エッジライトLED搭載機の画質は?
最薄部9.9mmの超薄型液晶テレビ − “BRAVIA”ZX1の実力を折原一也がチェック
●薄さを感じさせない映像のクオリティ
“BRAVIA”ZX1には様々な新機軸の機能が搭載されていることは先に述べたが、その映像の実力はどうなのか。BDレコーダーのBDZ-X100をプレーヤーに用い、BDソフトを再生してクオリティチェックを試みた。
本体にある「シアター」ボタンを押して映像モードを切り替える。一見して高品位な映像だ。ソニーのBRAVIAは今年の春からマスターモニターを彷彿とさせるような自然な精細感を持つ画作りにシフトしているが、色味についてはほぼ同様の傾向を見せる。映画『ラスベガスをぶっつぶせ』の夜景シーンでは暗部階調を緻密に表現し、完成された色調を見せる。
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』では原色の表現をチェックしたが、赤や青の強烈な色彩はやや穏やかな色調で見せる傾向にある。”エッジライトLED”の採用で懸念していた輝度ムラはわずかで、デジタル放送を録画したサッカー番組で、芝が全体に広がる画面など、同系色の色が広い面積を占める際に、注意して見るとわずかに体感できる程度に収まっている。
なお一つ付け加えると、BRAVIA全機種に共通する、映画の動きを滑らかに補完する「モーションエンハンサー」機能は、BDの再生でテストしたところ「切」設定を推奨したい。ZX1では効果を2段階で調整できるが、控えめな効果を選んでも、動きが滑らか過ぎて不自然に感じられたためだ。
●ワイヤレス化による遅延もほぼ体感できないレベルに抑えている
BRAVIA ZX1のもう一つの気になる要素は、ワイヤレス化による画質への影響だ。今回は映像の遅延速度を確認するため、PS3のゲーム「みんなのGOLF5」をプレイしてチェックしてみたところ、発表会の段階で説明されていた1/1,000以下という数値は伊達ではなく、映像遅延はほぼゼロと言って良いレベル。タイミングがすべてのゴルフゲームも、通常の有線接続のテレビと全く同じ感覚で遊ぶことができた。
新技術を搭載して超薄型を実現しながら、BRAVIAらしいクオリティも兼ね備えたソニーの液晶テレビ“BRAVIA"ZX1は、年末から来年にかけ、新風を巻き起こすモデルとなるだろう。
執筆者プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。