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13社が発表

VR向け3Dアバター共通ファイル形式「VRM」普及拡大へ13社が集結。「日本発のフォーマットを世界標準に」

公開日 2018/12/20 14:00 編集部:平山洸太
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VR関連の13社は、VR向けの3Dアバターファイルフォーマット「VRM」の共同事業体として、『一般社団法人 VRMコンソーシアム』を2019年2月を目標に設立することを発表した。


参画しているのはIVR、(株) XVI、(株) S-court、クラスター(株)、クリプトン・フューチャー・メディア(株)、SHOWROOM(株)、(株)DUO、(株)ドワンゴ、(株)バーチャルキャスト、ピクシブ(株)、(株)ミラティブ、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社、(株)Wright Flyer Live Entertainment。また、オブザーバーとして任天堂が参加。今後も加入企業を随時募集していくとしている。

発表会では、参画する13企業の代表者が集まった

同団体では、3Dアバター向けファイルフォーマット「VRM」の策定・普及を行う。日本発のフォーマットを世界標準にすることを目的に活動するという。

「VRM」の策定・普及を目的とした団体「VRMコンソーシアム」

VRMは、VR向けの3Dアバターを扱うプラットフォーム共通のファイル形式。ドワンゴが今年4月に提唱し、オープンソースで公開されている。このフォーマットでは、対応アプリケーション全てにおいて同じアバター(3D モデル)データを使うことができる。これにより、生放送、動画、ゲーム、チャットなど、プラットフォームを超えて同じアバターを使用することができる。

具体的な活動内容はまだ確定していないとのことだが、発表会では団体が担うミッション案が3つ挙げられた。1つめは「統一規格、技術仕様の検討」。これは3Dアバター・モデルなどの標準化に向けた技術仕様の検討を行うほか、VRMを使用した3Dモデルの権利保護を実現するための技術的手法の検討を行うというもの。

VRMコンソーシアム ミッション案

2つめは「権利保護手段の検討」で、3Dモデルにおける作品・IPの知財・著作権管理についての検討を行い、またアバターにおける人格など、新たに保護が必要な権利についての定義・法的根拠等の検討を行うという内容となる。

3つめは「標準化の推進」となり、サイトやカンファレンスで広く情報発信をおこなったり、事業者や関係省庁、団体などとのコネクションを強化し、VRMを活用した新たな市場環境を構築すること。また日本発の国際標準化規格として、海外主要プレーヤーとのコネクション確立や、海外主要サービスでのVRM対応を推進するといったことも行われるという。

VRMが生まれた経緯として、(株)バーチャルキャスト 取締役COO 石井洋平氏は「近年3Dアバターを使うサービスが格段に増えてきた。作る・使うといったサービスも多いが、仕様やプラットフォームによって自由に使うことができない。そのため、環境に依存せずにどこでも共通で使えるフォーマットが必要だった」と話す。

VRMは、VRのための3Dアバター用ファイルフォーマット

株式会社バーチャルキャスト 取締役COO 石井洋平氏

またVtuberの登場により「3Dアバターはいったい誰なのか」という新しい課題も見えてきたという。「人が演じることで、アバターを1人の人格、ユニークな個体として使う場合もあれば、クリエイターにより、自由に使えるように配布されている3Dアバターも存在する。3Dアバターをどう使ったらいいのかという新しい概念ができた」と石井氏は、VRMが作られた2つの理由を説明した。

3DアバターやVTuberなどから生まれた問題を解決するのが「VRM」

VRMの開発者である(株)バーチャルキャスト 取締役CTO 岩城進之介氏は技術的な仕様について解説を実施。同氏によるとVRMは、Windowsでも標準でも開けるような3D形式「glTF2.0」を発展させることで、3Dアバターとしての使用に適した形式にしたものだという。

株式会社バーチャルキャスト 取締役CTO 岩城進之介氏

VRMの技術概要

具体的には、アバターを取り扱うために必要な機能の拡張と、使いやすくするための制約を設けてあるとのこと。例えば、VR上において3Dアバターを1人称視点にする場合、従来は3Dアバターの内側が見えてしまっていたのに対し、VRMでは1人称視点では内側は描画させない、といった仕様になっているという。加えてテクスチャ・マテリアルが1つのファイルにまとめられることで、非常に使いやすくなっているという。

VRMによる3Dアバターファイルの特徴

また前述した「3Dアバターはいったい誰なのか」という問題に対しても対策が行われている。これにより、製作者専用なのかといった許諾範囲、暴力表現などの許可、商用利用の可否などのライセンス情報をファイルに入れることができる。さらにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを組み込むことも可能で、定型化されたライセンスから選ぶといった方式にすることでプログラムから判定できるとしている。

使用方法や再配布・改変などに関するライセンスデータをファイルに設定することができる

ベースとなっているglTFはクロノスグループという別の組織が開発・策定しているものだが、VRMではこのクロノスグループと密接に連携し、標準化を進めていくとした。

発表会では、今回のコンソーシアムに参画する団体の責任者が登壇。VTuber作成支援サービス「Vカツ」(関連ニュース)を運営するIVRの代表取締役 大鶴尚之氏は、「VRMによってエンターテインメント以外にも、教育、医療、芸術、文化など幅広く浸透していくことを期待している。1人1人がアバターを持つ、1億総アバター時代を目指していきたい」と語る。

IVR 代表取締役 大鶴尚之氏

目標は1億総アバター時代

またVRコンテンツ開発を行う、XVIの代表取締役 近藤義仁氏は、「これからは誰でもアバターを持つ時代になる。SNSのアイコンではPNG・JPEG形式の画像が多いが、VR時代の標準形式はVRMになるのではないか。VRMはこれからのアバター標準フォーマットとして、世界のデファクトスタンダードになれると思っている」とVRMへの期待を話した。

XVI 代表取締役 近藤義仁氏

さらにドワンゴの副本部長 清水俊博氏は、「利便性を考えるとVRMは大きな利点。日本発のフォーマットを世界標準にしていきたい」と意気込みを述べた。

ドワンゴでは、VR空間上でのイベントを行っていく

ドワンゴ 副本部長 清水俊博氏

同団体の所在地は、銀座・歌舞伎座タワーになる予定。また会員の資格は3DモデルやIPを扱う関連事業者となる。正会員、賛助会員、オブザーバー会員の3つの会員制度が用意される。

設立の概要

会員制度について

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