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画質・機能・デザイン充実の高バランスモデル

新技術「ハイスピードUV²A」の威力とは − シャープ“AQUOS”Z5ラインの実力に迫る

公開日 2011/03/28 11:00 編集部:風間雄介
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■クアトロンが省エネや3D映像の高画質化を実現する

こういった特長を備えたUV²A技術を使うことで、クアトロンパネルは、4原色という多原色化を行いながら、同時に従来パネルと比べ1.2倍以上という明るい映像を可能にした。

明るいパネルは省エネにもつながる。同じ明るさならばバックライトの光量を落とすことができ、そのぶん消費電力を落とせるからだ。

この「明るい」という特徴は、2D映像だけでなく3D映像にも大きなメリットをもたらす。

すでに述べたように、アクティブシャッター方式の3Dテレビは、明るさを確保することが難しい。

テレビ側では右眼用の映像と左眼用の映像を交互に表示し、それにあわせてメガネの左右のシャッターが開閉するので、単純に考えて、それだけで明るさが2分の1になる。

また液晶パネルは映像を上から下に順に書き換えていくので、映像が書き換え終わるまでは、クロストークを抑えるためにメガネのシャッターを開けられない。シャッターを閉めているあいだは光が入ってこないので、その分輝度が低下することになる。ほかにも様々な要因が重なり、何も対策を施さなければ、明るさは2D映像に比べ概ね10分の1程度になってしまう。

これに対してクアトロンは、従来のパネルに比べて、UV²Aの開口率向上で20%、さらにイエローのサブピクセルを加えたことで20%の明るさ向上を達成。あわせて約1.4倍もの輝度向上が可能になった。さらに駆動回路の最適化や高効率なバックライト制御もあわせて行うことで、トータルで従来パネル比約1.8倍という、明るい3D映像を実現している。

見てきたように、クアトロンとUV²Aは切っても切り離せない関係にある。それぞれの利点を持ち寄ることで、明るく、色再現性が高い映像再現を可能としているのだ。

■応答速度を高めた「ハイスピードUV²A」でさらなる高画質化

“AQUOS”Z5ラインには、このUV²Aをさらに進化させた最新バージョン「ハイスピードUV²A」が搭載されている。

UV²Aの特長は、開口率が高く画素設計が容易であるだけではない。液晶分子の応答速度が速いことも特筆すべきポイントだ。

通常の液晶パネルでは、液晶分子はドミノ倒しのように、順番に向きを変えるので、すべての液晶分子が応答し終わるまでに時間がかかる。これに対してUV²Aは、液晶分子の向きを一斉に変えることができ、従来のUV²Aでも、4msecという高速応答性能を実現していた。

Z5ラインに搭載されたハイスピードUV²Aでは、粘性を低くした、新たな液晶素材を採用。さらにセル構造にも工夫を加えることで、平均応答速度をこれまでの4msecから3msecへ短縮させた。もともとの応答時間が短いのでわずかな差に思えるかもしれないが、パーセンテージにすれば約25%も高速化したことになる。

ハイスピードUV²Aパネルの特徴

UV²Aはもともと高速応答性能が高いが、ハイスピードUV²Aはさらにそのスピードを高めた

この高速応答性能は、2D映像の動画解像度が高まるだけでなく、3D映像の画質向上にも大きく寄与する。Z5ラインでは、片方の目に届けるべき映像の一部がもう片側の目に映る「クロストーク」を、LV3ラインに比べ約70%削減することに成功している。

クロストークを抑えることは、アクティブシャッター方式の3Dテレビにとって非常に大きな課題だが、これが可能になったことで、これまで以上に鮮明な3D映像体験が可能になる。

◇  ◇  ◇


ここまで、画質を高める技術を中心に、AQUOS Z5ラインの特長を見てきた。シャープ独自のパネル技術「クアトロン」「ハイスピードUV²A」の意義をご理解頂けただろうか。

次回は実際にZ5ラインをハンドリングし、ハイスピードUV²Aによる2D/3D映像の高画質化、また新たに追加された様々な機能の使い勝手などをくわしくお伝えする予定だ。

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