不具合もチラホラ
国内VODに新局面 − iTunes Store 映画販売/レンタルサービスの完成度をチェックする
本日より国内で開始された、iTunes Storeでの映画販売/レンタルサービス(関連ニュース)をさっそく試してみた。
まず、用意されている作品のラインナップだが、これはまだ充実しているとは到底言い難い。
アップルは作品数について1,000作品以上と説明しているが、肝心のHD映画は本日午前の段階で202作品だけ。邦画作品も「カルメン故郷へ帰る」などかなり昔の作品が多く、しかも旧作はレンタルのみ提供の作品がほとんどだ。
さらに今回提供を開始したのは映画だけで、北米で展開されているテレビ番組の販売/レンタルも利用できない。全体的にかなり寂しい状況だ。
■早速ダウンロードを開始。iPhone 4では当初再生できず
試しに「第9地区」を購入してみた。SD作品だが、新作なので販売価格は2,000円となる。容量は1.63GB。
ダウンロードした後、iTunesでメディア情報をチェック。動画のコーデックはH.264、解像度は851×480、合計ビットレートは2,070kbpsと表示される。ただし、QuickTime Playerのインスペクタを見ると解像度は638×480。ソース自体は638×480で、iTunes側では出力解像度を表示しているということだろう。
またフレームレートは23.98で、アップル独自のDRM「FairPlay」のバージョンは「3」と表記されている。
まずはMacのiTunesで再生ができることを確認しようと再生すると、これは問題なく開始された。iTunesだけでなく、QuickTime Playerから再生することもできるのだが、こちらは若干ユーザーインターフェースが異なり、チャプターのサムネイルを画面一杯に表示させることも可能となっている。
なお、本作は音声にステレオとドルビーデジタルサラウンドの2種類が用意されている。
当たり前だが、アートワークや作品の基本情報もあらかじめ登録されている。ただし作品情報については、かんたんなあらすじや監督名が登録されているだけで、あまり充実していない。もっとも、これは作品によっても異なるだろう。
次にポータブルデバイスでの再生を確認。手持ちのiPhone 4に作品を転送し、再生しようとしたところ、問題が発生した。作品を転送すること自体はできるが、iPhone 4で再生しようとすると「このムービーは再生できません」というエラーが表示される。
メモリーが足りないのかと、一度電源を切ったり、コンテンツをいったん削除して同期し直したりしても結果は同様だった。不具合の可能性が高いと一旦諦めたが、後述するiPadでの再生を行ったあと、少し時間をおいて再生し直したら、今度は正常に再生が開始できた。
■iPadでの転送・再生は至ってスムーズ。レジューム再生も快適
iPadへの転送はスムーズに行え、再生自体も、何の問題もなく開始できた。Macで再生を停止していた場所から、自動的にレジューム再生されるのも快適だし、「ビデオ」アプリを起動した直後の、チャプターが画面左、ジャケット写真が右側に表示される画面レイアウトもとても見やすい。
■HD映画をレンタルするもダウンロードが完了せず
続いてレンタルもチェック。作品にはHD版の「グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-(字幕版)」を選んだ。HD動画に加え、iPod/iPhone向けの解像度の低いバージョンも同時にダウンロードされるため、ファイル容量は5.05GBと大きい。
ダウンロードが完了するまでの時間が長いので、ここで、ダウンロードしながらの再生が可能かどうかをチェックしようと、iTunes上に表示されたジャケットをクリック。再生指示を行うこと自体は可能で、レンタル作品なので48時間以内の再生しかできない旨が表示される。
ここで問題発生。「OK」を押してもiTunes Storeで不明なエラーが起きたというアラートが表示され、再生が始まらない。エラーコードは「-42110」。何度やっても結果は同じだった。
さらに、ダウンロードの仕上げの、ファイルを処理する段階でも同じエラー「-42110」が発生し、ダウンロードが終了せずに中止されてしまう。
途中で再生指示を行ったことが問題なのかと、再生回数のリセットなども行ったが、何度ダウンロードを再開しても、最終段階でエラーが出て終了できない。
結局、途中でデータが破損した可能性が高いと判断。諦めてダウンロードしたものを削除し、もう一度ダウンロードを始めた。だが、記事を書いているうちにサーバーがさらに混み始めたようだ。記事執筆時点で、ダウンロードが終了するまでにあと3時間かかると表示されている。
◇ ◇ ◇
以上、駆け足で速報レビューをお伝えした。肝心のHD動画の画質がまだ確認できていないのは残念だが、今後Apple TVの発売に合わせ、くわしいレビューを公開したい。
iPhoneでの再生が当初行えなかったり、作品のダウンロードが途中で停止されてしまうなどの不具合は見られるが、北米などではすでに長い実績があるサービスだけに、今後確実に改善されるだろう。新サービスが開始されたばかりでiTunes Storeへのアクセス自体が不安定であることから、不具合はサーバー負荷の高さが原因である可能性が高い。
作品の少なさへの不満もあるが、それよりも、これまでは全く行われていなかったサービスが国内でスタートした意義の方が、遙かに大きい。販売実績が出てくればタイトル数も増えていくはずだ。
国内にもVOD事業者は数多くあり、サービスも多彩だが、それらのサービスはテレビをメインスクリーンとして想定し、モバイル機器との連携が考慮されていないものが多い。iPhoneやiPodとのシームレスな連携が可能なiTunes Storeでの映画販売が、その状況に風穴を開ける可能性がある。国内VODサービス競争が新たな局面を迎えたことは間違いない。
