「防音/調音クリニック」読者訪問第2回
防音/調音ビフォーアフター第2弾! − DAIKEN製品でリビングシアターの音場改善へ挑む!
音に対する研究を長年積み重ねてきた“音のDAIKEN”と、評論家の大橋伸太郎氏がタッグを組んで読者諸氏の防音/調音に対する悩みを解決する「防音/調音クリニック」。第2回目に登場するのは、自分でも防音/調音対策を行っているものの「何が正解かわからない」という悩みを抱える佐藤文則さん。前回とは異なるシチュエーションでの防音/調音に対してDAIKEN製品はどう応えるのか?
■独自の防音/調音対策をしているが「何が正解か分からない…」 |
およそ8畳のリビングでホームシアター/オーディオライフを楽しんでいる佐藤さん。スピーカーにモニター・オーディオ「Gold Signature」シリーズ、プロジェクターにビクター「DLA-HD750」、AVアンプにデノン「AVP-A1HD」などのハイエンドな機器を用いてシステムを組む、かなり本格派のホームシアター/オーディオファンだ。
そんな佐藤さんは、スピーカーの対向面にあたるキッチンカウンター部分に立てかけるような形でベッドのマットレスを置き吸音を図るなど、独自に防音/調音対策を行っている。しかし「はたして今の状態が妥当なのかどうか、何が正解なのか分からないのです」と悩みを打ち明けてくれた。また、「やはりリビングですから、インテリア性も大切にしたいと思っています。そうしたことを考えると過度な対策をとりにくいのも悩みですね」ともコメントする。
こうした悩みを解決するべく佐藤さん宅を訪れた取材班。音のスペシャリストである大建工業(株)建築音響部サウンドセンターの井上氏がさっそく部屋の残響測定を開始する。
「まず、この部屋の容積は約26m3です。ここから最適な残響時間を計算すると、佐藤さん宅の場合はライブな状態で0.43秒、デッドな状態であれば0.22秒という数値が求められます」と井上氏は解説。
なお、測定はスクリーンを使用した状態と使用しない状態でそれぞれ実施。その結果について井上氏は「スクリーンの有無による音響の違いが出ていますね。スクリーンを使用した場合はややライブ気味、スクリーンを使用しない場合はライブとデッドの中間位の特性と言えます」とコメント。「詳しく見てみると、スクリーンを使用した場合は高音域がライブに、スクリーンを使用しない場合には低音域がややライブになっています。これはスクリーンによる反射の影響と思われます」と言葉を続ける。
■測定結果データ | ||||||||
測定周波数(Hz) | 63 | 125 | 250 | 500 | 1000 | 2000 | 4000 | 8000 |
スクリーンを使用しない場合 | 0.47 | 0.42 | 0.35 | 0.30 | 0.26 | 0.30 | 0.29 | 0.25 |
スクリーンを使用した場合 | 0.41 | 0.34 | 0.37 | 0.30 | 0.34 | 0.37 | 0.37 | 0.34 |
(低音域) | (中音域) | (高音域) |
そして「音響は個人によって好みがありますから、この測定結果だけで音の善し悪しの評価はできませんが、サラウンドシステムを楽しむ場合には、もう少し全体的にデッド気味に振られる方が一般的には多いかと思います」とアドバイス。「また、スクリーンを使用しない場合には低音域をもう少し吸音してフラットな特性にした方がオススメです」とも説明した。
また、井上氏による低音域への指摘を裏付けるように、大橋氏も「スクリーンのあるなしに関わらず、音量はさほどでないのに低音域の暴れと解像感の低下が若干気になりますね」とコメント。
「例えばジャズのベースの音でも、音階によってブーミーになる音とそうでない音とが存在しますし、ボーカル作品でももう少し声が明瞭に聴きたくなるなど、音像がもうひとつ鮮明でなく、モヤッとしたことになっている印象を受けます」と問題点を指摘する。
そして「DAIKEN製品を使うのであれば、『アコースティックツリー』をスピーカーの脇に置くことで一定の効果が期待できます。暴れを改善した上で、AVアンプの設定を変えて低域をもう少し厚くしてやるとよいでしょう」と言葉を続けた。
大橋氏のコメントに対しては、井上氏も「たしかにスピーカー周りに吸音材を置くことは、低音域のライブ気味な感じを抑えるために有効なんです」と頷き、自立式で手軽にオーディオルームの響きを整えられる「アコースティックツリー」の使用を提案。その上で「スクリーンの反射による高音域を吸音するため、キッチンカウンター部へ『オトピタ01』を設置するのが効果的でしょう」と語る。
そしてさらに井上氏は、音の響きを調整する壁取付型のパネル「サウンドデザインウォール(Kくさび)」の使用も提案。「本来は壁に取り付ける施工が必要な製品なのですが、低音域への効果が期待できますので、今回だけのイレギュラーな措置ということで施工なしでも利用できる方法をなんとか考えてみましょう」とコメントした。
なお、「サウンドデザインウォール」は吸音性能やデザインが異なる5種類で展開中。ポップなカラーの「AR」、うづくり調でシックな「AC」など、デザイン面からも幅広い選択肢を用意している。性能面を追求しながらもデザインを犠牲にしない点が特徴だ。この中から今回は低音域への対策を図るために「Kくさび」を使用することとした。
今回DAIKENが提案した音場調整策 | |
低音域の改善 | 「サウンドデザインウォール」を室内に設置 |
低温域のライブ感の改善 | スピーカー周辺に「アコースティックツリー」を設置 |
反射による高音域の改善 | キッチンカウンター部に「オトピタ」を使用 |