ●記録メディア:SD/SDHC/SDXCメモリーカード ●外形寸法:約138.5W×98.1H×87.4Dmm(突起部含まず) ●質量:約645g(本体のみ)