まず、用意されている作品のラインナップだが、これはまだ充実しているとは到底言い難い。
アップルは作品数について1,000作品以上と説明しているが、肝心のHD映画は本日午前の段階で202作品だけ。邦画作品も「カルメン故郷へ帰る」などかなり昔の作品が多く、しかも旧作はレンタルのみ提供の作品がほとんどだ。
さらに今回提供を開始したのは映画だけで、北米で展開されているテレビ番組の販売/レンタルも利用できない。全体的にかなり寂しい状況だ。
■早速ダウンロードを開始。iPhone 4では当初再生できず
試しに「第9地区」を購入してみた。SD作品だが、新作なので販売価格は2,000円となる。容量は1.63GB。
ダウンロードした後、iTunesでメディア情報をチェック。動画のコーデックはH.264、解像度は851×480、合計ビットレートは2,070kbpsと表示される。ただし、QuickTime Playerのインスペクタを見ると解像度は638×480。ソース自体は638×480で、iTunes側では出力解像度を表示しているということだろう。
またフレームレートは23.98で、アップル独自のDRM「FairPlay」のバージョンは「3」と表記されている。
まずはMacのiTunesで再生ができることを確認しようと再生すると、これは問題なく開始された。iTunesだけでなく、QuickTime Playerから再生することもできるのだが、こちらは若干ユーザーインターフェースが異なり、チャプターのサムネイルを画面一杯に表示させることも可能となっている。
なお、本作は音声にステレオとドルビーデジタルサラウンドの2種類が用意されている。
当たり前だが、アートワークや作品の基本情報もあらかじめ登録されている。ただし作品情報については、かんたんなあらすじや監督名が登録されているだけで、あまり充実していない。もっとも、これは作品によっても異なるだろう。
次にポータブルデバイスでの再生を確認。手持ちのiPhone 4に作品を転送し、再生しようとしたところ、問題が発生した。作品を転送すること自体はできるが、iPhone 4で再生しようとすると「このムービーは再生できません」というエラーが表示される。
メモリーが足りないのかと、一度電源を切ったり、コンテンツをいったん削除して同期し直したりしても結果は同様だった。不具合の可能性が高いと一旦諦めたが、後述するiPadでの再生を行ったあと、少し時間をおいて再生し直したら、今度は正常に再生が開始できた。
■iPadでの転送・再生は至ってスムーズ。レジューム再生も快適
iPadへの転送はスムーズに行え、再生自体も、何の問題もなく開始できた。Macで再生を停止していた場所から、自動的にレジューム再生されるのも快適だし、「ビデオ」アプリを起動した直後の、チャプターが画面左、ジャケット写真が右側に表示される画面レイアウトもとても見やすい。
■HD映画をレンタルするもダウンロードが完了せず
続いてレンタルもチェック。作品にはHD版の「グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-(字幕版)」を選んだ。HD動画に加え、iPod/iPhone向けの解像度の低いバージョンも同時にダウンロードされるため、ファイル容量は5.05GBと大きい。
ダウンロードが完了するまでの時間が長いので、ここで、ダウンロードしながらの再生が可能かどうかをチェックしようと、iTunes上に表示されたジャケットをクリック。再生指示を行うこと自体は可能で、レンタル作品なので48時間以内の再生しかできない旨が表示される。
ここで問題発生。「OK」を押してもiTunes Storeで不明なエラーが起きたというアラートが表示され、再生が始まらない。エラーコードは「-42110」。何度やっても結果は同じだった。
さらに、ダウンロードの仕上げの、ファイルを処理する段階でも同じエラー「-42110」が発生し、ダウンロードが終了せずに中止されてしまう。
途中で再生指示を行ったことが問題なのかと、再生回数のリセットなども行ったが、何度ダウンロードを再開しても、最終段階でエラーが出て終了できない。
結局、途中でデータが破損した可能性が高いと判断。諦めてダウンロードしたものを削除し、もう一度ダウンロードを始めた。だが、記事を書いているうちにサーバーがさらに混み始めたようだ。記事執筆時点で、ダウンロードが終了するまでにあと3時間かかると表示されている。
以上、駆け足で速報レビューをお伝えした。肝心のHD動画の画質がまだ確認できていないのは残念だが、今後Apple TVの発売に合わせ、くわしいレビューを公開したい。
iPhoneでの再生が当初行えなかったり、作品のダウンロードが途中で停止されてしまうなどの不具合は見られるが、北米などではすでに長い実績があるサービスだけに、今後確実に改善されるだろう。新サービスが開始されたばかりでiTunes Storeへのアクセス自体が不安定であることから、不具合はサーバー負荷の高さが原因である可能性が高い。
作品の少なさへの不満もあるが、それよりも、これまでは全く行われていなかったサービスが国内でスタートした意義の方が、遙かに大きい。販売実績が出てくればタイトル数も増えていくはずだ。
国内にもVOD事業者は数多くあり、サービスも多彩だが、それらのサービスはテレビをメインスクリーンとして想定し、モバイル機器との連携が考慮されていないものが多い。iPhoneやiPodとのシームレスな連携が可能なiTunes Storeでの映画販売が、その状況に風穴を開ける可能性がある。国内VODサービス競争が新たな局面を迎えたことは間違いない。