記念モデル「ATH-W3000ANV」と組み合わせた試聴も有
【創立50周年記念モデルレビュー(4) 】ブラッシュアップされた新ヘッドホンアンプ・オーディオテクニカ「AT-HA5000ANV」
2005年に発売された「AT-HA5000」をブラッシュアップし、フロントパネルを縞黒檀から高級感溢れる越前漆仕上げの北海道産アサダ桜仕様とした、創業50周年記念の限定生産ヘッドホンアンプが「AT-HA5000ANV」だ。
外観上はちょうど10年前に発売された40周年記念モデル「AT-HA2002」と同じ漆+アサダ桜パネル仕様であるが、ベースとなっている「AT-HA5000」自体、「AT-HA2002」よりも一層磨き上げられたサウンドを身に付けているため、見た目は似ていても全く別物として捉えて良いだろう。
アンプの心臓部はハイパワーMOS-FETを用いた純A級回路構成となっており、高域位相のずれまでも妥協なく追及し、ハイレゾ音源やSACD再生も視野に置いた広帯域特性を獲得している。ヘッドホンジャックには高信頼性のノイトリック製を採用。電源部には振動や磁束漏洩のないRコアトランスを採用した。またボリュームノブにはアルミ削り出し品を用いており、漆の質感と相まって、高級感を演出している。
こうしたポイントは従来の「AT-HA5000」を踏襲したものであるが、異なる点としてはRコアトランスに対して微細な不要振動を低減するチタンプレートを導入したり、高い制振特性を持つアクワイエを天板に貼り付け、筐体の不要振動も抑制していることだ。
さらに大きな変更となるのが付属する電源コードへの高音質対策である。まず導体には金メッキ線、6N-OFC、OFCの3種類を組み合わせた専用設計のトリプル・ハイブリッド構造を取り入れたほか、ケーブル自体の不要振動を抑えるため、高い制振性を持つハネナイトスタビライザーをケーブル内部に用いた。加えてプラグやコネクター、ACインレットの端子部には高忠実伝送を可能とするロジウムメッキが施されている。
入力端子はRCAが“DC DIRECT”と“AC COUPLED”の2種類用意されているが、どちらか一方のみ有効で、通常はカップリングコンデンサーを使っていない“DC DIRECT”を用いる。
まずはじめに「ゼンハイザーHD650」を用いて試聴してみると、瑞々しい潤いある音場表現に加え、鮮明で余韻の収束の早いクールな臨場感に溢れたサウンドを得ることができた。
クラシックではホールトーンも深く響き、清々しい管弦楽器の旋律が粒立ち細やかにハリ艶良く浮き立ってくる。S/Nの良い空間表現で、定位も鮮やかに感じ取れた。
続いてはジャズの音源であるが、ウッドベースの胴鳴りは弾力良く、生々しいむっちりとした弦のハリも同時に得ることができる。解像感の良いクリアな音場が展開し、ピアノはタッチが鮮明で輪郭のカッチリした響きをみせる。ドラムのボトムは自然な厚みがあり、スネアブラシのアタックはほど良いハリの強さを持つ。女性ボーカルにおいては口元をシャープに表現し、すっきりとした潤い感を残す描写となる。
ロックやポップスではリズム隊もバランスよく引き締まり、リリースは伸び良く感じられた。ギターの刻みは鮮明で、キーボードのキラリとしたヌケの良い煌き感も素直に捉えることができる。ハイトーンなボーカルはスカッと爽快で、若々しいウェットな艶を伴う描写だ。
同じ同社創業50周年記念モデルとして登場した「ATH-W3000ANV」と組み合わせたサウンドだと、一層ソリッドさが増し、キックやタムのリリースは響きがリッチに感じられるようになる。管楽器やピアノのアタックはクリアで瑞々しく、分解能の高い鮮烈なエッジも伴うサウンドだ。ただしウッドベースの弾力感は有機的な質感に満ちており、澄んだ音場感との対比が艶かしい音世界を作り出している。音の繋がりもスムースで透明度の高いトーンといえそうだ。
【試聴ソース】
●クラシック
・ユベール・スダーン指揮/東京交響楽団『ブルックナー:交響曲第7番』(N&F:NF21202)
●ジャズ
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』(ユニバーサル:UCCU-9407)
・『Pure2〜Ultimate Cool Japan Jazz〜』(F.I.X.:KIGA10)
●ポップス
