産業用ロボットをカスタマイズしていた
チェスロボットが子供の指折る事故。数人がかりで救助【Gadget Gate】
娯楽やイベントの場でロボットが活躍し、もてなしや案内をしたり、人々と交流したりする機会が増えている。それだけに細心の注意も求められているなか、ロシアのチェス大会に出場していた7歳の子供が、チェスを指すロボットに指の骨を折られたと報じられている。
この事件はロシアの首都モスクワにて、今月13日から21日にかけて行われたチェス大会で起こったことだ。その様子を捉えた動画を観ると、このロボットは産業用ロボットをカスタマイズしたものだと分かる。3つのチェス盤がロボットを囲むように置かれ、1つのアームで3つの対局を進められるようだ。
映像では、チェス盤の上にある子供の指を、ロボットアームがつかんだ瞬間も記録されている。その後すぐに複数の大人が駆けつけ、苦戦しながらもアームを指から引き剥がすことに成功した。
モスクワ・チェス連盟のセルゲイ・ラザレフ(Sergey Lazarev)会長は、「ロボットは子供の指を骨折させた。これはもちろん悪いことだ」と国営タス通信に語っている。「このロボットはレンタルしたもので、長年にわたり専門家とともに多くの場所で展示されてきた。どうやら、運用者が見落としていたようだ」とのこと。
事故の理由として、子供がルールを守らなかったとの趣旨が説明されている。まず子供が自分の駒を動かし、その後ロボットが反応するまで待つべきだったのが、子供が急いだためにロボットがつかんでしまったという。ラザレフ氏は「我々はロボットと何の関係もない」とも付け加えている。
産業ロボットなどには、近くにいる人間を認識したり反応するためのセンサーが備わっていないことも多い。そのための人身事故も数々あり、史上初は1979年、米フォードの工場で働く従業員が、ロボットのアームに押しつぶされたことだと言われる。今なお米国での死亡事故は、およそ1年に1件の割合で発生しているとの調査結果もある。
今回の事故は、子供の不注意よりも、ロボットの設計者が不用意に人を傷つける可能性を残し、安全規則に違反していたと言ったほうが正確だ。たとえばチェス盤の上にカメラを設置し、フレーム内に異物が現れるとロボットが動かなくなるようにする。あるいはアームが出力できる力を駒をつまめる程度に絞っておけば、事故を防ぐことができたはずだ。
怪我した子どもは、翌日にはギブスを付けて遊べるほどに回復したという。ラザレフ氏は「ロボットの運用者は、このような状況が二度と起こらないように、安全対策の強化を検討する必要がありそうだ」と述べている。
ドローンやロボットの開発者は、本当に怖いのは “人” だと言う。ロボット本体がモノにぶつかって壊れても金銭や人手をかければ直せるが、人身事故が起きれば取り返しが付かないこともありうるからだ。日常生活のなかにロボットが進出していく上でも、いっそうの配慮が求められそうだ。
Source: TASS
via: The Verge
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この事件はロシアの首都モスクワにて、今月13日から21日にかけて行われたチェス大会で起こったことだ。その様子を捉えた動画を観ると、このロボットは産業用ロボットをカスタマイズしたものだと分かる。3つのチェス盤がロボットを囲むように置かれ、1つのアームで3つの対局を進められるようだ。
映像では、チェス盤の上にある子供の指を、ロボットアームがつかんだ瞬間も記録されている。その後すぐに複数の大人が駆けつけ、苦戦しながらもアームを指から引き剥がすことに成功した。
モスクワ・チェス連盟のセルゲイ・ラザレフ(Sergey Lazarev)会長は、「ロボットは子供の指を骨折させた。これはもちろん悪いことだ」と国営タス通信に語っている。「このロボットはレンタルしたもので、長年にわたり専門家とともに多くの場所で展示されてきた。どうやら、運用者が見落としていたようだ」とのこと。
事故の理由として、子供がルールを守らなかったとの趣旨が説明されている。まず子供が自分の駒を動かし、その後ロボットが反応するまで待つべきだったのが、子供が急いだためにロボットがつかんでしまったという。ラザレフ氏は「我々はロボットと何の関係もない」とも付け加えている。
産業ロボットなどには、近くにいる人間を認識したり反応するためのセンサーが備わっていないことも多い。そのための人身事故も数々あり、史上初は1979年、米フォードの工場で働く従業員が、ロボットのアームに押しつぶされたことだと言われる。今なお米国での死亡事故は、およそ1年に1件の割合で発生しているとの調査結果もある。
今回の事故は、子供の不注意よりも、ロボットの設計者が不用意に人を傷つける可能性を残し、安全規則に違反していたと言ったほうが正確だ。たとえばチェス盤の上にカメラを設置し、フレーム内に異物が現れるとロボットが動かなくなるようにする。あるいはアームが出力できる力を駒をつまめる程度に絞っておけば、事故を防ぐことができたはずだ。
怪我した子どもは、翌日にはギブスを付けて遊べるほどに回復したという。ラザレフ氏は「ロボットの運用者は、このような状況が二度と起こらないように、安全対策の強化を検討する必要がありそうだ」と述べている。
ドローンやロボットの開発者は、本当に怖いのは “人” だと言う。ロボット本体がモノにぶつかって壊れても金銭や人手をかければ直せるが、人身事故が起きれば取り返しが付かないこともありうるからだ。日常生活のなかにロボットが進出していく上でも、いっそうの配慮が求められそうだ。
Source: TASS
via: The Verge
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