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音響技術を提供するSound by Onkyo製品も展示

オンキヨー、車載サウンドシステムからAIまで幅広いビジネスをMWCに出展

公開日 2019/02/27 11:14 山本 敦
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オンキヨーが2月25日に開幕した「MWC19 Barcelona」に出展している。同社が提供するAI(人工知能)関連、音響機器関連のソリューションを、イベントに集まるBtoB顧客に向けてアピールすることが大きな目的だ。

オンキヨーが携帯通信関連の展示会であるMWCに出展する機会は、初参加の昨年に続いて2度目となる。同社B2B本部 AI・IoT事業推進室の甲斐 拓氏は「オンキヨーに様々なブランドイメージをお持ちの方々と出会い、ビジネスを発展させる機会としてMWCに出展する効果が期待通りに活かせている」と胸を張る。

オンキヨーの甲斐拓氏にMWCのブースを紹介していただいた

今年も複数のテーマに分けた展示を用意した。なかには1月に米国ラスベガスで開催されたCES2019(関連ニュース)の展示と重なる内容もあるが、ヨーロッパ市場に元々強いオンキヨー、パイオニアの両ブランドが現在、多面的なビジネスを展開していることを改めてアピールすることには、大きな意義があると言えるだろう。昨年に比べて今年は敢えてビジネス向けのソリューションにシフトさせた狙いもここにあるのだと思う。

出展の目玉の一つは、加振器「Vibtone」と音声認識用マイクを組み合わせた車載用ダッシュボードのデモンストレーションだ(関連ニュース)。振動を発生させるアクチュエーターをダッシュボードの内部に装着してスピーカーの役割を持たせるという提案だ。

オンキヨーの加振器「Vibtone」を搭載した車載用オーディオシステムの試作

昨今のMWCでは、コネクテッドカーや自動運転の先端技術をハイライトする出展社が増えていることから、会場には自動車関連のソリューションを取り扱うビジターも多く来場している。甲斐氏は「車の内装を手がける来場者に、カスタマイズ提案の一つとして興味をお持ちいただいている」と語っている。

美観を損ねることなくスピーカーを配置できることが、同技術のメリットとして響いているようだ。また「複数人数が乗れるワゴン車の各座席の天井にVibtoneを配置して、心地良いサウンド空間を提案してみたい」というアイデアも寄せられているという。

会場では試作したダッシュボードにスピーカーとマイクを載せて、車載用のAIアシスタントを搭載するスマートスピーカーとして作り込むケーススタディを披露した。Googleアシスタントによる試作だったが、騒がしい会場にも関わらず機敏な反応を返す様子を筆者も体験して、オンキヨーの設計技術の高さを改めて実感させられた次第だ。

AI関連では、CES2019の会場などにも置かれたネックバンドタイプのスマートスピーカーをMWCにも続けて出展。VC-NX01は2018年のCESに初めて試作機が出展され話題を呼んだが、甲斐氏は「見た目には細かなブラッシュアップに留まっているが、中身はフルモデルチェンジに近い進化を遂げている」と説明する。

こちらはデビューから1年が経つネックバンドタイプのウェアラブルスピーカー

そもそも本機は、オンキヨーにネックバンドタイプのスピーカーを制作できるノウハウもあることを示す役割も帯びているため、これが最終形というわけではない。昨年末に国内ではNTTドコモとタッグを組んで、ウェアラブルのAIデバイスによる新しいビジネスモデルの構築に向けた共同の取り組みをスタートして、本機をたたき台にした応用展開もアピールしたばかりだ(関連ニュース)。

会場では、ネックバンドタイプのスピーカーにフィットネスコーチを目的としたアプリケーションを組み込むイメージを参考出展した。CES2019の展示と同じく、AIアシスタントにはIBMのWatsonを組み合わせてプログラムを試作している。これもオンキヨーがAIを使ってできることのあくまで一例だ。甲斐氏は今後「医療分野、農耕分野のパーソナルアシスタントとして、身に着けながら使えることのメリットと共に価値を訴求していきたい」と述べていた。

Watsonを使ったフィットネスコーチのデモンストレーションが体験できた

「Sound by Onkyo」として、オンキヨーが音の作り込みのノウハウを他社製品に提供する事例は枚挙に暇がない。MWCではその一端を紹介しており、テレビの内蔵スピーカー、ヘッドホン、スマホにタブレット、そしてSACDプレーヤーのための光ディスクドライブシステムとその基板の設計など、カテゴリーは多岐にわたっている。

Sound by Onkyoに認定されたオーディオを搭載するdynabook

SACDドライブを基板設計から手がけてきた実績がある

ヘッドホンやイヤホンのドライバーは、オンキヨーが得意とする領域だ。その充実した品揃えぶりと、ひとつひとつの完成度の高さがイベントの来場者に響いていたのではないだろうか。

Veclosのヘッドホンや富士通“arrows”のスマホやタブレットにもノウハウを提供してきた

オンキヨーはヘッドホン、イヤホンのドライバーを他社にも供給してきた

今回オンキヨーのブースにはIIJが共同出展社として、ソフトSIM(仮想化SIM)やeSIMのソリューションを見せていた。オンキヨーのハイレゾスマホ「GRANBEAT」をMVNOであるIIJが取り扱ったことが契機となり、今回の共同出展が実現したという。IIJにとってもMWCへの出展が今後の海外展開に向けた重要な布石となったようだ。

今年のMWCはオンキヨーとIIJが共同出展を果たした

(山本 敦)

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