・『Pure〜AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS』(F.I.X.:KIGA2)
●ロック
・ジャーニー『ESCAPE』(ソニー:SICP20034【Blu-spec CD】)
外観上はちょうど10年前に発売された40周年記念モデル「AT-HA2002」と同じ漆+アサダ桜パネル仕様であるが、ベースとなっている「AT-HA5000」自体、「AT-HA2002」よりも一層磨き上げられたサウンドを身に付けているため、見た目は似ていても全く別物として捉えて良いだろう。
アンプの心臓部はハイパワーMOS-FETを用いた純A級回路構成となっており、高域位相のずれまでも妥協なく追及し、ハイレゾ音源やSACD再生も視野に置いた広帯域特性を獲得している。ヘッドホンジャックには高信頼性のノイトリック製を採用。電源部には振動や磁束漏洩のないRコアトランスを採用した。またボリュームノブにはアルミ削り出し品を用いており、漆の質感と相まって、高級感を演出している。
こうしたポイントは従来の「AT-HA5000」を踏襲したものであるが、異なる点としてはRコアトランスに対して微細な不要振動を低減するチタンプレートを導入したり、高い制振特性を持つアクワイエを天板に貼り付け、筐体の不要振動も抑制していることだ。
さらに大きな変更となるのが付属する電源コードへの高音質対策である。まず導体には金メッキ線、6N-OFC、OFCの3種類を組み合わせた専用設計のトリプル・ハイブリッド構造を取り入れたほか、ケーブル自体の不要振動を抑えるため、高い制振性を持つハネナイトスタビライザーをケーブル内部に用いた。加えてプラグやコネクター、ACインレットの端子部には高忠実伝送を可能とするロジウムメッキが施されている。
入力端子はRCAが“DC DIRECT”と“AC COUPLED”の2種類用意されているが、どちらか一方のみ有効で、通常はカップリングコンデンサーを使っていない“DC DIRECT”を用いる。
まずはじめに「ゼンハイザーHD650」を用いて試聴してみると、瑞々しい潤いある音場表現に加え、鮮明で余韻の収束の早いクールな臨場感に溢れたサウンドを得ることができた。
クラシックではホールトーンも深く響き、清々しい管弦楽器の旋律が粒立ち細やかにハリ艶良く浮き立ってくる。S/Nの良い空間表現で、定位も鮮やかに感じ取れた。
続いてはジャズの音源であるが、ウッドベースの胴鳴りは弾力良く、生々しいむっちりとした弦のハリも同時に得ることができる。解像感の良いクリアな音場が展開し、ピアノはタッチが鮮明で輪郭のカッチリした響きをみせる。ドラムのボトムは自然な厚みがあり、スネアブラシのアタックはほど良いハリの強さを持つ。女性ボーカルにおいては口元をシャープに表現し、すっきりとした潤い感を残す描写となる。
ロックやポップスではリズム隊もバランスよく引き締まり、リリースは伸び良く感じられた。ギターの刻みは鮮明で、キーボードのキラリとしたヌケの良い煌き感も素直に捉えることができる。ハイトーンなボーカルはスカッと爽快で、若々しいウェットな艶を伴う描写だ。
同じ同社創業50周年記念モデルとして登場した「ATH-W3000ANV」と組み合わせたサウンドだと、一層ソリッドさが増し、キックやタムのリリースは響きがリッチに感じられるようになる。管楽器やピアノのアタックはクリアで瑞々しく、分解能の高い鮮烈なエッジも伴うサウンドだ。ただしウッドベースの弾力感は有機的な質感に満ちており、澄んだ音場感との対比が艶かしい音世界を作り出している。音の繋がりもスムースで透明度の高いトーンといえそうだ。
【試聴ソース】
●クラシック
・ユベール・スダーン指揮/東京交響楽団『ブルックナー:交響曲第7番』(N&F:NF21202)
●ジャズ
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』(ユニバーサル:UCCU-9407)
・『Pure2〜Ultimate Cool Japan Jazz〜』(F.I.X.:KIGA10)
●ポップス
・『Pure〜AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS』(F.I.X.:KIGA2)
●ロック
・ジャーニー『ESCAPE』(ソニー:SICP20034【Blu-spec CD】)