総合バランスに優れた注目モデル
シャープ “AQUOS” Z5レビュー − 画質から機能、節電性能、使い勝手まで徹底ハンドリング
「特徴検索」は、あらかじめ用意された、全27種類の特徴にあてはまる番組を表示する機能。ドラマでも「ドラマ(約1時間)」や「ドラマ(90分以上)」など条件が細分化されているため、好みの番組を探しやすい。いちいち条件を細かく設定するのが面倒という方にオススメだ。
もう一方の「組み合わせ」はジャンルやキーワードを組み合わせ、合致する番組を探すことができる機能で、細かな条件設定によるマニアックな検索が行えるのが特徴だ。キーワードは3つまで登録でき、「いずれかを含む」「すべてを含む」の条件設定も可能となっている。
しかも、字幕放送、手話通訳放送、再放送、新番組、最終回など、いわゆる「番組記号」による絞り込みも行える。
さらに、この「組み合わせ」に合致した番組を通知する機能も充実している。番組表に、条件に合致した番組を表示するかどうかを選べるので、録り逃しや見逃しを防止できる。
この「組み合わせ」検索機能は、先述の「AQUOSインフォメーション」とも連動する。テレビの起動時と番組開始前それぞれについて、「AQUOSインフォメーション」で表示するか否かを設定できる。これだけでも相当に多機能なのだが、さらに細かな設定項目も用意されている。何と曜日ごと、チャンネルごとに通知を設定するかどうかを設定することも可能なのだ。
以上のような機能を組み合わせれば、非常に細かい条件で番組検索と通知を設定することが可能になる。たとえば「音楽番組」で「AKB48かSMAPのいずれかが出演する番組があった場合」に「月曜から金曜のあいだに限り」「フジテレビの番組だった場合」「番組が始まる前だけ」「AQUOSインフォメーションで通知する」などといった使い方ができるのだ。いかにマニアックな機能かがお分かり頂けるだろう。だがこれは、単にマニア向けの機能というわけではない。条件をシンプルに設定して「SMAPが出演する番組を、とにかく全部表示する」といった、シンプルな使い方もできる。
この検索機能、設定項目が豊富かつ自由度が高いので、初心者からマニア層まで様々な応用が可能だ。設定を記憶できるのは3種類。もう少し多ければ、と少し残念に感じる。
Z5の検索機能ではこのほか、通常のジャンル検索機能やキーワード検索も可能となっている。とにかく、ここまで番組検索機能が充実しているテレビというのも珍しい。見たい番組を見逃して後悔したという経験は誰でもあるだろうが、この機能を使いこなせば、見逃しを効果的に防止することができるはず。ぜひ店頭で試してみて欲しい。
■ネット機能も充実。テレビ+ネットの3画面表示も
昨年以来、「スマートテレビ」というキーワードに注目が集まっている。スマートテレビの具体的な定義は存在せず、各社がバラバラに、マーケティングワードとして活用しているのが現状。結果として、イメージや言葉だけが一人歩きしている感がある。
シャープは自社製テレビをスマートテレビとは謳っていないが、そのネット機能は非常に充実しており、しかも使いやすさを高める工夫が随所に盛り込まれている。スマートテレビという文脈で語る必要はないが、本機のネット機能がスマートであることは確かだ。
リモコンには「インターネット」ボタンを装備。押すと専用のAQUOS専用のポータル画面「AQUOS.jp」が表示され、ここから様々なネット機能にアクセスできる。
AQUOS専用にカスタマイズされ、リモコンのボタン操作で様々な情報にアクセスできる「Yahoo! JAPAN for AQUOS」は、ユーザーインターフェースがテレビに最適化されており、たとえば10キーの一押しで各コンテンツに飛べるなど、とても使いやすい。
ビデオオンデマンドサービスも充実しており、「アクトビラ」「ひかりTV」「TSUTAYA TV」「T'S TV」などが利用できる。どれもページの表示速度が速いのが特徴で、サクサクと利用できる。他社製のテレビの一部には、表示スピードが遅くストレスを感じるものもあるが、本機ならそういった心配はない。
ネット機能とテレビの同時視聴にも対応している。単純に画面を左右に分け、ネットとテレビの2画面表示ができるだけでなく、左画面の上下にテレビの2画面を表示し、右画面でネットを使用する、3画面同時表示も行える多機能ぶりだ。家族でテレビを囲んでいる際、ちょっとネットで調べ物をしたくなることは多い。そんなとき、AQUOS Z5ならテレビとネット表示を無理なく両立できることになる。
ネットワーク関連ではこのほか、DLNAプレーヤー機能も搭載。おなじネットワークのNASやPCに置いたメディアコンテンツをAQUOS Z5で再生できる。さらに、USBメモリー内のメディア再生を行うことも可能だ。
AQUOS Z5のクオリティや機能、使い勝手などについて紹介してきたが、ここまでバランスの取れた製品はなかなか無い、というのが率直な感想だ。
ハイスピードUV²Aパネルの性能は、120Hz駆動ながらクロストークをよく抑えた3D映像によって実感することができたし、2D映像の動画解像度も非常に高度。もちろんクアトロンの色再現性能は相変わらずハイレベルだ。
機能面もAQUOS独自のものが充実し、初心者からマニアまで、幅広い層を満足させる懐の深さがある。節電性能についてもパネル自体のエコ性能の高さに加え、独自のムーブセンサー機能もユニークで、電気の使用を効果的に抑えることができる。
画質、価格、機能、そして大事な節電性能。この4つのバランスがしっかり取れたAQUOS Z5が、この春夏の薄型テレビ商戦でどのような反響を得るか、大変興味深い。