一条真人の体当たり実験室
進化点を総合チェック! - パナソニック新“ブルーレイDIGA”「BW880」を試す
■新シリーズで唯一オプションの無線LANに対応 - 使い勝手はいかに?
今回のBWシリーズのなかで、BW880だけがオプションの無線LANアダプターによって無線LANに対応した。この無線LAN機能は、AOSS、WPSに対応しているため、対応の無線LANルータを持っていれば、設定はごく簡単だ。
オプションの無線LANアダプタ「DY-WL10」をUSBコネクタに接続すると、自動的に認識され、無線LANに接続するか、と聞いてくるので、「はい」を選択すると、接続設定が起動し、ここでAOSSなりWPSなり、自分のルータの自動設定機能を選択すれば、あとはルータの自動設定ボタンを押すだけで自動的に設定が行われる。
ちなみに今回は、11n対応のバッファローの無線LANルータ「WZR-HP-G300NH」を使い、WPSで設定しているが、ごくスムーズに認識され、自動的に接続設定が行われた。
通信速度はベンチマークソフトを走らせるわけにもいかないので、数値を紹介することはできないが、アクトビラでのハイビジョン動画再生などもごく普通に行えたので、実用上は問題のない速度が出ていると言えそうだ。
■10倍録画より意味があるW長時間録画対応
MPEG-4 AVC/H.264によるフルHD録画が10倍に対応したのもBW880のウリのひとつだ。この10倍録画時のモードは、新しく追加された「HBモード」というものになる。10倍というのは、BSデジタル放送の24Mbpsから計算した数値なので、ビットレートは2.4Mbpsとなる。
10倍録画時の映像は発色に関しても比較的よく保たれ、うまくバランスをとっていて、不自然さはあまりない映像だが、さすがにエッジや細部のノイズは避けられない印象だ。とはいえ、これは10倍というビットレートの低さを考えれば無理のない話と言える。ニュースのような動きの少ない映像を録画する場合には10倍モードは有効に使えるだろう。
長時間録画機能でインパクトがあるのは10倍録画に対応したことより、長時間W録画ができるようになったことだろう。今までのように「どちらをDR録画で録画しようか」と悩むことなくW録画ができるのは快適の一言だ。なお、2番組長時間録画のままでBD再生をすることはできず、もしW長時間録画している場合は、片方のチャンネルが一旦DRモードに切り替えられる。
なお本機は超解像技術などによって、DVDビデオなどSD映像の画質も向上しているが、この画質については別途ほかの機種も交えて報告したい。
■使いやすさの向上が光る新スタンダードレコーダー
BW880は機能の向上以上に、使い勝手の向上を強く感じさせてくれた。レコーダーでよく行う作業は予約録画と再生であり、特に予約録画の部分がビギナーユーザーには面倒だ。
もともとDIGAは録画時にチューナー番号を選択する必要がないため、長時間録画でW録画できることによって、予約録画作業の使いやすさは格段に増した。このあたりの使い勝手は現在のレコーダーでナンバーワンだろう。
また、オプションとはいえ要望の高い無線LANに対応し、それも実に簡単に設定して使い始められるのも高く評価できる。アクトビラやDLNAが普及するなか、レコーダーが無線LAN機能に対応してきたのは嬉しい進化点だ。
持ち出し番組機能の強化、無線LAN、10倍録画、高画質化などのトレンドを押さえながらも使いやすさの向上や省スペース化、省電力化なども忘れないBW880は総合ポイントが高く、幅広いマーケットに受け入れられそうなレコーダーだ。
(一条真人)
筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など