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高速連写テストの作例も紹介

ビクター「GC-PX1」徹底レビュー − プロカメラマン川村氏が動画&静止画のクオリティをチェック

公開日 2011/03/24 13:03 レビュー/川村容一
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“時間を操れる感覚”− 高速連写機能が楽しい

カメラを構えている際、決定的なシャッターチャンスはわずか1〜2秒のうちに訪れるものだ。見方を変えれば、ふだん見慣れているシーンを撮っている時にも、ドラマチックな撮影の瞬間は頻繁に出現するものだ。それぞれの瞬間を確実に捕まえることができるのなら、写真を撮ることはますます楽しいものになるはずだろう。撮影者のクリエイティビティも刺激されて、今までに見たことのなかった写真を撮ってみたくなる。

GC-PX1は、先に紹介した通りのハイクオリティな動画・静止画撮影の機能以外にも、卓越した高速連写機能やハイスピード撮影機能を搭載している。これらの機能を使いこなせるようになれば、どんなシャッターチャンスをとらえることができるようになるのか、今回は検証してみることにした。なお、高速連写やハイスピード撮影の機能は、テニスやゴルフなどスポーツを楽しむ方々であれば、例えば自分のフォームチェックにも有効活用できるだろう。アーティスティックな表現性以外に、実用性も兼備した機能であると言える。

まず、高速連写の機能から紹介しよう。本機では静止画モードでの撮影時だけでなく、動画モードの撮影待機時にも連写撮影が行える。

連写速度は主に次の3つから選べる。静止画モード時に秒間30枚/最大103枚まで、動画モード時に秒間60枚/最大144枚まで連写できる「高速連写」、静止画モード時に秒間7枚/最大103枚まで、動画モード時に秒間15枚/最大144枚まで連写できる「中速連写」、メモリーの空き容量がなくなるまで連写できる「低速連写」の3種類だ。なお画質については、静止画の高速連写では最高10メガ、動画モードでの静止画連写では最高5.7メガ(画角は16対9)のクオリティを実現している。

高速連写のシャッターを切ると画面に赤いバーで撮影時間が表示される。シャッターボタンを押している間は撮影が続くが、最高速度だと1秒間に60枚、最大144枚の写真を2秒ほどで撮影完了する。メモリーへの書き込みにやや時間が必要となる。撮り直したい時は「取消」のアイコンをタッチする。

再生時の画面表示。連写または2秒以内に撮った静止画は緑のフチが着いてグループ分けされる。連写したシーンも見つけやすい。

それぞれを使い分けるにはちょっとコツが必要だ。高速な被写体の動きから決定的な瞬間をとらえたいなら、動画モードで「高速連写」を選べば1秒間に60枚の撮影が最大144枚まで、時間にすれば約2秒間撮影できる。高画質な連写写真を2秒間撮影できれば、例えばスポーツの場面などを撮影する際などは十分な長さと言えるのだが、シャッターボタンを押した後、連写した画像データをメモリーに書き込む時間が必要になるので、撮影の際はシャッターを押し始めるタイミングは慎重に図りたい。「中速連写」を選べば、動画モードならば1秒間に15枚、約9秒間撮影ができるので、ゆっくりと動く被写体から、決定的なシャッターチャンスを捕まえたいなら、中速連写を選ぶのもおすすめだ。

イルカのジャンプを動画待機時に高速連写した。思ったより動きがゆっくりで秒60コマでは変化が乏しいので、4コマずつ間引いて並べてみた。


静止画のサイズは576万画素になる。連写した写真の1枚をみてもかなり鮮明に写っている。

一方、静止画撮影時の連写は、「高速連写」で30枚/秒、「中速連写」では7枚/秒となり、どちらも約103枚まで撮影できる。画質、連写速度、撮影可能な枚数のバランスを考えれば、かつてこれほどの連写スペックを実現したカメラは他に類を見ないと思う。画像サイズは画角4対3、1,000万画素相当になるので、連写した写真をA4サイズのプリントに伸ばしても、精細な写真が出来あがる。これまでの家庭用カメラでは実現しなかった、新しい高速連写撮影の楽しみ方が、次世代映像エンジン「FALCONBRID」の恩恵により実現されたのだ。

静止画撮影時の高速連写の例。ミルクの雫を写してみた。動きが速いので、照明を明るくして撮影するときれいな写真が撮れるはずだ。1秒間に30コマのスピードで、10メガの高画質写真が撮影できる。この処理エンジンの高速処理能力には脱帽させられる。


最後に、動画モード選択時に楽しめる、もう一つの魅力的な機能であるハイスピード撮影を紹介しよう。本機では1秒間に300コマ(5倍速)という、驚くほどの高速記録ができる。解像度は640×360とやや小さめだが、こちらも60pプログレッシブ記録なので非常に滑らかな動画が記録できる。

ハイスピード動画撮影時の画面。左上に緑色の「H」マークが現れる。画角は16対9で記録される。録画開始と停止は動画撮影ボタンでおこなう。撮影中のズーミングも可能。

ハイスピード撮影した動画は、再生時には1/5の速度でスローモーション再生して楽しめる。被写体が見せる一瞬の変化を、ゆっくりと、しっかりと見ることができるし、ふだん見慣れた被写体や風景などの動きが、あらためてとても新鮮に感じられるはずだ。

【ハイスピード撮影/スロー再生動画の作例】

※動画ファイルの画面をクリックすると再生を開始します。動画作例は元のファイルを圧縮したものをFLV形式で掲載しています。
※動画ファイルはストリーミング再生となりますので、お手元のPC、インターネット環境によってはスムーズに再生されない場合もあります。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


今回GC-PX1をハンドリングしてみて、これまでのカメラにはない使い勝手が体験でき、撮ることのできなかった写真が撮影できた。改めて「FALCONBRID」の一歩先を行く高性能を実感させられるとともに、本機が“HDハイブリッドカメラ”として、新しいデジタルイメージングの可能性を切り開いていくであろうという確信を得た。


【SPEC】●撮像素子:1/2.3型 1062万画素 裏面照射型CMOSセンサー ●レンズ:F2.8〜F4.5/ f=6.7〜67.0mm ●ズーム:動画撮影時 光学10倍、ダイナミックズーム 15/16倍 デジタルズーム 64倍、静止画撮影時 光学10倍 ●最低照度:4ルクス(シャッタースピード:1/30) ●液晶画面:3型ワイド、23万画素タッチパネル ●静止画記録方式:JPEG ●動画記録方式:MPEG-4 AVC/H.264 ●記録メディア:内蔵メモリー 32GB、SDXC/SDHC/SDメモリーカード、Eye-Fi ●消費電力:4.2W ●外形寸法:131W×67H×122Dmm ●質量:約515g(撮影時) ●問い合わせ先:日本ビクター(株)お客様ご相談センター TEL/0120-2828-17


◆プロフィール 川村容一
写真家。広告代理店写真部、編集プロダクション写真部を経て独立。デジタルカメラでの取材ものから大判フィルムを使った商品撮影が主な仕事。モノクロの処理は自宅暗室で行っている。JPS展実行委員会など事業の運営に参加する。写真添削講座講師も務める。25年以上経験の現場のプロ。社団法人日本写真家協会会員。

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