月額1,480円で見放題
"黒船級"のインパクト − 話題の「Hulu」を速攻レビュー
■Huluのインパクトは"黒船級"
Huluのコンテンツを視聴するには、パソコン上のWebブラウザでHuluのWebサイト、またはスマートフォンのアプリでログインする。これで、9/1時点のサービス開始時点で数千本とされる全コンテンツが見放題となる。
提供されるコンテンツは、ドラマを中心とした「テレビ番組」とハリウッド映画で構成される「映画」の2系統。日本でのサービス開始にあわせ、前述した設立母体3社(NBC/ABC/FOX)の系列にくわえ、CBSやユニバーサル、ソニーピクチャーズなどの企業とライセンス契約を締結しているため、種類は豊富だ。しかも比較的新しいタイトルが多く、"名画"ばかりで新味に乏しい、ということもない。
新しめの映画を列挙してみよう。パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト(2006年)、パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド(2007年)、スパイダーマン3(2007年)、ブラッド・ダイヤモンド(2006年)、ウルトラヴァイオレット(2006年)、などなど。メリーポピンズやフルメタル・ジャケットなどの名作・問題作、さらにはマライア・キャリー主演の「グリッター」という迷作(?)も用意されているので、当分飽きずに楽しめそうだ。
どちらかといえば、目玉はテレビドラマだろう。LOST、24、FRINGE、HEROES、デスパレートな妻たちといった人気シリーズはもちろんのこと、X-ファイルやロズウェルといった懐かしどころもラインナップされている。古典的名作「宇宙家族ロビンソン」も、SFファンを自称するのなら押さえておきたいところ。
気になる画質だが、コンテンツにより解像度が異なるため一口には語れないが、720pを最高として480p、360p、288pの4段階で収録されているので、VODとしてはまずまずというところ。初期値では、回線の帯域に応じた最適な画質を自動選択するよう設定されているが、パソコン(実体はWebブラウザ上のFLASHプレイヤー)の場合は手動で選択可能だ。
なお、iOS(iPad/iPhone)の場合、画質を選択するオプションは用意されていなかった。動画の早送り/巻き戻しは画面下部のシークバーをスライドすればよく、使用回線(Wi-Fi、IEEE802.11n)が高速なことも手伝ってか、ストレスは感じなかった。
日本語対応は、正直"いま一歩"だ。公開されているタイトルの多くが日本語字幕を収録してはいるものの、登場人物が明らかに重要そうな会話をしている箇所で字幕がなかったり(HEROES・シーズン1/第1話で確認)、字幕があるはずなのに表示されなかったり(デスパレートな妻たち・シーズン5/第18話で確認)、何度か歯がゆい思いをした。パソコン上ではハッキリ読めた字幕が、iPad上では若干不鮮明(フォント周辺にモスキートノイズが目立つ)だったことも惜しまれる。
さらにいうと、iOSアプリではAirPlayをサポートしてほしかった。AirPlay経由でApple TVへ出力できれば、VIERAやBRAVIA以外の薄型テレビでも大画面で楽しむことが可能になるからだ。パソコンやスマートフォンからHDMI出力という方法もあるが、どのみち最高画質が720pなのだから、ワイヤレスで完結したほうがよりスマートといえる。
ともあれ、月額1,480円でこれだけのコンテンツが見放題というのは、米国映画・ドラマファンにとって魅力なはず。月額課金では"黒船級"の衝撃度を持つサービスなだけに、これからの動向を注視していきたい。ただ、今後定期的にコンテンツが拡充されるとして、我々視聴者の空き時間がどれだけ残されているのか…。むしろそちらのほうが気がかりともいえる。
(海上 忍)